〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕
消費税率の引上げに伴う
実務上の注意点
【第12回】
税率変更の問題点(11)
「経過措置に関する注意点(その2)」
アースタックス税理士法人
税理士 島添 浩
3 工事の請負等に関する経過措置について
(1) 経過措置の対象となる請負契約等の意義
第9回でも述べたように、平成26年4月1日の施行日以後に目的物の引渡しがなされる請負工事等については、原則として新税率が適用されることとなるが、指定日(5%適用の場合は平成25年10月1日、8%適用の場合は平成27年4月1日)の前日までに契約を締結した場合など一定の要件を満たしたときには、施行日後の引渡しであっても旧税率を適用することが、以下の経過措置の規定により認められている。
《改正消費税法附則5条3項》
事業者が、平成8年10月1日から平成25年10月1日(以下この項から第5項まで及び附則第7条第1項において「指定日」という。)の前日までの間に締結した工事(製造を含む。)の請負に係る契約(これに類する政令で定める契約を含む。)に基づき、施行日以後に当該契約に係る課税資産の譲渡等を行う場合には、当該課税資産の譲渡等(指定日以後に当該契約に係る対価の額が増額された場合には、当該増額される前の対価の額に相当する部分に限る。)に係る消費税については、旧消費税法第29条に規定する税率による。
なお、事業者(工事等の請負業者)がこの経過措置の規定の適用を受ける場合には、その相手方に対し、当該規定の適用を受けることにつき書面で通知しなければならない(同附則5条8項)。
また、上記規定における施行令で定める請負等の契約の範囲について、平成9年の税率改正当時の施行令や改正通達では、以下の要件のいずれも満たすものであることとしていた。
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