設備投資減税を正しく活用して強い企業をつくる
~設備投資における管理会計のポイント~
【第5回】
「「設備投資の経済性計算」を理解する」
公認会計士・税理士 若松 弘之
〈「設備投資の経済性計算」の理解〉
設備投資の意思決定をレベルアップするためには、管理会計の重要論点である「設備投資の経済性計算」を十分理解しておく必要がある。
この手法の、主なポイントは次のとおりである。
(1) その設備投資によって、収益(またはキャッシュ・インフロー)がいくら増え、費用(またはキャッシュ・アウトフロー)がいくら減るのか
(2) 減価償却費がどのように費用計上され、どの程度、納税額が減少するのか
(3) (1)と(2)の結果として、正味のキャッシュ・フローがいくらなのか
(4) 設備投資効果が続く期間にわたり、事業年度別に(3)を算定する
(5) (4)の合計金額の現在価値を算出する
(6) 予定している設備投資額と(5)を比較して投資の可否を決定する
もちろん「設備投資の経済性計算」は絶対的なものさしではなく、最終的な投資可否の判断の有力な一材料であり、その他の影響やリスクを幅広に検討して判断すべきことはいうまでもない。
以下では、上記のポイントについて順に説明していくこととする。
〈「利益」概念から「キャッシュ・フロー」概念へ〉
設備投資を検討するうえで必ず理解しておかなくてはならないのは、「投資の採算性はキャッシュ・フローで考える」ということである。
これは企業や事業全体にもいえることであり、結局、事業の成果とは「調達したキャッシュ」(インプット)と「獲得したキャッシュ」(アウトプット)の差額がいくらだったのかという点に尽きる。
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