消費税の軽減税率を検証する
【第6回】
「執行コストの増大と事業者の優遇措置としての効果」
税理士 金井 恵美子
前回に掲げた軽減税率の問題点のうち、今回は、
【2】 複数の税率の存在は執行コストを増大させる
【3】 事業者に対する優遇措置としての効果がありロビー活動を誘発する
について、検討してみよう。
【2】 複数の税率の存在は執行コストを増大させる
1 対応に追われる国税庁通達とQ&A
軽減税率の実施に当たっては、膨大な通達が必要になる。近時、国税庁は新しい制度についてQ&Aを公表するのが常となっており、その策定も求められよう。
そしてこれらは、実務からの要請で見直され、複雑化していくことになる。
企業が日々商品開発を行う中、軽減税率が適用されるのか、標準税率が適用されるのか、判断が難しい限界事例は後を絶たず、したがって、法律の改正がなくとも、通達やQ&Aの更新が必要であり、審理事案も増加する。
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