理由付記の不備をめぐる事例研究
【第37回】
「寄附金(貸倒損失)」
~貸倒損失が寄附金に該当すると判断した理由は?~
千葉商科大学商経学部講師
泉 絢也
今回は、青色申告法人X社に対して行われた「貸倒損失が寄附金に該当すること」を理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた東京地裁昭和54年3月5日判決(訟月25巻7号1941頁。以下「本判決」という)を素材とする。
1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記)
更正の理由
貴法人備え付けの帳簿書類を調査した結果、所得金額等の計算に誤りがあると認められますから次のように申告書に記載された所得金額等に加算して更正しました。
(寄附金の損金不算入 〇〇〇円)
貸倒金△△△円は関与税理士A個人の債務弁済のためのものであり、貴法人とは何ら関係ありませんので貸倒金としては認められません。
上記金額は関与税理士Aに対する贈与となり寄附金の限度計算をなし、所得に加算しました。
(注) 素材とした本判決の判決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。
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