〔編集部追記:2024/1/31〕
1/30付で国税庁より下記特設サイトの開設が公表されました。
「定額減税特設サイトを開設しました」
《速報解説》
令和6年分所得税の定額減税(特別控除)ついて
源泉徴収義務者に向けた実施要領案が公表される
Profession Journal 編集部
令和6年度税制改正大綱では、定額減税(所得税3万円・個人住民税1万円)の実施が織り込まれ、今週末に召集される通常国会で改正法案が審議されるが、給与所得者に対する所得税の減税措置は本年6月1日以降の源泉徴収時から実施されるため、大綱に「源泉徴収義務者が早期に準備に着手できるよう法案の国会提出前であっても制度の詳細についてできる限り早急に公表」するとしていた通り、1月19日付けで財務省及び国税庁は各ホームページにおいて、源泉徴収義務者に向けた、定額減税の実施要領案を公表した。
実施要領案では、次の1~5の項目を掲げており、それぞれについて大綱では不透明だった実務に係る事項等について言及している。
1.令和6年分所得税の定額減税の概要(対象者等)
2.源泉徴収税額からの控除の実施者
3.源泉徴収税額からの控除の実施方法
4.源泉徴収票等の記載事項
5.その他
例えば、「1.令和6年分所得税の定額減税の概要(対象者等)」では、居住者の所得税額から、定額減税に係る額(特別控除の額)を控除する際にはその者の令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下である場合に限るとしているが、源泉徴収税額からの特別控除に際しては、年末調整を除き、合計所得金額に関わらず実施し、年末調整時において合計所得金額が 1,805万円超になると見込まれる場合(ただし年末調整の対象となる者に限る)には控除実施済額について調整するとしているほか、「2.源泉徴収税額からの控除の実施者」では、主たる給与等の支払者のみが特別控除を実施することとし、従たる給与等の支払者は行わないことが示されている。
また、「3.源泉徴収税額からの控除の実施方法」では、この減税の実施のために改めて扶養控除等申告書の提出を求める必要はなく、源泉徴収義務者はその時点で現に把握している情報に基づき計算することが示されたが、15歳以下の扶養親族については令和6年6月1日以後最初の給与支払日までに新たに「源泉徴収に係る申告書」の提出を求める必要がある(ただし当該申告書の記載情報に代えて、一定の確認の下、扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」を参照して計算することも可能)とされている。
その他「4.源泉徴収票等の記載事項」では「令和6年6月1日以後に年末調整をして作成する源泉徴収票の摘要欄の記載事項」や「令和6年6月1日以後に交付する給与明細等の記載事項」の記載例が示され、「5.その他」では源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を納付する場合、所得税徴収高計算書には定額減税の控除後の源泉徴収税額を記載する(本定額減税の実施のための源泉徴収票様式・所得税徴収高計算書様式の改訂は予定していない)ことなどが明らかとなった。
なお財務省ホームページでは今回公表された要領案について、「あくまでも源泉徴収義務者が早期に準備に着手できるようあらかじめ周知・広報するものであり、令和6年度税制改正のための税制改正法案については、今後国会に法案を提出し、国会審議を経ることが前提となることにご留意いただきたい」としている。
また、減税を受ける納税者向けの情報については今後、概要資料等を順次公表することとしている。
(了)