公開日: 2016/04/07 (掲載号:No.164)
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改正国税通則法と新たな不服申立制度のポイント 【第2回】「原則二段階の不服申立手続から選択制へ」~あえて「再調査の請求」をする意義とは~

筆者: 坂田 真吾

改正国税通則法と

新たな不服申立制度のポイント

【第2回】

「原則二段階の不服申立手続から選択制へ」

~あえて「再調査の請求」をする意義とは~

 

弁護士 坂田 真吾

 

1 旧通則法と新通則法

(1) 旧通則法下の不服申立て制度

旧通則法では、処分に不服を申し立てる納税者は、原則として、「異議申立て」と「審査請求」という二段階の不服申立手続を踏む必要がある。

すなわち、税務署長のした処分については、その処分をした税務署長に対して異議申立てを行うこととされ、異議決定になお不服があるときは審査請求をすることができる(旧通則法75条1項1号、3号)。

この例外として、税務署長がした処分が青色申告書に係る更正等である場合や、税務署長ではなく国税局長がした処分である場合等の一定の場合には、納税者の選択により、異議申立をしないで審査請求をすることができる(同条1項2号、4項等)。

(2) 新通則法による不服申立て制度

以上に対し、新通則法では、「異議申立て」手続の名称を「再調査の請求」と改め、税務署長、国税局長等を問わず、すべての処分について、納税者の選択により、再調査の請求をまずは行ってもよいし、これをしないで当初から審査請求をしてもよいこととされた(新通則法75条1項)。

 

2 再調査の請求を行うべきか

(1) 問題の所在

以上の改正により、今後(本年4月1日以降)、課税処分等を受けた納税者は、最初から国税不服審判所に審査請求をするべきか、それとも原処分庁(税務署長、国税局長)に再調査の請求を行うべきかの判断を行う必要があることになる。

そうすると、この判断はどのようにして行うのが妥当か、ということが問題となる。

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【第2回】

「原則二段階の不服申立手続から選択制へ」

~あえて「再調査の請求」をする意義とは~

 

弁護士 坂田 真吾

 

1 旧通則法と新通則法

(1) 旧通則法下の不服申立て制度

旧通則法では、処分に不服を申し立てる納税者は、原則として、「異議申立て」と「審査請求」という二段階の不服申立手続を踏む必要がある。

すなわち、税務署長のした処分については、その処分をした税務署長に対して異議申立てを行うこととされ、異議決定になお不服があるときは審査請求をすることができる(旧通則法75条1項1号、3号)。

この例外として、税務署長がした処分が青色申告書に係る更正等である場合や、税務署長ではなく国税局長がした処分である場合等の一定の場合には、納税者の選択により、異議申立をしないで審査請求をすることができる(同条1項2号、4項等)。

(2) 新通則法による不服申立て制度

以上に対し、新通則法では、「異議申立て」手続の名称を「再調査の請求」と改め、税務署長、国税局長等を問わず、すべての処分について、納税者の選択により、再調査の請求をまずは行ってもよいし、これをしないで当初から審査請求をしてもよいこととされた(新通則法75条1項)。

 

2 再調査の請求を行うべきか

(1) 問題の所在

以上の改正により、今後(本年4月1日以降)、課税処分等を受けた納税者は、最初から国税不服審判所に審査請求をするべきか、それとも原処分庁(税務署長、国税局長)に再調査の請求を行うべきかの判断を行う必要があることになる。

そうすると、この判断はどのようにして行うのが妥当か、ということが問題となる。

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連載目次

筆者紹介

坂田 真吾

(さかた・しんご)

弁護士
本間合同法律事務所

ホームページ「弁護士による税務紛争対応

2000年 一橋大学法学部卒業
2003年 一橋大学大学院法学研究科修士課程修了
2004年 司法修習修了(第57期)・弁護士登録
2009年 国税庁・国税不服審判所審判官(2013年まで4年間)

【主な取扱分野】
・税務紛争(行政上の不服申立て/訴訟等)
・組織再編/事業承継スキーム作成等
・相続関係事案(遺言書・信託契約書作成/遺言執行/遺産分割調停等)
・税理士からの各種相談(関与先の契約書作成/税務調査対応・意見書作成等)
・企業からの各種相談(各種契約書作成/債権回収/税務対策等)
・不動産/建築紛争
・一般民事訴訟(会社関連訴訟等)
・倒産事件
・民事介入暴力事件

【著作・論文等】
・「実務に対応する 税務弁護の手引き」(清文社 2018年)
・「納税者の権利を守るための税理士が使いこなす 改正国税通則法」(清文社 2016年)共著
・「審査請求における証拠の閲覧対象の拡大と今後の調査審理について」(平成27年 第38回 日税研究賞受賞)
・「弁護士と考える快適なシニアライフと財産活用」(日本加除出版 2015年)共著、関東弁護士会連合会編著
・「願いを想いをかたちにする 遺言の書き方・相続のしかた」(日本加除出版 2009年)共著
・「企業活動と民暴対策の法律相談」(青林書院 2007年)共著

 

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