理由付記の不備をめぐる事例研究
【第48回】
「交際費等(会議費)」
~会議費として計上している支出が交際費等に該当すると判断した理由は?~
千葉商科大学商経学部講師
泉 絢也
今回は、テレビ・ラジオ番組等の企画・制作等を行う青色申告法人X社に対して、「会議費として計上している支出は交際費等に該当すること」を理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた東京地裁平成16年5月14日判決(税資254号順号9648。以下「本判決」という)を素材とする。
1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記)
更正の理由
貴法人備え付けの帳簿書類を調査した結果、所得金額等の計算に誤りがあると認められますから次のように申告書に記載された所得金額等に加算して更正しました。
(交際費等の損金不算入額 〇〇〇円)
貴法人は、当期において、下表の各費用の合計額〇〇〇円を会議費に計上していますが、下記の支払先、支払金額及びその内容から見て、当該各費用は、いずれも取引先等に対する接待等のために支出した費用であり、租税特別措置法第61条の4《交際費等の損金不算入》第4項に規定する交際費等に該当します。したがって、上記の規定に基づく交際費等の損金算入限度額の再計算による損金不算入金額〇〇〇円を当期の申告所得金額に加算しました。
〔筆者注:
「支払先」欄には、上記のほかジャズレストラン、割烹料亭、しゃぶしゃぶ店、串焼店、天ぷら店、ステーキ店、鉄板焼店、ふぐ専門店などの記載がある。
「内容」欄には、名目ないし番組名、参加者名又は人数等の記載がある。
「支払金額」欄には、1件1万円以上、参加者1人当たりにしても、3千円から5、6千円程度又はそれ以上に達する金額の記載がある。〕
以上
(注) 素材とした本判決の判決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。
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