〈まずはこれだけおさえよう〉
民法(債権法)改正と
企業実務への影響
【第2回】
「法定利率」
堂島法律事務所
弁護士 奥津 周
司法書士法人F&Partners
司法書士 北詰 健太郎
要綱 《法定利率》
1 変動制による法定利率(民法第404条関係)
民法第404条の規律を次のように改めるものとする。
(1) 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
(2) 法定利率は、年3パーセントとする。
(3) (2)の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、3年を一期とし、一期ごとに、(4)の規定により変動するものとする。
(4) 各期における法定利率は、この(4)の規定により法定利率に変動があった期のうち直近のもの(以下この(4)において「直近変動期」という。)における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合(その割合に1パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)を直近変動期における法定利率に加算し、又は減算した割合とする。
(5) (4)に規定する「基準割合」とは、法務省令で定めるところにより、各期の初日の属する年の6年前の年の1月から前々年の12月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が1年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を60で除して計算した割合(その割合に0.1パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として法務大臣が告示するものをいう。
(注) この改正に伴い、商法第514条を削除するものとする。
(※) 法制審議会にて決定された「民法(債権関係)の改正に関する要綱」10頁より抜粋(下線筆者)。
1 法定利率の改正の理由
現行の民法における法定利率は、年5%とされている(民法404条)。また、現行商法では、商事債権に関する法定利率は、年6%とされている(商法514条)
法定利率は、金銭消費貸借契約において、利率を定めなかった場合や、売買代金の支払が遅れた場合において、遅延損害金の利率を定めておかなかった場合に適用される。この「年5%」や「年6%」という法定利率は、現行民法や商法が制定された明治時代の金利水準に基づき定められたものであり、現在の市場金利水準からいえば、高い金利であるといえる。
このような市場金利の実勢から乖離した高い利率が、債権者に紛争の解決を引き延ばすインセンティブを与えるなどの弊害を引き起こしているとも指摘されている。
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