公開日: 2013/06/13 (掲載号:No.23)
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〔知っておきたいプロの視点〕病院・医院の経営改善─ポイントはここだ!─ 【第10回】「週末の病床利用率と救急医療」

筆者: 井上 貴裕

〔知っておきたいプロの視点〕

病院・医院の経営改善

─ポイントはここだ!─

【第10回】

「週末の病床利用率と救急医療」

 

東京医科歯科大学医学部附属病院
特任講師 井上 貴裕

 

1 病床利用率の意義

病院経営を語る際に、病床利用率は切り離すことができない。固定費が多くを占める医療機関の財務特性から考えて、一定の患者数の存在は不可欠である。

しかし、この病床利用率は、治療終了後に在院日数を引き延ばして維持すべきものではない。実際に、延べ入院患者数と医業利益率には正の相関がほとんどみられず、少しくらい入院期間を延ばしたからといって抜本的に業績が良くなることがないことを意味している。

新入院患者の獲得こそが業績向上につながるのであり、治療終了後はすみやかに退院させることが期待される。

 

2 延べ入院患者数を重視すべきではない3つの理由

延べ入院患者数を重視して治療終了後の入院を引き延ばすことは、患者にとって不利益をもたらすことはもちろん、病院経営にもマイナスの影響を及ぼす。

まず1つ目は、入院診療単価が下落することである。
DPC/PDPSという環境下では、特に入院期間Ⅱ以降は単価の下落が著しい。診断群分類による特性はあるが、入院期間Ⅲ以降の点数設定では固定費の回収もおぼつかないであろう。

2つ目は、DPC/PDPSでは機能評価係数Ⅱに効率性係数があり、在院日数が長いことはDPC対象病院の中で相対的に低い係数評価が行われる。

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〔知っておきたいプロの視点〕

病院・医院の経営改善

─ポイントはここだ!─

【第10回】

「週末の病床利用率と救急医療」

 

東京医科歯科大学医学部附属病院
特任講師 井上 貴裕

 

1 病床利用率の意義

病院経営を語る際に、病床利用率は切り離すことができない。固定費が多くを占める医療機関の財務特性から考えて、一定の患者数の存在は不可欠である。

しかし、この病床利用率は、治療終了後に在院日数を引き延ばして維持すべきものではない。実際に、延べ入院患者数と医業利益率には正の相関がほとんどみられず、少しくらい入院期間を延ばしたからといって抜本的に業績が良くなることがないことを意味している。

新入院患者の獲得こそが業績向上につながるのであり、治療終了後はすみやかに退院させることが期待される。

 

2 延べ入院患者数を重視すべきではない3つの理由

延べ入院患者数を重視して治療終了後の入院を引き延ばすことは、患者にとって不利益をもたらすことはもちろん、病院経営にもマイナスの影響を及ぼす。

まず1つ目は、入院診療単価が下落することである。
DPC/PDPSという環境下では、特に入院期間Ⅱ以降は単価の下落が著しい。診断群分類による特性はあるが、入院期間Ⅲ以降の点数設定では固定費の回収もおぼつかないであろう。

2つ目は、DPC/PDPSでは機能評価係数Ⅱに効率性係数があり、在院日数が長いことはDPC対象病院の中で相対的に低い係数評価が行われる。

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連載目次

「〔知っておきたいプロの視点〕病院・医院の経営改善─ポイントはここだ!」(全24回)

筆者紹介

井上 貴裕

(いのうえ・たかひろ)

東京医科歯科大学医学部附属病院特任講師、病院長補佐

医療政策学修士(MMA、東京医科歯科大学大学院)、経営学修士(MBA)
医療法人の副理事長、大手監査法人を経て、現在は、長野市民病院、武蔵野赤十字病院、山形県立中央病院、諏訪赤十字病院、君津中央病院等のアドバイザーとして地域中核病院の経営を支えている。
また、東京医科歯科大学医学部附属病院の病院長の経営参謀を勤めている。

【主な著書】
〔清文社〕
・『病院経営』(分担執筆)2010年4月
・『戦略的 病院経営マネジメント~医療の質と経済性の両立をめざす』(編著)2014年6月
〔日本医療企画〕
・『日本の医療関連サービス』2010年5月
・『診療科別・病院経営戦略の理論と実践』、2012年2月
・『診療報酬制度と医業収益』2012年7月
・『だれでもわかる!医療現場のための病院経営のしくみ2』(分担執筆)2011年5月
・『医療経営白書2009年度版~DPC時代の戦略的病院経営~』2009年10月
・『医療経営白書2010年度版~病院グループの戦略的経営』2010年9月
〔メディカ出版〕
・『学び直しのマネジメント基礎科目 国・数・英』2011年12月
・『算定もれ・持ち出しゼロの診療報酬マネジメントBOOK』2012年8月号

 

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