公開日: 2016/04/14 (掲載号:No.165)
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改正国税通則法と新たな不服申立制度のポイント 【第3回】「証拠の閲覧、謄写権の新設」~審理モデルの変更による審査請求実務の対応~

筆者: 坂田 真吾

改正国税通則法と

新たな不服申立制度のポイント

【第3回】

「証拠の閲覧、謄写権の新設」

~審理モデルの変更による審査請求実務の対応~

 

弁護士 坂田 真吾

 

1 審判所の審理モデル

今回は、本改正の最重要項目と考えられる証拠の閲覧、謄写権について述べる。

前提として、審査請求の証拠の取扱いは、審査請求の審理モデルに深く関係するので、そこから検討することとする。

 

2 従前の審査請求の審理モデル

(1) 審査請求における職権主義

一般に、紛争解決制度における調査審理のモデルとしては、「職権主義」と「当事者主義」がある。

職権主義とは、争訟手続における主導権を判断機関(裁判所等)に認める原則をいい、当事者主義とは、主導権を当事者に委ね、判断機関は中立的なアンパイアの地位に立って、両者の主張の優劣を判断する原則をいう。

通常の民事訴訟は、当事者主義に基づいている。これに対し、審判所の審査請求は、かなり職権主義的な色彩が強い。

すなわち、通常の民事訴訟において、裁判所は、原告ないし被告が提出する主張と証拠を受動的に受けて判断するが、審査請求においては、審判所は自ら職権調査を実施するなど、積極的に証拠を収集して事案の解明を行うことが多い。

(2) 証拠の取扱いにおける問題点

その中でも、従前の証拠の取扱いは、訴訟と比べて著しい差異がある。

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【第3回】

「証拠の閲覧、謄写権の新設」

~審理モデルの変更による審査請求実務の対応~

 

弁護士 坂田 真吾

 

1 審判所の審理モデル

今回は、本改正の最重要項目と考えられる証拠の閲覧、謄写権について述べる。

前提として、審査請求の証拠の取扱いは、審査請求の審理モデルに深く関係するので、そこから検討することとする。

 

2 従前の審査請求の審理モデル

(1) 審査請求における職権主義

一般に、紛争解決制度における調査審理のモデルとしては、「職権主義」と「当事者主義」がある。

職権主義とは、争訟手続における主導権を判断機関(裁判所等)に認める原則をいい、当事者主義とは、主導権を当事者に委ね、判断機関は中立的なアンパイアの地位に立って、両者の主張の優劣を判断する原則をいう。

通常の民事訴訟は、当事者主義に基づいている。これに対し、審判所の審査請求は、かなり職権主義的な色彩が強い。

すなわち、通常の民事訴訟において、裁判所は、原告ないし被告が提出する主張と証拠を受動的に受けて判断するが、審査請求においては、審判所は自ら職権調査を実施するなど、積極的に証拠を収集して事案の解明を行うことが多い。

(2) 証拠の取扱いにおける問題点

その中でも、従前の証拠の取扱いは、訴訟と比べて著しい差異がある。

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連載目次

筆者紹介

坂田 真吾

(さかた・しんご)

弁護士
本間合同法律事務所

ホームページ「弁護士による税務紛争対応

2000年 一橋大学法学部卒業
2003年 一橋大学大学院法学研究科修士課程修了
2004年 司法修習修了(第57期)・弁護士登録
2009年 国税庁・国税不服審判所審判官(2013年まで4年間)

【主な取扱分野】
・税務紛争(行政上の不服申立て/訴訟等)
・組織再編/事業承継スキーム作成等
・相続関係事案(遺言書・信託契約書作成/遺言執行/遺産分割調停等)
・税理士からの各種相談(関与先の契約書作成/税務調査対応・意見書作成等)
・企業からの各種相談(各種契約書作成/債権回収/税務対策等)
・不動産/建築紛争
・一般民事訴訟(会社関連訴訟等)
・倒産事件
・民事介入暴力事件

【著作・論文等】
・「実務に対応する 税務弁護の手引き」(清文社 2018年)
・「納税者の権利を守るための税理士が使いこなす 改正国税通則法」(清文社 2016年)共著
・「審査請求における証拠の閲覧対象の拡大と今後の調査審理について」(平成27年 第38回 日税研究賞受賞)
・「弁護士と考える快適なシニアライフと財産活用」(日本加除出版 2015年)共著、関東弁護士会連合会編著
・「願いを想いをかたちにする 遺言の書き方・相続のしかた」(日本加除出版 2009年)共著
・「企業活動と民暴対策の法律相談」(青林書院 2007年)共著

 

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