平成26年1月から施行される
「国外財産調書制度」の実務と留意点
【第3回】
税理士法人トーマツ
パートナー
税理士 小林 正彦
(第1章 制度の概要・1-3 制度創設の背景)
(3) 国外財産報告制度の実効性の裏付けとなる他制度の整備
これまで述べてきたように、国税当局にとって居住者が保有する国外財産を把握することについては、質問検査権の及ぶのが日本の領土内に限られるという制約があり、租税条約による情報交換にも限界があるという問題があった。
このままでは、居住者に国外財産報告義務を課しても、正確性をチェックする手段がないのでは実効性がなく、“画に描いた餅”にならざるを得ない。
ところが、最近のタックス・ヘイブン諸国との情報交換協定の締結の進展や、租税条約の情報交換規定の見直しによる実効性の確保の動きが目覚ましく進展したことなどにより、脱税の防止に対する国際間の協力体制が急速に整備されてきたことで、状況が変化しつつある(詳細は下記イで述べる)。
また、国外送金調書制度により、国税当局は、一般の金融機関を使って海外送金した場合には、1回の送金で100万円以上のものについては、金融機関から自動的に情報を入手できる仕組みができている。
外国に資金が出て行った後に、それがどのように使われたかは国税当局には分からないが、海外送金された事実がつかめていれば、あとは税務調査によって追跡する余地は残されており、実際に国外送金調書は国外財産に係る申告漏れを把握する端緒として顕著な活用効果を示しているようである。
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