国際課税レポート
【第13回】
「金融資産としての暗号資産振興と課税制度の現状の国際比較」
税理士 岡 直樹
(公財)東京財団政策研究所主任研究員
トランプ国際課税のその後
2025年1月20日に大統領に復帰したトランプ氏は、ベッセント財務長官に対し、OECDのタックス・ディールからの離脱に加え、外国による差別的・域外適用的な税制をリストアップし、米国の利益を守るための「保護的措置」の選択肢とあわせて、60日以内に大統領へ「報告」するよう命じた。
大統領令が念頭に置いている外国の税制には、欧州のデジタルサービス税(DST)や、OECDの軽課税所得ルール(UTPR)が含まれる。日本はDSTを導入していないものの、UTPRについては、令和7年度税制改正により「国際最低課税残余額に対する法人税」(法人税法82条の11)として3月31日に立法されており、2026年4月以降に開始する事業年度から適用される。
このため、財務長官が大統領に提出する「報告」で日本の措置について言及があるかどうかが注目されたが、期限の3月22日を過ぎても米国からの情報発表はなされていない。
4月8日時点の情報を総合すると、財務長官は「報告書」をホワイトハウスに提出している。しかし、内部報告書という位置付けであり、ホワイトハウスは当初は公表しないようだ。内容が対外的に明らかになるのは、米国が具体的な措置を取る際となりそうだ。
この問題は、多国籍企業大国である日本にとって重要な問題であり、新たな情報が入り次第改めて報告することとしたい。
トランプ政権と暗号資産振興
トランプ政権は、2025年1月23日に「デジタル金融技術」に関する大統領令を発表し、ブロックチェーン技術の成長と利用を支援する方針を明らかにした。また、3月6日に暗号資産(暗号通貨)を政府で備蓄することについての大統領令に署名、3月7日には暗号資産業界の著名な創業者等をホワイトハウスに招いて「暗号資産サミット」を開催し、トランプ氏は米国を「ビットコイン・スーパーパワーにする」と挨拶したほか、米ドルに連動して価値を安定させるステーブルコインの支援に前向きな姿勢を示すなど、暗号資産業界に対する支持を強化する動きをみせている。
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