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《速報解説》 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件の改正ポイント

《速報解説》   連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する 金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件の改正ポイント   宝印刷総合ディスクロージャー研究所 顧 問  小谷  融 (大阪経済大学教授) 研究員 増田 美和   Ⅰ 改正された告示 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件(平成21年12月金融庁告示第69号)の一部改正が公表された(平成24年12月28日金融庁告示第88号)。   Ⅱ 主な改正内容等 〈指定国際会計基準〉 国際的な財務活動又は事業活動を行う会社で、一定の要件を満たす特定会社が提出する連結財務諸表の用語、様式及び作成方法は、国際会計基準(公正かつ適正な手続のもとに作成及び公表が行われたものと認められ、公正妥当な企業会計の基準として認められることが見込まれるものとして金融庁長官が定めるもの(指定国際会計基準)に限る)に従うことができるとされている(連結財務諸表規則1条の2、93条)。 本改正は、金融庁長官がこの指定国際会計基準を定めるものである。 〈改正内容〉 国際会計基準審議会が平成24年7月1日から同年10月31日までに公表した次の国際会計基準を、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則93条に規定する指定国際会計基準とする。 国際財務報告基準(IFRS)第1号「国際財務報告基準の初度適用」(改訂・平成24年10月31日) 国際財務報告基準(IFRS)第3号「企業結合」(改訂・平成24年10月31日) 国際財務報告基準(IFRS)第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」(改訂・平成24年10月31日) 国際財務報告基準(IFRS)第7号「金融商品:開示」(改訂・平成24年10月31日) 国際財務報告基準(IFRS)第9号「金融商品」(改訂・平成24年10月31日) 国際財務報告基準(IFRS)第10号「連結財務諸表」(改訂・平成24年10月31日) 国際財務報告基準(IFRS)第12号「他の企業への関与の開示」(改訂・平成24年10月31日) 国際財務報告基準(IFRS)第13号「公正価値測定」(改訂・平成24年10月31日) 国際会計基準(IAS)第7号「キャッシュ・フロー計算書」(改訂・平成24年10月31日) 国際会計基準(IAS)第12号「法人所得税」(改訂・平成24年10月31日) 国際会計基準(IAS)第24号「関連当事者についての開示」(改訂・平成24年10月31日) 国際会計基準(IAS)第27号「個別財務諸表」(改訂・平成24年10月31日) 国際会計基準(IAS)第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」(改訂・平成24年10月31日) 国際会計基準(IAS)第32号「金融商品:表示」(改訂・平成24年10月31日) 国際会計基準(IAS)第34号「中間財務報告」(改訂・平成24年10月31日) 国際会計基準(IAS)第39号「金融商品:認識及び測定」(改訂・平成24年10月31日)   Ⅲ 適用時期 平成24年12月28日から適用する。 (了)
#0 創刊準備5号(掲載号)
#増田 美和
2013/01/08
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《速報解説》 書面添付制度に係る事務運営指針の改正について

《速報解説》 書面添付制度に係る 事務運営指針の改正について   税理士法人トーマツ 税理士 有安 寛次   平成24年12月19日付で、下記事務運営指針の一部改正がなされた(平成25年1月1日からの適用)。 「法人課税部門における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について」事務運営指針) 「調査課における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について」(事務運営指針) 「資産税事務における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について」(事務運営指針) 「個人課税部門における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について」(事務運営指針) 「酒税に関する書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について」(事務運営指針) これは、平成23年度の通則法改正、及びそれに伴う通達の整備を受け、書面添付制度に係る事務運営指針において「調査」の範囲が明確になったことに伴い、税理士法33条2項の書面添付のある税理士からの事前聴取後に提出された修正申告書は更正を予知して出されたものでないことを明記することを主眼として、改正がなされたものである。   1 書面添付制度とは 書面添付制度とは、税理士法33条の2に規定する計算事項等を記載した書面が申告書に添付されている場合、調査に際して、納税者に税務調査の事前通知をするときには、その通知前に、税務代理を行う税理士又は税理士法人に対して、添付された書面の記載事項について意見を述べる機会を与えなければならない(税理士法第35条1項)こととされているものである。 なお、添付書面には、 計算し、整理した主な事項について、具体的に、どのような書類や帳票に基づき、どのように確認したのか 審査した主な事項について、具体的に、どのような書類や帳票に基づき、どのように確認(審査)したのか 前年(度)と比較して顕著な増減が見受けられる事項について、具体的に、どのような理由から増減したのか 会計処理方法に変更等があった事項について、具体的に、どのような理由から、どのように変更したのか 相談に応じた事項について、具体的に、どのような相談があり、それに対してどのような指導又は確認をしたのか 審査した事項について、その結果に至るまでに、具体的に、どのような確認作業等を行ったのか などを中心に、正確に記載する必要があるとされている。   2 改正前の事務運営指針の概要 書面添付制度に係る事務運営指針は各事務系統ごと(法人課税部門、調査課、資産税事務、個人課税部門、酒税課)に出されているが、その内容はほぼ同じで「第1章 書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方」、「第2章 書面添付制度に係る事務手続及び留意事項」の2章からなっており、第2章第2節「意見聴取の実施」において具体的な聴取方法等が記載されている。 そのポイントは、 添付書類の記載要件を満たしていないものは、税理士法33条の2の添付書面に該当しないものであるから、意見聴取を行う必要はないこと 事前通知予定日の1~2週間前までに税理士に連絡して意見聴取の日時を決めること 意見聴取後調査に移行しないこととなった場合には、原則として書面で税理士に通知すること。しかし、指導事項等があった場合には口頭による通知に留めること 調査に移行することとなった場合には、納税者に事前通知をする前に税理士に対して調査に移行する旨の連絡を口頭で行うこと 意見聴取の後に修正申告書が提出された場合には、原則として加算税は賦課しないが、事実認定により「更正の予知」があった修正申告と認められる場合には加算税を賦課すること 書面添付の申告書を調査の結果更正することとなった場合には、税理士に意見を述べる機会を与えること となっている。   3 国税通則法の改正 平成23年度の税制改正において税務調査手続の整備が行われ、その多くの規定が平成25年1月1日から施行されることとなっている。 国税通則法の改正に合わせて、調査手続関係通達(以下「通達」という)が平成24年9月12日に制定され、調査手続に関する国税当局の考え方が明らかにされた。 その中で、調査手続に関する「調査」の定義が明らかにされ、「調査」とは国税に関する法律の規定に基づき、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的その他国税に関する法律に基づく処分を行う目的で国税職員が行う一連の行為(証拠資料の収集、要件事実の認定、法令の解釈適用など)をいうとされている(通達1-1)。 その一方で「調査」に該当しない行為も定義されており、国税職員が行う行為で、特定の納税者の課税標準等又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないものは、調査には該当しないものであることが明示され、これらの行為のみに起因して修正申告書若しくは期限後申告書の提出又は源泉徴収に係る所得税の自主納付があった場合には、当該修正申告書等の提出等は更正若しくは決定又は納税の告知があることを予知してなされたものには当たらないことが明記された(通達1-2)。   4 事務運営指針の改正 意見聴取後の修正申告書の提出について、従来は、「意見聴取を行い、その後に修正申告書が提出されたとしても、原則として、加算税は賦課しない。ただし、・・・(加算税にかかる事務運営指針)に基づき非違事項の指摘を行ったかどうかの具体的な事実認定により「更正の予知」の有無を判断することになるから、修正申告書が意見聴取の際の個別・具体的な非違事項の指摘に基づくものであり、「更正の予知」があったと認められる場合には、加算税を賦課することに留意する。」として加算税を賦課する余地を残していた。 しかし、今回の通則法の改正、通達の制定を受けて、意見聴取は調査に当たらないことを確認し、よって、その後修正申告書が提出された場合にも更正を予知して提出されたものではないとして、上記の文章が削除されるとともに、次の文章が新たに記載され、意見聴取後に提出された修正申告書は更正の予知があってされたものとしては取り扱われないことが明記された。 このため、係る申告書は自主修正扱いとなり加算税は賦課されないこととなる。 その他、通則法の改正に伴う所要の改正がなされている。 (了)
#0 創刊準備5号(掲載号)
#有安 寛次
2013/01/07
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《速報解説》 不正リスク対応基準(仮称)(公開草案)の公表について

《速報解説》 不正リスク対応基準(仮称) (公開草案)の公表について   公認会計士 阿部 光成   平成24年12月21日、企業会計審議会監査部会は「監査における不正リスク対応基準(仮称)の設定及び監査基準の改訂について(公開草案)」を公表し、平成25年1月25日まで意見募集を行っている。 今回の公開草案は、不正による有価証券報告書の虚偽記載等の不適切な事例が相次いでおり、こうした事例において、結果として公認会計士監査が有効に機能しておらず、より実効的な監査手続を求める指摘があることに対応するものである。 今回の公開草案は、次の基準の設定及び改訂を行うものである。 本稿では、公開草案の主なポイントについて解説を行う。 公開草案は一定の想定をおいて記載している部分があるので、全体の理解のために、ぜひ全文をお読みいただきたい。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅰ 監査における不正リスク対応基準の考え方 不正リスク対応基準は、次の基本的な考え方に基づいている。 財務諸表監査において対象とする重要な虚偽の表示の原因となる不正を対象としており、重要な虚偽の表示とは関係のない不正は、対象としていない。 財務諸表監査における、不正による重要な虚偽表示のリスク(以下「不正リスク」という)に対応する監査手続等を規定している。 これは、財務諸表監査の目的を変えるものではなく、不正摘発自体を意図するものでもない。 すべての財務諸表監査において画一的に不正リスクに対応するための追加的な監査手続の実施を求めることを意図しているものではない。 被監査企業に不正による財務諸表に重要な虚偽の表示を示唆するような状況がないような場合や監査人において既に不正リスク対応基準に規定されているような監査手続等を実施している場合には、現行の監査基準に基づく監査の実務と基本的には変わらない。 財務諸表の作成に対する経営者の責任と、当該財務諸表の意見表明に対する監査人の責任とは区別されている(二重責任の原則)。 経営者の作成した財務諸表に重要な虚偽の表示がないことについて、正当な注意を払って監査を行った場合には、基本的には、監査人は責任を問われることはないものと考えられる。   Ⅱ 不正リスク対応基準の適用対象 不正リスク対応基準は、すべての監査において実施されるのではなく、主として、財務諸表及び監査報告について広範囲な利用者が存在する金融商品取引法に基づいて開示を行っている企業(非上場企業のうち資本金5億円未満又は売上高10 億円未満かつ負債総額200 億円未満の企業は除く)に対する監査において実施することを念頭に置いている。 具体的な適用対象は、関係法令において明確化されることが予定されている。   Ⅲ 不正リスク対応基準の主な内容 1 職業的懐疑心の強調 監査基準では「職業的懐疑心の保持」が規定されている。 公開草案の前文では職業的懐疑心が特に重要であると述べられており、不正リスク対応基準では「職業的懐疑心の強調」を冒頭に掲記し、次の3つを述べている。 監査の全過程を通じて、職業的懐疑心を保持する。 不正リスクの評価、評価した不正リスクに対応する監査手続の実施及び監査証拠の評価の各段階において、職業的懐疑心を発揮する。 監査手続を実施した結果、不正による重要な虚偽の表示の疑義に該当するかどうかを判断する場合や、不正による重要な虚偽の表示の疑義に該当すると判断した場合には、職業的懐疑心を高めて監査手続を実施する。 上記のように、職業的懐疑心については、保持・発揮・高めること、について規定しているが、その程度は、監査人の行った監査手続で判断されるものと考えられると述べられている。 このため、職業的懐疑心の程度が示されるように、監査人は行った監査手続を明確にする必要があると考えられる。 2 不正リスクに対応した監査の実施 監査の各段階における不正リスクに対応した監査手続等を規定している。 公開草案の前文では、抜き打ちの監査手続の実施が述べられている。これは、財務諸表全体に関連する不正リスクが識別された場合に、企業が想定しない要素を監査計画に組み込むことが必要になることの1つとして述べられているものである。 3 不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況 監査実施の過程において、不正リスク対応基準の付録2に例示されているような「不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況」を識別した場合には、「不正による重要な虚偽の表示の疑義」が存在していないかどうかを判断するために、適切な階層の経営者に質問し説明を求めるとともに、追加的な監査手続を実施しなければならないこととしている。 付録2に例示されている状況は、現行の監査基準に基づく現在の実務においても、監査人としては、重要な虚偽の表示の可能性が高いものとして、特に注意すべき状況を念頭に記載されている。 付録2は例示であり、監査実施の過程においてそのような状況に遭遇した場合に、「不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況」として追加的な監査手続を求めているものである。 したがって、付録2に記載されている状況の有無について網羅的に監査証拠をもって確かめなければならないということではなく、必ずしも付録2をチェック・リストとして取り扱うことを意図したものではないと述べられているので、注意が必要であると思われる。 4 不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断した場合の監査手続 不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況について、関連して入手した監査証拠に基づいて経営者の説明に合理性がないと判断した場合や、識別した不正リスクに対応して追加的な監査手続を実施してもなお十分かつ適切な監査証拠を入手できない場合には、不正による重要な虚偽の表示の疑いがより強くなると述べられている。 このため、不正リスク対応基準は、上記について不正による重要な虚偽の表示の疑義として扱わなければならないものとしている。 追加的な監査手続の実施の結果、不正による重要な虚偽の表示の疑義がないと判断した場合には、その旨と理由を監査調書に記載しなければならない。 不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断した場合には、想定される不正の態様等に直接対応した監査手続を立案し監査計画を修正するとともに、修正した監査計画に従って監査手続を実施しなければならない。 5 不正リスクに関連する審査 不正による重要な虚偽の表示の疑義が識別された場合には、監査事務所として適切な監査意見を形成するため、審査についてもより慎重な対応が求められている。そして、監査事務所の方針と手続に従って、適切な審査の担当者による審査が完了するまでは意見の表明ができないことが述べられている。 6 監査役等との連携 監査人は、監査の各段階において、監査役等との連携を図らなければならないことについて述べられている。 これは、不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断した場合や経営者の関与が疑われる不正を発見した場合には、取締役の職務の執行を監査する監査役や監査委員会と連携を図ることが有効であると考えられているためである。 また、公開草案の前文の「一 経緯 1 審議の背景」では、不正に関しては、一義的に財務諸表作成者である経営者に責任があると述べ、監査人は、企業における内部統制の取組みを考慮するとともに、取締役の職務の執行を監査する監査役等と適切に連携を図っていくことが期待されると述べられている。 不正リスク対応基準では、監査人は、監査実施の過程において、不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況を識別した場合には、不正による重要な虚偽の表示の疑義が存在していないかどうかを判断するために、経営者に質問し説明を求めるとともに、追加的な監査手続を実施しなければならないとしている。   Ⅳ 不正リスクに対応した監査事務所の品質管理 不正リスク対応基準は、監査実施の各段階における不正リスクに対応した監査手続を実施するための監査事務所としての品質管理を規定している。これは、現在各監査事務所で行っている品質管理のシステムに加えて、新たな品質管理のシステムの導入を求めているものではなく、不正リスクに対応する観点から特に留意すべき点を明記したものである。 1 監査事務所間の引継ぎ 監査事務所交代時において、前任監査事務所は、後任の監査事務所に対して、不正リスクへの対応状況を含め、企業との間の重要な意見の相違等の監査上の重要な事項を伝達するとともに、後任監査事務所から要請のあったそれらに関連する監査調書の閲覧に応じるように、引継ぎに関する方針と手続に定めなければならない。 後任監査事務所は、前任監査事務所に対して、監査事務所の交代理由のほか、不正リスクへの対応状況、企業との間の重要な意見の相違等の監査上の重要な事項について質問するように、引継ぎに関する方針及び手続に定めなければならない。 2 監査実施の責任者間の引継ぎ 監査事務所内において、同一の企業の監査業務を担当する監査実施の責任者が全員交代する場合(監査実施の責任者が1人である場合の交代を含む)は、監査上の重要な事項が適切に伝達されなければならない。   Ⅴ 監査基準の改訂 監査基準について、次の事項の改訂を予定している。 品質管理の方針及び手続において、意見が適切に形成されていることを確認できる審査に代わる他の方法が定められている場合には、審査を受けないことができる。 監査役等との連携 現行の監査基準では監査役等との連携に関する規定がないが、監査における監査役等との連携は、不正が疑われる場合に限らず重要であると考えられることから、監査人は、監査の各段階において、適切に監査役等と協議する等、監査役等と連携を図らなければならないことを明記する。   Ⅵ その他 1 取引先企業の監査人との連携 いわゆる「循環取引」のように被監査企業と取引先企業の通謀が疑われる場合等に、監査人としてとることが考えられる監査手続として、「取引先企業の監査人との連携」について議論されたが、解決すべき論点が多いことから、公開草案には含めず、循環取引等への対応について、企業会計審議会において継続して検討を行う。 2 監査報告書の記載内容の見直し等 監査報告書の記載内容の見直し、特別目的の財務報告に対する監査の位置づけを監査基準上明確にするかどうかについては、今後、企業会計審議会において検討を行う。 3 不正の端緒の用語の変更 企業会計審議会監査部会資料の「不正に対応した監査の基準の考え方(案)」では、「不正の端緒」の用語が用いられていた。 公開草案の前文及び不正リスク対応基準では、当該用語は用いられず、「不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況」、「不正による重要な虚偽の表示の疑義」の用語が用いられている。   Ⅶ 実施時期等 不正リスク対応基準及び改訂監査基準は、平成26年3月決算に係る財務諸表の監査から実施する。 不正リスク対応基準中、「第三 不正リスクに対応した監査事務所の品質管理」については、平成25年10月1日から実施する。 不正リスク対応基準及び改訂監査基準を実務に適用するに当たって必要となる実務の指針については、日本公認会計士協会において、関係者とも協議の上、適切な手続の下で、早急に作成されることが要請される。 (了)
#0 創刊準備5号(掲載号)
#阿部 光成
2012/12/28
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《速報解説》 退職給付に関する会計基準適用に伴う「税効果会計に関するQ&A」改正の公開草案

《速報解説》 退職給付に関する 会計基準適用に伴う 「税効果会計に関するQ&A」 改正の公開草案   有限責任 あずさ監査法人 波多野 直子   企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」(以下「退職給付会計基準」という)に対応するため、日本公認会計士協会から「税効果会計に関するQ&A」(以下「税効果Q&A」という)にQ15を追加する改正の公開草案が平成24年12月10日に公表され、平成25年1月9日まで意見募集されている。 本稿は、公開草案の解説であるため、最終化した税効果Q&Aの内容を確認する必要がある。 なお、文中、意見に関する部分は、筆者の私見であることを申し添える。   1 税効果Q&Aの改正の経緯 退職給付会計基準の適用により、連結財務諸表においては、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用(以下「未認識項目」という)を、税効果を調整の上でその他の包括利益累計額で認識し、積立状況を示す額をそのまま負債(退職給付に係る負債)又は資産(退職給付に係る資産)として計上する。 一方、個別財務諸表においては、未認識項目は貸借対照表に計上せず、これに対応する部分を除いた、退職給付債務と年金資産の差額を負債(又は資産)として計上する。 このため、個別財務諸表上の退職給付引当金と連結財務諸表上の退職給付に係る負債の額が異なる。 税効果Q&Aの改正は、これに係る個別財務諸表と連結財務諸表における税効果会計の考え方を整理する必要が生じたことに対応するものである。   2 退職給付会計基準適用による個別財務諸表及び連結財務諸表の税効果の取扱い (1) 個別財務諸表と連結財務諸表の繰延税金資産の回収可能性 連結財務諸表において、未認識項目を負債又は資産として認識する会計処理は、連結手続の一環である。以下の前提の場合、未修正項目100を認識するため、退職給付に係る調整額100/退職給付に係る負債100の連結修正仕訳をする。 ・法定実効税率は40%と仮定とし、回収可能性に問題ないものとする。 この連結修正仕訳の結果生じた一時差異は、連結手続上生じた将来減算一時差異及び将来加算一時差異と考えられる。 このような連結手続上生じた繰延税金資産の回収可能性については、「連結手続上生じた将来減算一時差異(未実現利益の消去に係る将来減算一時差異を除く)に係る税効果額は、各納税主体ごとに個別貸借対照表上の繰延税金資産の計上額(繰越外国税額控除に係る繰延税金資産を除く)と合算し、個別税効果実務指針21項に定める回収可能性の判断要件及び個別税効果実務指針22項に従って繰延税金資産の連結貸借対照表への計上の可否及び計上額を決定し、個別税効果実務指針第23項に従って、計上した繰延税金資産の修正を行わなければならない。」とされている(連結税効果実務指針41項)。 したがって、連結財務諸表上の「退職給付に係る負債(又は資産)」に係る税効果は、個別財務諸表における退職給付引当金に係る一時差異に対する繰延税金資産の額(上記例では160)を計上し、これに連結修正項目の繰延税金資産(上記例では40)を合算し、この合算額(上記例では200)についての回収可能性を判断する(税効果Q&AのQ15(1))。 (2) 監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」との関係 監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(以下「監査委員会報告第66号」という)5(1)の会社分類(例示区分)について、連結財務諸表における会社分類(例示区分)は、個別財務諸表における会社分類(例示区分)と変わらないものと考えられる。 これは、未認識項目の負債(又は資産)の連結貸借対照表への即時認識を行うか否かにより将来年度の課税所得の見積りが変わるものではないためである(税効果Q&AのQ15(2))。 〈例〉 会社分類(例示区分)が①(期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上している会社等)である。 連結修正手続(未認識項目の負債認識)において生じる将来減算一時差異を合算すると、「将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上していない」場合に該当する。 ⇒連結財務諸表における会社分類(例示区分)は②に修正するのではなく、個別財務諸表における会社分類(例示区分)と同じ①とする。 なお、監査委員会報告第66号5(2)の退職給与引当金(退職給付引当金)に係る将来減算一時差異に係る将来解消年度が長期となる将来減算一時差異としての扱いは、当該連結修正項目(未認識項目の負債認識)において生じる将来減算一時差異についても同様に当てはまるものと考えられる。連結財務諸表上の退職給付に係る負債と個別財務諸表の退職給付引当金の帳簿価額は、当初は相違があっても、未認識項目の認識のタイミングのずれによるものであり、退職給付に係る将来減算一時差異としての性質は異なるものではないためである(税効果Q&AのQ15(2))。 (3) 回収可能性の見直し時の会計処理 繰延税金資産の回収可能性の見直しにおいては、まず、回収可能性の見直しについての個別財務諸表における税効果に係る処理を行い、これに加えて、連結修正項目に係る税効果の追加認識又は取崩しを行うことになるものと考えられる(税効果Q&AのQ15(3))。 ① 退職給付引当金及び退職給付に係る負債に係る将来減算一時差異についての繰延税金資産の回収可能性が過去なかったものが、その後にあると判断された場合の処理 スケジューリングに基づき、個別財務諸表における退職給付引当金について繰延税金資産を計上する(繰延税金資産××/法人税等調整額××)。 これに加え、スケジューリングに基づき、未認識項目の負債認識において生じる将来減算一時差異について回収可能性があると判断される場合には、連結財務諸表上、当該一時差異についても一部又は全額の繰延税金資産を計上する(繰延税金資産××/退職給付に係る調整額××)。 ② 退職給付引当金及び退職給付に係る負債に係る将来減算一時差異についての繰延税金資産の回収可能性が過去あったものが、その後にないと判断された場合の処理 スケジューリングに基づき、個別財務諸表上の回収可能性の見直しを行い、回収可能性があるものと判断される将来減算一時差異に係る繰延税金資産を算出し、これを超えて計上されていた繰延税金資産の額について取崩しを行う(法人税等調整額××/繰延税金資産××)。 このように個別財務諸表において取崩しが生じる場合、未認識項目の負債認識において生じる将来減算一時差異に対応する繰延税金資産は、すべて回収可能性があるものと判断される額を超える額となる。このため、公開草案の考え方では、連結財務諸表上、個別財務諸表上の取崩しの処理に加え、未認識項目の負債認識において生じる将来減算一時差異に対応する繰延税金資産をすべて取り崩すことになる(退職給付に係る調整額××/繰延税金資産××)。 (了) 【参考】 日本公認会計士協会ホームページ 「「税効果会計に関するQ&A」の改正について(公開草案)」
#0 創刊準備5号(掲載号)
#波多野 直子
2012/12/25
消費税・地方消費税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕 消費税率の引上げに伴う実務上の注意点 【第4回】税率変更の問題点(3) 「請求書発行に伴う販売管理等のシステム変更」

〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕 消費税率の引上げに伴う実務上の注意点 【第4回】 税率変更の問題点(3) 「請求書発行に伴う販売管理等のシステム変更」   アースタックス税理士法人 税理士 島添 浩   1 販売管理システムの変更 前回はレジスター等のシステム変更の必要性について述べたが、請求書の発行に伴う販売管理等のシステムについても変更が必要となる。 請求書の発行については、その処理や表示の方法が業種によって様々であり、その対応策が多岐にわたることから注意を要する。 販売先が一般の消費者である、いわゆるBtoCの取引の場合には、総額表示義務規定により税込で処理をすることとなるが、販売先が特定の事業者である、いわゆるBtoBの取引の場合には、外税で消費税を計算する税抜処理を認めている。 したがって、請求書を作成するにあたり、商品等を個別に消費税を含めた上で合計して請求額を求めるのか(内税方式)、商品等を税抜で合計し、合計後の金額に消費税率を乗じて計算し請求額を求めるのか(外税方式)といった選択については、事業の特性を踏まえた上で、その業界や事業者側の判断でシステム等の変更をしなければならない。 また、請求書は、月や週単位などの一定の期間ごとに、その期間中において取引先等に対して商品等を販売した金額を集計し、その合計額をその計算期間後に発行して請求することとなるため、税率改正の施行日をまたぐ処理については注意しなければならない。 例えば、月末締めの場合、施行日前の平成26年3月末締めの請求書は、施行日後の4月1日以後に発行することとなるが、その税率は旧税率の5%を適用しなければならず、システムの変更時期について注意が必要である。 さらに、毎月15日締めの場合における4月15日締めの請求書は、3月31日までの販売分については5%、4月1日から4月15日までの販売分については8%を適用することとなり、請求書の表示等について明確に区分して処理しなければならない(下記3参照)。 販売管理システムが請求書の発行だけでなく、納品書発行などの納品管理システムと連動している場合には、それらのシステム等についても変更しなければならず、注意しなければならない。 納品書の場合も請求書と同様に、納品時が施行日前なのか、施行日以後なのかによって税率が異なることとなる。また、販売商品の返品等があった場合には、納品した時期がいつなのかによって税率が異なるため、システムの変更が複雑になる可能性がある(特に販売した時期と返品される時期が長期間にわたる場合には、旧税率での返品処理に注意が必要)。 さらに、販売管理システムが経理処理のための会計システムとも連動している場合には、すべてのシステム構築に多くの時間と多額のコストがかかるため、慎重な対応が求められる。   2 請求書等の記載事項 上記1で述べたように、請求書の記載方法については業種や事業内容によって様々であるが、消費税の仕入税額控除を受けるためには、課税仕入につき帳簿及び請求書等を保存しなければならず、さらに、その帳簿及び請求書等につき帳簿は閉鎖日、請求書等は受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2ヶ月を経過した日から7年間保存することを要件としている。 この仕入税額控除の適用要件は、平成9年4月1日において『帳簿又は請求書等の保存』から『帳簿及び請求書等の保存』と改正され、請求書等の保存がなければ仕入税額控除の適用が受けられなくなった。 したがって、請求書等の取扱いについては、発行する事業者だけでなく請求書等を受け取る仕入側の事業者にとっても特に重要であり、その記載内容も含めて注意しなければならない。 この仕入税額控除を適用するためには、一定の事項を記載した請求書等を保存しなければならないが、その記載事項については、その事業者の業種等により以下のように定められている(消費税法30条7項~10項、施行令49条~50条、基本通達11-6-1~11-6-7)。 【請求書等の記載方法】   また、請求書等の記載内容については、次のような方法も認められている。 課税期間の範囲内で一定の期間内の取引をまとめて記載する方法 商品名等について、個々の名称でなく包括的な記載で、課税売上となることが明らかとなっているような記載方法 商品名を記号や番号などで表示した場合で、記号表などにより、課税売上となることが明らかとなっているような記載方法 上記のように請求書等の記載内容については、仕入税額控除の適用を受けるための詳細な項目があり、これらの項目を踏まえた請求書発行のシステムを構築する必要がある。   3 請求書等の記載内容における注意点 請求書の記載方法においては、相手側の仕入税額控除を考慮した上でシステム等の変更を行う必要があるが、特に注意しなければならないのが、税率改正の施行日をまたいで販売した場合における請求書等の表示につき、旧税率適用分と新税率適用分との区分が明確になっているのかという点である。 例えば、請求書の記載につき内税方式で処理している場合、請求書の記載内容に「(税込)」とだけ表記されていたとすると、「施行日前の納品なのか・施行日後の納品なのか」という日付からその税率を判断しなければならず、会計処理等も含め注意しなければならない。 また、外税方式であっても税率ごとに2段書きで表記されていれば問題ないが、5%部分と8%部分の消費税の合計額のみを表記された場合には、仕入側の事業者が自ら区分して計算しなければならず、その経理処理等を誤ってしまう可能性がある。 この請求書の記載方法については、具体的に以下のようなケースが考えられる。 【ケース1】 内税方式の請求書(1段書き)の記載例 【ケース2】 外税方式の請求書(1段書き)の記載例 【ケース3】 内税方式の請求書(2段書き)の記載例 【ケース4】 外税方式の請求書(2段書)の記載例 いずれの請求書についても、上記2で説明した請求書等の記載事項は含まれていることから仕入税額控除の適用には問題ないが、取引先側の処理を容易にするためには【ケース3】又は【ケース4】のような請求書を発行する方が望ましいと思われる。 販売管理等のシステム変更については、単に税率変更をするだけでなく、請求書等の記載方法、返品等があった場合の処理方法、複数の税率が混在する場合の表示方法など様々な事象を想定した上でシステムを構築しなければならず、そのための時間とコストを考慮し対応策を検討する必要がある。 さらに、このシステム変更についても税率変更が短い期間で2度実施されることから、その両方を対応させるのか、それぞれに分けて対応するのかといった点についても十分に検討すべき課題である。 (了)
#0 創刊準備5号(掲載号)
#島添 浩
2012/12/06
消費税・地方消費税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

今おさえておきたい 消費税改革をめぐる“3つの”キーワード 「簡素な給付措置・給付付き税額控除・複数税率」

今おさえておきたい 消費税改革をめぐる“3つの”キーワード 「簡素な給付措置」 「給付付き税額控除」 「複数税率」   マネーコンシェルジュ税理士法人 税理士 今村 仁   〈消費税増税に当たっての低所得者対策〉 2012年8月10日に参議院本会議で、消費税増税を含む社会保障・税一体改革関連法が賛成多数で可決・成立した。これに伴い、(附則に停止条項はあるものの)地方税を含む現在5%の消費税率が、2014年(平成26年)4月に8%、その1年半後の2015年(平成27年)10月に10%へと2段階で引き上げられることとなった。 しかし、消費税には「全世代で広く分かち合う観点から、社会保障制度の維持・安定化に適した税である」という側面がある一方、「所得の少ない家計ほど、収入に占める税負担割合が高くなるという逆進性が存在し、その緩和を図る必要がある」という低所得者対策の重要性を指摘する声も多い。 そこで民主党政府は当初、その対策として「給付付き税額控除」や「簡素な給付措置」を検討していたが、3党合意では更に「複数税率」も選択肢に入り、簡素な給付措置の実施が8%への引上げの条件ともされた。 衆議院選挙で政権が交代した場合に、この3党合意がどうなっていくのかなど、これら低所得者対策については特に今後、専門家として注視していく必要がある。   〈給付付き税額控除〉 まずは、給付付き税額控除であるが、これは子育て支援や就労支援などを目的に、社会保障給付と税額控除を組み合わせて行うものである。 例えば、所得税の納税者に対しては税額控除の恩典を与えるが、控除しきれない方や課税最低限以下の方に対しては現金給付を行うというものである。 現在の単なる税額控除方式の場合では、納税額が少ない方や課税最低限以下の方に対して十分な恩典を与えることができなかったが、この給付付き税額控除方式であれば、それらを一部克服することが可能となる。 しかし、この給付付き税額控除制度を導入するには、その前提として個々の所得把握が必要となる。 そのため制度導入には、マイナンバー制度の本格稼働及び定着が必須であるが、ご承知のように未だ法案(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案)自体が成立しないまま、衆議院が解散となってしまった。 また、「給付付き税額控除」は所得税のあり方に密接に関わるものであることに一定の留意も必要となろう。 一方、2012年8月23日の民主党税制調査会による「消費税の逆進性対策にかかる論点整理」によると、「制度設計上の論点」及び「制度導入に伴う論点」として下記の項目が掲げられている。 (出典:「消費税の逆進性対策にかかる論点整理」)   〈複数税率・簡素な給付措置〉 「複数税率」とは、例えば、食料品や一部の衣料品などの特定の財・サービスに対して相対的に低い税率を適用するなどして、単にすべての財・サービスに対して税率を一律に引き上げるのではない方法のことである。 この複数税率は一見すると、低所得者対策として一般的な理解は得やすいといえるかもしれないが、仮に食料品を軽減対象にしたとしても、かえって高額所得者ほど負担軽減額が大きくなり、逆進性対策としての効果には議論の余地があるといえる。 更には、インボイスの導入が必要となり、事業者(納税義務者)の事務負担の増加(積上げ計算、システム変更費用、商品管理の複雑化等)や、インボイスを発行できない免税事業者が取引から排除される懸念にどう対処するか、といった問題が考えられる。 中小企業にとっては、これらは大変影響の大きい事項であろう。 一方、前述の「給付付き税額控除」又は「複数税率」が実施されるまでの暫定的・臨時的な対応として、2014年4月の消費税率8%の段階から、「簡素な給付措置」を実施することになっている。 「簡素な給付措置」とは、「真に配慮が必要な低所得者の方々にしっかりとした措置が行われるよう、社会保障の機能強化との関係も踏まえつつ、給付の開始時期、対象範囲、基準となる所得の考え方、財源の問題、執行面での対応の可能性等について、予算編成過程において、立法措置を含めた具体化を検討していく」とされている。 つまり、現金給付なのかどうかなども含めて、未だ具体的な施策は何も決まっていないということである。 また、衆議院選挙の結果によっては、その後の政府の方針転換によって、大きな影響を受ける企業などが出てくる可能性があることにも注意が必要である。 (了)
#0 創刊準備5号(掲載号)
#今村 仁
2012/12/06
法人税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

制度改正と適用要件に注意! 青色欠損金の繰越控除制度 【第2回】「適用上の論点整理」

制度改正と適用要件に注意! 青色欠損金の繰越控除制度 【第2回】 「適用上の論点整理」   弁護士 木村 浩之   1 青色申告要件について (1) 青色申告の承認が取り消された場合 青色欠損金の繰越控除を受けるためには、当然のことながら、欠損金額の生じた事業年度において青色申告を行うことが要件とされている(法法57⑩)。 青色申告については、税務署長による承認を受ける必要があり、また、いったん承認がなされたとしても、一定の場合に取消しがなされる可能性がある(法法127①)。 この青色申告の承認の取消しがなされた場合、その効力としては、遡及効が認められており、過去に遡って青色申告がなされていなかったことになる。 したがって、青色申告の承認が取り消された場合には、その取消対象となった事業年度に遡って、青色欠損金の繰越控除の適用も否認されることになる。 (2) 承認の取消要件について 青色申告の承認の取消要件としては、法令上 などが規定されている。 もっとも、実務上、軽微な違反の場合にまで取消しをするのは相当でないとされており、具体的な事例において取消処分がなされるか否かについては、国税庁において一定の運用基準が定められている(「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」平成12年7月3日課法2-10ほか)。 これによれば、例えば、仮に帳簿書類に仮装又は隠ぺいがあったとしても、いわゆる不正所得金額が500万円未満又は不正所得金額の割合が50%未満の場合には、青色申告の承認を取り消さないことを原則とするなど、承認の取消しがなされる基準について明確化が図られている。   2 確定申告書の連続提出要件について (1) 問題の所在(期限後申告の取扱い) 青色欠損金の繰越控除を受けるには、上述のとおり欠損金額の生じた事業年度において青色申告を行っていることに加えて、さらに、その後に連続して確定申告書を提出していることが要件とされている(法法57⑩)。 すなわち、欠損金額の生じた事業年度において青色申告を行っていれば、その後は白色申告であってもよいとされているが、繰越控除の適用を受けようとする事業年度まで、連続して確定申告書を提出している必要がある。 それでは、欠損金額の生じた事業年度において青色申告を行い、その後、いったんは申告をしていない(無申告の)事業年度があったものの、青色欠損金の繰越控除を受けるために、その無申告となっていた事業年度の確定申告書を事後に提出した場合(期限後申告の場合)は、「連続して確定申告書を提出している」との要件に該当するか。 (2) 期限後申告書の提出と連続提出要件 青色申告を行った後に無申告の事業年度があり、その後、当該事業年度について期限後申告書の提出がなされた場合に、「連続して確定申告書を提出している」との要件に該当するか否かについては、青色欠損金の繰越控除を受けようとする事業年度の確定申告書の提出時を基準として判断するとした裁決例がある(平成20年3月14日裁決・裁決事例集75集370頁)。 したがって、これによれば、青色欠損金の繰越控除を受けようとする事業年度の確定申告書を提出してしまった後に、それ以前の無申告であった事業年度の確定申告書(期限後申告書)を提出したとしても、繰越控除は認められない可能性が高いといえる。 他方、期限後申告書であっても、その申告書自体は「確定申告書」に含まれるとされている(法法2三十一)ことからすれば、仮に青色申告後に無申告の事業年度があったとしても、青色欠損金の繰越控除を受けようとする事業年度の確定申告書の提出時までに、その無申告であった事業年度に係る期限後申告書を提出することによって、繰越控除が認められるものと解される。   3 更正期限の延長と帳簿保存義務 (1) 更正の期間制限と繰越控除の関係 過去の事業年度についての確定申告を行った後に、実際は欠損金額が生じていたこと(黒字申告の場合)、あるいは欠損金額が実際よりも多額であったこと(赤字申告の場合)が判明した場合においては、当該事業年度の純損失等の金額についての更正がなされた場合に限って、新たに判明した実際の欠損金額を繰越控除の対象とすることができるものとされている。 したがって、更正の期間制限により、もはや更正をすることができない事業年度に生じていた欠損金額については、その後の事業年度において繰越控除の対象とされる余地がないこととなる。このことは、言い換えれば、更正をすることができる事業年度に生じていた欠損金額については、遡って純損失等の金額について更正を受けることにより、その後の事業年度において繰越控除の対象とすることが認められる余地があるということになる。 (2) 税制改正に伴う今後の対応 平成23年12月の税制改正において、青色欠損金の繰越期間が7年から9年に延長されたことに伴い、法人税に係る純損失等の金額についての更正の期限も、7年から9年に延長されている。 ところで、一般に、法人税の確定申告時には欠損金額が生じていなかったとしても、後になって(極端な場合、9年後に)、計算の対象から漏れていた損金が判明することで、欠損金額が生じていたことになる場合もあり得るといえる。 この場合、その欠損金額について繰越控除を受けるためには、更正の請求などによって純損失等の金額について更正を受けることに加えて、その欠損金額が生じていたことになる事業年度の帳簿書類が9年間保存されていることが、今回の改正で新たな要件として規定されている(【第1回】の3を参照)。 したがって、確実に繰越控除を受けるという観点からは、今後は、帳簿書類については、確定申告時における欠損金額の有無にかかわらず、一律に9年間保存しておくことが望ましいといえる。   4 総括 以上、2回にわたって、青色欠損金の繰越控除につき、税制改正に伴う新制度の適用上の留意点及びそれに関連する論点についての整理を行った。 青色欠損金の繰越控除は、人為的に区切られた事業年度における法人税額を平準化し、税負担を合理的なものとするための重要な制度であるので、本稿をも参照しつつ、その適用に誤りや遺漏のないように留意していただきたい。 (連載了)
#0 創刊準備5号(掲載号)
#木村 浩之
2012/12/06
国税通則 税務 税務・会計 解説 解説一覧

改正通則法と重加算税の今後②

改正通則法と重加算税の今後②   公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   前回述べたように、課税庁は、重加算税の賦課決定処分をする際、納税者に「客観的な隠ぺい・仮装の事実」があれば、「故意の立証」は要求されない。 この「客観的な隠ぺい・仮装の事実」について、最近の判例では、どのように「隠ぺい・仮装」と認定しているか、検討してみたい。 以下の判例は、すべて裁判所が「隠ぺい・仮装」と認定した事例である。 ① 架空外注費 【認定事実】(東京高裁平17.8.31判決) 外注先名義の印章を所持していて、外注先の名義で納税者ら宛ての外注加工費の請求書及び領収書を作成していたこと 外注先名義の預金通帳と銀行印を所持していたこと   ② 経済的利益(雑所得) 【認定事実】(大阪地裁平17.9.14判決) 他人名義の預金口座を利用して受領したこと 名刺の裏に領収した旨記載した書面を作成・交付していること 3億円の受領した領収書等を作成・交付していないこと   ③ 簡易課税(消費税) 【認定事実】(名古屋地裁平21.11.5判決) 実体のない別会社を次々に設立したこと 請負業務をこれらの別会社に外注委託する形を採ったこと 別会社に従業員を転籍させたように装ったこと 架空の業務委託契約書を作成したこと   ④ 利益供与 【認定事実】(新潟地裁平22.1.14判決) 本件支出金(利益供与)を株式再評価差額であると偽った稟議書を作成したこと   ⑤ 特例の適用 【認定事実】(東京地裁平22.8.26判決) 農業生産法人がしたその飼育した肉用牛の売却が措置法67条の3第1項1号に規定する「市場において行う売却」の方法によるものではないにもかかわらず、そのようなものであるかのように装ったこと   ⑥ 従業員賞与 【認定事実】(熊本地裁平19.1.18判決) 納税者は、従業員の定期預金の通帳及び届出印を従業員に交付せず、簿外預金として秘匿して、自ら管理していたこと 従業員に対し、期末賞与を支給することや定期預金の存在を正式に周知していなかったこと   ⑦ 配当金除外 【認定事実】(名古屋地裁平20.10.30判決) 株式を1,500万円で取得したにもかかわらず、あたかも未払金の決済をしたかのような会計処理をしていること 上記により、取得した株式を簿外資産として、それに係る配当金を収入から除外していること   ⑧ 売上除外 【認定事実】(岡山地裁平22.6.22判決) 本件集計表による売上金額と公表帳簿による売上金との差額が10万円又は20万円の単位で、多数回にわたって規則的に生じていること このように「客観的な隠ぺい・仮装の事実」とは、典型的には、架空の書類を作成した直接の物的証拠、すなわち、取引先の領収書や印章(①⑥のケース)を税務調査で発見される場合であろう。 しかしながら、事前通知を前提とする税務調査においては、通常、このような発見をすることは期待し得ない。 ⑥のケースは、過去において、しばしば見受けられる隠ぺい・仮装の形態である。この場合も、専ら税金対策のために、従業員全員の了解の下で、このような行為が行われている場合に、直ちに「隠ぺい・仮装」といえるのか疑義が生じる。まして、従業員が賞与について周知しているということは、将来、従業員が納税者に対して当該金員を請求する権利を有しているともいえ、一時的に納税者が保管しているという反論を可能にする。 ②のケースは、他人名義の預金口座を使用する、高額の金員の受取りの証に名刺の裏を利用するといった不自然さが、隠ぺい・仮装と認定されたものと思われる。 ③は、典型的な消費税の租税回避のケースであるが、その実態(この判断には争いが生じるかもしれない)がなければ、「隠ぺい・仮装」となるのであろう。 ④は、「偽りの稟議書」であるが、この偽りについても、何をもって偽りとするか、争いが生じる。 ⑤は、免除所得の特例を受けるために、あたかも「市場において行う売却」のように装ったということであるが、その装いが「隠ぺい・仮装」であるという判断についても、争いが生じるかもしれない。 ⑦の配当金除外は、その前提として、株式の簿外資産がある。この簿外資産が結果として、配当金の収入を除外することになるから、隠ぺい・仮装と認定されている。 ⑧のケースは、一定の金員が、多数回そして規則的に生じていることから、隠ぺい仮装と認定されている。 このように、上記8つの判例を検討しても、「客観的な隠ぺい・仮装の事実」というものは少ないように思われる。 たとえ、課税庁が「隠ぺい・仮装」であると認定し、重加算税の賦課決定処分をしたとしても、まだ争える余地は残されているようである。 (改正通則法適用後となる)2013年以降の税務調査による重加算税の賦課決定処分に係る「理由附記」についても、今後、注意深く見守っていきたい。 (連載了)   【参考】拙著『第4版 事例からみる重加算税の研究』清文社(2012年)
#0 創刊準備5号(掲載号)
#八ッ尾 順一
2012/12/06
消費税・地方消費税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

特定新規設立法人の納税義務の免除の特例と企業戦略

特定新規設立法人の 納税義務の免除の特例と企業戦略 ―平成26年4月以後に「基準期間に相当する期間」の課税売上高が5億円超の法人が設立した新規設立法人は課税事業者となる─   アースタックス税理士法人 税理士 島添  浩 (監修) 税理士 小嶋 敏夫(執筆)   制度(改正消費税法12条の3)の概要 平成24年8月10日に成立した改正消費税法(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律)により、平成26年4月1日以後に設立される法人については、資本金の額が1,000万円未満であっても、基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超える法人が50%超出資して設立した法人である場合には、事業者免税点制度の適用がないこととされた。   50%超出資した法人の課税売上高で納税義務を判定 従来は、その事業年度の基準期間がない法人については、事業年度開始の日の資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上のときは課税事業者になることとされてきた(消費税法12条の2)。 また、平成23年6月の税制改正により、平成25年1月1日以後に開始する事業年度からは、(その事業年度の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても)その事業年度の前事業年度の開始日から6ヶ月間の課税売上高が1,000万円を超える場合には、事業年度開始の日の資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満であっても免税事業者にはならないこととされた(消費税法9条の2)。 本改正により、平成26年4月1日以後に設立される法人から、基準期間がない事業年度開始の日において発行済株式の50%超を他の者に直接又は間接に保有され、かつ、判定の基礎となった他の者及び当該他の者と特殊な関係にある法人のうちいずれかの者の『基準期間に相当する期間』における課税売上高が5億円を超える場合には、改正前の要件を満たしていても納税義務が免除されないこととなった。 つまり、新規設立法人の納税義務の判定にあたっては、当該新規設立法人の発行済株式の50%超を保有する出資法人の『基準期間に相当する期間』における課税売上高が5億円を超えるか否かによっても行うこととなる。 なお、新規設立法人の納税義務の判定にあたって必要な事項は政令で定める旨が規定(改正消費税法12条の3第5項)されているので、現時点(公開日現在)では詳細は明らかになっていないが、『基準期間に相当する期間』については、新設合併があった場合の納税義務の免除の特例(消費税法11条3項及び4項)等の従来の規定に準ずるものと想定される。 これを前提とすると、平成26年4月1日以後に設立される法人の納税義務の判定は、以下の図のようなイメージになる。 〈新規設立法人の納税義務〉 また、下記の〈ケース1〉及び〈ケース2〉の場合、新規設立法人S社は基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超える法人P1社に株式を50%超保有されているため、平成26年4月1日以後開始する課税期間から事業者免税点制度の適用がないこととなる。逆に〈ケース3〉の場合、基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超える法人P1社に株式を50%超保有されていないため、従前どおり事業者免税点制度の適用があるものと考えられる。 上記の場合、S社は課税事業者に該当 上記の場合、S社は課税事業者に該当 上記の場合、S社は免税事業者に該当 ※P1社及びP2社の「5億円超」又は「5億円以下」は、新規設立法人の『基準期間に相当する期間』の課税売上高をいう。 ※新規設立法人S社は、資本金の額が1,000万円未満を前提としている。   新規設立法人に係る納税義務の判定フローチャート 平成23年6月の税制改正により、特定期間(法人については、その事業年度の前事業年度の開始日から6ヶ月間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合は、その課税期間について納税義務が免除されないこととされた(特定期間の課税売上高に代えて、同期間の給与等支払額の合計額が1,000万円を超えたかどうかにより、納税義務の判定をすることもできる)。 なお、特定期間は、原則としてその事業年度の前事業年度の開始日から6ヶ月間となるが、新たに設立した法人で決算期変更を行った法人等は、その法人の設立日や決算期変更の時期がいつであるかにより、特定期間が異なるので、納義義務の判定にあたっては注意が必要となる。 この平成23年6月改正と特定新規設立法人の納税義務の免除の特例の創設に伴い、新規設立法人の納税義務の判定フローチャートは以下のとおりになる。 〈課税事業者判定フローチャート〉 企業戦略への影響 特定新規設立法人の納税義務の免除の特例の創設に伴い、関連子会社の設立を予定している企業グループは、平成26年4月1日前に資本金1,000万円未満で設立することにより、当該関連子会社の設立1期目を免税事業者とすることが可能となる。 ただし、2期目以降は、上記平成23年改正の特定期間の課税売上高による納税義務の有無の判定が必要になるので注意が必要である(上記「課税事業者判定フローチャート」参照)。 なお、改正消費税法12条の3によれば、新規設立法人の基準期間がない事業年度開始の日において他の者により発行済株式の50%超が直接又は間接に保有される場合に当該免除の特例の適用を受けることとされている。 したがって、親会社の課税売上高が5億円超、その子会社の課税売上高が5億円以下である場合において、いわゆる孫会社として新規設立法人を設立した場合であっても、当該免除の特例の適用を受けることが想定される。 また、政令が公表されていないので確実ではないが、「新規設立法人が支配される場合として政令で定める場合」にも当該免除の特例の適用を受けることとされていることから、課税売上高が5億円以下である持株会社を設立して、その持株会社が出資して新規設立法人を設立した場合であっても、持株会社の傘下に課税売上高が5億円を超えるような関連会社がある場合には、当該免除の特例の適用を受ける可能性があるので注意が必要である。 (了)
#0 創刊準備5号(掲載号)
#小嶋 敏夫
2012/12/06
会計 税務・会計 解説 解説一覧 財務会計 過年度遡及修正

過年度遡及会計基準の適用による会計方針の変更の取扱い

過年度遡及会計基準の適用による 会計方針の変更の取扱い   公認会計士 阿部 光成   平成24年3月期決算から、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号。以下「過年度遡及会計基準」という)及び「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第24号)が適用されている。 過年度遡及会計基準では、会計方針及び会計方針の変更についてあらためて定義を行い、会計方針の変更を行った場合には、新たな会計方針を過去の財務諸表に遡って適用していたかのように会計処理することを規定している。当該処理を「遡及適用」という(過年度遡及会計基準4項(9))。 遡及適用は、従来の会計処理とは異なる方法であるので、実務に浸透するまでには時間がかかるものと思われる。 以下では、会計方針の変更及び遡及適用を中心に解説を行う。   Ⅰ 従来の取扱い 従来、会計方針の変更を行った場合には、会計方針の変更が当該変更期間の財務諸表に与えた影響に関して、注記により開示されていた。 過年度遡及会計基準において遡及適用が規定されたことにより、新たな会計方針を過去の財務諸表に遡って適用していたかのように会計処理することになる。   Ⅱ 会計方針の変更等の定義 過年度遡及会計基準では、会計方針と表示方法を分けて、それぞれの定義が設けられている。これに合わせて、会計方針の変更と表示方法の変更も区別されている。 これらの定義は次のとおりである(過年度遡及会計基準4項(1)、(2)、(5)、(6))。 「会計方針」とは、財務諸表の作成にあたって採用した会計処理の原則及び手続をいう。 「表示方法」とは、財務諸表の作成にあたって採用した表示の方法(注記による開示も含む)をいう。 「会計方針の変更」とは、従来採用していた一般に公正妥当と認められた会計方針から他の一般に公正妥当と認められた会計方針に変更することをいう。 「表示方法の変更」とは、従来採用していた一般に公正妥当と認められた表示方法から他の一般に公正妥当と認められた表示方法に変更することをいう。   Ⅲ 会計方針の変更の取扱い   1 会計方針の変更の分類 会計方針の変更には、①会計基準等の改正に伴う会計方針の変更と②それ以外の正当な理由による会計方針の変更の2つがある。 会計方針の変更があった場合、それぞれについて、原則として次のように取り扱う(過年度遡及会計基準6項)。 2 遡及適用 遡及適用により、次の処理を行うことになる(過年度遡及会計基準7項)。 表示期間(当期の財務諸表及びこれに併せて過去の財務諸表が表示されている場合の、その表示期間をいう)より前の期間に関する遡及適用による累積的影響額は、表示する財務諸表のうち、最も古い期間の期首の資産、負債及び純資産の額に反映する。 表示する過去の各期間の財務諸表には、当該各期間の影響額を反映する。 3 開示例 平成24年3月期における会計方針の変更の事例として、次のものがある。 なお、当該事例は、有価証券報告書から検索した事例を参考として紹介するものであり、特段の推奨の意図などはないことを申し添える。 【会計方針変更の事例】 (出所:有価証券報告書) (了) 〈連載中の最新記事については、下記をご覧ください。〉
#0 創刊準備5号(掲載号)
#阿部 光成
2012/12/06

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