法人税における当初申告要件等と
平成29年度税制改正
【第1回】
税理士 谷口 勝司
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-はじめに-
法人税の所得金額や税額等の計算を行う際、例えば、受取配当等の益金不算入、外国税額控除、試験研究費の特別税額控除等、その制度の適用を受けるには、申告書等への所定書類の記載・添付等や証拠書類の保存など、一定の手続が必要とされるものがある。
これらの手続のうち、当初申告である確定申告書に計算明細書の記載・添付等が必要とされるものを、一般に「当初申告要件」と呼んでいる。
この当初申告要件等については、平成23年12月に抜本的な改正が行われ、また、平成29年度税制改正において更にその一部が改正されている。
当初申告要件等は、税務調査等で修正申告や更正が行われる場合や、更正の請求等に当たって、追加的・事後的に制度の適用を受けられるかどうか等を決することになるため、その取扱いを理解しておくことが実務上重要であると思われる。
そこで本稿では、当初申告要件等の取扱いと平成29年度税制改正について、その内容を説明することとしたい。
なお、本稿中意見にわたる部分は、私見であることをあらかじめお断りしておきたい。
1 当初申告要件等の概要-平成23年12月改正-
当初申告要件等については、平成23年12月に抜本的な改正が行われ、その基本的な枠組みや考え方等はこの平成23年12月改正に基づいている。
そこでまず、平成23年12月改正の内容等を紹介するとともに、平成29年度税制改正前の取扱いを説明したい。
(1) 法人税法
平成23年12月改正前の法人税法では、確定申告書等(確定申告書及び仮決算をした場合の中間申告書をいう。以下同じ)にその適用を受けるべき金額など一定の事項を記載した場合又は一定の書類を添付した場合に限り適用し、確定申告書等において制度の適用を受けていない場合には、修正申告や更正の請求によって新たに制度の適用を受けることができないという「当初申告要件」が設けられている制度があった。
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