理由付記の不備をめぐる事例研究
【第8回】
「減価償却費」
~架空の減価償却資産と判断した理由は?~
中央大学大学院商学研究科 博士後期課程
(酒井克彦研究室所属)
泉 絢也
今回は、青色申告法人X社に対して、減価償却資産を架空資産と認定した上で、これに係る減価償却費の損金算入を否認した法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた国税不服審判所平成24年4月9日裁決(裁決事例集87号291頁。以下「本裁決」という)を取り上げる。
1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記)
更正の理由
貴法人備え付けの帳簿書類を調査した結果、所得金額等の計算に誤りがあると認められますから次のように申告書に記載された所得金額等に加算して更正しました。
(減価償却費の損金不算入額 〇〇〇円)
貴法人は、次表のとおり当該各建物附属設備に係る減価償却費合計〇〇〇円を損金の額に算入していますが、当該各建物附属設備は架空の資産であり、これらに係る減価償却費は、損金の額に算入されませんので、当該金額を当事業年度の所得金額に加算しました。
(注) 素材とした本裁決の裁決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。