『デジタルフォレンジックス』を使った
企業不正の発見事例
【第4回】
「カルテル、贈収賄などの規制当局調査に使われる
デジタルフォレンジックス」
PwCアドバイザリー合同会社
マネージャー
吉田 卓
1 はじめに
第4回では、価格カルテルや贈収賄事件などにおける、規制当局調査対応におけるデジタルフォレンジックスに関して述べさせていただく。なお、ここでいう規制当局とは、米国司法省(DOJ)や米国証券取引委員会(SEC)など、海外の規制当局を前提としている。
ここ数年、日本企業が価格カルテルや贈収賄事件などに関与し、国内外の規制当局に摘発される事件が急増している。特に価格カルテル事件に関していうと、2010年以降国内の自動車部品メーカー約30社が摘発され、50人以上の会社役員を中心とする個人が起訴された。さらにその内の約30名が実際に米国の刑務所に収監されている。また、贈収賄事件では昨年9月に、国内大手電機メーカーが約23億円でSECと和解している。
海外の規制当局、特に米国のDOJやSECは、外国企業に対する取り締まりを強化しており、日本企業にとっても注意が必要である。本稿では、実際に価格カルテルや贈収賄事件において企業が捜査対象になった際の、主にデジタルフォレンジックスを使った証拠開示の実務と留意点に関して解説する。また、平時からの対策についても参考にしていただければ幸いである。
2 対岸の火事ではない、海外規制当局による調査とその激しさ
規制当局による捜査の多くは、内部告発や競合他社からの情報提供がトリガーになると言われている。
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