マイナンバー制度と
税務手続
【第3回】
「本人確認の方法(概要)」
税理士 坂本 真一郎
今回からは、税理士等が個人番号を取り扱うケースに応じて、当該個人番号を収集・提出する際の「本人確認の方法」について見ていきたい。
【税理士等が個人番号を取り扱うケース】
税理士等が個人番号関係事務実施者(※1)として個人番号を取り扱う事務については、以下のケースに分類される。
① 自らの事務所の従業員等の給与所得に係る源泉徴収票等の作成、社会保険関係事務を行うために、従業員や扶養親族等の個人番号を収集し、源泉徴収票等に当該個人番号を記載して所轄税務署及び年金事務所等に提出する。
② 業務委嘱契約に基づき顧問先の給与所得に係る源泉徴収票等の作成事務を行うために、当該顧問先の従業員や扶養親族等の個人番号を収集し、源泉徴収票等に当該個人番号を記載して所轄税務署及び各市区町村等に提出する。
③ 業務委嘱契約に基づき顧問先の所得税等の確定申告書等を作成するために、顧問先及び顧問先の扶養親族等の個人番号を収集し、確定申告書等に当該個人番号を記載して所轄税務署等に提出する。(※2)
(※1) 個人番号関係事務とは、事業者が番号法に基づき、従業員等の個人番号を給与所得の源泉徴収票、支払調書、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届等の書類に記載して、行政機関及び健康保険組合等に提出する事務であり、この事務を行う者を「個人番号関係事務実施者」という。
なお、番号法2条9項では、「この法律において個人番号関係事務実施者とは、個人番号関係事務を処理する者及び個人番号関係事務の全部又は一部の委託を受けた者をいう。」とされている。
(※2) 税理士等が業務委嘱契約に基づき、顧問先である個人の納税者の個人番号のみを記載した所得税等の確定申告書等を作成し所轄税務署等に提出する場合(納税者の扶養親族の個人番号を取得しない場合)には、当該納税者そのものが個人番号関係事務を行わないことから、代理人である税理士等は「個人番号関係事務実施者」に該当しない(番号法2条9項)。しかしながら、このように個人番号関係事務を行わない場合であっても、顧問先の個人番号を含む特定個人情報を取り扱うことに変わりはないため、税理士法の規定を遵守し、必要かつ適切な安全管理措置を行う必要がある(「税理士のためのマイナンバー対応ガイドブック(日本税理士会連合会)」より抜粋)。
【本人から本人確認を行う方法】
個人番号利用事務実施者が、個人番号が記載された書類の提出を受ける場合、または、事業者等の個人番号関係事務実施者が番号法で規定されている利用目的により個人番号を収集する場合には、その番号が正しい番号であることの確認(番号確認)と、その番号が間違いなく本人のものであることの確認(身元確認)が必要となる。
原則として、
1 個人番号カード(番号確認と身元確認)
2 通知カード(番号確認)と運転免許証等の公的身分証明書など(身元確認)
3 個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証等の公的身分証明書など(身元確認)
のいずれかの方法で確認する必要がある。
なお、これらの方法が困難な場合には、過去に本人確認を行って作成したファイルで番号確認を行うこと、雇用関係にあることなどから本人に相違ないことが明らかであると個人番号利用事務実施者が認めるときは、身元確認を不要とすることなども認められている。
詳しくは下記表1-1「本人から〈対面・郵送〉で本人確認を行う方法」のとおりである。
また、対面・郵送だけでなく、オンラインや電話により個人番号を収集する場合にも、番号確認と身元確認が必要となる。詳しくは下記表1-2「本人から〈オンライン〉で本人確認を行う方法」及び表1-3「本人から〈電話〉で本人確認を行う方法」のとおりである。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。