理由付記の不備をめぐる事例研究
【第16回】
「宥恕規定・収用換地等特別控除」
~やむを得ない事情がないと判断した理由は?~
中央大学大学院商学研究科 博士後期課程
(酒井克彦研究室所属)
泉 絢也
今回は、青色申告法人X社に対して、修正申告書において損金の額に算入された収用等の特別控除を否認した法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた、国税不服審判所平成13年6月27日裁決(裁決事例集61号427頁。以下「本裁決」という)を取り上げる。
1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記)
更正の理由
貴法人備え付けの帳簿書類を調査した結果、所得金額等の計算に誤りがあると認められますから次のように申告書に記載された所得金額等に加算して更正しました。
(収用換地等の場合の所得の特別控除の否認額 〇〇〇円)
×年×月×日に提出した修正申告書において、損金の額に算入した収用等の特別控除額〇〇〇円については、当該修正申告書が租税特別措置法第65条の2(収用換地等の場合の所得の特別控除)に規定する確定申告書等に該当しませんので、収用等の特別控除額〇〇〇円は、損金の額に算入されません。
(注) 素材とした本裁決の裁決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。
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