改正相続法に対応した実務と留意点
【第3回】
「権利義務の承継と第三者保護に関する留意点」
弁護士 阪本 敬幸
今回は、権利義務の承継と第三者保護に関し、具体例を交えて解説する。なお本改正事項については、下記拙稿を合わせて参照されたい。
1 権利の承継と第三者保護
(1) 改正後民法899条の2〔新設〕の概要
(共同相続における権利の承継の対抗要件)
第899条の2 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
2 前項の権利が債権である場合において、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。
法定相続分を超えて権利の承継があった場合、当該相続人と第三者との間で優劣の問題が生じることがある。改正後民法899条の2は、このような場合の相続人と第三者との関係を、登記・登録・債務者に対する通知等の対抗要件の先後により決するとしたものである。
(2) 具体例
以下のような事例を考えてみる。
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