〔判決からみた〕
会計不正事件における当事者の損害賠償責任
【第6回】
(最終回)
「コーポレートガバナンスと社外取締役・社外監査役」
~まとめに代えて~
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
-本稿の目的-
本連載では、複数の判決を比較しながら、有価証券報告書虚偽記載により損害賠償請求訴訟を提起された監査役、取締役、会計監査人、引受証券会社の責任について、裁判所の判断を検討してきた。
判決の言い渡し時期が異なるため、単純な比較はできないものの、取締役や監査役による、粉飾決算の防止や早期発見に対する株主等のステークホルダーの期待の高まりに呼応するかのように、裁判所の視線も厳しさを増しているように感じられるところである(たとえば、架空循環取引事件などについては、アイ・エックス・アイ事件の発覚後、内部監査部門や会計監査人に課される注意義務のレベルが一気に高くなっている)。
最終回となる本稿では、こうした株主等の期待に応えるために、社外取締役・社外監査役が果たすべきコーポレートガバナンスについて、最近の動向を紹介して、連載を締め括りたい。
社外取締役・社外監査役への期待
ここ数年、上場企業のコーポレートガバナンス強化策として最も注目されてきたのは、社外取締役・社外監査役の導入であろう。当初は、親会社などの大株主や取引先などのステークホルダーの中から社外取締役・社外監査役を選任することが多かったが、現在では、より独立性が高く、単なる「社外」にとどまらない、一般株主との利益相反がない「独立役員」の選任が要請されている。この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
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