公開日: 2013/04/11 (掲載号:No.14)
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「石原産業役員責任追及訴訟第一審判決」から読む会社経営者としての責任の分水嶺【3】

筆者: 中西 和幸

「石原産業役員責任追及訴訟

第一審判決から読む

会社経営者としての責任の分水嶺

【3】

 

弁護士 中西 和幸

 

10 フェロシルトが産業廃棄物であることについて責任が認められた取締役

(1) 平成13年4月27日開催の取締役会に出席した取締役
平成13年4月27日開催の取締役会に出席した取締役について、Y5及びY23も含め、役職と属性及びフェロシルトの廃棄物性に関して認識していた事情をもとに、いずれも廃棄物処理法違反であるかどうかを認識し得なかったとして、責任を認めていない。

(2) 推進会議の構成員である取締役
推進会議の構成員については、これらの者が反対すればフェロシルトの搬出を阻止できたとしたうえで、Y23については、平成13年8月6日の会議及び同月付稟議において、T国際空港が受入れを断りこれにつきY5が推進会議において虚偽の説明をしたことを知っており、Y5の説明にも疑いを向け、「フェロシルトは有償の処分が実態である」との発言がされたことについて気が付くことが可能であったとして責任を認めた。

また、Y5については、自ら虚偽の発言をし、また、自ら有償の処分が実態であると発言したことを根拠として、産業廃棄物であることを認識できたと認定している。

その一方で、他の取締役については、その役職と属性及びフェロシルトの廃棄物性の認識について検討したうえで、責任がないものと認定している。

(3) 平成13年8月10日付稟議書に捺印した取締役
標記稟議書では、平成13年4月27日に取締役会において承認された搬出費用を超える費用を支出することが決裁の対象であった。そして、発議分掌上位者である被告Y5及び合議者の被告Y21、Y23、被告Y12、被告Y14 及び被告Y22 が、それぞれの押印に際し、相当の論拠に基づいて、フェロシルトが「廃棄物」に該当し、本件新規搬出先へ搬出することは産業廃棄物処理法に違反するとの意見を述べた場合には、本件新規搬出先への搬出が中止される可能性があったと論じた。

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「石原産業役員責任追及訴訟

第一審判決から読む

会社経営者としての責任の分水嶺

【3】

 

弁護士 中西 和幸

 

10 フェロシルトが産業廃棄物であることについて責任が認められた取締役

(1) 平成13年4月27日開催の取締役会に出席した取締役
平成13年4月27日開催の取締役会に出席した取締役について、Y5及びY23も含め、役職と属性及びフェロシルトの廃棄物性に関して認識していた事情をもとに、いずれも廃棄物処理法違反であるかどうかを認識し得なかったとして、責任を認めていない。

(2) 推進会議の構成員である取締役
推進会議の構成員については、これらの者が反対すればフェロシルトの搬出を阻止できたとしたうえで、Y23については、平成13年8月6日の会議及び同月付稟議において、T国際空港が受入れを断りこれにつきY5が推進会議において虚偽の説明をしたことを知っており、Y5の説明にも疑いを向け、「フェロシルトは有償の処分が実態である」との発言がされたことについて気が付くことが可能であったとして責任を認めた。

また、Y5については、自ら虚偽の発言をし、また、自ら有償の処分が実態であると発言したことを根拠として、産業廃棄物であることを認識できたと認定している。

その一方で、他の取締役については、その役職と属性及びフェロシルトの廃棄物性の認識について検討したうえで、責任がないものと認定している。

(3) 平成13年8月10日付稟議書に捺印した取締役
標記稟議書では、平成13年4月27日に取締役会において承認された搬出費用を超える費用を支出することが決裁の対象であった。そして、発議分掌上位者である被告Y5及び合議者の被告Y21、Y23、被告Y12、被告Y14 及び被告Y22 が、それぞれの押印に際し、相当の論拠に基づいて、フェロシルトが「廃棄物」に該当し、本件新規搬出先へ搬出することは産業廃棄物処理法に違反するとの意見を述べた場合には、本件新規搬出先への搬出が中止される可能性があったと論じた。

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連載目次

「「石原産業役員責任追及訴訟第一審判決」から読む会社経営者としての責任の分水嶺」(全3回)

筆者紹介

中西 和幸

(なかにし・かずゆき)

弁護士
田辺総合法律事務所

・昭和61年3月 岡崎高等学校卒業
・平成4年3月 東京大学法学部卒業
・平成4年4月 住友海上火災保険株式会社に就職(平成5年3月まで)
・平成7年4月 弁護士登録(第一東京弁護士会会員となる)、田辺総合法律事務所入所
・平成19年4月 第一東京弁護士会総合法律研究所会社法研究部会部会長就任(平成23年4月まで)
・平成22年4月 CFE(Certified Fraud Examiner:公認不正検査士)資格取得
・平成24年4月 国分寺市オンブズパーソンに就任
・平成24年6月 オーデリック株式会社の社外(独立)監査役に就任

【著書等】
・『会社法関係法務省令逐条実務詳解 ─会社法施行規則・会社計算規則・電子公告規則』編集代表(清文社)
・『信託と倒産』共著(商事法務)
・『企業不祥事と対応【事例検証】』編共著(清文社)
・『〔新訂〕貸出管理回収手続双書 回収』共著(金融財政事情研究会)
・「振替株式に設定された質権と質権設定者の振替株式に対する差押え」共著『金融法務事情』No.1912
・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社)
・『【Q&A】大規模災害に備える企業法務の課題と実務対応』編集代表(清文社)
・『実践!営業秘密管理 企業秘密の漏えいを防止せよ!』編集代表(中央経済社)
・「平成24年株主総会の実務対応(6)株主総会までの準備と議事運営」『旬刊 商事法務』 No.1963
・『最新 役員報酬をめぐる法務・会計・税務』編集代表(清文社)
・「「社外取締役を置くことが相当でない理由」の説明内容と運用のあり方」共著『旬刊 商事法務』 No.1980 

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