《速報解説》
IESBA倫理規程の改訂を受け、
会計士協会が監基報260「監査役等とのコミュニケーション」等を改正
~規定の追加に伴い監査報告書の文例も修正~
公認会計士 阿部 光成
Ⅰ はじめに
2024年9月26日、日本公認会計士協会は、監査基準報告書260「監査役等とのコミュニケーション」、監査基準報告書700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」、監査基準報告書700実務指針第1号「監査報告書の文例」及び関連する監査基準報告書等の改正を公表した。これにより、2024年2月15日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。公開草案に対するコメントの概要及び対応も公表されている。
これは、2023年10月に国際監査・保証基準審議会(The International Auditing and Assurance Standards Board:IAASB)から公表された、IESBA倫理規程の改訂により会計事務所が社会的影響度の高い事業体(PIE)に対する独立性に関する要求事項を適用している場合の開示要求に伴う狭い範囲の改訂を受けたものである。
文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
Ⅱ 主な改正内容
主な改正内容は次のとおりである。
① 特定の事業体の財務諸表監査に特有の独立性に関する規定が適用される場合の規定の追加(監査人は、我が国における職業倫理に関する規定(特定の事業体の財務諸表監査に特有の独立性に関する規定が適用される場合には当該独立性に関する規定を含む)を監査業務に適用する旨、監査役等とコミュニケーションを行わなければならないことなど)
② 上記に伴う監査報告書の文例の修正(監査報告書の文例において、我が国における職業倫理に関する規定の箇所に「社会的影響度の高い事業体の財務諸表監査に適用される規定を含む」ことを追加するなど)
③ 監査基準報告書及び関連する公表物の起草方針(監査基準報告書(序)「監査基準報告書及び関連する公表物の体系及び用語」参照)に基づく修正
Ⅲ 適用時期等
2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度に係る監査並びに同日以後開始する中間連結会計期間及び中間会計期間に係る中間監査から適用する。ただし、倫理規則(2024年7月18日変更)を早期適用する場合には、併せて本報告書を早期適用する。
(了)