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電子マネー・仮想通貨等の非現金をめぐる会計処理と税務Q&A 【第4回】「ポストペイ方式の電子マネーによる経費決済を行った場合の会計処理」

筆者:八代醍 和也

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電子マネー・仮想通貨等の非現金をめぐる

会計処理と税務Q&A

【第4回】

「ポストペイ方式の電子マネーによる経費決済を行った場合の会計処理」

 

公認会計士・税理士 八代醍 和也

 

ポストペイ方式の電子マネーを使用して経費決済を行った場合の会計処理について教えて下さい。

【第2回】【第3回】と「プリペイド方式の電子マネー」を使用して経費決済を行った場合の会計処理、税務上の留意点について解説を行ったが、今回から、もう1つの類型である「ポストペイ方式の電子マネー」を使用した経費決済について解説を行う。プリペイド方式の場合と同様、今回は会計処理に関する検討を行い、次回において税務上の留意点を検討する。

 

1 ポストペイ方式の電子マネーの特徴

まずは、ポストペイ方式の電子マネーがどういったものだったか、簡単に振り返る。【第2回】でも説明したが、読んで字の如くプリペイド(Pre-paid:先払い)方式の場合とは逆に、利用代金をPost-Pay:後払いするタイプのものであった(ポストペイ方式の代表例としては、iD、QUICPay、Smartplus、Visa Touchのほか、公共交通機関系電子マネーのPiTaPaなど)。

ここで1つの疑問が生じるのではないだろうか。

クレジットカードとどのような違いがあるのか、と。

確かにポストペイ式の電子マネーは、クレジットカードの追加サービスとして付加されることが多く、支払もクレジットカードの利用代金と合算で行われることから、日常的にあまりその違いを意識することは少ないかもしれない。

しかし、よく考えてみると、ポストペイ方式の電子マネーを使用した場合には、クレジットカード利用時のように販売員にクレジットカードを預ける必要もなければサインを求められることもない。カードを専用のカードリーダーにタッチするだけで決済は完了していることを思い出してもらえると理解しやすいかと思う。

つまり、今日においては、クレジットカードをより便利に利用できるように付加されることが多いサービスという位置付けで捉えられることが多いと筆者は考える(ただし、携帯電話に搭載するなど、個別にクレジットカードを必要としない電子マネーサービスも存在する)。

- 参 考 -

ポストペイ方式の電子マネーについては、プリペイド方式のものと異なり、貨幣価値そのものを電子データに置き換えるわけではないことから、電子マネーの範囲に含めないとする考え方もあるようである。

日本銀行決済機構局発行の『最近の電子マネーの動向について(2012年)』では「本稿では電子マネーの範疇に含めないが、支払いにクレジット機能(与信機能)を利用するポストペイ方式(後払い方式)のものがある。」と説明されている(p1)。

ただし、本連載においては、電子的なデータのやり取りによって行う決済サービスという点では同様であること、また、ポストペイ方式も含めて、電子マネーと捉えることも社会通念としてそれほどの違和感なく受け入れられている点に鑑み、これを電子マネーに含めている。

 

2 電子マネー使用に伴う会計処理

(1) 電子マネーの有する会計的特性

ポストペイ方式の電子マネーの会計処理の検討にあたっても、まずはその会計的特性を検討してみたい。

ポストペイ方式は、資金決済法に規定する「前払式支払手段」のように、法令上規定された明確な定義づけがない。しかし、ポストペイ方式の電子マネーを使用することで享受できるサービスが何かを考えてみれば、それは非常に理解しやすいものである。

すなわち、私たちはポストペイ方式の電子マネーによってキャッシュレスで日々の物品の購入や役務提供を受けることができ、これらの利用代金は約定の締め日ごとに集計され、その後約定の支払日に所定の金融機関口座から支払われることになる。

まさに信用販売(クレジット)機能そのものである。

実際のクレジットカードと比較してみた場合に、サインの必要性の有無の違いこそあれ、その特性は利用代金の後払いという意味で同一といってよく、また、会計的特定としては、これに尽きるのである。

(2) ポストペイ方式の電子マネーに関する会計処理

それでは、(1)の会計的特性を前提に、その会計処理を検討してみよう。

① ポストペイ方式の電子マネーを使用した際の会計処理

ここからは【第2回】と同様、読者の具体的なイメージをつかんでもらうことでその理解に資するよう、設例を用いて説明する。

設例1
家電量販店でポストペイ方式の電子マネーを使用し、10,000円のパソコン周辺機器を購入した。

この時点では、現金支払いなく物品の納品を受けることになる。代金の支払行為は行われておらず、その意味での経済的価値の流出は生じていないが、パソコン周辺機器の購入行為自体は完了し、実際に物品の引渡しを受けている。

このため、発生主義会計の観点からは、経済的価値費消の原因事実がこの時点で発生したと捉えるとともに、電子マネーサービス提供者に対する支払義務が生じたとものと考える。

かくしてこの時点で費用とそれに見合う債務を計上すべきことになり、以下のような仕訳が起票されることになる。

仕訳1

(借方)消耗品費 10,000円  (貸方)未払金 10,000円

② 支払日に代金が引き落とされた際の会計処理

設例2
ポストペイ方式の電子マネーの1ヶ月分の利用代金合計50,000円が、届け出ている金融機関口座から引き落とされた。

支払日においては資金の支払とそれに伴い仕訳1で認識済みの支払義務の消滅にかかる処理を行う。いうまでもなく、費用は既に計上されており、この段階においては計上されない。

起票される仕訳は以下のとおりである。

仕訳2

(借方)未払金 50,000円  (貸方)●●預金 50,000円

③ その他の会計処理・論点

枝葉な論点について、以下でまとめて解説する。

支払金額の減免

ポストペイ方式の電子マネーでは、利用者サービスの一環及び利用促進を目的として、利用実績に応じた支払金額の減免を行っているケースがある。これらの会計処理について明確に規定した基準等はないが、会計的には減免を受けた段階で費用のマイナス処理とするか、雑収入で計上することが一般的には行われているようである。

両会計処理について検討を加える。

【費用のマイナス処理】

公共交通機関系電子マネーのように利用目的が特定されている場合には、この処理を行うことで、損益計算書上、利用代金の総額から減免額を差し引いた実際の支払金額で旅費交通費が計上されることになり、適切な営業損益管理の観点からは一定の合理性があると考えられる。

一方、電子マネーの利用店舗や購入した物品・役務の種類が多岐に渡る場合には、減免額を各費用に合理的に配分することは実務面で困難であることが多く、費用対効果の面からの検討も必要になる。また、次回に詳説するが、この処理の場合、消費税において一定の調整を行うことが必要にもなる。

【雑収入処理】

上記のように費用を減額するのではなく、雑収入として営業外収益に計上する方法である。費用のマイナス処理を行った場合には、上記のとおり営業損益管理に資する面はありつつも、一種の仕入値引を受けた場合と同様に経理されていることになる。

もちろん実際には、当該減免は財・役務の販売者によって行われたものではなく、あくまでも電子マネーサービス提供者によって行われたものであるところ、仕入値引的な取引として捉えることに違和感を持つ向きもあろう。

筆者としては、費用のマイナス処理の部分で述べた減免額の各種費用への配分の問題も生じず、取引の実態面や経理実務の便宜を考えた場合に、より優れた会計処理であると考えている。

仕訳の記帳について

【第2回】のプリペイド方式の電子マネーの解説でも述べたが、ポストペイ方式の場合も利用する会計ソフトによっては、インターネット経由で電子マネーサービス提供者から提供される電子マネー利用実績データを財務会計システムに直接取り込んだり、CSVファイル化したデータを取り込んで、自動で大量の会計仕訳を起票することができる。事務処理の簡便化を志向するのであれば利用を検討してよいかもしれない。

*  *  *

次回は、同じ「ポストペイ方式の電子マネー」により経費決済を行った場合の税務上の留意点について解説する。

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

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筆者紹介

  • 八代醍 和也

    (やしろだい・かずや)

    公認会計士・税理士
    八代醍会計事務所

    同志社大学経済学部卒業。
    税理士法人勤務を経て、2008年(平成20年)公認会計士試験合格後に大手監査法人に入社。主に国内上場企業に対する法定監査業務に従事。2012年(平成24年)に公認会計士登録。
    2016年(平成28年)に税理士登録、独立開業。現在は、税務・会計両面の経験を活かし、各種コンサルティング業務に従事。

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