公開日: 2025/04/10 (掲載号:No.614)
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国際課税レポート 【第13回】「金融資産としての暗号資産振興と課税制度の現状の国際比較」

筆者: 岡 直樹

国際課税レポート

【第13回】

「金融資産としての暗号資産振興と課税制度の現状の国際比較」

 

税理士 岡 直樹
(公財)東京財団政策研究所主任研究員

 

トランプ国際課税のその後

2025年1月20日に大統領に復帰したトランプ氏は、ベッセント財務長官に対し、OECDのタックス・ディールからの離脱に加え、外国による差別的・域外適用的な税制をリストアップし、米国の利益を守るための「保護的措置」の選択肢とあわせて、60日以内に大統領へ「報告」するよう命じた。

大統領令が念頭に置いている外国の税制には、欧州のデジタルサービス税(DST)や、OECDの軽課税所得ルール(UTPR)が含まれる。日本はDSTを導入していないものの、UTPRについては、令和7年度税制改正により「国際最低課税残余額に対する法人税」(法人税法82条の11)として3月31日に立法されており、2026年4月以降に開始する事業年度から適用される。

このため、財務長官が大統領に提出する「報告」で日本の措置について言及があるかどうかが注目されたが、期限の3月22日を過ぎても米国からの情報発表はなされていない。

4月8日時点の情報を総合すると、財務長官は「報告書」をホワイトハウスに提出している。しかし、内部報告書という位置付けであり、ホワイトハウスは当初は公表しないようだ。内容が対外的に明らかになるのは、米国が具体的な措置を取る際となりそうだ。

この問題は、多国籍企業大国である日本にとって重要な問題であり、新たな情報が入り次第改めて報告することとしたい。

 

トランプ政権と暗号資産振興

トランプ政権は、2025年1月23日に「デジタル金融技術」に関する大統領令を発表し、ブロックチェーン技術の成長と利用を支援する方針を明らかにした。また、3月6日に暗号資産(暗号通貨)を政府で備蓄することについての大統領令に署名、3月7日には暗号資産業界の著名な創業者等をホワイトハウスに招いて「暗号資産サミット」を開催し、トランプ氏は米国を「ビットコイン・スーパーパワーにする」と挨拶したほか、米ドルに連動して価値を安定させるステーブルコインの支援に前向きな姿勢を示すなど、暗号資産業界に対する支持を強化する動きをみせている。

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国際課税レポート

【第13回】

「金融資産としての暗号資産振興と課税制度の現状の国際比較」

 

税理士 岡 直樹
(公財)東京財団政策研究所主任研究員

 

トランプ国際課税のその後

2025年1月20日に大統領に復帰したトランプ氏は、ベッセント財務長官に対し、OECDのタックス・ディールからの離脱に加え、外国による差別的・域外適用的な税制をリストアップし、米国の利益を守るための「保護的措置」の選択肢とあわせて、60日以内に大統領へ「報告」するよう命じた。

大統領令が念頭に置いている外国の税制には、欧州のデジタルサービス税(DST)や、OECDの軽課税所得ルール(UTPR)が含まれる。日本はDSTを導入していないものの、UTPRについては、令和7年度税制改正により「国際最低課税残余額に対する法人税」(法人税法82条の11)として3月31日に立法されており、2026年4月以降に開始する事業年度から適用される。

このため、財務長官が大統領に提出する「報告」で日本の措置について言及があるかどうかが注目されたが、期限の3月22日を過ぎても米国からの情報発表はなされていない。

4月8日時点の情報を総合すると、財務長官は「報告書」をホワイトハウスに提出している。しかし、内部報告書という位置付けであり、ホワイトハウスは当初は公表しないようだ。内容が対外的に明らかになるのは、米国が具体的な措置を取る際となりそうだ。

この問題は、多国籍企業大国である日本にとって重要な問題であり、新たな情報が入り次第改めて報告することとしたい。

 

トランプ政権と暗号資産振興

トランプ政権は、2025年1月23日に「デジタル金融技術」に関する大統領令を発表し、ブロックチェーン技術の成長と利用を支援する方針を明らかにした。また、3月6日に暗号資産(暗号通貨)を政府で備蓄することについての大統領令に署名、3月7日には暗号資産業界の著名な創業者等をホワイトハウスに招いて「暗号資産サミット」を開催し、トランプ氏は米国を「ビットコイン・スーパーパワーにする」と挨拶したほか、米ドルに連動して価値を安定させるステーブルコインの支援に前向きな姿勢を示すなど、暗号資産業界に対する支持を強化する動きをみせている。

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連載目次

筆者紹介

岡 直樹

(おか・なおき)

税理士
東京財団政策研究所 主任研究員
国税庁国際課税分析官、税務大学校教授、主任国税訟務官(国際)。大法人、外国企業課税の経験を持つ。財務省主税局、OECD租税委員会事務局等に勤務。IFA(国際租税協会)、租税法学会、国際取引法学会会員。

【著作等】

・「タックスヘイブンとの闘いと国際租税法-新課税権とグローバルミニマム税-」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー143号(2020)

・「英国のアーロンソン報告書とGAAR」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー126号(2016)

・「日本の所得税負担の実態―高額所得者を中心に」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー118号(2014)

・「高額所得申告者・大規模法人の行動と税務行政への示唆」(税大論叢60号)(2009)

・「移転価格税制における情報義務と独立企業間価格の証明方法に関する考察」(税大論叢59号)(2008) 第18回租税資料館賞受賞

関連書籍

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