改正国税通則法と
新たな不服申立制度のポイント
【第3回】
「証拠の閲覧、謄写権の新設」
~審理モデルの変更による審査請求実務の対応~
弁護士 坂田 真吾
1 審判所の審理モデル
今回は、本改正の最重要項目と考えられる証拠の閲覧、謄写権について述べる。
前提として、審査請求の証拠の取扱いは、審査請求の審理モデルに深く関係するので、そこから検討することとする。
2 従前の審査請求の審理モデル
(1) 審査請求における職権主義
一般に、紛争解決制度における調査審理のモデルとしては、「職権主義」と「当事者主義」がある。
職権主義とは、争訟手続における主導権を判断機関(裁判所等)に認める原則をいい、当事者主義とは、主導権を当事者に委ね、判断機関は中立的なアンパイアの地位に立って、両者の主張の優劣を判断する原則をいう。
通常の民事訴訟は、当事者主義に基づいている。これに対し、審判所の審査請求は、かなり職権主義的な色彩が強い。
すなわち、通常の民事訴訟において、裁判所は、原告ないし被告が提出する主張と証拠を受動的に受けて判断するが、審査請求においては、審判所は自ら職権調査を実施するなど、積極的に証拠を収集して事案の解明を行うことが多い。
(2) 証拠の取扱いにおける問題点
その中でも、従前の証拠の取扱いは、訴訟と比べて著しい差異がある。
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