固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第32回】「土地・建物一括譲渡の場合における対価の区分について鑑定評価額に基づく按分が認められた事例」
土地・建物の一括譲渡の場合で、そのうち土地部分・建物部分の価額が明確でないケースもあるため、何らかの基準で按分する必要がある。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第30回】「武田薬品工業事件-無形資産の形成による移転価格税制の影響-(大裁平25.3.18)(その2)」~租税特別措置法66条の4第1項、第2項~
本件国外関連取引の独立企業間価格を算定するに当たり、原処分庁が、米国において・・・行われたプレバシッドに係る臨床試験費用のうち請求人が負担した費用の額を、請求人が有する研究開発に関する無形資産の価値を示す指標としたことは適法か否か。
日本の企業税制 【第121回】「令和6年度税制改正にも関連する「デフレ完全脱却のための総合経済対策」」
11月2日、政府は「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を閣議決定した。
今回の対策は、①物価高から国民生活を守る、②地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する、③成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する、④人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する、⑤国土強靭化、防災・減災など国民の安全・安心を確保する、という5つの柱から構成されている。このうち第1~第3の柱の中に、令和6年度税制改正に関連する事項が含まれている。
〈令和5年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第1回】「令和5年分の年末調整に影響する改正事項」~控除対象となる国外居住親族の範囲の見直し等~
11月に入り、今年も年末調整に向けた準備を始める時期となった。
今回から3回シリーズで、年末調整における実務上の注意点やポイント等を解説する。
令和5年分の年末調整に影響する改正事項としては、「控除対象となる国外居住親族の範囲の見直し」がある。また、令和5年分以後の扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」部分には、「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄が追加されている。
第1回(本稿)では、上記2点について取り上げる。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第30回】
所得税法では、暗号資産の譲渡原価等を計算する場合の年末評価額について総平均法と移動平均法が定められている。また、暗号資産の評価額の計算の基礎となる暗号資産の取得価額、すなわち年末時点における1単位当たりの取得価額の計算の基礎となる暗号資産の取得価額について、例えば、対価を支払って取得(購入)した場合は「購入の代価(購入手数料その他その暗号資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)」とするなど、その取得の方法に応じて算定方法が定められている(本連載第6回)。
相続税の実務問答 【第89回】「第一次相続と第二次相続の相続人が1人となった場合の遺産分割と相続税」
平成30年2月に父が亡くなりました。父の相続人は、母と私の2名でした。父の遺産は、父母が居住の用に供していたA建物とその敷地の各共有持分3分の2(残りの3分の1は母が所有)とわずかな預金でした。父の遺産総額は、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×2人=4,200万円)に達しませんでしたので、相続税の申告はしませんでした。また、父の遺産について、相続人である母と私の間で遺産分割協議は行っておらず、父の遺産である建物及び土地は、未だに父の名義のままとなっています。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第55回】「役員給与と推計課税」
当社は、青色申告法人です。当社が関わっている事業の中に、許認可等が当社名義とはなっていない事業もあり、その事業から生じる収益等は申告対象としていません。ここで、仮にこの事業の収益が実質的に当社に帰属するものと認定されてしまった場合、推計課税が適用される可能性はありますか。また、当社の役員に関連する税務にはどのような影響がありますか。
基礎から身につく組織再編税制 【第58回】「適格株式交換(支配関係)」
前回は「完全支配関係がある場合」の適格株式交換の要件を確認しました。今回は、「支配関係がある場合」の適格株式交換の要件について解説します。
なお、支配関係の定義については、本連載の【第3回】を参照してください。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第29回】「武田薬品工業事件-無形資産の形成による移転価格税制の影響-(大裁平25.3.18)(その1)」~租税特別措置法66条の4第1項、第2項~
独立企業間価格の算定において無形資産単体又は無形資産を含めた複数を取り扱う取引(以下「無形資産取引」とする)が含まれた場合、独立企業間価格の算定方法は利益分割法が適用されることが多い。これは無形資産取引に対する「取引内容」と「取引価格(評価額)」の比較対象取引を見つけることが困難又は存在しないため、基本三法を適用できないことは【第10回】及び【第11回】で述べたとおりであるが、取引内容には「排他性」と「独自性」が、取引価格(評価額)には経済的レント等を含めた「算定方法に含める要素」が重要であるといえる。