〔検証〕
適時開示からみた企業実態
【事例15】
株式会社フュートレック
「監査等委員会設置会社への移行中止に関するお知らせ」
(2017.4.21)
事業創造大学院大学 准教授
鈴木 広樹
1 今回の適時開示
今回取り上げる適時開示は、株式会社フュートレック(以下「フュートレック」という)が平成29年4月21日に開示した「監査等委員会設置会社への移行中止に関するお知らせ」である。タイトルのとおり、監査等委員会設置会社への移行を中止することにしたという内容だが、その理由について、「1.中止の理由」には次のように記載されている。
当社は、平成29年1月23日付「監査等委員会設置会社への移行に関するお知らせ」で公表いたしましたとおり、取締役会の監査・監督機能の強化をもってコーポレート・ガバナンス体制の一層の充実と企業価値のさらなる向上を図ることを目的として、監査等委員会設置会社へ移行する方針を決定しておりました。
しかし、平成29年3月31日付「証券取引等監視委員会による当社役員に対する課徴金納付命令の勧告について」及び平成29年4月4日付「特別調査委員会による調査報告及び対応について」で公表いたしましたとおり、当社役員による金融商品取引法違反が発生いたしました。
当社は、役員による不祥事の発生を重く受け止め、コンプライアンス経営及びコーポレート・ガバナンス体制等の再検討を、現状の監査役会設置会社で行うべきとの判断に至り、本件中止を決定いたしました。
2 なぜ監査役会設置会社で?
監査等委員会設置会社へ移行しようとしたが、役員が金融商品取引法違反を犯したため、監査役会設置会社でコーポレート・ガバナンス体制を再検討した方がよいと考えたとのことである。しかし、この理由はわかりにくい。
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