特定株主等によって支配された欠損等法人の
欠損金の繰越しの不適用(法人税法57条の2)の取扱い
~「繰越欠損金の使用制限」が形式的に適用される事例の検討~
【第5回】
「〈事例3〉欠損等法人の債権を額面未満で
取得しているケース(第3号事由)」
公認会計士・税理士
税理士法人トラスト パートナー
足立 好幸
〈事例3〉
欠損等法人の債権を額面未満で取得しているケース(第3号事由)
P社(内国法人。決算日は3月31日。50%超の株式等を直接及び間接に所有する株主はいない)は、平成24年10月1日に、Q社からA社(内国法人。決算日は3月31日)の発行済株式のすべてを1円で取得するとともに、Q社のA社に対する貸付債権(額面1,000百万円)を400百万円で取得した。平成24年10月1日時点におけるA社の債務の総額は1,500百万円である。
また、A社に対する貸付債権の債務免除及び現物出資を行う予定はない。
A社は、今期(平成28年3月期)において、買収前から営んでいる飲食店事業を継続する一方で、平成28年1月1日に、新たに不動産賃貸業を行うことを検討している。その際、A社は、P社からの出資、あるいは、借入れによって資金調達をすることを考えている。
A社では、買収前から継続して繰越欠損金が生じている。
この場合、欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の規定(法法57の2、60の3)については適用されるのであろうか。
《検討》
本ケースにように、ある事業会社を買収しようとした場合に、売主の希望により、その事業会社の株式とともに、その事業会社に対する債権を額面未満の金額で取得する場合があるが、買収前から営んでいる事業(旧事業)を継続する場合は、第1号事由及び第2号事由に該当しないため、欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の規定(法法57の2、60の3)は適用されないであろうか。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。