理由付記の不備をめぐる事例研究
【第21回】
「雑収入(開店祝い金)」
~開店祝い金の雑収入計上が漏れていると判断した理由は?~
千葉商科大学商経学部講師
泉 絢也
今回は、青色申告法人X社に対して行われた「開店祝い金の雑収入計上漏れ」に係る法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた国税不服審判所平成14年12月19日裁決(裁決事例集64号367頁。以下「本裁決」という)を素材とする。
1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記)
(平成9年7月1日から平成10年6月30日までの事業年度)
更正の理由
貴法人備え付けの帳簿書類を調査した結果、所得金額等の計算に誤りがあると認められますから次のように申告書に記載された所得金額等に加算して更正しました。
(雑収入計上漏れ 317万円)
貴法人は平成10年6月7日のコンビニエンスストア(名称:H)の開店に際し、別紙のとおり、(有)Sほか121名から合計317万円の開店祝い金を収受するとともに、開店祝賀会を平成10年6月24日に開催していますが、収受した開店祝い金を帳簿に記載せず、また、開店祝賀会時に支出した費用についても帳簿に記載せず、収益、費用とも帳簿外の取引となっています。そこで、収受した開店祝い金317万円について、雑収入計上漏れとして所得金額に加算しました。なお、収受した開店祝い金の金額については、貴法人に保管されていた大学ノートの『平成10年6月7日開店H開店祝』との見出しの箇所の記載内容に基づき算出しています。
(注) 本件理由付記は、素材とした本裁決の裁決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工して作成したものである。
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