〈事例から学ぶ〉
不正を防ぐ社内体制の作り方
【第9回】
「会社の有効な仕組み作りとトレードオフの関係」
米国公認会計士・公認内部監査人
打田 昌行
はじめに
東京オリンピックは今までにないメダルラッシュとなりました。大きな声援が送られた一方で、新型コロナウイルスによるパンデミックがとどまることはなく、残念なことに感染者の増加もみられました。そうしたなか、経済活動と感染予防策について、オリンピック中も繰り返し報道がされていたのは、みなさんご存じのとおりです。オリンピックを円滑に運用して成功に導くために、これ以上感染の広がりを防ごうとすれば、酒類の提供を禁止し、営業活動を制限するなどして経済を犠牲にせざるを得ません。
こうして、さみしいことに、わが街にある馴染みの居酒屋や飲食で多くの人が賑わう路地裏が次々と姿を消しつつあります。逆に経済をしっかりしようとすれば、感染対策が緩みます。極端な言い方をすれば、経済をとるのか、国民の命をとるのかということになります。もし経済をとれば、政府は国民の命を犠牲にしているといわれ、他方国民の方を向けば、経済が立ち行かなくなります。こうした対策のゆらぎが繰り返されているのはご存じのとおりです。
このようなお互いに相容れない関係を「トレードオフ」といいます。自分が欲しいと思っているメリットや価値を手に入れようとすれば、他の大切なものを手放すか、犠牲にせざるを得ません。今、経済と国民の命は、お互い相容れない、トレードオフの関係にあります。
実はこのトレードオフの関係を理解することは、会社の仕組み作りを考える場合にとても大切です。そこでトレードオフの関係を正しく理解するために、いくつかトレードオフの具体例を以下に挙げてみます。
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