国際課税レポート
【第16回】
「G7緊急声明と国際課税制度の進路」
~米国報復課税回避の先にあるもの~
税理士 岡 直樹
(公財)東京財団政策研究所主任研究員
トランプOne Big and Beautiful Bill Act (H.R.1)の成立
2025年7月4日、第2期トランプ政権における経済優先課題の実現に向けた「One Big and Beautiful Bill Act」(以下、本稿では便宜上「包括予算法」と呼ぶ)が、トランプ大統領の署名により成立した。
署名は、米国独立記念日の式典を兼ねたイベントの一環として、ホワイトハウス南庭に設けられた特設デスクで行われた。メラニア夫人を伴って登場したトランプ氏は、バルコニーで恒例の“トランプ・ダンス”を披露し、夫人もともに踊るなど、式典は終始、祝賀ムードに包まれていたと伝えられている。
議会承認及び大統領署名に至るプロセスは、票差こそ僅差だったが、進行は迅速だった。法案は2025年5月20日に下院歳入委員会に提出され、2日後の5月22日には賛成215、反対214のわずか1票差で下院を通過。その後、法案は上院に送られ、6月16日以降上院財政委員長が提示した修正案に基づいて審議が行われ、7月1日に賛成51、反対50で可決された(バンス副大統領が決定票を投じた)。さらに、7月3日には下院において上院修正案が賛成218、反対214で承認された。
包括予算法(パッケージ法)の概要については、本連載【第15回】で紹介しているので参照してほしい(ただし、上院修正案の内容は含まれていない)。
本稿では、最終的に採決された法案から削除された国際課税関連の条項、すなわち「外国の不公平な税制への対抗規定」(以下「第899条」とも呼ぶ)に焦点を当てる。
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