〔知っておきたいプロの視点〕
病院・医院の経営改善
─ポイントはここだ!─
【第10回】
「週末の病床利用率と救急医療」
東京医科歯科大学医学部附属病院
特任講師 井上 貴裕
1 病床利用率の意義
病院経営を語る際に、病床利用率は切り離すことができない。固定費が多くを占める医療機関の財務特性から考えて、一定の患者数の存在は不可欠である。
しかし、この病床利用率は、治療終了後に在院日数を引き延ばして維持すべきものではない。実際に、延べ入院患者数と医業利益率には正の相関がほとんどみられず、少しくらい入院期間を延ばしたからといって抜本的に業績が良くなることがないことを意味している。
新入院患者の獲得こそが業績向上につながるのであり、治療終了後はすみやかに退院させることが期待される。
2 延べ入院患者数を重視すべきではない3つの理由
延べ入院患者数を重視して治療終了後の入院を引き延ばすことは、患者にとって不利益をもたらすことはもちろん、病院経営にもマイナスの影響を及ぼす。
まず1つ目は、入院診療単価が下落することである。
DPC/PDPSという環境下では、特に入院期間Ⅱ以降は単価の下落が著しい。診断群分類による特性はあるが、入院期間Ⅲ以降の点数設定では固定費の回収もおぼつかないであろう。
2つ目は、DPC/PDPSでは機能評価係数Ⅱに効率性係数があり、在院日数が長いことはDPC対象病院の中で相対的に低い係数評価が行われる。
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