monthly TAX views -No.142-「SNS情報のファクトチェックをどうするか」
このように、発信側とユーザー側双方に大きな問題を抱えているにも関わらず、言論の自由に守られて、影響力を拡大していくSNSネット社会であるが、筆者が最大の問題と考えるのは、それが国の政策に大きな影響を及ぼすことである。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例69】「土地営業権原価に係る償却費の損金該当性」
さて、そのような中、わが社も先日来国税局の税務調査を受けていますが、そこで1点問題となっている事項があります。それは、他社が開発したゴルフ練習場用地につき、わが社が買収しその建設を引き継いで完成させた物件がありますが、調査官は、その買収の際に計上した営業権は専らゴルフ練習場の建物及び構築物という有形固定資産により構成されており、調査事業年度において当該練習場は未だ稼働していないことから、その減価償却費は損金算入できないと主張しております。私の考えでは、当社が計上した営業権はゴルフ練習場買収に伴い発生した超過収益力に基づく「のれん」であり、ゴルフ練習場は稼働していないもののその運営を行っている事業部は業務を開始しているため、減価償却が可能と考えております。この場合、法人税法上どのように考えるのが妥当なのでしょうか、教えてください。
租税争訟レポート 【第76回】「処分取消請求事件~国税不服審判所の裁決取消しを求める訴えの利益の有無(大阪地方裁判所令和4年6月30日判決)」
本件は、個人事業を営む原告が、平成27年分から平成29年分まで(本件各年分)の所得税及び復興特別所得税(所得税等)に係る更正処分等を不服として、令和3年6月10日付けで審査請求をしたところ、国税不服審判所長から、同年8月24日付けで、本件審査請求をいずれも却下する旨の裁決(大裁(所)令3第6号。以下「本件裁決」という)を受けたため、被告を相手に、本件裁決の取消しを求める事案である。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第47回】「再販売価格基準法と無形資産の差異調整」
独立企業間価格の算定方法の1つである再販売価格基準法が適切に用いられているかどうかの判断枠組みはどのようなものでしょうか。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第44回】「会計的意味における包括的所得概念と法人税法上の包括的所得概念」-未計上資産無償譲渡[相互タクシー]事件・最判昭和41年6月24日民集20巻5号1146頁-
所得税や法人税は「所得」を課税物件とする租税であり(所税7条、法税5条以下)、所得税及び法人税の課税は「所得課税」と称される。ただ、所得税法や法人税法は、課税物件としての所得(課税所得)の概念を定義することなく、実際の経済生活の中に存在する「所得」という経済的事実を課税物件として取り込んで課税所得を定めていることから、その意味内容を明らかにするには、所得税法や法人税法の個々の規定の解釈だけでなく、それらの全体構造やそれを支える基礎理論としての所得概念論の検討・解明も必要である(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【167】参照)。
〈令和6年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第3回】「年調減税事務に関する実務Q&A」
定額減税の適用には、令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下という所得制限がある。しかし、月次減税事務においては、この所得制限を超える人についても、6月以後の給与等に係る源泉徴収税額から減税額を控除している。
この場合、年末調整でどのように処理するのか。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例140(所得税)】 「土地を家屋とともに譲渡しなければならない旨の説明をしなかったため、結果として居住用財産の譲渡にならず、居住用財産の譲渡の特例が適用できなくなってしまった事例」
令和Y年分の所得税につき、相続により取得した居住用財産の譲渡に際して「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」(以下単に「3,000万円の特別控除の特例」という)及び「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」(以下単に「軽減税率の特例」という)の適用を相続人2人(被相続人の自宅に同居していた配偶者と長男)とも受けるべく、自宅の土地を相続人2人で2分の1ずつ相続したが、土地を家屋とともに譲渡しなければならない旨の説明をしなかったため、家屋は配偶者1人で相続してしまった。これに相続税申告後に気付いたことから、配偶者の家屋の持分2分の1を長男に贈与してから譲渡したが、贈与を受ける前に長男が引越していたため、居住用財産の譲渡にはならず、上記居住用財産の譲渡の特例が受けられなくなってしまった。これにより、上記特例が受けられなくなった所得税等につき過大納付が発生したとして賠償請求を受けた。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第43回】「同族会社の薬局建物の敷地部分につき「土地の無償返還に関する届出書」の対応範囲ではないことから、相続税評価額は自用地評価の80%ではなく、借地権相当額を控除した価額が認められた事例」
同族会社のオーナーが土地を有し、その上の建物を同族会社が所有し利用している場合のオーナーの土地の相続税評価額の算定方法は、実務上悩ましい問題である。このような場合、同族会社が当初、権利金を支払ったり、相当の地代を支払っているケースは少なく、通常の地代程度を支払っているケースが多いのではないだろうか。しかし、通常の地代を支払ったとしても、本来、支払うべき権利金を支払わなかった場合は権利金の認定課税が潜在的に存在する(法基通13-1-3)。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第56回】
本信託は主として特定資産に対する投資として運用することを目的とする信託ではない点を除けば、委託者指図型投資信託に類似するとし、金融庁が、前述のような総合勘案を経て本信託を投信法上の外国投資信託に該当すると判断する可能性もあるのであろうか。