金融・投資商品の税務Q&A 【Q90】「相続した株式と同一銘柄の株式を譲渡した場合の譲渡所得の計算」
私(居住者たる個人)は、昨年、相続によりA株式(上場)を取得しました。今年になって、A株式を譲渡しましたが、相続により取得したもののほかに、市場で購入したものもあります。この場合、譲渡所得の計算は、どのように行うことになるのでしょうか。また、A株式は源泉徴収を選択した特定口座で保有していますが、留意点があれば教えてください。
租税争訟レポート 【第77回】「所得税等の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分の取消請求事件~青色事業専従者給与の適正額(第1審:長野地方裁判所令和4年12月9日判決、控訴審:東京高等裁判所令和5年8月3日判決)」
本件は、長野県岡谷市内に開設された診療所で内科等の医業を営む医師であり、青色申告の承認を受けている原告が、平成28年分から平成30年分の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」と総称する)の各確定申告について、看護師である自己の配偶者に支払ったとする青色事業専従者給与年額1,800万円(月額100万円+賞与300万円×2回)の相当性を一部否認して、処分行政庁がした増額更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件各処分」と総称する)は違法であると主張して、更正処分の増額部分及び過少申告加算税の賦課決定処分の取消しを求める事案である。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第49回】「国際的組織再編に対する法人税法132条1項適用の是非」
本連載【第27回】で取り上げたユニバーサルミュージック事件以外でもIBM事件が知られており、そこでは、課税当局の「納税者が行った一連の行為は、法人税の負担を減少させる不当なものと評価されるべき」という主張は、裁判所に提出された全証拠によっても認め難いという判断が示されました。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例142(消費税)】 「「相続があった場合の納税義務の免除の特例」により、令和5年1月から課税事業者であったが、これに気付かず「2割特例」を適用して申告してしまった事例」
令和5年及び令和6年3月期(課税期間を短縮している)の消費税につき、令和4年1月に依頼者の夫が死亡したため、「相続があった場合の納税義務の免除の特例」により令和5年1月から課税事業者であったが、税理士はこれに気付かず、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出して、令和5年10月から2ヶ月分の消費税を2割特例を適用して申告した。
しかし、令和5年1月から課税事業者であり、2割特例は適用できないことから、所轄税務署より指摘を受け、令和5年分の消費税を原則課税で修正申告することになってしまった。これにより、依頼者より、事前に課税事業者であると分かっていれば有利な簡易課税を選択したとして、有利な簡易課税と不利な原則課税との差額につき損害賠償請求を受けた。
学会(学術団体)の税務Q&A 【第13回】「学会において決済代行会社を利用する場合の税務上の留意点」
本学会(適格請求書発行事業者)は、セミナーや講習会を開催するにあたり、決済代行会社を利用して参加費を集めていますが、その場合における税務上の留意点について教えてください。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第45回】「市街化調整区域のうち都市計画法34条12号の対象となる宅地は、「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することができないとされた事例」
広大地の評価は、標準的な宅地の地積に比して著しく地積が大きな宅地について開発行為を行った場合、道路や公園のような「潰れ地」が生じることから、この部分を減額させるために正面路線価に広大地補正率と地積を乗じていた。しかし、この評価方法には問題があった。広大地に該当するか否かの判断が難しく納税者と課税庁の見解が異なるケースが散見され、数多くの訴訟が行われた。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第60回】
社債等振替法の適用がある振替受益権に関する考察を手掛かりとして、「受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託」には、少なくとも社債等振替法の振替制度に類似した振替式を採用し、(電磁的方式により)受益権を発行する定めのある外国信託も含まれるというような解釈を採用することに一定の合理性を認める見解も考えられる。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第64回】「国際裁判官の恩給課税取消請求事件(地判令5.3.16)(その2)」~所得税法35条、ICJ規程32条等~
ICJ規程32条8は、租税を免除されなければならない対象を、「salaries, allowances, and compensation」として規定する。その他ICJ規程32条には、同条1で規定する「annual salaries」、同条2で規定する「special annual allowance」、同条3で規定する「special allowance」、同条4で規定する「compensation」がそれぞれ用いられており、これらが、ICJ規程32条8に照らして、免税となることに疑いはない。
日本の企業税制 【第135回】「令和7年度税制改正におけるリース税制の見直し」
この中で、リース税制については、昨年9月に企業会計基準委員会(ASBJ)から新たなリースに関する会計基準が公表されたことを背景とする改正である。
相続税の実務問答 【第103回】「期限後申告における相続時精算課税の選択」
父は、同族会社であるA社の社長を務めていましたが、高齢を理由に令和5年3月末をもって退任しました。父はA社に対して7,000万円の貸付金債権を有していましたが、退任を機にこの貸付金債権を放棄しました。A社の法人税の申告においては、この7,000万円の債務の免除益については益金として所得金額の計算をしています。
最近になって友人から、私の父が貸付金債権を放棄したことによりA社の株価が上昇したとすれば、株主である私に贈与税が課されることとなるのではないかと言われました。友人の助言に従ってA社の株価を計算した結果、やはり1,000万円程度の株価の上昇があり、この利益はみなし贈与として贈与税の申告が必要だったことが分かりました。
今から令和5年分の贈与税の期限後申告をしたいと思います。いわゆる暦年課税では贈与税の負担が大きいことから、この際、相続時精算課税を選択してはどうかと考えていますが、どうでしょうか。