国境を越えた役務の提供に係る
消費税課税の見直し等と実務対応
【第4回】
「リバースチャージ方式の導入」
国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦
○●○ 本連載の構成 ○●○
【第1回】 改正前の国内取引の判定基準
【第2回】 国境を越えた役務の提供に係る消費税の従来の取扱い
【第3回】 内外判定基準の見直し
【第4回】 リバースチャージ方式の導入(本稿)
【第5回】 国外事業者申告納税方式と登録国外事業者制度
【第6回】 国外事業者が行う芸能・スポーツ等に係る消費税の課税方式の見直し
【第7回】 リバースチャージ方式等の導入に伴う実務上注意すべき取引
(4) リバースチャージ方式の導入
国外事業者が行う電気通信役務の提供のうち、その役務の性質又は役務の提供に係る規約条件等により、役務の提供を受ける者が事業者であることが明らかな場合、当該役務の提供を「事業者向け電気通信利用役務の提供」と位置づけ、その取引に係る消費税の納税義務を役務の提供を受ける事業者に転換した。
要するに、国内において申告納税を期待できる事業者向けの取引については、国外事業者ではなく国内事業者に納税義務を課すというものである。
このような納税義務の転換により、B to B取引に関し、役務の提供を受ける事業者を消費税の納税義務者とする方法を一般に「リバースチャージ(reverse charge)方式」という。リバースチャージ方式はEUの付加価値税制(VAT)において既に導入されている制度である。
リバースチャージ方式に関して、以下の事例に基づき納付税額等を見ていく。
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