社外取締役の教科書
【第12回】
「会社役員賠償責任保険(D&O保険)/責任限定契約」
クレド法律事務所
駒澤大学法科大学院非常勤講師
弁護士 栗田 祐太郎
1 会社役員賠償責任保険とは何か
前回まで3回にわたり、社外取締役を含めた会社役員は、企業活動に関連して損害賠償責任を負う場合があることを説明した。
そうなると、特に大企業であればあるほど、企業不祥事等により会社役員の法的責任が問われる場合、その賠償責任は巨額化する恐れがある。
例えば、一連の東芝不正会計事件において、会社が歴代3社長を含む旧経営陣5人に対して損害賠償を求めて訴訟提起した金額は総額3億円である(これでさえ、低額に過ぎるとの批判もある)。
万一の場合にこのような賠償責任が直接に降りかかってくるリスクがあるということは、社外の有能な人材が社外取締役に就任することを躊躇させることにもつながりかねない。
そこで、会社役員が損害賠償責任を負う場合に備え、会社役員賠償責任保険(いわゆるD&O[Directors' and Officers' Liability Insurance]保険)が各保険会社から販売されている。
2 D&O保険の基本的な仕組み
大手損保会社各社がD&O保険を販売しているが、保険商品は金融庁が内容等を審査し、認可して初めて販売が可能となるため、各社で基本的な仕組みは共通している。
その要点をまとめれば、次のとおりである。
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