公開日: 2025/07/10 (掲載号:No.626)
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国際課税レポート 【第16回】「G7緊急声明と国際課税制度の進路」~米国報復課税回避の先にあるもの~

筆者: 岡 直樹

国際課税レポート

【第16回】

「G7緊急声明と国際課税制度の進路」

~米国報復課税回避の先にあるもの~

 

税理士 岡 直樹
(公財)東京財団政策研究所主任研究員

 

トランプOne Big and Beautiful Bill Act (H.R.1)の成立

2025年7月4日、第2期トランプ政権における経済優先課題の実現に向けた「One Big and Beautiful Bill Act」(以下、本稿では便宜上「包括予算法」と呼ぶ)が、トランプ大統領の署名により成立した。

署名は、米国独立記念日の式典を兼ねたイベントの一環として、ホワイトハウス南庭に設けられた特設デスクで行われた。メラニア夫人を伴って登場したトランプ氏は、バルコニーで恒例の“トランプ・ダンス”を披露し、夫人もともに踊るなど、式典は終始、祝賀ムードに包まれていたと伝えられている。

議会承認及び大統領署名に至るプロセスは、票差こそ僅差だったが、進行は迅速だった。法案は2025年5月20日に下院歳入委員会に提出され、2日後の5月22日には賛成215、反対214のわずか1票差で下院を通過。その後、法案は上院に送られ、6月16日以降上院財政委員長が提示した修正案に基づいて審議が行われ、7月1日に賛成51、反対50で可決された(バンス副大統領が決定票を投じた)。さらに、7月3日には下院において上院修正案が賛成218、反対214で承認された。

包括予算法(パッケージ法)の概要については、本連載【第15回】で紹介しているので参照してほしい(ただし、上院修正案の内容は含まれていない)。

本稿では、最終的に採決された法案から削除された国際課税関連の条項、すなわち「外国の不公平な税制への対抗規定」(以下「第899条」とも呼ぶ)に焦点を当てる。

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【第16回】

「G7緊急声明と国際課税制度の進路」

~米国報復課税回避の先にあるもの~

 

税理士 岡 直樹
(公財)東京財団政策研究所主任研究員

 

トランプOne Big and Beautiful Bill Act (H.R.1)の成立

2025年7月4日、第2期トランプ政権における経済優先課題の実現に向けた「One Big and Beautiful Bill Act」(以下、本稿では便宜上「包括予算法」と呼ぶ)が、トランプ大統領の署名により成立した。

署名は、米国独立記念日の式典を兼ねたイベントの一環として、ホワイトハウス南庭に設けられた特設デスクで行われた。メラニア夫人を伴って登場したトランプ氏は、バルコニーで恒例の“トランプ・ダンス”を披露し、夫人もともに踊るなど、式典は終始、祝賀ムードに包まれていたと伝えられている。

議会承認及び大統領署名に至るプロセスは、票差こそ僅差だったが、進行は迅速だった。法案は2025年5月20日に下院歳入委員会に提出され、2日後の5月22日には賛成215、反対214のわずか1票差で下院を通過。その後、法案は上院に送られ、6月16日以降上院財政委員長が提示した修正案に基づいて審議が行われ、7月1日に賛成51、反対50で可決された(バンス副大統領が決定票を投じた)。さらに、7月3日には下院において上院修正案が賛成218、反対214で承認された。

包括予算法(パッケージ法)の概要については、本連載【第15回】で紹介しているので参照してほしい(ただし、上院修正案の内容は含まれていない)。

本稿では、最終的に採決された法案から削除された国際課税関連の条項、すなわち「外国の不公平な税制への対抗規定」(以下「第899条」とも呼ぶ)に焦点を当てる。

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連載目次

筆者紹介

岡 直樹

(おか・なおき)

税理士
東京財団政策研究所 主任研究員
国税庁国際課税分析官、税務大学校教授、主任国税訟務官(国際)。大法人、外国企業課税の経験を持つ。財務省主税局、OECD租税委員会事務局等に勤務。IFA(国際租税協会)、租税法学会、国際取引法学会会員。

【著作等】

・「タックスヘイブンとの闘いと国際租税法-新課税権とグローバルミニマム税-」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー143号(2020)

・「英国のアーロンソン報告書とGAAR」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー126号(2016)

・「日本の所得税負担の実態―高額所得者を中心に」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー118号(2014)

・「高額所得申告者・大規模法人の行動と税務行政への示唆」(税大論叢60号)(2009)

・「移転価格税制における情報義務と独立企業間価格の証明方法に関する考察」(税大論叢59号)(2008) 第18回租税資料館賞受賞

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