件すべての結果を表示
お知らせ 所得税 税務 税務・会計 税務情報の速報解説 速報解説一覧

《速報解説》 国税庁、令和3年5月20日東京地裁判決を受け平成27年以前の公社債の譲渡による譲渡所得の取扱いを変更~旧規定で課税対象となる公社債に係る「150%基準」の判定時期を見直し~

《速報解説》 国税庁、令和3年5月20日東京地裁判決を受け平成27年以前の公社債の譲渡による譲渡所得の取扱いを変更 ~旧規定で課税対象となる公社債に係る「150%基準」の判定時期を見直し~   Profession Journal編集部   国税庁は6月22日付けで「平成27年以前の公社債の譲渡による譲渡所得に係る取扱いについて」を公表、平成28年に施行された公社債課税制度の改正前制度における取扱いを一部変更したことを明らかにした。 平成25年度税制改正では特定公社債等の譲渡所得等について非課税の対象から除外され原則15%の申告分離課税とするなど金融所得課税の一体化に向けた見直しが行われ、平成28年から施行されている。 この改正前制度では、一定の公社債の譲渡による譲渡所得のみ課税対象とされており、「割引の方法により発行される公社債等の譲渡による所得の課税の特例」(旧措法37の16①、旧措令25の15、旧措規18の16)において規定されていたが、上記の改正時にこの規定は廃止された(個人が平成28年1月1日前に行った公社債の譲渡について適用)。 廃止された旧規定では、課税対象となる公社債の要件の1つに、「その利子の利率のうち最も高いものを最も低いもので除して計算した割合が100分の150以上である公社債(利子を付さない期間があるものを含む。)」(旧措令25の15②四)が掲げられていたが(150%基準)、従来の取扱いとして、その公社債に該当するのは「発行時点において、発行条件に定められた各利払期間の利子の利率により、その公社債の各利払期間の利子の利率のうち最も高いものを最も低いもので除して計算した割合が100分の150以上になることが必然であるもの」とされていた。 上記の取扱いであったところ、このほど、債券の利子の利率が一定の時期における一定の基準(為替レートなど)により変動する債券について、この 150%基準に該当するか否かが争われた令和3年5月20日東京地裁判決において、下記の旨が判示された。 上記の判決を受け、国税庁は従来の取扱いを変更し、150%基準に該当するか否かについては、「債券の発行条件に照らし、その発行期間においてとり得るものとされている上限利率及び下限利率を基に、その発行時の現況に照らして 150%基準を満たす現実的可能性がおよそないと認められるような特段の事情がない限り、150%基準を充足するか否か」により判断することとした。 この取扱いの変更は過去に遡って適用されることから、国税庁は、変更後の取扱いにより平成27年分以前の所得税について納めすぎになる場合には更正の請求により還付の対象(ただし法定申告期限から5年以内)となるとしている(更正の請求にあたっては譲渡した公社債の利子の利率の内容を確認することができる書類等の提出が必要)。 (了) ↓お勧め連載記事↓
#424(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/06/23
お知らせ 国税通則 税務 税務・会計 税務情報の速報解説 速報解説一覧

《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(令和2年10月~12月)」~注目事例の紹介~

 《速報解説》 国税不服審判所 「公表裁決事例(令和2年10月~12月)」 ~注目事例の紹介~   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   国税不服審判所は、2021(令和3)年6月17日、「令和2年10月から12月までの裁決事例の追加等」を公表した。追加で公表された裁決は表のとおり、法人税法が3件、国税通則法が2件、相続税法が1件で、合わせて6件となっている。 今回の公表裁決では、6件のうち3件が国税不服審判所によって、原処分庁の課税処分等の全部又は一部が取り消され、納税者の審査請求が棄却されたものが2件で、1件は却下されている。 【表:公表裁決事例令和2年10月から12月分の一覧】※本稿で取り上げた裁決 本稿では、公表された6件の裁決事例のうち、法人税に関連する裁決3件(いずれも、国税不服審判所が、原処分庁の賦課決定処分の一部又は全部を取り消すという判断を示している)について、検討したい。 なお、いずれの裁決も複数の争点があるが、中心的な争点に絞っていることを、あらかじめお断りしておく。   1 不動産売買契約に基づく土地等の譲渡に係る収益が請求人に帰属しないとした事例・・・③ 本件は、原処分庁が、①一般土木建築工事の調査、設計、積算、監理及び施工請負並びに土地の造成及び売買、保有、管理、賃貸借、仲介等を目的とする株式会社である審査請求人(以下「請求人」という)及び請求人以外の法人の行った土地等の譲渡等に係る収益は、その全てが請求人に帰属し、平成25年3月期の収益に計上する、②請求人による土地の開発申請に係る業務の役務提供は平成29年3月期に完了し、収益は確定している、③請求人が地上権設定契約の締結に伴い収受した金員は、返還されることのない「権利金」であり、平成30年3月期に計上すべき収益に当たるなどとして、青色申告の承認の取消処分及び更正処分等を行ったのに対し、請求人が、①土地等の譲渡等に係る収益は、請求人にその全てが帰属するものではなく、また、請求人に帰属する収益も当該事業年度に計上するものではない、②開発申請に係る業務の役務提供は完了しておらず、収益は確定していない、③地上権設定契約の一部は無効なものであって、収受した金員は将来的に返還される「敷金」であるから、収益には当たらないなどとして、これらの処分の全部の取消しを求めた事案である。 (1) 争点 争点は以下のとおり多岐にわたっているが、本稿では、収益の取得者が請求人であるか否かを争点とする争点①に絞って、国税不服審判所の判断を見ておきたい。 (2) 国税不服審判所の判断 審判所は、事業収益の帰属者について、次のように見解を示した。 そのうえで、本件で争点となっている不動産等売買契約書について、2項及び3項に係る売買の債務者(売主)として請求人が記載され、作成当時の請求人の代表取締役であるJ8の記名とその代表取締役印が押印されている一方、4項に係る売買では債務者(売主)として、H4社が記載され、作成当時のH4社の代表取締役であるJ1の記名とその代表取締役印が押印されていることから、請求人及びH4社は、H5社との間で、それぞれその意思に従って、それぞれ別の債務を負う内容の契約を締結したと認定した。 その結果、不動産売買契約に基づく、4項に係る売買の事業の主体は、H4社であり、その収益もH4社に帰属すると認められることから、4項に係る売買に係る収益は、請求人に帰属しないとして、原処分庁の主張を退ける判断をした。 最後に、国税不服審判所は、請求人の不動産売買に係る収益の帰属時期についても、H5社へ土地等に係る移転登記がされた平成23年12月1日をもって「引渡しがあった日」であると判断するのが相当であり、2項及び3項に係る売買の収益については、原処分庁の主張する平成25年3月期ではなく、平成24年3月期に計上すべきであるとして、原処分庁の主張を退ける判断をした。   2 取締役に支給した賞与は使用人兼務役員に対する使用人職務分には該当しないとした事例・・・④ 本件は、水産食料品の製造、加工及び販売等を業とする取締役会設置会社である審査請求人(以下「請求人」という)が、取締役Hに支給した給与の一部を使用人兼務役員に対する使用人としての職務に対するものとして損金の額に算入したことについて、原処分庁が、当該給与は、使用人兼務役員に対する使用人としての職務に対するものに該当しないことから損金の額に算入されないとして、法人税等の更正処分等をしたのに対し、請求人が、原処分の全部の取消しを求めた事案である。 (1) 争点 取締役Hに支給した賞与は、法人税法第34条第1項括弧書きに規定する使用人兼務役員に対して支給する使用人職務分に該当するか否か。 (2) 事実関係 取締役Hの入社から審査請求に至るまでの役職等は以下のとおりである。 (3) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、使用人兼務役員について、法人税法を引用する形で、次のように定義している。 そのうえで、請求人について、その機構上、使用人としての職制上の地位として「部長」職が明確に定められており、取締役Hは、平成27年3月31日までは、請求人の営業部の部長職の地位を有しているが、同年4月1日の機構改革以後は、請求人の営業部長の役職に就いておらず、請求人の使用人としての他の職制上の地位も有していなかったと認められると判示した。 この事実認定に基づき、国税不服審判所は、本件で争点となった賞与のうち、請求人が平成26年12月に取締役Hに支給した賞与については、使用人兼務役員に該当する期間に支給されたものであるから、使用人兼務役員に対する使用人職務分として、請求人の所得金額の計算上、損金の額に算入され、他方、同年4月1日以後に支給された額については、使用人兼務役員に対する使用人職務分には該当しないから、損金の額に算入することはできないという判断を示し、原処分庁が行った平成27年7月期の法人税の更正処分については、その一部を取り消すべきであると判断した   3 請求人が請求人の元代表者に退職金として支払った金員は、当該元代表者に退職の事実があるから、損金の額に算入されるとした事例・・・⑤ 本件は、不動産の賃貸等を営む株式会社である審査請求人(以下「請求人」という)が、平成24年11月30日、請求人の代表取締役及び取締役をいずれも辞任し、同年12月、辞任登記を行った元代表取締役に対して支給した退職金の金額を損金の額に算入して法人税等の申告を行ったところ、原処分庁が、元代表取締役は、登記上退任した後も請求人の経営に従事しており、実質的に退職したとは認められないから、当該金額は退職給与として損金の額に算入されないとして、法人税等の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分を行ったことに対し、請求人が、元代表取締役は形式的にも実質的にも退職したのであるから、当該金額は損金の額に算入されるなどとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。 (1) 争点 争点には送達方法や理由付記なども含まれているが、本稿では、退職給与として損金の額に算入できるかどうか(下記争点④)に関する国税不服審判所の判断を見ておきたい。 (2) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、法人税法第2条第15号が取締役等の法的な地位を有していない者でも「法人の経営に従事している者」を法人の役員に含めた趣旨について、取締役等と同様に法人の事業運営上の重要事項に参画することによって法人が行う利益の処分等に対し影響力を有する者も同法上は役員とするところにあるとしたうえで、「法人の経営に従事している」とは、法人の事業運営上の重要事項に参画していることをいうと解されることから、元代表者が、辞任後も継続して、請求人の経営に従事、すなわち、請求人の事業運営上の重要事項に参画しており、実質的に退職していないと認められるかについて、検討を行った。 (参考) その結果、 などの事実認定に基づき、国税不服審判所は、元代表者が、辞任後も継続して、請求人の事業運営上の重要事項に参画するみなし役員に該当し、請求人を実質的に退職していなかったと認めることはできないとして、原処分の全部を取り消す判断を示した。 (了)
#424(掲載号)
#米澤 勝
2021/06/23
お知らせ 会計 会計情報の速報解説 監査 税務・会計 速報解説一覧

《速報解説》 会計士協会、監基報720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」の適用を踏まえた会社法監査等のスケジュールの検討を会員に促す~実務の参考となるスケジュール検討例も掲載~

《速報解説》 会計士協会、監基報720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」の適用を踏まえた会社法監査等のスケジュールの検討を会員に促す ~実務の参考となるスケジュール検討例も掲載~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年6月22日、日本公認会計士協会は、会員向けに、「監査基準委員会報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」の適用を踏まえた会社法監査等のスケジュールの検討について」を公表した。 2020年11月6日付けで監査基準が改訂されたことを受け、監査基準委員会報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」(以下「監基報720」という)が改正され、2022年3月決算に係る財務諸表の監査から適用となる。 そのため、今後、会社法監査のスケジュールの検討が必要となる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 「その他の記載内容」と会社法監査 「その他の記載内容」とは、監査した財務諸表を含む開示書類のうち当該財務諸表と監査報告書を除いた部分の記載内容のことである。 監基報720では、「その他の記載内容」に対する監査人の作業を明確にするとともに、監査報告書に必要な記載を求めることとしており、従来以上の対応が必要になると考えられる。 会社法監査において、「その他の記載内容」は事業報告及びその附属明細書となる。 従来と同様に、事業報告及びその附属明細書は、会計監査人の監査対象ではないが、監基報720では、監査人は監査意見を表明しない場合を除いて、「その他の記載内容」に対する作業の結果を監査報告書に記載することとされている。 そのため、会社法監査において、会計監査人は次のことに注意が必要と考えられる。 「会社法監査のスケジュール検討例」も記載されているので、実務に役立つものと思われる。 (了)
#424(掲載号)
#阿部 光成
2021/06/22
お知らせ 税務 税務・会計 税務情報の速報解説 財産評価 速報解説一覧

《速報解説》 電話加入権の評価方法を見直す改正評価通達が公表される~令和3年1月1日以後の相続等から適用~

《速報解説》 電話加入権の評価方法を見直す改正評価通達が公表される ~令和3年1月1日以後の相続等から適用~   Profession Journal編集部   既報のとおり国税庁が4月20日付けでパブリックコメントに付していた財産評価基本通達の改正案が、6月22日に確定、公表された(パブコメからの変更点なし)。 今回の改正通達では、現下の社会経済の実態等を踏まえ、電話加入権の評価方法(評基通161)が大きく見直された。改正前は①取引相場のある電話加入権の価額は課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価し、②それ以外の場合は売買実例価額等を基として、電話取扱局ごとに国税局長の定める標準価額によって評価するとされ、この「標準価額」は国税庁の財産評価基準ページで確認できるが、全国一律1,500円とされていた。 改正後は、①②の区分がなく、「電話加入権の価額は、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。」こととされる(改正評基通161)。 (※) パブコメの概要では、「申告に当たっては、財産評価基本通達128により一括評価する家庭用動産等(1個又は1組の価額が5万円以下のもの)に、電話加入権を含めることとして差し支えないものとする予定」と記載されていた(下記〔追記〕を参照)。 さらに、「1番から10番まで若しくは100番のような呼称しやすい番号又は42番、4989番のような誰もが嫌がる番号」といった特殊な番号の電話加入権の評価について定めた財産評価基本通達162は削除された。 改正通達では他に、都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価(評基通24-7)について、容積率の区分の整理及びこれに伴う補正率の見直しが行われている(詳細はこちら)。 今回の改正通達は令和3年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価及び令和3年分以後の地価税の課税価格の計算の基礎となる土地等の評価について適用される。遡及適用となっている点、留意されたい。 (了) ↓お勧め連載記事↓
#424(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2021/06/22
お知らせ 会計 会計情報の速報解説 時価算定会計 税務・会計 財務会計 速報解説一覧

《速報解説》ASBJ、「時価の算定に関する会計基準の適用指針」の確定を公表~公表に伴い適用指針の理解を助けるフローチャートも合わせて記載~

《速報解説》 ASBJ、「時価の算定に関する会計基準の適用指針」の確定を公表 ~公表に伴い適用指針の理解を助けるフローチャートも合わせて記載~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年6月17日、企業会計基準委員会は、「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(改正企業会計基準適用指針第31号)を公表した。これにより、2021年1月18日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 これは、投資信託の時価の算定と貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価について取扱いを示すものである。 「公表にあたって」では、「別紙1 投資信託財産が金融商品である投資信託の時価に関するフローチャート」及び「別紙2 投資信託財産が不動産である投資信託の時価に関するフローチャート」が記載されており、適用指針の理解に資するものと思われる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 投資信託財産が金融商品である投資信託の取扱い 「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号)5項に定める時価の定義により、金融商品取引所(それに類する外国の法令に基づき設立されたものを含む)に上場しており、その市場が主要な市場となる投資信託で、その市場における取引価格が存在する場合、当該価格が時価になると考えられる(49-2項)。 市場における取引価格が存在しない場合について、次に述べるように規定している。 1 市場における取引価格が存在せず、かつ、解約又は買戻請求に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限がない場合(24-2項) なお、24-2項の取扱いを適用し、基準価額を時価とする場合、解約等に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限がなく、当該基準価額により解約等ができることで、第三者から入手した相場価格が会計基準に従って算定されたものであると判断することができる(24-6項)。 2 市場における取引価格が存在せず、かつ、解約等に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限がある場合(24-3項) 投資信託財産が金融商品である投資信託について、市場における取引価格が存在せず、かつ、解約等に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限がある場合、次のいずれかに該当するときは、基準価額を時価とみなすことができる。 次の規定に注意する。   Ⅲ 投資信託財産が不動産である投資信託の取扱い 市場価格のない投資信託財産が不動産である投資信託について、金融商品会計基準に従い、一律に時価をもって貸借対照表価額とすることで会計処理を統一している(49-10項)。 市場における取引価格が存在しない場合について、次に述べるように規定している。 1 市場における取引価格が存在せず、かつ、解約等に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限がない場合(24-8項) なお、24-8項の取扱いを適用し、基準価額を時価とする場合、解約等に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限がなく、当該基準価額により解約等ができることで、第三者から入手した相場価格が会計基準に従って算定されたものであると判断することができる(24-11項)。 2 市場における取引価格が存在せず、かつ、解約等に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限がある場合(24-9項) 投資信託財産が不動産である投資信託について、市場における取引価格が存在せず、かつ、解約等に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限がある場合、基準価額を時価とみなすことができる。 次の規定に注意する。   Ⅳ 貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価の注記に関する取扱い 貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資(「金融商品会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第14号)132項、308項)については、金融商品時価開示適用指針4項(1)に定める事項の注記を要しないこととし、その場合、他の金融商品における金融商品時価開示適用指針4項(1)の注記に併せて、所要の注記を行う(24-16項)。   Ⅴ 適用時期等 (了)
#424(掲載号)
#阿部 光成
2021/06/22
お知らせ その他お知らせ

プロフェッションジャーナル No.424が公開されました!~今週のお薦め記事~

2021年6月17日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.424を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
#Profession Journal 編集部
2021/06/17
法人税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

日本の企業税制 【第92回】「税務に関するコーポレートガバナンスの充実」

日本の企業税制 【第92回】 「税務に関するコーポレートガバナンスの充実」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   〇コーポレートガバナンス・コードの改訂 東京証券取引所は、6月11日、コーポレートガバナンス・コードの改訂に係る有価証券上場規程の一部改正を行い、同日より施行することを公表した。 今回の改訂の主なポイントは以下の通りである。 第1に取締役会の機能発揮に関して、①プライム市場上場企業において、独立社外取締役を3分の1以上選任(必要な場合には、過半数の選任の検討を慫慂)、②指名委員会・報酬委員会の設置(プライム市場上場企業は、独立社外取締役を委員会の過半数選任)、③経営戦略に照らして取締役会が備えるべきスキル(知識・経験・能力)と、各取締役のスキルとの対応関係の公表、④他社での経営経験を有する経営人材の独立社外取締役への選任、が求められている。 第2に、企業の中核人材における多様性の確保に関して、①管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)についての考え方と測定可能な自主目標の設定、②多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針をその実施状況とあわせて公表、が求められている。 第3にサステナビリティを巡る課題への取組みに関して、①プライム市場上場企業において、気候関連財務情報タスクフォース(TCFD) 又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を充実、②サステナビリティについて基本的な方針を策定し自社の取組みを開示することが盛り込まれた。 上場会社は、遅くとも本年12月までに、この改訂コーポレートガバナンス・コードに沿ってコーポレートガバナンス報告書の提出を行うことが必要である。ただし、プライム市場上場会社のみに適用される原則等に関しては、東京証券取引所において新市場区分の適用が開始となる2022年4月以降に開催される各社の株主総会の終了後遅滞なくこれらの原則等に関する事項について記載したコーポレートガバナンス報告書を提出するよう求められることとなる。   〇英国における税務コーポレートガバナンス コーポレートガバナンス・コードは2015年に制定されて以降、2018年の改訂に次いで今回は2回目の改訂となった。これらの改訂を経て、上場会社が考慮すべき事項は質・量ともに充実され、例えば、独立社外取締役については、制定当初は2名以上選任すべきこととされていたのが今回3分の1以上と変更された。その背景には、実際にかなりの数の上場企業がすでに3分の1以上となっているということもある。 わが国のコーポレートガバナンス・コードの制定にあたり1つの参考とされたのが英国のコーポレートガバナンス・コードであったが、英国では、税務に関するコーポレートガバナンスも早くから制度化が進められてきた。 特にその中核となっているのが税務戦略の開示義務である。この開示義務の対象には、英国企業(単体・グループ)のみならず、多国籍企業グループに属する従属英国企業も含まれている。開示すべき税務戦略の内容としては、①税務リスクの管理に関する方針、②自社の許容する税務リスク、③タックスプランニングに係る方針、④税務当局との協力、の4点について言及する必要がある。   〇わが国における税務コーポレートガバナンス わが国の国税庁においても、税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組みは2011年以来行われてきた。2016年には企業の自発的な税務コーポレートガバナンスの充実に向けた取組みを後押しするための事務運営指針等が公表され、その後、改訂も行われてきた。 その背景には、大企業の税務コンプライアンス(納税者が納税義務を自発的かつ適正に履行すること)の維持・向上には、トップマネジメント(法人の代表取締役、代表執行役のほか、法人の業務に関する意思決定を行う経営責任者等)の積極的な関与・指導の下、大企業が自ら税務に関するコーポレートガバナンスを充実させていくことが重要、かつ、効果的であるという考え方がある。 具体的な取組みとしては、国税局所管の特別国税調査官が所掌する法人(約500社)を対象に、税務調査の機会において、対象法人に「税務に関するコーポレートガバナンス確認表」の記載を依頼し、その確認及び判定を行い、また、トップマネジメントと面談を行い、調査結果の概要を説明し、その是正事項の再発防止に向けた取組みを含め、税務に関するコーポレートガバナンスについて、改善が必要な箇所に関して、効果的な取組事例を紹介しつつ、意見交換を実施している。 また、税務に関する状況が良好であり調査必要度が低いと判定された法人については、調査が行われない事業年度において、申告済の事業年度における重要度の高い取引等の処理(組織再編(合併、分割、事業譲渡等)の処理、売却損、譲渡損、除却損、評価損等の損失計上取引の処理)で、金額が多額なものを自主的に開示し、当局がその適正処理を確認すること等を条件に次回の調査時期が1年以上延長されるなどの措置も講じられている。この調査時期の延長等の対象となっている法人数は、令和元事務年度で97社となっている。 デジタル課税をはじめとする国際課税ルールが大きく変化し、また国内法でもBEPSプロジェクトを踏まえたCFC税制の見直しなどが行われる中、国際的な税務対応のボリュームは従来とは比較にならないぐらい増大し、それに伴い税務リスクも高まっていることから、今後ますます税務に関するコーポレートガバナンスの整備は企業にとって重要性を増すものと考えられよう。 (了)
#424(掲載号)
#小畑 良晴
2021/06/17
固定資産税・都市計画税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

令和3年度税制改正における固定資産税の宅地の負担調整措置

令和3年度税制改正における 固定資産税の宅地の負担調整措置   税理士 菅野 真美   1 固定資産税とは 固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)に土地、家屋、償却資産を所有している者が、固定資産の価格に基づいて算定された税額を固定資産が所在する市町村(東京都特別区については東京都)に納める税金である(地法341、342①、343①、359、都税条例3③二)。 土地については、賦課期日における土地の価格が課税標準額となることが原則であるが(地法349)、宅地のうち住宅用地の場合で一般住宅用地又は小規模住宅用地の要件を満たしたときは、価格に1/3又は1/6(住宅用地特例率)を乗じた額が課税標準額となる(地法349の3の2①②)。   2 土地の価格と価格の修正 土地の価格は、原則的には、公示価格等の7割を目途として算定された価格である(固定資産評価基準第1章12節一)。評価額の基礎となる路線価も公開されている。土地や、家屋の価格については、相続税の路線価のように毎年公表され、価格が増減するようなものではなく、3年に一度の評価替えが行われ、原則的には、基準年度(地法341六)の価格が据え置かれる(地法349①②③)。基準年度の価格は、基準年度の初日の属する年の前年の1月1日の価格に基づいて算定される(固定資産評価基準第1章12節一)。直近の基準年度は令和3年度であり、令和3年度の価格は令和2年1月1日時点の価格に基づいて算定される。 しかし、昨今の新型コロナウイルス感染症による景気の停滞から地価が下落した地域もあり、この場合、令和3年分の価格を据え置くことが妥当でない場合においては、令和4年度、令和5年度の価格を修正することとされている(地法附則17の2)。 なお、令和4年度又は令和5年度における土地の価格に関する修正基準(以下「修正基準」という)が、令和3年7月1日付総務省告示第220号をもって告示された。 修正基準においては、令和2年1月1日時点の価格に修正率を適用することとしているが、既に下落修正を行っている宅地については、その価格にその後の地価下落率を乗じる方法によっても差し支えないとされている。   3 負担調整措置 宅地等の固定資産税の評価水準について市町村ごとにばらつきがあったことから、平成6年度に7割評価が実施された。また、平成9年度の評価替えで地域や土地によるばらつきのある負担水準(当年度の評価額に対する前年度課税標準額の割合)の均衡化を重視する負担調整措置が設けられた。これは負担水準の高い土地は税負担を引き下げ又は据え置き、負担水準の低い土地はなだらかに税負担を上昇させることで負担水準の幅を狭めるという考え方に基づくものである。 その後、その時々の状況に応じて改正を繰り返しながらも基本的な考え方は変わっていない。そのため、地価が下落しているのに税額が上がるという現象が起こる場合もある。   4 令和3年度の固定資産税の負担調整措置 令和3年度は評価替えの年で、原則的には、令和2年1月1日の固定資産税評価額に基づいて固定資産税を計算し、その価額が3年間継続されることになるが、令和3年度の税制改正で、令和3年度については、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動の大きな変化と、納税者の負担感に配慮して下記のように取り扱うこととされた。 (1) 宅地のうち商業地等 商業地等の課税標準額は、負担水準(当年度の評価額に対する前年度課税標準額の割合)(※)が70%を超える場合は、固定資産税評価額の70%相当額に税率を乗じて計算し(地法附則18⑤)、負担水準が60%以上70%以下の場合は、前年度の課税標準額に据え置くルールが以前からあることから(地法附則18④)、令和3年度については、負担水準が60%未満の場合も、前年度の課税標準額に据え置くこととされた(地法附則18①)。 (※) 負担水準 = 前年度の課税標準額 ÷(当年度の固定資産税評価額 × 課税標準の特例率)× 100(地法附則17八イ) つまり、固定資産税の課税標準額が前年度より上がった場合は、前年度の課税標準額に据え置き、下がった場合は「当年度の固定資産税評価額 × 70%」を当年度の課税標準額とする。 (2) 宅地のうち住宅用地等 住宅用地等は、通常は固定資産税評価額に住宅用地特例率(1/3又は1/6)を乗じて課税標準額を算定するが、令和3年度については、「前年度の課税標準額 < 当年度の課税標準額」の場合は、前年度の課税標準額に据え置く(地法附則18①)。 つまり、固定資産税の課税標準額が前年度よりも上がった場合は、前年度の課税標準額に据え置き、下がった場合は当年度の固定資産税評価額に基づき当年度の課税標準額を算定する。   5 令和4年度、令和5年度の固定資産税の負担調整措置 (1) 宅地のうち商業地等 令和4年度、令和5年度の商業地等の課税標準額は、従来の負担調整措置と同じ算式で計算する。負担水準が70%を超える場合は、固定資産税評価額の70%相当額に税率を乗じて計算し(地法附則18⑤)、負担水準が60%以上70%以下の場合は、前年度の課税標準額に据え置く(地法附則18④)。そして、60%未満の場合の課税標準額は、「前年度の課税標準額 + 当年度の評価額 ×5%」を原則とする(地法附則18①)。 ただし、計算した額が当年度の評価額の60%を超える場合は評価額の60%相当額(地法附則18②)、評価額の20%に満たない場合は評価額の20%相当額が課税標準額となる(地法附則18③)。 (2) 宅地のうち住宅用地等 令和4年度、令和5年度の住宅用地等の課税標準額は、従来の負担調整措置と同じ算式で計算する。 「当年度の課税標準額(当年度の評価額 × 住宅用地特例率)」と、「前年度の課税標準額 + 当年度の課税標準額(当年度の評価額 × 住宅用地特例率)× 5%」のいずれか低い額となる(地法附則18①)。 ただし、計算した額が「当年度の評価額 × 住宅用地特例率」の20%に満たない場合は、「当年度の評価額 × 住宅用地特例率」の20%相当額が課税標準額となる(地法附則18③)。   6 条例による減額制度の延長 固定資産税の負担を緩和するための条例で定めることができる次の(1)及び(2)の制度の適用期限を3年間(令和5年度まで)延長する。 (1) 税負担急増土地に係る条例減額制度 これは、当年度の住宅用地、商業地等の固定資産税額が前年度の課税標準額に“1.1以上で条例において定める率” (※)に税率を乗じて算定した額を上回る場合は、その上回る額を減額する制度である(地法附則21の2)。 (※) 東京都23区内の住宅用地や商業地等については条例で1.1と定められている(都税条例附則15の3)。 (2) 商業地等に係る条例減額制度 これは、商業地等については、固定資産税評価額の70%を課税標準額として固定資産税を算定しているが、この上限を60%から70%の範囲で、条例で定める率まで下げて固定資産税額を算定し差額を減額する制度である(地法附則21)。 また、東京都23区内の商業地等については、上限を65%に減額するとされている(都税条例附則15の2)。 なお、都市計画税についても負担調整措置があり、令和3年度の税制改正で固定資産税と同様の改正が行われている。   (了) ↓お勧め連載記事↓
#424(掲載号)
#菅野 真美
2021/06/17
相続税・贈与税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

相続税の実務問答 【第60回】「相続開始の年に被相続人から贈与を受けた場合の贈与税の申告(相続又は遺贈により財産を取得する場合)」

相続税の実務問答 【第60回】 「相続開始の年に被相続人から贈与を受けた場合の贈与税の申告(相続又は遺贈により財産を取得する場合)」   税理士 梶野 研二   [答] 被相続人から相続開始の年に財産の贈与を受けた場合、その贈与を受けた人が、その被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した場合には、その贈与により取得した財産の価額は、相続税の課税価格に加算され、贈与税の課税価格には算入されません。 したがって、今年の4月にお亡くなりになられたお父様からその遺産の2分の1を相続することとなったあなたが今年の2月にお父様から贈与を受けた現金300万円については、贈与税の申告をする必要はありません。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 贈与税の申告義務と相続税における相続開始前3年以内の贈与加算の関係 贈与により財産を取得した者は、その年中に贈与により取得した価額の合計額から贈与税の基礎控除額を控除し、贈与税の税率を適用した結果贈与税が算出される場合(在外財産に対する贈与税額の控除(相法21の8)が適用される場合にはその控除後の金額)には、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に贈与税の申告書を納税地の税務署長に提出しなければなりません(相法28①)。 ところで、被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該被相続人の相続開始の日前3年以内に当該被相続人から財産の贈与を受けた場合には、相続税法第19条第1項の規定により当該贈与財産の価額は、相続税の課税価格に加算されるとともに、当該財産の贈与に対して課された贈与税額は相続税額から控除することとされています。 一方、相続又は遺贈により財産を取得した者が相続開始の年に当該相続に係る被相続人から贈与により取得した財産の価額で相続税法第19条の規定により相続税の課税価格に加算されるものは、贈与税の課税価格に算入しないこととされています(相法21の2④)。 被相続人からの生前贈与については贈与税の課税価格に算入しない旨の上記の相続税法第21条の2第4項の規定(以下「贈与税の非課税規定」といいます)のポイントは次のとおりです。 (※) 贈与税の課税制度は、①暦年課税方式と②相続時精算課税方式の2つの制度があります。今回の設例は、そのうちの暦年課税方式を前提としたものです。相続時精算課税制度における特定贈与者であった被相続人から贈与を受けた財産(相続時精算課税が適用される財産)の価額については、相続税法第19条の規定は適用されませんが、相続税法第21条の15第1項及び同法第21条の16第1項の規定により相続税の課税対象とされます。 特定贈与者である被相続人からの贈与により相続時精算課税適用者が財産を取得した場合において、当該特定贈与者がその贈与をした年の中途において死亡したときは、その贈与により取得した財産の価額については、相続税法第21条の2第4項の規定は適用されませんが、贈与税の申告は提出する必要はありません(相法28④)。詳しくは、別の回で説明します。   2 ご質問の場合 あなたは、令和3年2月にお父様から300万円の贈与を受けましたので、この贈与について(このほかに令和3年中に贈与を受けた財産があれば、その価額も合計したところで)、令和4年2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告を行い、算出された贈与税を納付しなければならないはずでした。 しかしながら、お父様が令和3年4月にお亡くなりになり、あなたはその相続によりお父様の財産を相続することとなりました。 したがって、あなたが、お父様の相続開始前3年以内の令和3年2月にお父様から贈与された300万円は、相続税法第19条第1項の規定により相続税の課税価格に加算されますが、相続開始の年である令和3年中に受けた贈与ですから、相続税法第21条の2第4項の規定により、贈与税の申告は必要ありません(もちろん、お父様からの贈与のほかに贈与税の基礎控除額を超える贈与を受けている場合には、その贈与については、贈与税の申告が必要です)。 (了)
#424(掲載号)
#梶野 研二
2021/06/17
法人税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第27回】「子会社を吸収合併する場合の役員報酬に関する対応」

〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第27回】 「子会社を吸収合併する場合の役員報酬に関する対応」   税理士 中尾 隼大   ○●○● 解 説 ●○●○ (1) 合併における臨時改定事由の該当性 本件の事例のように、経営基盤の強化等を目的として、親会社が子会社を吸収合併するケースは多い。この場合において、親会社の役員がその担当領域における専門的知識や経験を子会社に共有すべく、子会社の役員を兼ねることは往々にしてあるため、グループ内合併においては税務上の役員給与の論点に気を払う必要がある。 この場合、特に問題となるのが臨時改定事由該当性の判断である。すなわち、上記事例において、合併が定時改定時期以外に行われ、合併後の役員報酬額を150万円とする場合に、合併法人において臨時改定事由に該当し、改定前・改定後の役員報酬額がそれぞれ定期同額給与に該当するのかという問題である。 この点、法人税法施行令69条1項1号ロでは、「臨時改定事由」を以下のように規定している。 また、下線部分の「その他これらに類するやむを得ない事情」の例示として、法人税基本通達9-2-12の3は以下のように示している。 この通達は、「合併法人と被合併法人の役員を兼任していた場合に、合併が臨時改定事由に該当するため、合併後は役員給与額を合算してよい」とダイレクトに示しているものではない。しかし、上記のような事例において、合併により子会社の事業内容が親会社に引き継がれたことを受け、当該役員が子会社で担っていた職務を引き続き担うような事情があるのであれば、臨時改定事由に該当すると判断して差し支えないと考えられる。したがって、合併を受けて役員報酬額を改定することで、改定前・改定後のそれぞれが定期同額給与に該当することとなる。 この場合、仮に、合併法人となる親会社が当該役員を対象として事前確定届出給与を支給することを予定していたとしても、合併を理由とする臨時改定事由に該当するとして、「事前確定届出給与に関する変更届出書(以下、「変更届出書」)」を提出することが可能である(法令69⑤)。さらに、被合併法人側で「事前確定届出給与に関する届出書(以下、「届出書」)」を提出し、合併法人側では提出していない場合であっても、合併後、合併法人側にて臨時改定事由に該当するとして届出書を新たに提出することも可能である(法令69④二)(※1)。 (※1) 【第17回】の解説で臨時改定事由に係る届出書提出期限を割愛したためここで触れると、多くの場合、臨時改定事由に係る届出書の提出期限は、当該臨時改定事由により事前確定届出給与に関する定めをすることを前提として、当該臨時改定事由が生じた日から1月を経過する日までである(法令69④)。変更届出書についても1月という期限は同様である(法令69⑤二)。   (2) 実務上の対応 ① 日割り計算による未払計上の不可 役員報酬額については、いわゆる日割り計算は不要である。これは、役員と会社は委任関係にあり(会社法329、330)、有償の委任契約の存在により、役員が会社に報酬を求めることにある(詳細は【第10回】参照)。役員が報酬を請求するという前提に立てば、その債務が確定するのは計算期間満了時となるためであり(※2)、翻せば計算期間が満了していなければ、日割り計算が認められないこととなる。 (※2) 同旨の解説として、櫻井光照『役員の法務と税務』(大蔵財務協会、2017)291頁がある。 したがって、一方では被合併法人の7月26日~7月31日分は役員報酬を支給するべきではなく、他方では合併法人の同期間を含む計算期間の役員報酬額は増額するが同期間中の職務内容は事実上変更がないということとなる(以下②中の図表参照)。 この点、実務上、役員給与の定期同額性を保つため、被合併法人側の同期間において「支給をしない」という対応に加え、「1月分全額支給する」という便宜的な対応や解説も散見されるところである。 ② 未払計上すべき場合と留意点 上記の通り、役員報酬に日割り計算が認められない以上、日割り計算による役員報酬額の未払計上は認められない。したがって、支給日が合併の効力発生日前であるならば、最終の役員報酬として支給した後に合併を行うこととなる。翻せば、計算期間が満了し、かつ未支給である場合には、役員の手取り額を未払計上すべきである(下図)。 上記事例では給与計算締日が25日であることから、当該報酬の支給日が翌月10日である場合には計算締日までの報酬が被合併法人側で債務として確定し、損益計算書(P/L)に役員報酬として計上した上で貸借対照表(B/S)に未払計上することとなる(※3)。加えて、合併法人となる親会社は、合併により資産及び負債を受け入れるため、未払計上された被合併法人支給分の役員報酬も債務として受け入れた後に役員に支給する。すなわち、合併法人側でP/Lに計上されることはない。 (※3) 【第18回】では、資金繰りに一時的に窮した場合において未払計上する場合を取り上げている。 この場合における当該役員に8月10日に交付する給与明細は、合併法人が発行する給与明細の備考欄等に「被合併法人分」等として内訳を明記し、合併法人分と合算して支給することが一案である。被合併法人は支給日時点で法人格が消滅しており、合併法人がいわば立替払い的な支払いを行うためである。そうすることで、給与明細上は上記のように区分される一方、会計上は合併法人分のみがP/Lに役員報酬として計上され、被合併法人分はB/Sの未払勘定の取崩しとしての取扱いが明確となるため、定期同額給与への該当性について、その信憑性を担保する一助となり得るだろう。 (了)
#424(掲載号)
#中尾 隼大
2021/06/17
#