〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕
消費税率の引上げに伴う
実務上の注意点
【第15回】
税率変更の問題点(14)
「経過措置に関する注意点(その5)」
アースタックス税理士法人
税理士 島添 浩
7 工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例を受ける場合における税率等に関する経過措置
(1) 工事進行基準を適用する長期大規模工事又は工事の意義
所得税法又は法人税法において、事業者が工事の請負を行った場合には、資産の譲渡等の時期につき、長期大規模工事では工事進行基準が強制適用され、長期大規模工事以外の工事では工事完成基準又は工事進行基準のいずれかを選択することとなる。
工事進行基準が強制適用される長期大規模工事とは、次の3つの要件に該当する工事(製造、ソフトウエアの開発を含む)をいう。
① 工事の着手の日からその工事に係る契約において定められている目的物の引渡しの期日までの期間が1年以上であること
② その工事の請負の対価の額が10億円以上の工事であること(請負契約を締結した日が平成20年4月1日以降の場合)
③ 工事の契約において、その請負の対価の額の2分の1以上がその工事の目的物の引渡しの期日から1年を経過する日後に支払われることが定められていないものであること
上記の「長期大規模工事以外の工事」とは、その着工した年(事業年度)中にその目的物の引渡しが行われないものをいう。
工事の請負における工事完成基準は、目的物を引き渡した時点で売上計上することとなり、資産の譲渡等の時期の原則である引渡基準に該当する。
これに対し、工事進行基準は、資産の譲渡等の時期の特例規定であり、法人税法では、その着手の日の属する事業年度からその目的物の引渡しの日の属する事業年度の前事業年度までの各事業年度の所得の金額の計算上、その長期大規模工事の請負に係る収益の額のうち、当該各事業年度の収益の額として政令で定める工事進行基準の方法により計算した金額を益金の額に算入することとしている。
具体的には、次の算式により計算された金額を益金の額に算入することとなる。
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