理由付記の不備をめぐる事例研究
【第44回】
「青色繰越欠損金控除額の損金算入否認」
~青色繰越欠損金の当期控除額の損金算入が認められないと判断した理由は?~
千葉商科大学商経学部講師
泉 絢也
今回は、青色申告法人X社に対して、「繰越欠損金の当期控除額の損金算入は認められないこと」を理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた和歌山地裁昭和54年2月26日判決(訟月25巻6号1689頁。以下「本判決」という)を素材とする。
1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記)
更正の理由
貴法人備え付けの帳簿書類を調査した結果、所得金額等の計算に誤りがあると認められますから次のように申告書に記載された所得金額等に加算して更正しました。
(繰越欠損金の当期控除額の否認 〇〇〇円)
貴法人は、繰越欠損金の当期控除額として〇〇〇円を損金の額に算入していますが、同時に更正した前事業年度の所得金額が40万円であり、繰越欠損金がないので当期に損金算入は認められません。
(注) 素材とした本判決の判決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。
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