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《速報解説》 会計士協会からCOVID-19により変化し続ける環境下での監査報告(翻訳情報)が公表される~注記事項の重要性、KAM、期中財務情報に対するレビュー報告書等に言及~

筆者:阿部 光成

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《速報解説》

会計士協会からCOVID-19により変化し続ける環境下での監査報告(翻訳情報)が公表される

~注記事項の重要性、KAM、期中財務情報に対するレビュー報告書等に言及~

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

国際監査・保証基準審議会(IAASB)は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により変化し続ける環境下での監査報告」(2020年5月22日、IAASBスタッフ文書)を公表した。

これは、2020年4月29日、5月14日に続くものであり、国際監査基準(ISA)及び国際レビュー業務基準(ISRE)に基づく監査報告に関連するものである。

この文書は、監査人の監査実務の動向を理解するうえで参考になる部分があると考えられる。

なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 注記事項の重要性

現在の状況では、注記事項の重要性はますます高まっていると述べている。

利用者は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の世界的流行の重要な影響について開示を通じて透明性が高まることを期待している。

注記事項によって、特に、金融市場の不安定性、信用リスク又は流動性リスクの悪化、政府による介入(政府補助金等)、並びに生産量の削減やリストラクチャリング等から生じる変化の影響に対処することができる。

国際監査基準(ISA)において、十分かつ適切な監査証拠を入手することは、注記事項に対しても同様に適用される。

次のことに留意する。

 監査人は、適正表示の枠組みに従って作成された財務諸表については、財務諸表の全体的な表示を検討し、注記事項を含む財務諸表が、基礎となる取引や会計事象を適正に表しているかどうかを勘案することが求められる。

 注記事項がCOVID-19の世界的流行による重要な影響(例えば、会計上の見積りの重要な仮定、財務リスクの管理、又は継続企業の前提に関する重要な判断)を適切に記載していない場合には、監査報告書への影響の検討が必要となる。

 財務諸表の注記事項の適切性又は妥当性(例えば、財務諸表において、COVID-19の世界的流行による現在の状況が当該企業に与える影響を適切に開示するために必要となるすべての注記事項(当該企業に関連するリスク、見積り及び判断の十分な記述を含む)が含まれているかどうか)

 企業の会計方針の適切な適用(例えば、企業の会計方針に照らして、不適切な資産及び負債の認識及び測定が行われていないかどうか)

 

Ⅲ 継続企業の前提に関する重要な不確実性

次のことに留意する。

 継続企業の前提に関する経営者の評価、及び該当する場合における財務諸表の関連する注記事項に関して、より説得力のある監査証拠が必要となる可能性がある。

 企業の事象及び状況に照らして行われる継続企業の前提に関する監査人の結論により、監査報告書に与える影響(もしある場合)が決定される。

 

Ⅳ 監査上の主要な検討事項(KAM)

ISA701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」が適用される場合、COVID-19の世界的流行により生じた状況の変化や課題によって、監査報告書において報告される監査上の主要な検討事項の決定に、さらに焦点を置く可能性がある。

監査人が特に注意を払った事項についての監査人の決定に影響する事項として、次のものを例示している。

 十分かつ適切な監査証拠を入手することの困難性

・金融商品の評価や他の公正価値の算定など、監査手続の適用、手続の結果の評価、及び監査意見の基礎となる適合性と証明力のある証拠の入手が困難になる可能性

 特定の事象又は取引

・財務諸表に重要な影響を与える事象又は取引(すなわち、財務諸表項目にそれまでと異なる影響を与える変化、新規の事項もしくは取引、又は通例ではないもしくは一度限りの取引)

・非金融資産もしくは金融資産の新たな減損、又は繰延税金資産の回収可能性等

 

Ⅴ 期中財務情報に対するレビュー報告書

経営者は、期中財務諸表を作成及び発行する際にも、COVID-19の世界的流行の影響について考慮する必要がある。

監査人も、ISRE2410「企業の独立監査人が実施する期中財務情報のレビュー」に従った、企業の期中財務情報のレビューを行う際に、当該影響を考慮することになる。

(了)

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筆者紹介

  • 阿部 光成

    (あべ・みつまさ)

    公認会計士
    中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

    現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
    企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

    主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂版〕』(編著、商事法務)がある。

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