公開日: 2015/04/23 (掲載号:No.116)
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マイナンバー制度と税務手続 【第2回】「マイナンバーの利用範囲」

筆者: 坂本 真一郎

マイナンバー制度と

税務手続

【第2回】

「マイナンバーの利用範囲」

 

税理士 坂本 真一郎

 

前回は、マイナンバー制度導入の目的と、前提となる事項について述べたが、今回はマイナンバーを利用できる範囲について見ていきたい。

【マイナンバーの利用範囲】

来年1月から、社会保障・税・災害対策等において利用が始まるマイナンバーの利用範囲は、番号法第9条の別表第一(表1「マイナンバーの利用範囲」参照)に掲げられている行政機関等の業務のみに限定されており、番号法の施行時点においては民間での利用は予定されていない。
(番号法附則第6条1項により、番号法施行後3年を目処として法律の施行状況等を勘案し、利用範囲の拡大等を検討することとされている。)

表1 マイナンバーの利用範囲
 個人番号(マイナンバー)の利用範囲 社会保障分野 年金分野 ⇒年金の資格取得・確認、給付を受ける際に利用。          別表第一(第9条関係) ○国民年金法、厚生年金保険法による年金である給付の支給に関する事務 ○国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法による年金である 給付の支給に関する事務 ○確定給付企業年金法、確定拠出年金法による給付の支給に関する事務 ○独立行政法人農業者年金基金法による農業者年金事業の給付の支給に関する事務     等 労働分野 ⇒雇用保険等の資格取得・確認、給付を受ける際に利用。ハローワーク等の事務等に利用。 ○雇用保険法による失業等給付の支給、雇用安定事業、能力開発事業の実施に関する事務 ○労働者災害補償保険法による保険給付の支給、社会復帰促進等事業の実施に関する事務  等 福祉・医療・その他分野 ⇒医療保険等の保険料徴収等の医療保険者における手続、福祉分野の給付、生活保護の実施等 低所得者対策の事務等に利用。 ○児童扶養手当法による児童扶養手当の支給に関する事務 ○母子及び寡婦福祉法による資金の貸付け、母子家庭自立支援給付金の支給に関する事務 ○障害者総合支援法による自立支援給付の支給に関する事務 ○特別児童扶養手当法による特別児童扶養手当等の支給に関する事務 ○生活保護法による保護の決定、実施に関する事務 ○介護保険法による保険給付の支給、保険料の徴収に関する事務 ○健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律による保険給 付の支給、保険料の徴収に関する事務 ○独立行政法人日本学生支援機構法による学資の貸与に関する事務 ○公営住宅法による公営住宅、改良住宅の管理に関する事務               等 税分野 ⇒国民が税務当局に提出する確定申告書、届出書、調書等に記載、当局の内部事務等に利用。 災害対策 分野 ⇒被災者生活再建支援金の支給に関する事務等に利用。 ⇒被災者台帳の作成に関する事務に利用。 上記の他、社会保障、地方税、防災に関する事務その他これらに類する事務であって地方公共団体が条例で定める事務に利用。

(出典:内閣官房「社会保障・税番号制度」ホームページ『番号制度の概要』P12

マイナンバーは上記表1のとおり、税務署やハローワークなどの国の機関や地方公共団体等において、社会保障・税・災害対策の分野の事務で個人を特定し、各行政機関で情報連携できるよう利用される。

行政機関等(個人番号利用事務実施者)といえども、勝手に個人番号を収集することができないため、民間事業者は個人番号関係事務実施者として、取引先等や従業員及びその扶養親族等のマイナンバーを収集し、支払調書、給与所得の源泉徴収票、社会保険の被保険者資格取得届などに記載して、行政機関等に提出する必要がある。

 

【税理士業務におけるマイナンバーの利用場面】

税理士は、従業員を雇用している場合や、顧客から個人番号関係事務を委託される場合には、税理士自身が個人番号関係事務実施者となる。

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マイナンバー制度と

税務手続

【第2回】

「マイナンバーの利用範囲」

 

税理士 坂本 真一郎

 

前回は、マイナンバー制度導入の目的と、前提となる事項について述べたが、今回はマイナンバーを利用できる範囲について見ていきたい。

【マイナンバーの利用範囲】

来年1月から、社会保障・税・災害対策等において利用が始まるマイナンバーの利用範囲は、番号法第9条の別表第一(表1「マイナンバーの利用範囲」参照)に掲げられている行政機関等の業務のみに限定されており、番号法の施行時点においては民間での利用は予定されていない。
(番号法附則第6条1項により、番号法施行後3年を目処として法律の施行状況等を勘案し、利用範囲の拡大等を検討することとされている。)

表1 マイナンバーの利用範囲
 個人番号(マイナンバー)の利用範囲 社会保障分野 年金分野 ⇒年金の資格取得・確認、給付を受ける際に利用。          別表第一(第9条関係) ○国民年金法、厚生年金保険法による年金である給付の支給に関する事務 ○国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法による年金である 給付の支給に関する事務 ○確定給付企業年金法、確定拠出年金法による給付の支給に関する事務 ○独立行政法人農業者年金基金法による農業者年金事業の給付の支給に関する事務     等 労働分野 ⇒雇用保険等の資格取得・確認、給付を受ける際に利用。ハローワーク等の事務等に利用。 ○雇用保険法による失業等給付の支給、雇用安定事業、能力開発事業の実施に関する事務 ○労働者災害補償保険法による保険給付の支給、社会復帰促進等事業の実施に関する事務  等 福祉・医療・その他分野 ⇒医療保険等の保険料徴収等の医療保険者における手続、福祉分野の給付、生活保護の実施等 低所得者対策の事務等に利用。 ○児童扶養手当法による児童扶養手当の支給に関する事務 ○母子及び寡婦福祉法による資金の貸付け、母子家庭自立支援給付金の支給に関する事務 ○障害者総合支援法による自立支援給付の支給に関する事務 ○特別児童扶養手当法による特別児童扶養手当等の支給に関する事務 ○生活保護法による保護の決定、実施に関する事務 ○介護保険法による保険給付の支給、保険料の徴収に関する事務 ○健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律による保険給 付の支給、保険料の徴収に関する事務 ○独立行政法人日本学生支援機構法による学資の貸与に関する事務 ○公営住宅法による公営住宅、改良住宅の管理に関する事務               等 税分野 ⇒国民が税務当局に提出する確定申告書、届出書、調書等に記載、当局の内部事務等に利用。 災害対策 分野 ⇒被災者生活再建支援金の支給に関する事務等に利用。 ⇒被災者台帳の作成に関する事務に利用。 上記の他、社会保障、地方税、防災に関する事務その他これらに類する事務であって地方公共団体が条例で定める事務に利用。

(出典:内閣官房「社会保障・税番号制度」ホームページ『番号制度の概要』P12

マイナンバーは上記表1のとおり、税務署やハローワークなどの国の機関や地方公共団体等において、社会保障・税・災害対策の分野の事務で個人を特定し、各行政機関で情報連携できるよう利用される。

行政機関等(個人番号利用事務実施者)といえども、勝手に個人番号を収集することができないため、民間事業者は個人番号関係事務実施者として、取引先等や従業員及びその扶養親族等のマイナンバーを収集し、支払調書、給与所得の源泉徴収票、社会保険の被保険者資格取得届などに記載して、行政機関等に提出する必要がある。

 

【税理士業務におけるマイナンバーの利用場面】

税理士は、従業員を雇用している場合や、顧客から個人番号関係事務を委託される場合には、税理士自身が個人番号関係事務実施者となる。

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連載目次

筆者紹介

坂本 真一郎

(さかもと・しんいちろう)

税理士
SKJ総合税理士事務所

国税庁情報技術室、国税局調査部等に勤務し、e-Taxシステム開発、大企業の法人税調査事務等に携わる。平成25年6月退職。同年税理士登録。

税務コンサルタントのほか、電子帳簿保存法関連のコンサルタントを行う。ファルクラム租税法研究会研究員。

【著書】
・『中小企業のための国税書類のスキャナ保存入門』共著(大蔵財務協会)
・『最新!ここまでわかった企業のマイナンバー実務Q&A』共著(日本法令)

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