家族信託による
新しい相続・資産承継対策
【第22回】
「家族信託の活用事例〈不動産編③〉
(2人以上の受益者を設定する受益者連続型として、自らの死後に収益物件の賃料を後妻に渡し、後妻の死後は収益物件自体を前妻との間の子に渡す事例)」
弁護士 荒木 俊和
今回解説するのは、「2人以上の受益者を設定する受益者連続型として、自らの死後に収益物件の賃料を後妻に渡し、後妻の死後は収益物件自体を前妻との間の子に渡す」という事例である。
- 相談事例 -
私(75歳)には今年70歳になる妻がおり、現在2人で暮らしています。
私は何棟か賃貸アパートを所有していますが、今年の春に脳の疾患で倒れて以来、体調が優れません。私に万が一のことがあった場合には、それ以降の家賃収入は妻に渡したいと思っています。
私には離婚経験がありまして、前妻との間には40歳になる長男がおり、今でもよく連絡を取っています。長男と今の妻とは、特に仲が悪いわけではありません。
賃貸アパートの建っている土地は曽祖父の代から引き継いできたものですので、今の妻の親族には渡したくないと思っており、今の妻が亡くなった後は、長男に引き継がせたいと考えています。
1 家族信託活用のポイント
(1) 遺言の限界・アパート管理の問題
前回述べたように、本件のように2者に対して連続して財産を引き継ぎたいとの要望に関して遺言で対応しようとした場合、「後継ぎ遺贈」の問題として法的な安定性の面で疑問が残ることになる。
また、遺言で対応しようとした場合、本人の死亡時にアパートの所有権が移転することになるため、管理の引継ぎが問題となる点についても同様である。
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