法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例77】「ゴルフ会員権に係る預託金債権の貸倒損失についての損金算入時期」
社長は自分の道楽であるゴルフについては聖域であるかの如く日夜ふるまっていますが、今回の税務調査では社長の当該ゴルフ道楽に課税庁のメスが入ったところです。すなわち、わが社が会員となっているゴルフクラブのうち、一か所が経営破綻したのですが、当該ゴルフクラブに係る預託金返還請求権につき切り捨てられた金額を退会手続の完了した日の属する事業年度(令和5年3月期)の損金の額に算入したことについて、調査官から問題視されました。
調査官の言うことには、当該金額はゴルフクラブが民事再生法の規定に基づく再生計画認可の決定につき切り捨てが確定した日の属する事業年度(平成30年3月期)に損金算入されるとのことでした。損金計上のタイミングがかなりずれるのですが、税法上いずれが妥当なのでしょうか、教えてください。
租税争訟レポート 【第80回】「更正の請求の特則/遺留分減殺請求に基づく価額弁償金額が確定した日(第1審:東京地方裁判所令和5年6月29日判決、控訴審:東京高等裁判所令和5年12月13日判決)」
原告は、被相続人乙の相続について、相続税の申告をした後、裁判上の和解により定められた価額弁償金を遺留分権利者に支払ったことから、当初の申告に係る課税価格及び相続税額が過大になったなどとして、更正の請求をした。これに対し、新宿税務署長は、上記価額弁償金は上記裁判上の和解の成立によって「弁償すべき額が確定」したものであり、原告は当該事由を知った日の翌日から4か月以内に更正の請求をしていないから更正をすべき理由がないとして、これを前提とする更正処分をした。
本件は、原告が、上記価額弁償金は現実にこれを支払うことによって「弁償すべき額が確定」すると主張して、上記更正処分のうち、上記価額弁償金に係る更正の請求を認めなかった部分の取消しを求める事案である。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q96】「特定口座で保有する株式と同一銘柄の株式を一般口座で譲渡した場合の取得費」
私(居住者たる個人)は、上場しているA株式を300株(1株5,000円)取得し、一般口座で保有しています。また、追加で200株(1株6,000円)を取得し、こちらは特定口座で保有することとしました。
株価が上昇してきたので、一般口座で保有している200株を譲渡することにしましたが、株式を複数回にわたって取得した場合には、総平均法に準ずる方法で取得費を計算すると聞きましたので、特定口座で取得した200株も合算して1株当たりの取得費を計算することができますか。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第73回】
OECDは暗号資産の台頭がもたらす課税上の問題への対応に取り組んでいる。
暗号資産は、利用者自身で暗号資産を管理するためのプライベートウォレットなどを使うことで、従来の金融機関などの仲介者を介さずに移転・保有することが可能である。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第55回】「国外財産調書に係る過少申告加算税の加算措置」
国外財産調書及び債権債務調書について過少申告加算税の加重措置が適用される「重要なものの記載が不十分である」とはどのような場合をいうのでしょうか。
〈令和7年度税制改正〉新リース会計基準に伴うリース取引に係る所要の措置 【補論】
2025年6月30日付で、国税庁より法人税、消費税、所得税の基本通達等の改正が公表された。
この中には、リース取引に関して新設された基本通達も含まれている。リース取引に関しては、新リース会計基準の導入に伴い、法人税法や消費税法の改正が行われたが、今回の基本通達等の改正は、それに続くものである。
そこで、今回は、借手を対象として、改正通達におけるリース税制の見直しの内容や実務における注意ポイントについて解説することにする。
国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正-防衛特別法人税等の企業への影響- 【第2回】
令和7年度税制改正(所得税法等の一部を改正する法律)(※1)により、「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(以下、「防衛財確法」)が改正され、立法趣旨(第1条)に、防衛特別法人税を創設し、及びたばこ税の税率の特例を定め、防衛特別法人税の収入及びたばこ税の収入額に係る額を、防衛力強化資金として受け入れることが明記された。所得税は引き続き検討することとされている(※2)。
学会(学術団体)の税務Q&A 【第19回】「海外出版社を通じて英文誌を出版する際の税務上の留意点」
本学会は、海外出版社を通じて英文の学会誌(以下、「英文誌」という)を出版しており、当該英文誌に対するロイヤリティ収入を受け取っていますが、この場合における税務上の留意点について教えてください。