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開示担当者のためのベーシック注記事項Q&A 【第9回】「会計方針の変更に関する注記」
開示担当者のための ベーシック注記事項Q&A 【第9回】 「会計方針の変更に関する注記」 仰星監査法人 公認会計士 竹本 泰明 Question 当社は連結計算書類の作成義務のある会社です。連結注記表及び個別注記表における会計方針の変更に関する注記について、どのような内容を記載する必要があるか教えてください。 Answer 連結注記表・個別注記表ともに、会計方針の変更の内容、変更の理由等を注記する必要があります。 なお、連結注記表における注記と個別注記表における注記が同一であるときでも、会計方針の変更の内容、変更の理由等、個別注記表で記載を省略できない項目があるため、注意が必要です。 ● ● ● 解説 ● ● ● 1 経団連のひな型による解説 経団連が公表している「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(改訂版)」(2022年11月1日)によれば、連結注記表、個別注記表それぞれ次のような注記が考えられます。 【連結注記表】 【個別注記表】 2 注記事項の解説 (1) 会計方針の変更に関する注記の全体像 連結計算書類の作成義務のある会社を前提とした場合、連結注記表・個別注記表で記載すべき会計方針の変更に関する注記事項は次のとおりです(会社計算規則第102条の2第1項)。 (①~⑥の付番は筆者加筆) (※1) 個別注記表に注記すべき事項が連結注記表に注記すべき事項と同一である場合において、個別注記表にその旨を注記するときは、個別注記表における当該事項の注記を要しません。 (※2) 当該会計方針の変更を会計上の見積りの変更と区別することが困難なとき(例:減価償却方法を変更したとき)は、当該事項の注記は要しません。 (※3) 会計監査人設置会社以外の株式会社及び持分会社にあっては、当該事項の注記を省略することができます。 (2) 注記事項の解説 原則として、一度適用した会計方針は毎期継続して適用する必要がありますが、会計基準等の改正に伴う場合や自発的に会計方針を変更し、その変更に正当な理由がある場合には会計方針を変更することが認められます。 そのときに、会計方針の変更によって計算書類にどのような影響があったかを利用者に示すため、一定の内容の注記が求められます。 これまでの連載で説明した注記では、連結注記表と同一の内容である旨を記載することで個別注記表での詳細な記載を省略できる事項が多かったですが、会計方針の変更に関する注記では、連結注記表と同一の内容であっても個別注記表で詳細な記載を省略できない事項があるので注意が必要です。 それでは、実際の注記を見ていきましょう。 [日本曹達株式会社 2022年3月期 連結注記表] ※日本曹達株式会社「第153回定時株主総会招集ご通知に際してのインターネット開示情報」9頁より抜粋。 [ヴィスコ・テクノロジーズ株式会社 2021年3月期 連結注記表] ※ヴィスコ・テクノロジーズ株式会社「第18回定時株主総会招集ご通知」26頁より抜粋。 [ヤマトホールディングス株式会社 2022年3月期 連結注記表] ※ヤマトホールディングス株式会社「第157期定時株主総会招集ご通知に際してのインターネット開示事項」4頁より抜粋。 * * * 次回の第10回は、「会計上の見積りの変更に関する注記」をテーマに解説します。 (了)
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〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例81】フジテック株式会社「臨時株主総会決議の結果等に関するお知らせ」 (2023.2.24)
〔検証〕 適時開示からみた企業実態 【事例81】 フジテック株式会社 「臨時株主総会決議の結果等に関するお知らせ」 (2023.2.24) 公認会計士/事業創造大学院大学教授 鈴木 広樹 1 今回の適時開示 今回取り上げる開示は、フジテック株式会社(以下「フジテック」という)が2023年2月24日に開示した「臨時株主総会決議の結果等に関するお知らせ」である。タイトルどおり同日開催された臨時株主総会の決議結果が記載されているのだが、それだけではない。タイトルをよく見ると、「臨時株主総会決議の結果」の後に「等」が付されている。この「等」は何かというと、2023年2月21日に開示された「社外取締役辞任及び当社臨時株主総会付議議案の一部撤回に関するお知らせ」の一部訂正である。 まず臨時株主総会の決議結果の方は、Oasis Investments Ⅱ Master Fund Ltd.及びOasis Japan Strategic Fund Ltd.(以下「オアシス」という)により招集請求された臨時株主総会において(2022年12月6日に「株主による臨時株主総会の招集請求に関するお知らせ」を開示)、フジテックの元々いた社外取締役5名のうち3名が解任され、オアシスが提案した社外取締役4名が選任されたという内容である。 タイトルからこの臨時株主総会の決議結果が主たる内容かと思われるのだが、「社外取締役辞任及び当社臨時株主総会付議議案の一部撤回に関するお知らせ」の一部訂正の方が、フジテックの企業実態をよく表しているように思われるので、本稿ではそちらを取り扱うこととする。 2 一部訂正の内容 「社外取締役辞任及び当社臨時株主総会付議議案の一部撤回に関するお知らせ」には、「辞任の理由」として次のように記載されていた。 今回の開示では、下線を付した「一身上の都合により」を「ガバナンスに関する考え方が当社とは大きく異なるため」に訂正している。2023年2月24日開催の臨時株主総会では引頭麻実氏(以下「引頭氏」という)も解任の対象とされていたため、2月21日の開示を見た際は、「解任されるのは格好悪いので、その前に辞任しておこうということかな」と思っていたのだが、そうではなかったようである。「訂正の理由」の記載は次のとおりである。 おそらく、2月21日の開示の後、引頭氏がフジテックに対して訂正するよう要求したのだろう。辞任の理由とし、また、あえて開示の訂正を求めていることから、引頭氏は、フジテックの企業統治(コーポレートガバナンス)に関する考え方に対して強い違和感を抱いていたように思われる。引頭氏とフジテックの間で企業統治に関する考え方がどのように異なっていたのだろうか。 3 ガバナンス先進企業? フジテックは、2023年1月20日に開示した「臨時株主総会の付議議案及び株主提案に対する当社取締役会の意見に関するお知らせ」において(この中でフジテック取締役会は、オアシスが提案したすべての議案に反対している)、取締役9名のうち6名が社外取締役であり、それはTOPIX構成銘柄比上位約3.8%であることや、取締役9名のうち2名が女性取締役であり、それはTOPIX構成銘柄比上位約13.3%であることなどをあげて、自社を「日本におけるガバナンス先進企業」であるとしている。 どうもフジテックは、社外取締役が多いほど企業統治が進んでいると考えているようなのだが、その考え方は適切なのだろうか。確かにコーポレートガバナンス・コードの「原則4-8.独立社外取締役の有効な活用」では、次のように定められている。 しかし、これは、社外取締役の数が少ないと、その影響力を期待できないので、一定数必要だという意図で、多ければ多いほど良いということではないと思われる。同社は監査役設置会社であり、監査役設置会社の場合、取締役会が重要な業務執行を決定する(会社法362条4項)。社内取締役が3名、社外取締役がその倍の6名という構成で、同社の意思決定に支障が生じないのだろうか。同社の事業を熟知しているはずの社内取締役ではなく、必ずしも熟知しているとは限らない社外取締役の判断が優先されてしまう場合があり得る(指名委員会等設置会社の場合は、通常、取締役の大半を社外取締役にしても、執行役は社内出身者で固める)。同社の取締役の構成はバランスを欠いているように思われる。 なお、2名の女性取締役はいずれも社外取締役であり、社内取締役は全員男性である。 4 企業統治上問題ないとは? 臨時株主総会へと至る、フジテック取締役会とオアシスの対立は、オアシスが、フジテックと同社代表取締役の内山高一氏(当時。以下「内山氏」という)及びその関係会社との間で為されている関連当事者取引などについて企業統治上問題があると指摘したことから始まっている。その指摘に対して、フジテックは、1名の弁護士による調査を受けたうえで2022年5月30日に「当社株主による主張に対する取締役会決議に関するお知らせ」を開示したのだが、それには次のような記載がある(5月29日に決議したのなら、30日ではなく29日に開示すべきだが)。 その開示には弁護士による調査結果が添付されているが、そこで示されているのは、法的に問題ないということだけである。法的に問題ないということと、企業統治上問題ないということとは、当然イコールではない。フジテック取締役会は、同社の「取締役会、社外取締役のみによる会議体その他で重ねてきた審議、検討の結果を踏まえ」、「企業統治上も問題ない」と判断している。同社の企業統治が機能しているか否かが問われているのに、それを同社内部で判断しており、これは、患者が医師に診てもらわず、自身で病状を判断するようなものである。同社は企業統治について誤解しているのではないだろうか。 その後、同社は、2022年6月17日「第三者委員会による追加調査実施に関する取締役会決議のお知らせ」を開示し(2022年8月10日に「第三者委員会に関するお知らせ」において第三者委員会の構成を開示)、初めに次のように記載している。5月30日の開示に対して多くの疑念の声が出たのだろう。 5 仏作って魂入れず? フジテックは、企業統治について「形さえ整えれば」と捉えているように見える。引頭氏にも、考え方が異なるというより、同社は企業統治の意味を理解していないように見えたのではないだろうか。ただ、同社のような日本の上場会社は、ほかにもたくさんあるように思われる。 なお、同社は2022年6月23日に「第75期定時株主総会付議議案の一部撤回のお知らせ」を開示し、同日開催の定時株主総会へ付議予定だった内山氏の取締役選任議案を撤回している(同日併せて「代表取締役の異動に関するお知らせ」において、内山氏が代表権のない会長へ就任することを開示)。その「撤回する理由」の記載は次のとおりである(下線は筆者による)。 内山氏は、第三者委員会から問題ないというお墨付きをもらって、正々堂々と代表取締役に返り咲いてやろうと考えているのかもしれない。第三者委員会の結論がどうなるか、本稿執筆時点では不明だが、仮に問題ないという結論を得られたとしても、オアシスが提案した者が社外取締役に入ったため、揉めに揉めることになるだろう。 (了)
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《速報解説》 東証、有価証券上場規程等の一部を改正~スタートアップの新規上場手段多様化を図る観点から、IPOに関する上場制度等を見直し~
《速報解説》 東証、有価証券上場規程等の一部を改正 ~スタートアップの新規上場手段多様化を図る観点から、IPOに関する上場制度等を見直し~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2023年3月10日、東京証券取引所は、「IPOに関する上場制度等の見直しに係る有価証券上場規程等の一部改正について」を公表した。 東京証券取引所は、2022年12月16日から、上記の見直しに関する要綱を公表し、意見募集を行っていた。パブリック・コメントの結果についても公表されている。 これは、2022年8月24日の「IPO等に関する見直しの方針について」において公表済みの内容を具体化したものであり、スタートアップにおける新規上場手段の多様化を図る観点から、新規上場プロセスの円滑化やダイレクトリスティングの環境整備など、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ」(2022年6月7日閣議決定)等に掲げられた事項も含めて、所要の上場制度等の見直しを行うものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 新規上場プロセスの円滑化 1 新規上場申請書類 2 形式要件 3 上場審査 新規上場申請者は、定時株主総会の到来(決算の確定)にかかわらず、新規上場申請日から1年の間は、改めて新規上場申請を行わず上場審査を継続できる。 4 初値形成 直接上場銘柄の上場日の売買において成行売呼値及び成行買呼値を禁止する。 Ⅲ ダイレクトリスティングの導入 ダイレクトリスティング(上場する際に、新株の発行を行わないで、既存の株式だけを上場する方法)について、グロース市場への新規上場申請者は、新規上場時において時価総額が250億円以上となることが見込まれる場合には、新規上場に際して公募の実施を求めない。 Ⅳ 純資産の額に関する上場維持基準の見直し グロース市場上場会社が、事業年度の末日において純資産の額が正でない状態となった場合においても、時価総額が100億円以上である場合(当該状態となった理由が中長期的な企業価値向上に向けた投資活動に起因して生じた損失によると当取引所が認めた場合に限る)であって、基準の適合に向けた計画を適切に開示しているときには、当該計画の計画期間に基づき改善期間を設定するものとする。 Ⅴ 実施時期等 原則として、2023年3月13日から施行する。 「新規上場日の売買における成行呼値の禁止(呼値に関する規則の一部改正)」については、2023年6月26日以後に新規上場を行う銘柄から適用する。 詳細な規定が設けられているので、実際の実施に際しては注意する。 (了)
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プロフェッションジャーナル No.511が公開されました!~今週のお薦め記事~
2023年3月16日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.511を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
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日本の企業税制 【第113回】「パーシャルスピンオフに係る課税繰延べ制度の創設」
日本の企業税制 【第113回】 「パーシャルスピンオフに係る課税繰延べ制度の創設」 一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴 令和5年度税制改正に係る法案審議は、2月末に衆議院を通過したところである。今回の改正の1つに、社内ベンチャーの独立化等を念頭に、スピンオフ税制の特例措置が、1年限定という形ではあるが、盛り込まれている。 従前、スピンオフに係る課税繰延べ措置(適格分割型分割・適格株式分配)は、平成29年度税制改正において創設され、その母体から完全に分離独立する場合に限り認められていたところであるが、今回の特例措置は、完全分離ではなくとも、相当程度母体からの独立性が担保されている場合(パーシャルスピンオフ)にも、課税の繰延べを認めることとしている(措法68の2の2)。独立初期段階において母体の信用力、ブランド等を活用することで、早期のテイクオフを促す効果が期待される。 〇事業再編計画の認定が前提 今回の措置は、従前の適格株式分配の対象に、産業競争力強化法の認定を受けた事業再編計画に基づく完全子法人株式のみの現物分配(「認定株式分配」)で一定の要件を満たすものを追加するものである。 したがってパーシャルスピンオフの課税の特例を適用するには、税法上の要件に加えて、産業競争力強化法上の事業再編計画の認定要件をクリアする必要がある。従前の完全スピンオフの場合には、税制上は産業競争力強化法の認定は不要(会社法上の特例を受けるのであれば認定が必要)であるのと異なる点である。 事業再編計画の認定を受ける期間は、「令和5年4月1日から令和6年3月31日までの間」とされている。この期間内に認定を受ければ、パーシャルスピンオフの実施が期間外であっても今回の措置の適用は可能である。 〇事業再編計画の認定要件 事業再編計画の認定要件の詳細は事業再編の実施に関する指針において規定されるが、すでに、事業再編計画の認定要件に関して、経済産業省から2月10日に事業再編の実施に関する指針の一部を改正する告示案がパブリックコメントに付されていたところである。 今回の告示案によれば、これまでも要件とされていた、計画開始から3年以内に、次のように、一定の生産性の向上及び一定の財務内容の健全性の向上が達成されることが必要である。 さらに、「認定株式分配」となるには、これら2つの認定要件に加えて、次のいずれかの要件をみたすことが求められている。 〇税法上の要件 税法上の要件については、法案レベルでは、株式分配直後に現物分配法人による持分割合が20%未満となることのみが規定されるにとどまり、詳細は政令に委ねられているが、税制改正大綱においては、概要は次のように示されている。 これらの要件は、従前の適格株式分配を規定する法人税法2条12号の15の3及び法人税法施行令4条の3第16項で規定されているものとほぼ同じであるが、②のところが80%ではなく90%とされている点が異なっている。 (了)
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令和5年以後の国外居住親族に係る扶養控除等の適用ポイント 【第1回】「令和5年以後の制度の概要と源泉徴収の際の手続」
令和5年以後の 国外居住親族に係る扶養控除等の適用ポイント 【第1回】 「令和5年以後の制度の概要と源泉徴収の際の手続」 公認会計士・税理士 篠藤 敦子 令和2年度税制改正により、令和5年分の所得税から扶養控除の対象となる国外居住親族の範囲について見直しが行われている。 本連載では今回より3回シリーズで、見直し後の制度の概要及び具体的な手続や提出書類等について、実務的な観点から解説を行う。 【第1回】(本稿)は、見直し後の制度の概要と源泉徴収の際の手続について取り上げる。 【1】 見直し後の制度の概要 令和5年以後は、国外居住親族(※)のうち年齢が30歳以上70歳未満の者については、合計所得金額が48万円以下であったとしても、留学している等の一定の要件を満たしていなければ扶養控除の適用を受けることができない(所法2①三十四の二ロ)。 (※) 国外居住親族とは、親族のうち非居住者である者をいう。非居住者とは、居住者(国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人)以外の個人をいう。 見直しの背景や見直しの詳細については、下記拙稿をご参照いただきたい。 【2】 源泉徴収の際の手続 (1) 扶養控除等申告書の記載 給与所得者(居住者)が扶養控除の適用を受けようとする場合には、その年最初に給与等の支払を受ける日の前日までに、給与等の支払者に対し控除対象扶養親族の氏名等を記載した「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下、「扶養控除等申告書」という)を提出しなければならない(所法194①)。 さらに、控除対象扶養親族が国外居住親族である場合には、その旨及び控除対象扶養親族に該当する事実を記載する必要がある(所法194①七)。 〈扶養控除等申告書の記載方法〉 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (2) 確認書類の提出又は提示 国外居住親族について扶養控除の適用を受けるには、上記(1)の記載をした扶養控除等申告書を提出する際、その親族に係る一定の確認書類を提出又は提示する必要がある(所法194④)。 国外居住親族の年齢又は要件ごとに提出又は提示が必要とされる確認書類は、次のとおりである(所令316の2②③、所規73の2②二、③④)。 〈確認書類一覧〉 (注) 国外居住親族について配偶者控除、配偶者特別控除、障害者控除の適用を受ける際にも、上表と同様の確認書類の提出又は提示が必要である。 * * * 次回(第2回)は、各確認書類の詳細について解説を行う予定である。 (了)
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〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第47回】「M&Aを契機とした借地権の返還」
〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第47回】 「M&Aを契機とした借地権の返還」 税理士 中尾 隼大 ○●○● 解 説 ●○●○ (1) 借地権の無償譲渡等に係る課税関係 地主がその所有する土地に借地権を設定した場合、地主はその土地を自由に使用収益できなくなること等から、借地権の設定はその土地に関する権利の部分的な譲渡であると考えられている。このような事情に鑑みて、借地権の設定時及び返還時において、地主と借地権者との間で権利金(返還の場合には立退料)の受渡しが行われる慣行がある地域もある。 借地権の設定時においては、権利金に換えて相当の地代によることも税務上認められており、権利金や相当の地代の受渡しが行われた場合には、その取引は正常な取引条件でなされたものとして法人の課税所得が計算されることとなる(法令137)(※1)。 (※1) なお、法人税法上の借地権は、「地上権又は土地の賃借権」と定義されている(法令137かっこ書き)。 これに対して、借地権を返還する場合において、このような取引慣行があるにもかかわらず、地主から借地権者に対して立退料等の支払いが行われなかった場合には、地主に対して贈与があったものとされるのが税務上の原則的な取扱いである。この場合において、地主が法人の役員を兼ねていた場合には、役員に対する給与とされ、かつ定期同額給与等に該当しないとして税務リスクが生じる可能性を検討する必要がある。 ここで、立退料等の支払いがない場合においても、以下の法人税基本通達13-1-14(1)~(3)に該当する場合には、立退料等の授受がない場合でも例外的に認められる。 上記通達の理由のうち、(3)の下線を付した「その他これに類する理由」の該当性判断が難しいと思われるが、具体的な判断基準は通達中に示されていない。しかし、上記通達の理由(3)の解説として「経済環境の変化等により、従前の借地上の建物をそのまま利用することが経済的に困難となり、仮に他に転用するとすれば、相当の改造、改修その他の資本的支出をしなければならない状況において、このような再投資をしても、更に経営を継続することについて採算の見通しが全く立たないため、やむを得ず借地契約を解消するというような事例とか、従来、従業員宿舎用地等として借地していた状況において、工場移転に伴って従業員宿舎が不要になったので、これを取り壊して土地を返還するというような事例が、ここでいう借地権を存続させることが困難であると認められる事情に当たると考えてよいと思われる」とする解説がある(※2)。 (※2) 高橋正朗編著『法人税基本通達逐条解説 十訂版』(税務研究会出版局、2021)1379-1380頁。 上記解説によれば、借地権を有する法人にとって、土地の上にある建物に経済的・状況的な利用価値がなくなったことを受け、コスト面に鑑みて借地権を返還したような場合には、無償返還が認められる事由に当たると判断してよいと思われる。 (2) 借地権を返還したことに関して課税関係が争われた事例 ここで、借地権の返還において上記通達の理由(3)の適用が争点となった事例として、国税不服審判所平成22年7月9日裁決がある(※3)。以下にその概要を記載する。 (※3) 裁決事例集等未登載、TAINS:F0-2-370。 この事例では、国税不服審判所によって法人税基本通達13-1-14(3)についての趣旨が示されている。それによると、「経済的合理性の面から見て、借地契約の存続が困難であるという場合には、借地権としての交換価値がほとんどなく、当事者間に借地権の価額に相当する贈与も認められず課税関係が生じないとするもので、ある程度弾力的に無償返還を認めるという趣旨であ」ることがその趣旨であるとされている。そして、その適用については、通達の例示中にある「著しく老朽化したこと」に限らず、「経済環境の変化等により、従前の借地上の建物をそのまま利用することが経済的に困難となり、仮に他に転用するとすれば、相当の改造、改修その他の資本的支出をしなければならない状況において、このような再投資をしても、更に営業を継続することについての採算の見通しが全く立たないため、やむを得ず借地契約を解消するというような場合などが当たる」とした。 また、国税不服審判所が認定した事実の中に、経営立て直しのために財産を処分する旨の覚書の取り交わしの日から3日後に、当該役員は納税者の代表取締役の地位を譲り、代表権のない取締役になった上、本件覚書等に役員あるいは株主としての権利を制限する事項が明確に盛り込まれたという点がある。これは事実上、当該役員は納税者の経営方針等に関する決定権限を失ったものと認められるとされた上で、その後になされた合意解除は、納税者において本件建物が従来の使用目的を果たせなくなり、不必要な賃借料の削減というコスト面から、土地所有者である当該役員に申し出て合意されたものとみることが相当であり、土地所有者の都合による解除とはいえない旨が示されている。 (3) M&Aの場面への適用について 上記通達の理由(3)の解説やこのような事例から、通達が例示する建物の老朽化という事情のほか、移転により借地権を維持することに経済合理性がなくなったために地主に返還した場合には、立退料等の支払いがない場合においても認められる余地があると考えられる。 M&A後に本社移転が検討されるのであれば、本社移転を選択したのは買手を含む法人側の経営上の判断であるため、地主である現代表取締役の個人的な都合ではないと捉えられる可能性は高いだろう。もっとも、このようなケースが想定されるのであれば、借地権の設定時において「土地の無償返還に関する届出書」を提出しておくことにも一考の余地がある。また、本社ではなく、工場等を移転させる場合には、ISO認証等のハードルが別途存在することについても留意する必要があるだろう。 (了)
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基礎から身につく組織再編税制 【第50回】「適格現物分配を行った場合の申告調整」
基礎から身につく組織再編税制 【第50回】 「適格現物分配を行った場合の申告調整」 太陽グラントソントン税理士法人 ディレクター 税理士 川瀬 裕太 今回は、適格現物分配を行った場合の申告調整の具体例について解説します。 1 適格現物分配を行った場合の現物分配法人の処理 (1) 前提条件 (2) 会計処理 現物分配法人B社の会計処理は、次のとおりです。 (3) 税務処理 現物分配法人B社の税務処理は、次のとおりです。 ① 資産の譲渡 現物分配法人が適格現物分配により被現物分配法人にその有する資産を移転したときは、現物分配時の帳簿価額による譲渡をしたものとします(法法62の5③)。 現物分配法人B社は、被現物分配法人A社に土地を帳簿価額で譲渡したものとされ、譲渡損益は生じません。 ② 適格現物分配により減少する利益積立金額 適格現物分配による剰余金の配当等が行われた場合には、現物分配法人において交付資産の帳簿価額に相当する金額の利益積立金額の減少を認識します。 現物分配法人B社において減少する利益積立金額は、適格現物分配の直前の土地の帳簿価額に相当する金額である2,000となります。 ③ 適格現物分配により減少する資本金等の額 適格現物分配が行われた場合には、現物分配法人B社の資本金等の額は減少しません。 ④ 源泉徴収 現物分配法人B社は適格現物分配による配当金の額については、源泉徴収する必要はありません。 (4) 会計処理と税務処理の調整 会計処理と税務処理を比較すると、差異が生じているため、調整する必要があります。 調整仕訳は、次のとおりです。 会計上は、譲渡益が収益に計上されているため、別表4で所得を減算する処理が必要となります。 その他の調整仕訳については、損益項目が含まれないため、別表4での申告調整は行わず、別表5(1)のみで調整することとなります。 (5) 別表4の処理 別表4の処理については、次のとおりです。 (6) 別表5(1)の処理 別表5(1)の処理については、次のとおりです。 (注) ※印は調整仕訳により生じたものであることを表示するために記入しています。 ◆ポイント◆ ① 譲渡益の「減」の欄に記載されている3,000は別表4で減算したものです。 ② 現物分配法人B社において減少する利益積立金額が2,000となっているかを別表5(1)で確認することが重要です。 2 適格現物分配を行った場合の被現物分配法人の処理 (1) 資産の取得 被現物分配法人が適格現物分配により現物分配法人から資産の移転を受けたときは、資産の取得価額は現物分配直前の帳簿価額となります(法法62の5⑥、法令123の6①)。 被現物分配法人A社が適格現物分配により取得した土地の取得価額は、現物分配直前の帳簿価額である2,000となります。 (2) 剰余金の配当等 剰余金の配当等が適格現物分配により行われた場合には、移転を受けた資産の帳簿価額相当額の全額が益金不算入となります(法法62の5④)。 適格現物分配の場合には、受取配当等の益金不算入の規定は適用されず、適格現物分配の益金不算入の規定により全額が益金に算入されません。 適格現物分配があった場合には、被現物分配法人A社において、土地の取得価額相当額である2,000の全額が益金不算入となります。 (3) 会計処理 被現物分配法人A社の会計処理は、次のとおりです。 会計上は、現物分配法人株式の一部を、配当で受け取る財産と引き換えたものとみなして、帳簿価額を減額することがあり、減額する帳簿価額を今回は1,000と仮定します。 (4) 税務処理 被現物分配法人A社の税務処理は、次のとおりです。 (5) 会計処理と税務処理の調整 会計処理と税務処理を比較すると、差異が生じているため、調整する必要があります。 調整仕訳は、次のとおりです。 会計上は、受取配当が過大に計上されているため、別表4で所得を減算する処理が必要となります。 その他の調整仕訳については、別表4で申告調整が必要なものはなく、別表5(1)のみで調整することとなります。 (6) 別表4の処理 別表4の処理については、次のとおりです。 (7) 別表5(1)の処理 別表5(1)の処理については、次のとおりです。 ◆ポイント◆ 被現物分配法人A社において増加する利益積立金額が2,000となっているかを別表5(1)で確認することが重要です。 (了)
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相続税の実務問答 【第81回】「贈与税の申告書に記載した贈与年月日と相続税の課税価格への加算」
相続税の実務問答 【第81回】 「贈与税の申告書に記載した贈与年月日と相続税の課税価格への加算」 税理士 梶野 研二 [答] あなたが、200万円をお父様から贈与された日が、お父様の相続開始前3年以内ではないのであれば、その200万円の贈与についての贈与税の申告書の記載に関わらず、その金額を相続税の課税価格に加算する必要はありません。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 贈与税の申告 (※) 贈与税の課税方法として相続税法には、暦年課税と相続時精算課税の2つの方法が定められていますが、質問者は、相続時精算課税の選択はしていないとのことですので、暦年課税を前提に説明します。 贈与により財産を取得した者は、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額が贈与税の基礎控除額(110万円)を超える場合には、原則として、その翌年の2月1日から3月15日までの間に、課税価格、贈与税額その他相続税法施行規則に定められた事項を記載した贈与税の申告書を納税地の税務署に提出し、その申告書に記載された贈与税を納付しなければなりません(相法28①、33)。 相続税法施行規則第17条には、贈与税の申告書の記載事項が定められていますが、主な記載事項は次のとおりです。 この記載事項のうち「財産の取得の年月日」の記載は、その贈与を受けた者が無制限納税義務者になるのか制限納税義務者になるのかの判定、適用される法令や通達の判定、その財産の具体的な評価額の計算などのために意味を持ちますが、財産の贈与をした者が亡くなった場合に、その財産の価額を相続税の課税価格に加算する必要があるかどうかの判断において特に重要な意味を有しています。 贈与による財産の取得日は、原則として、書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行の時とされています(相基通1の3・1の4共-8)ので、贈与税の申告書には、「贈与による財産の取得日」として、契約の効力発生日又は履行があった日を記載することとなります。 2 被相続人の相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産 相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前3年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合は、当該贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算しなければなりません(相法19)。 なお、「相続の開始前3年以内」とは、その相続の開始の日からさかのぼって3年目の応当日から当該相続の開始の日までの間をいいます(相基通19-2)。 贈与税の申告書が提出されている場合には、一般的には、その申告書の「財産を取得した年月日」欄に記載された日に贈与があったと推定されますから、その日を基に相続税の課税価格への加算が必要かどうかを判定しますが、実際の贈与日が同欄に記載された日とは異なるのであれば、実際に贈与によりその財産を取得した日を基に判定することとなります。 3 ご質問の場合 お父様の相続開始日は、令和4年12月10日ですので、お父様から相続又は遺贈により財産を取得した者が、その3年前の応答日である令和元年12月10日以後にお父様から贈与を受けた財産があれば、その価額を相続税の課税価格に加算しなければなりません。 あなたが、200万円を贈与により取得した日として令和元年分の贈与税の申告書に記載した日は令和元年12月31日ですので、この記載による限り相続税の課税価格への加算が必要となります。しかしながら、あなたがお父様から実際に贈与を受けた日が、12月31日ではなく、10月5日であるならば、お父様の相続開始前3年以内に取得した贈与財産ではありませんので、加算の必要はありません。 あなたの場合には、あなたの銀行口座の入金状況や預金通帳のメモ書き、お父様の銀行口座からの出金状況から、「取得日」は10月5日であることが確認できるとのことですので、そうであるならば、令和元年のお父様からの贈与金額200万円は、相続税の課税価格に加算する必要はありません。 令和5年度税制改正により、暦年課税における相続開始前の贈与の加算期間が、3年から7年に延長されました。贈与後、日数が経過するに従って贈与の日を確認することは難しくなりますので、7年も前の贈与について贈与を受けた日を特定することができないケースも出てくると思われます。贈与税の申告書の作成に当たっては、もしもの時に備えて、正確な取得の日を記載するよう注意する必要があります。 (了)
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暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第13回】
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第13回】 「NFTに関する税務上の取扱いに係るFAQ詳解④」 千葉商科大学商経学部准教授 泉 絢也 問5 第三者の不正アクセスにより購入したNFTが消失した場合 【雑損控除】 不正アクセスにより、購入したNFTが消失した場合において、そのNFTが生活に通常必要でない資産や事業用資産等に該当せず、かつ、そのNFTの消失が盗難等に該当する場合には、「そのNFTが消失した時点の時価」が雑損控除の対象になるということである(所法72)。 上記の生活に通常必要でない資産とは、次の資産をいう(所令178①)。 デジタルアートに紐付けられたNFTの場合、動産ではないことが明らかであるため、上記②の該当性を検討することになる。営利を目的として継続的にNFTを譲渡していない個人の場合には、デジタルアートに紐付けられたNFTが上記②の主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する資産に該当する可能性は十分残されている。 FAQの解説では、「事業用資産等とは、棚卸資産又は業務の用に供される資産(繰延資産のうち必要経費に算入されていない部分を含みます)及び山林」をいうとしている。 また、「損失の額は、そのNFTが消失した時点の時価」となるが、「時価が分からない場合には、そのNFTの購入金額として差し支えありません。」とされている。 【デジタル資産の盗難と雑損控除】 国税庁は、有体物ではないデジタルのものでも盗難に当たり、雑損控除の適用可能性があることを認めたことになる。 説明を補足すると、NFTの盗難は雑損控除でいう盗難に当たるのかという論点がありうる。 雑損控除でいう盗難は、刑法の窃盗と同一の概念と理解するのが学説や裁判例の傾向であり、そこから、刑法でいう窃盗の対象は有体物に限るという理解を前提に雑損控除でいう盗難も有体物に限るという見解がありえた。 少なくとも、有体物ではないデジタルアートに紐付いたNFTに関する上記FAQにおいては、雑損控除でいう盗難の対象を有体物に限定して考えてはいないということであろう。このような対応は、一般の利用者の感情に適合するものと思われる。 【損失・必要経費】 FAQの解説では、 そのNFTが事業用資産等に該当する場合には、その損失について、事業所得又は雑所得の金額の計算上、「そのNFTの帳簿価額」を必要経費に算入することができるとしている。 ここでは、雑所得に言及しているにもかかわらず、損失の必要経費算入規定である所得税法51条4項の「雑所得の所得の基因となる資産」該当性について触れていないことにどのような意図があるのか、判然としない。 雑損控除と損失による必要経費のいずれか有利な方を選択して適用することが認められるようなケースもあるかもしれないが(所得税基本通達72-1参照)、FAQの記載振りからは判断し難い。 問6 役務提供の対価として取引先が発行するトークンを取得した場合 役務提供の対価に係る所得区分について、FAQの解説では、次のように整理されている。 事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意志と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい、これに対し、給与所得とは雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいうと解されている(最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決・集民132号619頁)。 上記のような理解と比較すると、FAQの記載は簡単にすぎるように思われる。 もっとも、労務提供に係る所得の所得区分について、契約類型との関係では、実務上、雇用契約であれば給与所得、請負契約であれば事業所得又は雑所得、委任契約であれば給与所得(役員の場合)、事業所得、雑所得のいずれか、という簡易的な基準で判断がなされてきた。 国税庁も「大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて(法令解釈通達)」において、「大工、左官、とび職等が、建設、据付け、組立てその他これらに類する作業において、業務を遂行し又は役務を提供したことの対価として支払を受けた報酬に係る所得区分は、当該報酬が、請負契約若しくはこれに準ずる契約に基づく対価であるのか、又は、雇用契約若しくはこれに準ずる契約に基づく対価であるのかにより判定する」としている。その上で、その区分が明らかでないときは、種々の事項を総合勘案して判定することとしている。 なお、役務提供の対価の額について、FAQの解説では、「そのトークンの時価」となるが、「そのトークンが暗号資産などの財産的価値を有する資産と交換できないなどの理由により、時価の算定が困難な場合には、契約などによって定められた役務提供の対価の額を、そのトークンの時価と取り扱って差し支えありません」としている。 いわば入ってきたもの(トークン)の時価を直接的に算定することが困難な場合に、出ていったもの(提供された役務)の契約等で定められた対価の額で間接的に算定する方法を提示しているのである。 この部分は、「トークンが暗号資産などの財産的価値を有する資産と交換できない」こと以外の他の理由も含めて、トークンの「時価の算定が困難な場合」に該当するかどうかを判断する必要がある。 また、市場性のある暗号資産と間接的にでも交換できるのであれば、通常は、時価の算定が困難であるとはいえないと指摘されるかもしれない。 (了)
