「石原産業役員責任追及訴訟
第一審判決」から読む
会社経営者としての責任の分水嶺
【3】
弁護士 中西 和幸
10 フェロシルトが産業廃棄物であることについて責任が認められた取締役
(1) 平成13年4月27日開催の取締役会に出席した取締役
平成13年4月27日開催の取締役会に出席した取締役について、Y5及びY23も含め、役職と属性及びフェロシルトの廃棄物性に関して認識していた事情をもとに、いずれも廃棄物処理法違反であるかどうかを認識し得なかったとして、責任を認めていない。
(2) 推進会議の構成員である取締役
推進会議の構成員については、これらの者が反対すればフェロシルトの搬出を阻止できたとしたうえで、Y23については、平成13年8月6日の会議及び同月付稟議において、T国際空港が受入れを断りこれにつきY5が推進会議において虚偽の説明をしたことを知っており、Y5の説明にも疑いを向け、「フェロシルトは有償の処分が実態である」との発言がされたことについて気が付くことが可能であったとして責任を認めた。
また、Y5については、自ら虚偽の発言をし、また、自ら有償の処分が実態であると発言したことを根拠として、産業廃棄物であることを認識できたと認定している。
その一方で、他の取締役については、その役職と属性及びフェロシルトの廃棄物性の認識について検討したうえで、責任がないものと認定している。
(3) 平成13年8月10日付稟議書に捺印した取締役
標記稟議書では、平成13年4月27日に取締役会において承認された搬出費用を超える費用を支出することが決裁の対象であった。そして、発議分掌上位者である被告Y5及び合議者の被告Y21、Y23、被告Y12、被告Y14 及び被告Y22 が、それぞれの押印に際し、相当の論拠に基づいて、フェロシルトが「廃棄物」に該当し、本件新規搬出先へ搬出することは産業廃棄物処理法に違反するとの意見を述べた場合には、本件新規搬出先への搬出が中止される可能性があったと論じた。
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