公開日: 2025/02/13 (掲載号:No.606)
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谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第34回】「国税通則法84条(81条~83条・85条・86条)」-再調査の請求の審理・決定手続-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

国税通則法構造手続

【第34回】

「国税通則法84条(81条~83条・85条・86条)」

-再調査の請求の審理・決定手続-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

国税通則法84条(決定の手続等)

(決定の手続等)

第84条 再調査審理庁は、再調査の請求人又は参加人(第109条第3項(参加人)に規定する参加人をいう。以下この款及び次款において同じ。)から申立てがあつた場合には、当該申立てをした者(以下この条において「申立人」という。)に口頭で再調査の請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。

2 前項本文の規定による意見の陳述(以下この条において「口頭意見陳述」という。)は、再調査審理庁が期日及び場所を指定し、再調査の請求人及び参加人を招集してさせるものとする。

3 口頭意見陳述において、申立人は、再調査審理庁の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。

4 再調査審理庁は、必要があると認める場合には、その行政機関の職員に口頭意見陳述を聴かせることができる。

5 口頭意見陳述において、再調査審理庁又は前項の職員は、申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合には、これを制限することができる。

6 再調査の請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができる。この場合において、再調査審理庁が、証拠書類又は証拠物を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

7 再調査の請求についての決定は、主文及び理由を記載し、再調査審理庁が記名押印した再調査決定書によりしなければならない。

8 再調査の請求についての決定で当該再調査の請求に係る処分の全部又は一部を維持する場合における前項に規定する理由においては、その維持される処分を正当とする理由が明らかにされていなければならない。

9 再調査審理庁は、第7項の再調査決定書(再調査の請求に係る処分の全部を取り消す決定に係るものを除く。)に、再調査の請求に係る処分につき国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる旨(却下の決定である場合にあつては、当該却下の決定が違法な場合に限り審査請求をすることができる旨)及び審査請求期間を記載して、これらを教示しなければならない。

10 再調査の請求についての決定は、再調査の請求人(当該再調査の請求が処分の相手方以外の者のしたものである場合における前条第3項の規定による決定にあつては、再調査の請求人及び処分の相手方)に再調査決定書の謄本が送達された時に、その効力を生ずる。

11 再調査審理庁は、再調査決定書の謄本を参加人に送付しなければならない。

12 再調査審理庁は、再調査の請求についての決定をしたときは、速やかに、第6項の規定により提出された証拠書類又は証拠物をその提出人に返還しなければならない。

 

1 はじめに

国税通則法上の不服申立制度については、平成26年の行政不服審査法改正(同年法律第68号)を受けて「行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(同年法律第69号)によって、異議申立前置主義(改正前税通75条3項)の廃止、「異議申立て」(同条1項)の「再調査の請求」(現行税通75条1項1号イ)への改変、再調査の請求と審査請求との自由選択主義の採用(同号)等の改正がされた。

今回は、再調査の請求について、審理・決定手続を中心に、検討を行うことにするが、その前に、不服申立ての種類を原則として審査請求に一元化した平成26年行政不服審査法改正の考え方(不服申立種類の原則一元化)に対して、国税通則法がその例外として再調査の請求を定めている理由をみておこう(行審5条1項本文参照)。その理由については、次の解説(宇賀克也『解説 行政不服審査法関連三法』(弘文堂・2015年)24-25頁)がされている。

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国税通則法構造手続

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-再調査の請求の審理・決定手続-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

国税通則法84条(決定の手続等)

(決定の手続等)

第84条 再調査審理庁は、再調査の請求人又は参加人(第109条第3項(参加人)に規定する参加人をいう。以下この款及び次款において同じ。)から申立てがあつた場合には、当該申立てをした者(以下この条において「申立人」という。)に口頭で再調査の請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。

2 前項本文の規定による意見の陳述(以下この条において「口頭意見陳述」という。)は、再調査審理庁が期日及び場所を指定し、再調査の請求人及び参加人を招集してさせるものとする。

3 口頭意見陳述において、申立人は、再調査審理庁の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。

4 再調査審理庁は、必要があると認める場合には、その行政機関の職員に口頭意見陳述を聴かせることができる。

5 口頭意見陳述において、再調査審理庁又は前項の職員は、申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合には、これを制限することができる。

6 再調査の請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができる。この場合において、再調査審理庁が、証拠書類又は証拠物を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

7 再調査の請求についての決定は、主文及び理由を記載し、再調査審理庁が記名押印した再調査決定書によりしなければならない。

8 再調査の請求についての決定で当該再調査の請求に係る処分の全部又は一部を維持する場合における前項に規定する理由においては、その維持される処分を正当とする理由が明らかにされていなければならない。

9 再調査審理庁は、第7項の再調査決定書(再調査の請求に係る処分の全部を取り消す決定に係るものを除く。)に、再調査の請求に係る処分につき国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる旨(却下の決定である場合にあつては、当該却下の決定が違法な場合に限り審査請求をすることができる旨)及び審査請求期間を記載して、これらを教示しなければならない。

10 再調査の請求についての決定は、再調査の請求人(当該再調査の請求が処分の相手方以外の者のしたものである場合における前条第3項の規定による決定にあつては、再調査の請求人及び処分の相手方)に再調査決定書の謄本が送達された時に、その効力を生ずる。

11 再調査審理庁は、再調査決定書の謄本を参加人に送付しなければならない。

12 再調査審理庁は、再調査の請求についての決定をしたときは、速やかに、第6項の規定により提出された証拠書類又は証拠物をその提出人に返還しなければならない。

 

1 はじめに

国税通則法上の不服申立制度については、平成26年の行政不服審査法改正(同年法律第68号)を受けて「行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(同年法律第69号)によって、異議申立前置主義(改正前税通75条3項)の廃止、「異議申立て」(同条1項)の「再調査の請求」(現行税通75条1項1号イ)への改変、再調査の請求と審査請求との自由選択主義の採用(同号)等の改正がされた。

今回は、再調査の請求について、審理・決定手続を中心に、検討を行うことにするが、その前に、不服申立ての種類を原則として審査請求に一元化した平成26年行政不服審査法改正の考え方(不服申立種類の原則一元化)に対して、国税通則法がその例外として再調査の請求を定めている理由をみておこう(行審5条1項本文参照)。その理由については、次の解説(宇賀克也『解説 行政不服審査法関連三法』(弘文堂・2015年)24-25頁)がされている。

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連載目次

谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)、『基礎から学べる租税法〔第3版〕』(共著・弘文堂・2022年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社、2023年)など。
 
  

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