〈もうすぐ適用開始〉令和6年1月から適用される加算税の加重措置 【第2回】「高額・連続の無申告に対する加重措置」
例年、前年12月に取りまとめられる税制改正大綱に先立ち、政府与党の税制調査会において議論及び意見集約が行われるところ、その議論の経緯を瞥見することで、是正又は新たに手当てすべき税制の青写真や問題意識を窺うことができる。
令和5年度税制改正の検討過程においては、令和4年11月8日に開催された政府税制調査会の納税環境整備に関する専門家会合において、下記のような問題提起がなされていた。
「圧縮記帳と税額控除との調整」に係る制度間の統一的な取扱いを定めた改正通達のポイント
本稿では、租税特別措置法等の税額控除制度の税額控除限度額等の計算の基礎となる取得価額に係る共通の取扱いとして改正された租税特別措置法関係通達の内容に関し、改正に至った背景や改正前後の取扱いについて解説する。
〔徹底解説〕大阪国税不服審判所令和4年8月19日裁決~事業の移転及び継続を必要としたTPR事件との相違~
本事件は、原処分庁が、納税者(請求人)の行った法人税等及び消費税等の各確定申告について、請求人が損金の額に算入した適格合併に係る被合併法人の未処理欠損金額(1,208百万円)は、当該合併等が「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの(法法132の2)」に該当することから、損金の額に算入しないものとして、法人税等及び消費税等の更正処分等を行ったのに対し、納税者が原処分の全部の取消しを求めた事件である。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第31回】
国税庁は、雑所得を①公的年金等に係る雑所得、②業務に係る雑所得、③その他雑所得(①・②以外の雑所得)に分けて、取扱いを整理している。
以下は、令和4年10月7日付課個2-21ほか2課共同「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について」(法令解釈通達)による改正後の所得税基本通達35-1及び35-2の抜粋である。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第31回】「武田薬品工業事件-無形資産の形成による移転価格税制の影響-(大裁平25.3.18)(その3)」~租税特別措置法66条の4第1項、第2項~
医薬が満たすべき条件は大変な数に上り、製薬会社がテストした化合物のうち医薬品として世に出るのは、ごく僅かな数である。実際の医薬品の研究開発は、細胞レベル・動物レベルの実験などで有効性・毒性などを確認し、医薬の候補化合物を見つける「前臨床段階」と、その化合物を実際に人に投与して治療効果・安全性などを確認する「臨床段階」の2つの段階に大きく分かれる。そして、医薬品業界では伝統的に、前臨床段階を行う部署を「研究」、臨床試験を担当する部署を「開発」と呼び分けている。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第32回】「納税申告義務の履行担保措置としての加算税」-「つまみ申告」重加算税賦課肯定判例と二重処罰禁止違反否定判例-
前回は租税手続法の領域における税法基本判例として、申告納税制度の下で、納税義務の確定手続の最初の段階にある納税申告について、その効力に関する判例を取り上げ検討したが、今回は、納税申告義務という私人の公法上の義務の履行を担保するための措置としての加算税(税通65条以下。以下では国税の納付義務違反に対する不納付加算税は検討の対象としない)について、特に重加算税(同68条)の賦課要件の解釈適用をいわゆるつまみ申告に関して検討することにする。
〈もうすぐ適用開始〉令和6年1月から適用される加算税の加重措置 【第1回】「これまでのインセンティブ措置の傾向と帳簿不提出に係る加重措置」
加算税は、申告納税制度の定着と発展を図るため、申告義務が適切に履行されない場合に課されるものであり、一種の行政制裁的な性格を有するものとされている。
昨今の加算税に係る税制改正の特徴として、インセンティブとしての効果がより表れるように、誠実に申告義務を履行しようとしている者については軽減を、相対的に悪質と認めるものについては加重をそれぞれ志向するという傾向にある。
本稿では、令和6年1月から適用されることが法定されている令和4年度及び令和5年度の税制改正における加算税の加重措置を中心に、最近の加算税に係る税制改正の概要と特徴を確認することにしたい。
〈令和5年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第2回】「各種控除と所得要件の整理」
本連載第1回では、令和5年分の年末調整に影響する改正事項として、控除対象となる国外居住親族の範囲の見直し等を取り上げた。第2回(今回)は、各種控除について所得要件を中心に整理する。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第35回】「同族株主である個人が株式を個人又は法人に売却する場合の課税関係と時価算定の留意点」
甲は昭和40年にA社を設立し建設業を営んでいましたが、令和5年に代表取締役を辞任し、甲の甥である乙が新たに代表取締役に就任しました。甲はA社の株式を100%保有しており、乙に株式の承継を検討していますが、その方法として下記のいずれかの方法を考えています。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例128(法人税)】 「保育園事業を開始するに当たり、一般社団法人の非営利型で設立すれば法人税等が課税されないところ、営利型で設立したため、法人税等が課税されてしまった事例」
令和V年に一般社団法人の非営利型で保育園事業の設立相談を受けた際、非営利型で設立すれば法人税等が課税されないところ、保育園事業は収益事業に該当するものと誤認し、非営利型で設立しても法人税等は課税されると誤った説明をしたため、営利型で設立することになってしまった。これにより、設立初年度である令和W年3月期から誤りに気付く令和Z年3月期までの法人税等につき、過大納付が発生し、損害賠償請求を受けた。