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税務争訟に必要な法曹マインドと裁判の常識 【第12回】「法曹マインドを踏まえた税務訴訟における留意点」
税務争訟に必要な 法曹マインドと裁判の常識 【第12回】 (最終回) 「法曹マインドを踏まえた税務訴訟における留意点」 弁護士 下尾 裕 最終回となる今回は、連載の総括として、読者である税理士等が弁護士とともに税務訴訟を戦っていく上での留意点等について整理してみたい。 1 税務訴訟スタート段階での留意点 納税者の立場からすれば、課税庁の更正処分等に納得がいかないケースも多いとは思うものの、もし税務訴訟となれば、弁護士費用等は勿論のこと、訴訟を進めていく上での事務負担等も多く発生することになる。 その意味では、納税者の立場としてまず最初に行うべきは、こうした時間的・経済的負担を加味しても、税務訴訟を提起する意義があるか(さらにいえば勝算があるか)ということを慎重に検証することにある。 現状の税務争訟においては、審査請求までは税理士が代理人として手続を進めている例が多いと思われるところ、納税者自身が上記検証を行うのは困難な場合が多いことを踏まえると、代理人を務めてきた税理士にこそ主導的役割を果たすことが求められる。 実際に税理士が主導的役割を果たすにあたっては、本連載のテーマである法曹マインドが有用であり、前回でも述べたとおり、遅くとも審査請求段階において、その時点での納税者としての主張を尽くすことにより、課税庁との間での争点及びこれに対する証拠の状況を把握した上で、税務訴訟における勝算等を分析すべきである。 また、税務訴訟は、数ある訴訟類型の中でも非常に専門性の高い訴訟であることから、弁護士であれば誰でも扱えるという性質のものではない。その意味では、納税者において税務訴訟の弁護士を依頼する場合でも、税理士等が税務訴訟に関する専門的知見を有する弁護士(最低でも税理士等と適切に協働して税務訴訟を進めることができる弁護士)を選任できるよう、普段から税務に強い弁護士との関係構築を行っておくのが望ましい。 2 税理士等による税務訴訟支援 いざ税務訴訟を提起し、裁判所及び訟務検事との間で主張を行うにあたっては、今度は、納税者(原告)の代理人である弁護士が主導的役割を果たすことになる。 しかしながら、税務に強いとされる弁護士であっても、日常的に税務に携わっていない場合もあることから、税理士等としては、顧客である納税者のために、適宜、弁護士の訴訟活動を支援できる体制を整えておくのが望ましい。【第1回】で述べたとおり、弁護士と税理士等ではその専門性の違い故に、実質の捉え方に差異がある場合があるが、税理士等の目線からのアドバイスが弁護士の訴訟活動に新たな気づきを与えるケースも多くあることから、疑問点があれば遠慮なく弁護士に指摘すべきである。 また、ご承知の読者も多いと思うが、税務訴訟においては、税理士が弁護士と一緒に訴訟活動に関与できる「補佐人」(税理士法第2条の2)という制度がある。 税務訴訟の期日では、裁判官や訟務検事と、税法や通達の解釈適用、さらには会計処理等についてやりとりを行う場合があるが、その場に出廷している弁護士等がこうしたやり取りの意図を正確に理解できなければ、その後の訴訟活動に支障をきたす可能性がある。 一方、課税庁側は、税務訴訟の期日において、法曹である訟務検事に加えて税務の専門家である国税職員(国税訟務官室の訟務官等)が必ず同席することにより、こうした懸念を払拭していることを踏まえると、納税者側においても同様の体制を整える価値は十分にあるはずである。 実際に「補佐人」として税理士が法廷に出廷すべきかどうかは、事前に税務訴訟を担当する弁護士と協議する必要はあるものの、こういった制度があるということは頭の片隅に置いておくのがよいと思われる。 3 税務訴訟における訴訟活動 税務訴訟における訴訟活動では、訴訟提起前までに明らかになった争点及び証拠関係を前提に主張を展開することに尽きる。改めて強調するならば、税務訴訟の判断権者は裁判官という「法曹」であり、経済的実質よりは法律的実質、さらに言えば、【第4回】及び【第5回】で述べたような価値判断を有していることから、これらの点を踏まえた主張を組み立てる必要があるという点である。 【第4回】で述べたとおり、近年の裁判所は、租税公平主義に起因する課税上の弊害等を一定程度考慮しつつも、租税法律主義に基づく文理解釈重視の姿勢を強くしており、さらに最近では、こうした姿勢を財産評価通達に基づく財産評価においても反映させる裁判例(みなし譲渡課税に関する東京高裁平成30年7月19日判決)も登場するに至っている。 〈東京高裁平成30年7月19日判決の判示内容〉 以上を踏まえると、税務訴訟段階での訴訟活動においては、こうした最近の裁判所の姿勢を踏まえ、課税当局の更正処分が租税法、さらには通達の文言に沿ったものであるのかという観点から主張を整理していくといったアプローチが有用である。 連載終了にあたって 本連載では、税理士等と法曹では税務に関する物の見方に相違があることを前提に、やや五月雨式ではありながらも、法曹マインド、とりわけ税務における裁判所の価値判断等のポイントについて順次明らかにしてきた。 重要なのは、こうした税理士等と法曹の物の見方に優劣があるわけではなく、【第10回】でも述べたとおり、両者の違いの所在を理解していくことで、税務調査等の場面において、より適切な見通しを立てることが可能になるということである。 さらに言えば、税務訴訟の場面においては、両専門家が協力・相互に補完して対応することにより、本当の意味で納税者を支援することが可能になる。 本連載が税理士等を中心とする読者の皆様において法曹マインドを理解し、納税者を支援等する上での一助となれば望外の喜びである。 (連載了)
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〔“もしも”のために知っておく〕中小企業の情報管理と法的責任 【第20回】「自社の情報漏えいに気がつくためのポイント」
〔“もしも”のために知っておく〕 中小企業の情報管理と法的責任 【第20回】 「自社の情報漏えいに気がつくためのポイント」 弁護士 影島 広泰 -Question- 自社から情報が漏えいしているかもしれないと思うと不安ですが、実際に漏えいしているかどうかを把握することは容易ではありません。 情報漏えいの兆候は、どこに気をつければ把握することができるでしょうか。 -Answer- システムのログを確認することが重要です。また、退職者が競合他社に転職していないかどうかを確認することも重要です。 これまで本連載で述べてきたような情報漏えいの防止策を講じていても、漏えいを100%防ぐことはできない。それでは、漏えいが発生していることに気づくためには、どこに気をつければよいであろうか。 経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック」では、漏えいの兆候を把握するための具体的な方法が記載されている。今回は、これに基づいて漏えいの兆候を把握する方法を解説する。 1 情報漏えいの兆候をどのようにキャッチするか (1) 従業員等の兆候 従業員等の情報漏えいの兆候としては、以下のものが考えられるとされている。 このうち、③~⑤は、特定の従業員が「怪しい動き」をしているということの把握であり、情報漏えいに限らず、不正行為一般についての兆候であるといえよう。 これに対し、①及び②は、情報漏えい特有のシステム的な対応である。すなわち、システムのアクセスログを適切に保存し、定期的に分析していれば、①「最近アクセス数が妙に多い」や、②「特定の従業員が必要のないフォルダにアクセスしている」といったことが分かるはずだ。システムのログは、単に保存しておくだけではなく、定期的に確認することが重要なのである。 (2) 退職者等の兆候 退職者等の情報漏えいの兆候としては、例えば以下のものが考えられるとされている。 本連載の【第17回】で述べたとおり、営業秘密の漏えいは、退職者によるケースが非常に多い。キーパーソンといえる重要な従業員については、退職前後を通じた動き(転職先企業の業務内容を含む)の把握が重要となるといわれている。 前記(1)で述べたシステムのログの確認は、退職の意向を示した従業員に対しては、特に重点的に行う必要があるといえよう。 (3) 取引先の兆候 取引先の漏えいの兆候としては、例えば以下のものが考えられるとされている。 以上のような兆候があった場合には、自社からの営業秘密が漏えいしていないかをしっかりと確認する必要がある(※)。 (※) なお、秘密情報の保護ハンドブックでは、その他に「外部者」による漏えいについても記載されている。必要に応じて参照されたい。 2 「情報漏えいの疑い」を確認する方法 情報漏えいにつながり得る兆候を把握した場合には、放置することなく、漏えいが発生しているかどうかを確認する必要がある。その具体的な方法は、以下のとおりである。 (1) 従業員等による漏えいの疑いの確認の具体例 なお、従業員のメール等をモニタリングする際には、従業員のプライバシーを侵害しないよう、就業規則でルールを定め、必要な範囲でのみ実施するなど、慎重な配慮が必要である(東京地裁平成13年12月3日「F社Z事業部事件」参照)。 (2) 退職者等による漏えいの疑いの確認の具体例 退職者等による情報漏えいの疑いの確認としては、転職先の把握が特に重要である。退職者の競合他社への転職の事実が確認できた場合には、現実的な情報漏えいのリスクがあるからである。 (3) 取引先による漏えいの疑いの確認の具体例 取引先による漏えいには、取引先の従業員が転職先に持ち込むような悪意で漏えいするケースと、取引先の情報管理態勢が杜撰で漏えいしてしまうケースがある。後者には、取引先において上記(1)の対応を社内で講じるよう、守秘義務契約書(NDA)や業務提携契約書などの契約で義務づけておくことが有効であると考えられる。 以下では、悪意で漏えいするケースの具体例を述べる。 以上のとおり、情報漏えいの兆候を把握した上で、漏えいの疑いがあればそれを放置せず直ちに確認する必要がある。 その上で、漏えいの可能性が現実的に存在する場合に初動として何をすべきかについては、次回詳しく解説する。 (了)
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プロフェッションジャーナル No.343が公開されました!~今週のお薦め記事~
2019年11月7日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.343を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
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monthly TAX views -No.82-「中期答申に明記された租税回避スキームの義務的開示」
monthly TAX views -No.82- 「中期答申に明記された租税回避スキームの義務的開示」 東京財団政策研究所研究主幹 中央大学法科大学院特任教授 森信 茂樹 9月26日に公表された、政府税制調査会中期答申「経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制のあり方」(以下、答申)を一読した。新味の少ない答申だが、筆者が興味を惹かれたのは、「納税環境」の部分である。 * * * ICTの発達したデジタル経済に課税が追い付いていないという問題は、これまで何度も指摘されてきた。これに対応していくためには、OECDで行われているように税制を見直すことも重要だが、あわせて税務手続・税務行政も見直していくことが必要だ。納税者の利便性の向上、タックス・ギャップを少なくする税務行政など、税務手続面を変えて納税環境を整えていくことがますます重要な役割を持つ。 答申でとりわけ注目される部分は、「富裕層や多国籍企業等による複雑なタックスプランニングについては、BEPSプロジェクトでベストプラクティスとして取り上げられた義務的開示制度(MDR:Mandatory Disclosure Rules)など、諸外国の取組等も参考にしつつ、税務当局が的確に把握できるような仕組みの構築に向けて、検討を行っていくことが重要である」と主張している点だ。 実は、さかのぼる平成29年度の与党税制改正大綱にも、補論だが、租税回避スキームの開発・販売・利用者に税務当局への報告を義務付ける『義務的開示制度』の検討が記されており、宿題となっていた。 この制度は、米国、英国、カナダなどで導入されており、濫用的な(行き過ぎた)租税回避スキームの牽制・抑止を目指すものである。BEPS最終報告書では、開示義務者(プロモーター、利用者・納税者)、開示内容(守秘義務の伴うスキーム、成功報酬のあるスキーム、損出しスキーム等)、開示手続(開示のタイミング等)の3項目について、各国の自主性も尊重しながら導入することを義務付けるという勧告が行われている。 * * * 本年7月の本連載に、「一般的否認規定の検討を」と題して、ソフトバンクグループ(SBG)の租税回避問題を取り上げ、「わが国も、鼬ごっこのように続く租税回避に適正に対応するには、他の主要先進国が導入している一般的否認規定(GAAR)の導入に向けた検討を進めていくことが必要」と述べた。 このSBGの租税回避については、来年度税制改正で、抜け穴を防ぐべく法改正を行う議論が行われている。しかし、このようなパッチワーク的対応には限界があり、先行者に大きな利益をもたらす。より根本的な解決は、手続きを明確にした一般的否認規定(GAAR)の導入であり、それに向かう第一歩が義務的開示制度の導入である。 わが国の大部分の正直な納税者が馬鹿を見るようなことはあってはならない。 (了)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例11】「関係会社への売上値引及び単価変更による売上の減額の寄附金該当性」
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例11】 「関係会社への売上値引及び単価変更による売上の減額の寄附金該当性」 国際医療福祉大学大学院准教授 税理士 安部 和彦 【Q】 私は北関東のとある地方都市で建築資材の製造を行っている株式会社Aにおいて、10年ほど経理を担当しております。私の勤務するA社は、建築資材を総合的に取り扱っているB社の100%子会社で、B社からの注文により多品種小ロットの資材の生産を行い、それらを全てB社に販売しています。 A社はその親会社B社との間で、両社間の取引内容や方法等について覚書を取り交わしており、これまでそれに基づき取引が行われてきました。当該覚書によれば、B社がA社から購入する建設資材の価格は、原則として合理的な原価計算に基づき、両社が協議の上決定すること、及び発注量の大幅な増減、経済的事情の著しい変動が生じたときは、両社が協議の上で購入価格を決定する旨が定められています。 実際の取引価格の決定方法ですが、期中はとりあえず期首に暫定的に決定した「当初取引価格」により取引を行うものの、半年程度経過後において、その時点における実際原価に一定の上乗せ利益を加算した「期末決定価格」を決定していました。このような価格決定方法を採る理由は、両社間の取引は多品種少量の受注生産であり、固定費が約3割を占め、適切な原価計算を行うことが困難であることから、期首においては暫定価格とせざるを得ないためです。 親会社であるB社は、各年度の期末近くになると、A社を含む子会社や関連会社に対し、上記「期末決定価格」と「当初取引価格」との差額に基づき期末における値増・値引調整を決定し、その調整額(期末調整額)を通知していました。 上記に基づき、A社はB社に対する売上に関しては、実際に支払を受けた当初取引価格で計上し、また、期末決定価格の方が当初取引価格よりも低いことに伴い発生する期末調整額につき、売上値引によって経理し、売上計上額から減算処理しています。 ところが、今般受けた税務調査で、当社が売上値引と経理処理した金額について、子会社の利益を親会社に付け替えたものであり、寄附金に該当すると指摘されました。親会社が子会社の経営支援をする際に寄附金の問題が生じ得ることは理解しておりましたが、子会社が親会社に対して寄附をするなどということは理解しがたい主張であり、到底受け入れることはできません。そもそも、当社が親会社との間で行っている取引に関し生じる期末調整額は、実際原価に基づく合理的な原価計算の結果発生するものであり、本来あるべき公正な取引価格への修正と考えられるもので、寄附や贈与とは全くかけ離れた取引実務といえます。 本件についてどのように考えるのが税務上適切なのでしょうか、教えてください。 【A】 A・B社間による本件取引に関し、売上の基礎となる価格(契約価格)は、合理的な原価計算に基づき両社間による協議の上決定される「期末決定価格」と考えられることから、当該「期末決定価格」と「当初取引価格」との差額である期末調整額を売上値引とした場合には、当該値引は寄附金には該当しないものと考えられます。 ■ ■ ■ 解 説 ■ ■ ■ (1) 多品種少量の受注生産取引に係る価格決定方法 親子会社間の取引については、支配・従属関係があり、専ら親会社の意向により取引価格等を決定することが可能となるケースが多いため、両社間による利益や損失の付け替えにより利益調整が可能となるとして、寄附金課税が問題となってきた。 実務上のガイドラインとしては、例外的に、子会社等を整理する場合の損失負担等(法基通9-4-1)や子会社等を再建する場合の無利息貸付け等(法基通9-4-2)があるものの、適用範囲は限定的であり、実務家の頭を悩ます問題となっている。 ところで、本件の寄附金該当性を検討するにあたっては、本件親子会社間取引における価格の決定方法の検討が不可欠であるため、まずこれを確認することとする。 A社は、その親会社B社の注文により多品種小ロットの建築資材の生産を行い、それらを全てB社に販売している。その際の販売価格の決定方法は、以下のステップとなっている。 〇 本件取引関係図 本件のようなA・B社間の取引については、個々の製品の原価構成に様々なバリエーションが生じ得るという多品種小ロット生産という性格から、実際に生産を行わない限り、原価に基づく取引価格の算定が困難であるということが言えそうである。したがって、上記取引価格の算定方法は一定の経済合理性があるものと考えられる。 (2) 裁判例の検討 本事例は、実際の裁判例(東京地裁平成26年1月24日判決・判時2247号7頁・TAINSコード:Z264-12394、確定)に基づいて設定されたものである。したがって、この裁判例の内容について、以下で検討することとしたい。 ① 前提事実 原告は、F社がその住宅用外壁部材等(以下「外壁」という)の製造部門を分社化して設立した同社の100%出資の子会社であり、O事業所及びP事業所の2工場で外壁を製造している。 原告とF社は、平成12年4月1日頃、同日付け「取引基本契約書」及び「購入価格及び支払方法に関する覚書」(以下「本件覚書」という)を取り交わし、外壁の製造・売買に関する合意をした。 Fグループ各社では、各半期の決算月である9月と3月に、「生産会社方針検討会」を開催し、F社の関係役員と本件各子会社の代表者が参加して、主に、本件各子会社の当半期の実績見込み、次半期の生産見込棟数及びその見込棟数を基にした生産原価の改善施策等について協議していた。また、Fグループ各社では、10月と4月に開催される「コスト検討会」において、本件各子会社の業務部長等が参加して、原価の削減等に関して協議していた。 各半期における「生産会社方針検討会」の開催後、F社は、原告に対し、「購入価格暫定通知の件」などと題する書面により、各半期の期初の前日までに、原告から購入する外壁について、期初における取引価格(以下「当初取引価格」)を設定して通知していた。 F社は、本件各子会社に対し、各半期の期末において、期末における値増・値引調整を決定して、「期末値増・値引調整決定の件」、「ユニット購入単価決定通知の件」などと題する書面により、その調整額(以下「期末調整額」)を通知し、これに基づくユニット購入単価の変更を依頼していた。また、F社は、原告に対し、平成16年3月期下期から平成17年3月期下期までの間、半期の中間において、「購入単価変更依頼について」などと題する書面により、単価の変更依頼を行い、その調整額(以下「期中調整額」)を通知していた。 F社と原告は、①各半期の期首以降、外壁の代金として、当初取引価格による金額を支払い、原告はこれを売上として処理した上、②平成15年3月期上期から平成16年3月期上期までは、各半期の期末において、期末調整額につき、売上値引きにより処理を行い、平成16年3月期下期から平成17年3月期下期までは、各半期の中間以降において、期中調整額につき、単価変更又は売上値引きにより処理をした。 ② 争点 本件売上値引き及び本件単価変更に係る金額が、法人税法37条に規定する寄附金に該当するか。 具体的には、 という点である。 ③ 裁判所の判断 ④ 裁判所の判断に対するコメント [1] 期末調整額の性格に対する評価 本裁判例は、裁判所が親子会社間取引に係る取引価格の決定方法を、事実関係に即して丁寧に認定し、当初取引価格と期末決定価格との関係を正確にとらえた上で、その差額である期末調整額の性格を適切に判断しているものと評価できる(※)。 (※) 金子名誉教授は、本裁判例に関し、「期首までに暫定的に定めた当初取引価格を両社間の合意に基づき期末決定価格により減額した場合の差額は、市場における価格の低落その他の合理的な理由がある場合には、親会社に対する寄附金ではなく、損金にあたると解すべきであろう」と述べている。金子宏『租税法(第二十三版)』(弘文堂・2019年)410頁。 被告・課税庁は、当初取引価格は合理的な原価計算に基づき決定されたものであるから、本件販売契約において合意された取引価格であると主張する。当該主張に基づき、本件売上値引及び本件単価変更は、単に原告の利益をF社に付け替えるだけのものであって、通常の経済取引として是認できる合理的理由はないとし、その結果生じる売上の減算額は寄附金に該当するとした。 課税庁の当該主張に対し、裁判所は、 ことから、「有償支給価格及びこれに1.000を乗じて定められた当初取引価格が、本件各事業年度の各半期における合理的な原価計算の基礎に立つものとして決定されたものであると認定することは、当事者の客観的な意思解釈としても、相当困難があるといわざるを得ない」と被告の主張を斥けている。 すなわち、当初取引価格は次に見るとおり「暫定的」なものであり、期中の市場動向の変化により価格は変動するので、それを反映した適正かつ合理的な原価計算により正確な価格算定を行う必要性が是認されるのである。 [2] 当初取引価格の暫定性 当初取引価格の「暫定性」は、裁判所が指摘する通り、 等から明確に認められるものであり、課税庁の主張の「粗」が目立つ結果となった。 (3) 本件への当てはめ A社(子会社)とB社(親会社)間による本件取引に関し、売上の基礎となる価格(契約価格)は、暫定的な性格を有する「当初取引価格」ではなく、合理的な原価計算に基づき両社間による協議の上決定される「期末決定価格」と考えられることから、当該「期末決定価格」と「当初取引価格」との差額である期末調整額を売上値引とした場合には、当該値引は寄附金には該当しないものと考えられる。 (了)
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「日米租税条約」改正のポイント
「日米租税条約」改正のポイント 税理士・行政書士 島田 弘大 1 はじめに 2019年8月30日、日本とアメリカ合衆国との間で「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約を改正する議定書」に係る批准書が交換され、同日付けで発効した。 当該改正議定書は2013年に既に署名されていたものの、米国議会での承認に時間を要したことから、署名から6年を経て、ようやくの発効となった。日米租税条約の改正は2004年以来、15年ぶりとなる。 なお、後述のとおり、一部の改正はすでに2019年11月1日から施行されている。 今回の日米租税条約の改正により、日米両国間での投資が一層促進され、また、国際的な脱税・租税回避行為に対する日米税務当局間の協力が一層効果的に促進されることが期待されている。 本稿では、今回の改正のポイントや施行時期、実務上の留意事項について解説したい。 2 改正条約のポイント (1) 源泉地国免税の拡大 配当・利子に対する源泉地国課税の免税規定が、下記の通り拡大される。 (※) 財務省ホームページより ① 配当 租税条約第10条第3項の改正である。 改正前は持株割合50%超、かつ、保有期間12ヶ月以上の場合、配当に係る源泉徴収が免除されていたが、改正後は持株割合50%以上、かつ、保有期間6ヶ月以上と要件が緩和される。米国子会社からの配当に係る源泉徴収の免除要件が緩和されるため、より多くの日系企業が租税条約による配当に係る免税の恩恵を受けられると考えられる。 上記の通り、免税となる規定の要件緩和について改正されているが、5%・10%の減免規定については、変更はない。 ② 利子 租税条約第11条の改正である。 改正前は原則10%(一定の金融機関等の受取利子のみについて例外的に免税)が課税されていたが、改正後は原則すべての利子が「免税」となる(※)。 (※) ただし、下記については、利子の額の10%を限度として、源泉地国において課税できることとされた。 (a) 債務者若しくはその関係者の収入、売上げ、所得、利得その他の流出入を基礎として算定される利子 (b) 債務者若しくはその関係者の有する資産の価値の変動を基礎として算定される利子 (c) 債務者若しくはその関係者が支払う配当、組合の分配金その他これらに類する支払金を基礎として算定される利子 (d) (a)~(c)に類する利子であって、一方の締約国内において生ずるもの 米国での利子の支払いに係る源泉徴収が免除されることになるため、配当と同様、多くの日系企業が恩恵を受けられると考えられる。グループファイナンス等で米国企業に貸し付け、利子を受け取っている場合などは米国での源泉徴収が不要になるため、資金管理だけでなく、外国税額控除等の事務負担も軽減されることが期待される。 (2) 相互協議手続における仲裁制度の導入 条約の規定に適合しない課税に関する相互協議手続に関して、日米両国の税務当局間の協議により2年以内に事案が解決されない場合には、納税者からの要請に基づき、第三者から構成される仲裁委員会の決定により事案を解決することができるようになる。同制度は移転価格に関する事案で利用されると考えられる。 (3) 徴収共助の拡充 相手国の租税徴収の相互支援制度は、改正前の租税条約では条約濫用の場合に対象範囲が限定されているが、改正後は滞納租税債権一般について適用されることになり、対象範囲が大幅に拡大される。 日本においては、下記に係る租税債権が対象となる。 米国居住者(国外居住者)等の租税債権の徴収について、米国税務当局の協力の下、より厳格に行うことが可能になると考えられる。 (4) 不動産化体株式の内容 一方の締約国の居住者による不動産化体株式の譲渡収益については、従前より他方の締約国でも課税できることとされていたが、その不動産化体株式の内容が、下記の通り改正された。この改正は、日米両国のそれぞれの国内法との整合性を取るための改正といえよう。 この改正により、日本・米国における課税は、下記の通りになると考えられる。 ① 米国での課税 租税条約には「合衆国不動産持分」の定義が規定されていないことから、米国の国内法で規定される「合衆国不動産持分」の譲渡から生ずる収益について、米国で課税されることになると考えられる。 ② 日本での課税 改正前は「日本の居住者である法人」の株式に限定されていたが、改正後は日本に限定されていないため、国外の法人の株式についても、その価値が主として日本国内の不動産により直接又は間接に構成されている場合には、日本に課税権が与えられる。国内法も同様の規定になっているため、租税条約との整合性が取れることとなる。 3 施行時期 改正後の租税条約は、次のものについて適用される。源泉徴収についてはさっそく2019年11月1日以後の支払いから適用されているため、留意したい。 4 実務上の留意事項 上記の通り、配当・利子に係る源泉地国免税の拡大については、2019年11月1日以後の支払いから適用される。日系企業が米国子会社等から配当・利子を受け取る場合、今までアメリカで源泉徴収されていた場合も、改正後は源泉徴収が不要になるケースも想定されるため、早めに確認しておきたい。 (了)
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〔令和元年度税制改正〕 仮想通貨に関する法人税制のポイント 【第1回】「譲渡損益及び取得価額の算定方法」
〔令和元年度税制改正〕 仮想通貨に関する法人税制のポイント 【第1回】 「譲渡損益及び取得価額の算定方法」 税理士 小林 穣 ビットコイン等の仮想通貨は、個人だけでなく法人でも保有・使用することができます。 仮想通貨に関する会計・税務において、会計の面では2018年3月にASBJから「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」が公表されましたが、税務の面では法律による定めはなく、2018年11月に国税庁から公表された「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」等をもとに実務が行われてきました。 令和元年度(平成31年度)税制改正では、これら国税庁資料で示されていた仮想通貨の譲渡損益の計算方法等が、所得税、法人税ともに税法上規定されました。本連載では、今年度改正で整備された仮想通貨に関する規定のうち法人税の関係について、そのポイントを2回にわたって解説します。 なお、日本では金融庁が中心となり、呼称を「仮想通貨」から「暗号資産」へ変更しようとする動きがありますが、本稿では「仮想通貨」を用いて解説を行います。 1 仮想通貨の譲渡損益 内国法人が仮想通貨の譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額は、原則として、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入されます(法法61①)。 仮想通貨に関して譲渡損益を認識する主なケースは、次の4つがあります。 (1) 譲渡損益の計算例 以下では、上記①~④ごとの譲渡損益の計算例をみていきます。 ① 仮想通貨を日本円に換算(売却)した場合 保有する仮想通貨を日本円に換算(売却)した場合の所得金額は、その仮想通貨の売却金額と売却した仮想通貨の取得価額との差額になります(法法22・22の2)。 ② 仮想通貨で商品を購入した場合 保有する仮想通貨で商品を購入した場合、保有する仮想通貨を譲渡したことになりますので、この譲渡に係る所得金額は、その仮想通貨の譲渡価額と譲渡した仮想通貨の取得価額との差額となります(法法22・22の2)。 ③ 仮想通貨同士の交換を行った場合 保有する仮想通貨Aを他の仮想通貨Bと交換した場合、仮想通貨Aで仮想通貨Bを購入したことになりますので、「②仮想通貨で商品を購入した場合」と同様に、所得金額を計算する必要があります(法法22・22の2)。 ④ 仮想通貨をマイニングにより取得した場合 仮想通貨をマイニング(採掘)により取得した場合、その所得は法人税の課税対象となります。 いわゆる「マイニング」等により仮想通貨を取得した場合、その取得価額に相当する金額の収益(時価)については益金の額に算入され、マイニング等に要した費用については損金の額に算入されることになります(法法22・22の2)。 なお、マイニング等により取得した仮想通貨の取得価額は、仮想通貨をマイニング等により取得した時点での時価となります。 (2) 適用関係及び経過措置 仮想通貨の譲渡損益の計算における改正については、平成31年4月1日以後に終了する事業年度から適用されます(改正法附則12)。 ただし、経過措置として、改正事業年度(平成31年4月1日以後最初に終了する事業年度)前の事業年度において仮想通貨の譲渡に係る契約をし、かつ、改正事業年度以後の事業年度においてその仮想通貨の引渡しをする場合におけるその譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額は、その引渡しの日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入されます(改正法附則19①)。 (注) 契約日の属する事業年度の譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額を益金の額又は損金の額に算入している場合を除きます(改正法附則19①)。 2 仮想通貨の取得価額 (1) 原則的な取扱い 譲渡損益の計算における仮想通貨の取得価額は、購入した場合にはその支払対価に手数料等の付随費用を加算した額となります(法令118の5)。 マイニング等により取得した仮想通貨の取得価額は、仮想通貨をマイニング等により取得した時点での時価(=益金に算入された金額)となります。 (2) 複数回にわたって仮想通貨を取得した場合の取得価額 同じ仮想通貨を複数回にわたって取得した場合の仮想通貨の取得価額の算出方法は、移動平均法又は総平均法による原価法により算出することとされています。 そして、その算出方法については所轄税務署長に届け出る必要があります(法令118の6①・④)が、届出等がなかった場合の法定算出方法は移動平均法による原価法とされました(法法61①二、法令118の6⑦)。 (3) 適用関係 仮想通貨の譲渡損益の計算における取得価額の改正については、平成31年4月1日以後に終了する事業年度から適用されます(改正法附則12)。 * * * 次回は、事業年度終了時の時価評価損益の算定と仮想通貨信用取引に係るみなし決済について取り上げます。 (了)
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《相続専門税理士 木下勇人が教える》一歩先行く資産税周辺知識と税理士業務の活用法 【第7回】「認知症が及ぼす財産管理に関する諸問題の検証」
《相続専門税理士 木下勇人が教える》 一歩先行く資産税周辺知識と税理士業務の活用法 【第7回】 「認知症が及ぼす財産管理に関する諸問題の検証」 公認会計士・税理士 木下 勇人 厚生労働省が発表した推計によると、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みである(厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要」より)。 社会の急速な高齢化により深刻な問題となりつつある認知症であるが、相続実務においても大きな影響を及ぼすことは必至である。 そこで本稿では、認知症が引き起こす「財産管理」に関する潜在的な問題を検証し、認知症リスクを顕在化させることを目的とする。 1 意思無能力者の法律行為の効力 本人が重度の認知症である場合、意思無能力者と推察される。仮に意思無能力者であれば、その法律行為の効力は無効となる(大審院明治38年5月11日判決)。 意思無能力者の法律行為の効力については、これまで法律で規定されておらず、判例等によるものとされていた。 しかし、令和2年(2020年)4月1日に施行される新民法(債権法)第3条の2に、下記のとおり明文化されることとなった。 2 法律行為の無効が影響を及ぼす具体的な場面 認知症により意思無能力者とみなされ、その法律効果が無効となった場合に、相続実務に影響が及ぶ具体的な場面としては、主に以下が考えられる。 3 相続人に重度の認知症患者(意思無能力者)がいる場合におけるリスク 以下では、事例をもとに、相続人に重度の認知症患者(意思無能力者)がいる場合におけるリスクを検証する。 (1) 代筆することは犯罪か? 母が重度の認知症であるにもかかわらず、遺産分割協議書へ母の代筆をして署名押印すれば、長男及び長女は、有印私文書偽造等の罪(刑法159条、161条)に問われる可能性がある。 (2) 代筆した遺産分割協議で各種手続は可能か? 相続手続では、成立した遺産分割協議に基づく各種名義変更手続がある。例えば、預貯金口座、証券会社口座、不動産登記、自動車登録、ゴルフ会員権登録等である。遺産分割協議が無効であれば、遺産分割協議書に基づく名義変更は不可となる。 (3) 相続税申告はどうなるか? 重度の認知症であれば、申告するという意思表示もできないと考えられるため、本事例における申告は、法的には意味をなさないものになるといえるが、実際には、課税庁の対応次第となるため、受領される可能性も残る。 仮に、親族(母の兄妹)から後日、遺産分割協議無効確認訴訟が提起され、遺産分割協議が無効となる可能性もあるが、無効確定した場合には、更正請求の余地は残るといえる。ただし、更正請求の可能性があるとはいえ、本質的には無効となる遺産分割協議を納税者に行わせないよう、税理士としては、コンプライアンス意識をしっかりと持っておく必要がある。 (了)
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相続空き家の特例 [一問一答] 【第37回】「被相続人居住用家屋及び敷地等の範囲④(同一の敷地内に明確に区分できる居住用以外の敷地がある場合)」-相続空き家の特例の対象となる譲渡の範囲-
相続空き家の特例 [一問一答] 【第37回】 「被相続人居住用家屋及び敷地等の範囲④ (同一の敷地内に明確に区分できる居住用以外の敷地がある場合)」 -相続空き家の特例の対象となる譲渡の範囲- 税理士 大久保 昭佳 Q Xは、昨年7月に死亡した父親の居住用家屋(昭和56年5月31日以前に建築)と事務所用建物、そして、その敷地を相続により取得しました。 その後、その居住用建物(床面積100㎡)と事務所用建物(床面積50㎡)を取り壊して更地にし、本年3月に1億500万円で売却しました。 相続の開始の直前において、その家屋で父親は1人住まいをしていましたが、その事務所で行政書士としての仕事を細々ながらも続けていました。 父親名義のその土地300㎡のうち、80㎡は生け垣で区分され、事務所用建物が建っていました。 この場合、「相続空き家の特例(措法35③)」の適用にあたって、被相続人居住用家屋の敷地に該当する部分の面積はいくらでしょうか。 A 被相続人の居住の用に供されていた土地は、300㎡ではなく、生け垣で区分された敷地を除く220㎡となります。 ●○●○解説○●○● 譲渡した土地等が、「被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地」に該当するかどうかは、社会通念に従い、その土地等が相続の開始の直前において被相続人居住用家屋と一体として利用されていた土地であったかどうかより判定することとされています。 そして、その相続の開始の直前において、その土地が用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地であった場合には、その土地のうち、一定の算式で計算した面積に係る土地の部分に限られます(措通35-13(被相続人居住用家屋の敷地等の判定等))(【第8回】を参照)。 ところで、本事例の場合は、その土地の上に2以上の建築物があるものの、行政書士事務所の敷地として利用している部分が生け垣で区分されていることから、生け垣で区分された部分は、社会通念に従って、被相続人居住用家屋と一体として利用されていた土地ではないと考えられます。 したがって、その土地が用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地であった場合における算式(措通35-15)を適用するケースではないことから、「相続空き家の特例」の適用対象となる面積は、生け垣で区分された部分を除く220㎡となります。 なお、生け垣で区分された敷地80㎡については、本特例の適用なしで譲渡所得の計算をして申告することとなり、相続税額の取得費加算の特例(措法39)を適用することが可能となります(【第29回】を参照)。 おって、譲渡価額要件(1億円以下)の判定にあたっても、「対象譲渡資産一体家屋等」に該当しないことから、全体の譲渡価額を合理的に按分した結果、本特例に係る対象敷地220㎡が1億円以下の場合は、その適用要件を満たすこととなります。 (了)
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〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第74回】「印紙税税印押なつ請求書の書き方」
〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第74回】 「印紙税税印押なつ請求書の書き方」 税理士・行政書士・AFP 山端 美德 株券等に対する印紙税の納付について、収入印紙によることなく税印による納付を行いたいと思います。請求手続き及び請求書の記入方法を教えてください。 印紙税税印押なつ請求は、収入印紙により納付することに代えて印紙税額を現金で納付し、課税文書に税印を押すことが請求できる規定である。 「印紙税税印押なつ請求書」を作成のうえ、文書とともに税印押なつ機を備えている税務署(規則別表第二に規定あり。全国118署)へ持参し確認を受けたのち、税務署等にて印紙税額を納付後、税印押なつを受けることとなる。 なお、納税地は税印を押すことを請求した税務署長の所属する税務署の管轄区域内の場所を納税地として納付する。 [記載例] ◎印紙税税印押なつ請求書 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 ◎税印 (出典) 国税庁HP 《請求に当たっての注意点》 一括納付承認申請に係る参考条文(法9①、令6、基通66~68) (了)
