公開日: 2023/07/13 (掲載号:No.527)
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谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第16回】「国税通則法32条(31条・33条)」-賦課課税方式における賦課決定とこれによる納税義務の確定の「本質」-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

国税通則法構造手続

【第16回】

「国税通則法32条(31条・33条)」

-賦課課税方式における賦課決定とこれによる納税義務の確定の「本質」-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

国税通則法32条(賦課決定)

(賦課決定)

第32条 税務署長は、賦課課税方式による国税については、その調査により、課税標準申告書を提出すべき期限(課税標準申告書の提出を要しない国税については、その納税義務の成立の時)後に、次の各号の区分に応じ、当該各号に掲げる事項を決定する。

一 課税標準申告書の提出があつた場合において、当該申告書に記載された課税標準が税務署長の調査したところと同じであるとき。 納付すべき税額

二 課税標準申告書を提出すべきものとされている国税につき当該申告書の提出がないとき、又は当該申告書の提出があつた場合において、当該申告書に記載された課税標準が税務署長の調査したところと異なるとき。 課税標準及び納付すべき税額

三 課税標準申告書の提出を要しないとき。 課税標準(第69条(加算税の税目)に規定する加算税及び過怠税については、その計算の基礎となる税額。以下この条において同じ。)及び納付すべき税額

2 税務署長は、前項又はこの項の規定による決定をした後、その決定をした課税標準(前項第1号に掲げる場合にあつては、同号の課税標準申告書に記載された課税標準)又は納付すべき税額が過大又は過少であることを知つたときは、その調査により、当該決定に係る課税標準及び納付すべき税額を変更する決定をする。

3 第1項の規定による決定は、税務署長がその決定に係る課税標準及び納付すべき税額を記載した賦課決定通知書(第1項第1号に掲げる場合にあつては、納税告知書)を送達して行なう。

4 第2項の規定による決定は、税務署長が次に掲げる事項を記載した賦課決定通知書を送達して行なう。

一 その決定前の課税標準及び納付すべき税額

二 その決定後の課税標準及び納付すべき税額

三 その決定前の納付すべき税額がその決定により増加し、又は減少するときは、その増加し、又は減少する納付すべき税額

5 第27条(国税庁又は国税局の職員の調査に基づく更正又は決定)、第28条第3項後段(決定通知書の附記事項)及び第29条(更正等の効力)の規定は、第1項又は第2項の規定による決定(以下「賦課決定」という。)について準用する。

 

1 「賦課」の意義-課税権の発動方式と税額・納税義務の確定方式-

国税通則法16条1項2号は、賦課課税方式を「納付すべき税額がもつぱら税務署長又は税関長の処分により確定する方式」と規定し、同法第2章(国税の納付義務の確定)第3節で「賦課課税方式による国税に係る税額等の確定手続(第31条-第33条)」を定めている。

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国税通則法構造手続

【第16回】

「国税通則法32条(31条・33条)」

-賦課課税方式における賦課決定とこれによる納税義務の確定の「本質」-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

国税通則法32条(賦課決定)

(賦課決定)

第32条 税務署長は、賦課課税方式による国税については、その調査により、課税標準申告書を提出すべき期限(課税標準申告書の提出を要しない国税については、その納税義務の成立の時)後に、次の各号の区分に応じ、当該各号に掲げる事項を決定する。

一 課税標準申告書の提出があつた場合において、当該申告書に記載された課税標準が税務署長の調査したところと同じであるとき。 納付すべき税額

二 課税標準申告書を提出すべきものとされている国税につき当該申告書の提出がないとき、又は当該申告書の提出があつた場合において、当該申告書に記載された課税標準が税務署長の調査したところと異なるとき。 課税標準及び納付すべき税額

三 課税標準申告書の提出を要しないとき。 課税標準(第69条(加算税の税目)に規定する加算税及び過怠税については、その計算の基礎となる税額。以下この条において同じ。)及び納付すべき税額

2 税務署長は、前項又はこの項の規定による決定をした後、その決定をした課税標準(前項第1号に掲げる場合にあつては、同号の課税標準申告書に記載された課税標準)又は納付すべき税額が過大又は過少であることを知つたときは、その調査により、当該決定に係る課税標準及び納付すべき税額を変更する決定をする。

3 第1項の規定による決定は、税務署長がその決定に係る課税標準及び納付すべき税額を記載した賦課決定通知書(第1項第1号に掲げる場合にあつては、納税告知書)を送達して行なう。

4 第2項の規定による決定は、税務署長が次に掲げる事項を記載した賦課決定通知書を送達して行なう。

一 その決定前の課税標準及び納付すべき税額

二 その決定後の課税標準及び納付すべき税額

三 その決定前の納付すべき税額がその決定により増加し、又は減少するときは、その増加し、又は減少する納付すべき税額

5 第27条(国税庁又は国税局の職員の調査に基づく更正又は決定)、第28条第3項後段(決定通知書の附記事項)及び第29条(更正等の効力)の規定は、第1項又は第2項の規定による決定(以下「賦課決定」という。)について準用する。

 

1 「賦課」の意義-課税権の発動方式と税額・納税義務の確定方式-

国税通則法16条1項2号は、賦課課税方式を「納付すべき税額がもつぱら税務署長又は税関長の処分により確定する方式」と規定し、同法第2章(国税の納付義務の確定)第3節で「賦課課税方式による国税に係る税額等の確定手続(第31条-第33条)」を定めている。

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連載目次

谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)、『基礎から学べる租税法〔第3版〕』(共著・弘文堂・2022年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社、2023年)など。
 
  

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