理由付記の不備をめぐる事例研究
【第45回】
「リース取引(減価償却費)」
~法人税法上のリース取引に該当しないと判断した理由は?~
千葉商科大学商経学部講師
泉 絢也
今回は、青色申告法人である医療法人Xに対して行われた「法人税法上のリース取引に該当せず、減価償却費の損金算入は認められないこと」を理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた松山地裁平成27年6月9日判決(判タ1422号199頁。以下「本判決」という)を素材とする。
1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記)
更正の理由
貴法人備え付けの帳簿書類を調査した結果、所得金額等の計算に誤りがあると認められますから次のように申告書に記載された所得金額等に加算、減算して更正しました。
(加算)
1 減価償却費の損金不算入額 1,890,405円
貴法人は、株式会社Aとの間で平成22年7月12日付の「土地・建物賃貸借契約書」(以下「本件契約書」といいます。)に基づき平成22年7月15日から土地及び建物を賃貸借し、そのうち建物に係る賃貸借(以下「本件賃貸借」といいます。)については、法人税法第64条の2《リース取引に係る所得の金額の計算》に規定するリース取引(以下「リース取引」といいます。)に該当するとして、本件賃貸借に係る賃貸借期間中に支払うべき賃借料の額の合計額のうち840,173,936円をリース資産として計上し、当該リース資産に係る減価償却費として3,486,199円を損金の額に算入しています。
また、貴法人は、貴法人が平成23年3月18日に行った法人税の修正申告(以下「本件修正申告」といいます。)において、当該リース資産の額を455,587,610円に変更し、これに伴う減価償却費の償却超過額1,595,794円を損金不算入として所得の金額に加算しています。
しかしながら、法人税法第64条の2第3項は、リース取引について同項各号に掲げる要件に該当するものと規定しているところ、本件賃貸借は同項第1号の規定に該当しないため、同条第1項の規定を適用することはできません。
したがって、当該リース資産に係る減価償却費3,486,199円から、本件修正申告において貴法人が損金不算入とした減価償却費の償却超過額1,595,794円を差し引いた1,890,405円を減価償却費の損金不算入額として所得の金額に加算しました。
〔筆者注:その他の項目は掲載省略〕
(注) 素材とした本判決の判決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。
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