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〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例67】片倉工業株式会社「株式会社かたくらによる当社株式に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」(2022.1.12)

〔検証〕 適時開示からみた企業実態 【事例67】 片倉工業株式会社 「株式会社かたくらによる当社株式に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」 (2022.1.12)   公認会計士/事業創造大学院大学教授 鈴木 広樹   1 今回の適時開示 今回取り上げる開示は、片倉工業株式会社(以下「片倉工業」という)が2022年1月12日に開示した「株式会社かたくらによる当社株式に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」である。 株式会社かたくら(以下「かたくら」という)が片倉工業に対するTOB(株式公開買付け)を行っていたのだが、それへの応募数が買付予定数の下限に満たなかったため、成立しなかったという内容である。「公開買付け後の方針等及び今後の見通し」に次のように記載されているとおり、このTOBは、片倉工業の株式非公開化を目的としたMBO(経営者による企業買収)であった。   2 みずほ銀行が主導? 片倉工業は、2021年11月8日、「株式会社かたくらによる片倉工業株式会社株式(証券コード:3001)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」を開示し、かたくらによるTOB開始について伝えるのと同時に、「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」を開示し、MBOの目的を説明して、そのTOBへの応募を株主に対して訴えた。 TOBを行ったかたくらは、佐野公哉氏(以下「佐野氏」という)と上甲亮祐氏(以下「上甲氏」という)が半分ずつ出資する会社だが、代表取締役は上甲氏であり、MBOを主導したのも同氏のようである。 佐野氏は片倉工業の生え抜きで、2015年3月から2020年3月まで同社の代表取締役を務め、現在は取締役会長である。それに対して、上甲氏は株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」という)出身で、2017年5月に片倉工業に入り、2019年3月から代表取締役社長である(第112期有価証券報告書)。 みずほ銀行は片倉工業のメインバンクなのだろう。片倉工業の大株主でもあり(4.94%所有)、片倉工業の方も株式会社みずほフィナンシャルグループの株式を所有している。また、片倉工業には、上甲氏のほかに監査役にもみずほ銀行出身者がいる。 今回のTOBの資金も、みずほ銀行からの借入れによって賄われることになっている。「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」には、次のような記載がある。 次のような記載もある。お金の面倒は銀行に見てもらえばいいということのようである。銀行出身の上甲氏からすると、上場し続けることは、面倒な株主対応などが必要となるだけで、意義を見出しにくいものなのかもしれない。   3 オアシスの裏切り? かたくらは、片倉工業の筆頭株主であるOasis Management Company Ltd.(同社が運用するファンドが片倉工業株式を所有。以下「オアシス」という)のほか、何社かの大株主との間でTOBへ応募する契約を締結し、TOBは順調に行くように見えた。 しかし、オアシスはTOBへ応募することなく、他社へ片倉工業株式を全て売却してしまう(2021年12月21日開示「主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」)。オアシスは、TOBへ応募する契約をかたくらと締結していたはずである。「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」の中の「本公開買付けに関する重要な合意」にその契約の内容が記載されているのだが、そこには次の合意が含まれていた。 「第三者」からオアシスに対して「大幅に高い価格で買い付ける提案」があったのである。2021年12月21日に開示された「(変更)『MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ』の一部変更」によると、その「第三者」は、TOBの買付価格よりも10%ほど高い価格で片倉工業株式を買ってくれるとのことである。 「第三者」は、TOBの買付価格よりも10%ほど高い価格で片倉工業株式を買ったのだから、買付価格をそれよりも上げない限り、その「第三者」がTOBへ応募してくれることは期待できない。しかし、かたくらは、買付価格を上げるつもりはないと表明した(2022年1月4日開示「株式会社かたくらによる片倉工業株式会社株式(証券コード:3001)に対する公開買付けに係る株式会社かたくらの考え方に関するお知らせ」)。 また、TOBの期間である2021年11月9日から2022年1月11日までの間(2021年12月21日に「株式会社かたくらによる片倉工業株式会社株式(証券コード:3001)に対する公開買付けの買付条件等の変更に関するお知らせ」が開示され、期間を延長)、片倉工業の株価はTOBの買付価格を上回ったままであった。 その結果、TOBは成立しなかったのである。   4 MBOの試みが裏目に? オアシスとのコミュニケーションを担っていたのも上甲氏である。「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」には、次のような記載がある。 銀行とオアシスのような所謂アクティビスト(物言う株主)とでは、考え方がまるで異なる。上甲氏とオアシスのコミュニケーションは本当に上手くいっていたのだろうか。上甲氏に何か読み違いは無かったのだろうか。 MBOが実現しなかった以上、片倉工業は今後も引き続き株主と向き合っていかなければならない。株主とのコミュニケーションは、もしかするとこれまでよりも大変なものになるかもしれない。これまで筆頭株主だったオアシスは手強い相手だったかもしれないが、考え方は実は明快だったはずである。新たに筆頭株主となった「第三者」は、現時点では得体の知れない相手である。ちなみに、その「第三者」は株式会社鹿児島東インド会社という会社なのだが、その代表者は、株式会社光通信の創業者の子息である(光通信・第34期有価証券報告書「大株主の状況」参照)。 (了)

#No. 454(掲載号)
#鈴木 広樹
2022/01/27

《速報解説》 「その他の記載内容に関連する監査人の責任」に関連する後発事象への対応などを行うものとして、「訂正報告書に含まれる財務諸表等に対する監査に関する実務指針」の改正案をJICPAが公表

《速報解説》 「その他の記載内容に関連する監査人の責任」に関連する後発事象への対応などを行うものとして、「訂正報告書に含まれる財務諸表等に対する監査に関する実務指針」の改正案をJICPAが公表   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2022年1月21日、日本公認会計士協会は、「監査・保証実務委員会実務指針第103号「訂正報告書に含まれる財務諸表等に対する監査に関する実務指針」の改正」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 これは、監査基準委員会報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」(以下「監基報720」という)に関連する後発事象への対応などを行うものである。 意見募集期間は2022年2月21日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 訂正後の財務諸表における後発事象 監基報720は、監査人に、監査した財務諸表を含む開示書類のうち当該財務諸表と監査報告書とを除いた部分の記載内容(その他の記載内容)を通読し、財務諸表及び監査人が監査の過程で得た知識とその他の記載内容に重要な相違があるかどうかを検討することを要求している。 訂正報告書については、監査人は、各年度の訂正報告書に含まれるその他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と訂正後の財務諸表又は監査人が訂正後の財務諸表に対する監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことが求められる(監基報720、13項及び14項)。 各年度の訂正報告書に反映させる後発事象は、訂正前の財務諸表に対する各年度の監査報告書日までに発生していた事象である(A69項)。 訂正前の財務諸表に対する監査報告書日後に発生した事象については、その訂正対象年度の翌年度(翌四半期)以降の有価証券報告書等の開示書類において反映されると考えられる(A69項)。 監査人が訂正後の財務諸表に対する監査の過程で得た知識には、訂正後の財務諸表に対する監査報告書日までに発生した事象に関して得た知識も含まれ、A69項を踏まえて、各年度の訂正報告書に含まれるその他の記載内容を通読し検討を行う(A69項-2項)。   Ⅲ 適用時期等 改正後の実務指針は、2022年〇月〇日以後に監査報告書を発行する訂正後の財務諸表に対する監査に適用する(公開草案では具体的な日付は記載されていない)。 (了)

#No. 453(掲載号)
#阿部 光成
2022/01/25

《速報解説》 ASBJ、企業会計基準等における「廃止」の文言の意味を明確化~「廃止」に伴い削除していた過去の基準も今後はホームページ上に掲載へ~

《速報解説》 ASBJ、企業会計基準等における「廃止」の文言の意味を明確化 ~「廃止」に伴い削除していた過去の基準も今後はホームページ上に掲載へ~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2022年1月21日(ホームページ掲載日)、企業会計基準委員会は、「企業会計基準等における「廃止」についての考え方」を公表した。 企業会計基準等では、主に適用時期等の記載箇所に「廃止」の文言を記載しているが、この「廃止」の意味を明確化するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 「廃止」の文言の意味 企業会計基準等において記載している「廃止」の文言の意味は、新たな企業会計基準等の適用により、従来の企業会計基準等を適用しないという、企業会計基準等の適用関係を明らかにすることを意図しているものである。 今後新たに開発又は改正する企業会計基準等においては、「廃止」という用語を用いないこととし、適用関係を明確に記載することとする。 なお、財務会計基準機構のホームページの掲載について、「適用が終了した会計基準等」として、これまで「廃止」に伴い削除していた企業会計基準等も含めて、掲載されることとなる。 2 過年度の財務諸表について誤謬の修正再表示を行う場合 過年度の財務諸表について誤謬の修正再表示を行う場合、当該過年度の財務諸表の作成に当たっては、当該過年度において適用することとされていた企業会計基準等を適用することになるため、過年度の財務諸表には「廃止」された企業会計基準等を適用することになる。 (了)

#No. 453(掲載号)
#阿部 光成
2022/01/25

プロフェッションジャーナル No.453が公開されました!~今週のお薦め記事~

2022年1月20日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.453を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2022/01/20

日本の企業税制 【第99回】「第2の柱のモデルルールが公表される」-GloBEルールの範囲とメカニズムを規定-

日本の企業税制 【第99回】 「第2の柱のモデルルールが公表される」 -GloBEルールの範囲とメカニズムを規定-   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   昨年12月20日、OECD/G20包摂的枠組みは、第2の柱のモデルルールを公表した。このモデルルールは、GloBE(GlobalAnti-BaseErosion)ルールの範囲とメカニズムについての規定であり、GloBEルールは、軽課税法域にある子会社等の税負担(実効税率:ETR)が最低税率(15%)に至るまで親会社の法域で課税する仕組みである「所得合算ルール(IIR:Income Inclusion Rule)」と、軽課税法域にある親会社等への支払いの損金算入を認めない等により子会社等の法域で課税しIIR を補完する仕組みである「軽課税支払ルール(UTPR:Undertaxed Payment Rule)」の2つのルールで構成されている。 このルールは2022年に包摂的枠組み参加国の国内法の整備により法制化されることとされており、IIRは2023年、UTPRは2024年に導入されることとされている。与党の令和4年度税制改正大綱でも、「今後、本国際合意の実施に向け、多国間条約の策定・批准や、国内法の改正が必要となる。制度の詳細化に向けた国際的な議論に引き続き積極的に貢献するとともに、国際合意に則った法制度の整備を進める」とされている。   〇適用範囲 GloBEルール適用の閾値は、グループの連結財務諸表における連結売上高が7億5,000万ユーロ超である。ただし、過去4会計年度のうち2会計年度で連結売上高が7億5,000万ユーロ超となる場合に適用対象となる。 なお、事業を行っていない政府機関、国際機関、非営利団体、年金基金は適用対象から除外されており、投資ファンド・不動産投資ビークルは、それが多国籍企業グループの最終親会社である場合にのみ除外となる。   〇実効税率(ETR) 多国籍企業グループの各法域における実効税率(ETR)は、その法域に所在する各構成事業体の調整後対象税金の合計額をその法域のGloBE純所得で除して計算する。 分母となるGloBE純所得は、その法域の全ての構成事業体のGloBE所得の合計額から、その法域の全ての構成事業体のGloBE損失の合計額を差し引いた金額である。 各構成事業体のGloBE所得(損失)の計算においては、最終親会社の連結財務諸表の作成に使用されたグループ内取引を消去する連結調整前の純利益(損失)から出発し、配当金の除外、株式損益の除外などの調整を行うこととされている。また、国際海運業及び付随的活動から得られる一定の所得についてはGloBE所得(損失)から除外されている。 分子となる調整後対象税金は、各構成事業体の会計上の当期税金費用から出発して一定の加算・減算調整と一時差異に対応する繰延税金の調整を行う必要がある。繰延税金とはいうものの、会計上の繰延税金費用が最低税率(15%)を上回る場合、最低税率15%で計算し直さなければならない。また、繰延税金負債の計上により認識された繰延税金費用については、実際の支払いが5年以内に行われない場合には、当初計上した事業年度の対象税額の減額となり、その事業年度のトップアップ税率(詳細は後述)が再計算されることになる。   〇事業実態に基づく所得控除(カーブアウト) IIRにおいて親会社の所在法域で課税する税額(トップアップ税)は、実効税率(ETR)が最低税率(15%)に満たない軽課税法域にある各子会社等の所得にその法域のETRと最低税率との差分(トップアップ税率)を乗じて計算するが、各子会社等の所得に関しては、各子会社等の対象有形資産(期首及び期末の簿価の平均)と対象従業員に係る対象給与の5%の金額を控除する(カーブアウト)。控除の割合は、導入当初は有形資産(簿価)の8%、支払給与の10%とし、有形資産(簿価)については、当初5年間は0.2%、その後5年間は0.4%の割合で逓減し、支払給与については、当初5年間は0.2%、その後5年間は0.8%の割合で逓減する。 対象従業員は、多国籍企業グループの構成事業体のパートタイム従業員を含む従業員、及び当該多国籍企業グループの指揮・指導に服しその通常の事業活動に参加する独立契約者、とされる。 対象給与は、従業員への補償的支出(給与、賃金、直接かつ他と分離された個人的便益を従業員に提供する他の支出)、給与及び雇用税、従業員社会保障拠出金、とされる。 有形資産は、①その法域に所在する資産及び機械・装置、②その法域に所在する天然資源、③その法域に所在する有形資産に係る賃借人の使用権、④不動産の使用又は天然資源の利用(有形資産への相当の投資を伴うもの)に係る政府からのライセンス又は類似の取り決め、とされる。   〇GloBE純所得がない場合の特例 GloBE純所得がない(つまりその法域では赤字の)場合であっても、調整後対象税金がゼロ未満であり、かつ期待調整後対象税金を下回る場合には、調整後対象税金と期待調整後対象税金の差額がトップアップ税に加算される。 期待調整後対象税金とは、各構成事業体のGloBE所得に最低税率(15%)を乗じた金額である。 (了)

#No. 453(掲載号)
#小畑 良晴
2022/01/20

令和3年分 確定申告実務の留意点 【第3回】「特に注意したい事項Q&A」ー住宅借入金等特別控除及び申告期限の延長等ー

令和3年分 確定申告実務の留意点 【第3回】 (最終回) 「特に注意したい事項Q&A」 ー住宅借入金等特別控除及び申告期限の延長等ー   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   最終回は、令和3年分の確定申告において注意が必要と考えられるもののなかから5項目を取り上げ、Q&A形式でまとめることとする。なお、本稿では特に指定のない限り、令和3年分の確定申告を前提として解説を行う。   〈住宅借入金等特別控除①〉 【Q1】 令和3年中に居住を開始した者が住宅借入金等特別控除を適用する場合、控除期間や要件はどのようになるか。 【A1】 令和3年中に居住を開始した場合に適用できる住宅借入金等特別控除は、大きく分けると3つの制度がある。適用を受ける制度によって、面積要件や所得要件が異なっている他、一定期間内に契約を締結していることが要件とされている制度もあるので注意が必要である。 (※) 既存住宅を取得し、取得後に行った増改築工事等が新型コロナウイルス感染症の影響等で遅れ、入居が遅れた場合でも、一定の日までに増改築等の契約が行われている等の要件を満たせば、入居期限要件(取得の日から6ヶ月以内)が増改築等完了の日から6ヶ月以内と緩和されている(新型コロナ税特法6①②、新型コロナ税特令4①)。 -解説- 制度の詳細を示すと次のとおりである。 なお、各制度の詳細については、以下の拙稿及び図表を参考にされたい。 【参考図表】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出典) 国税庁ホームページ「令和3年分の確定申告においてご留意いただきたい事項」2ページ     〈住宅借入金等特別控除②〉 【Q2】 令和2年4月に住宅を新築する契約を締結し、令和2年中に引渡しを受け居住を開始する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で工期が遅れ、令和3年3月に引渡しを受け居住を開始した。令和3年分の確定申告において、住宅借入金等特別控除(控除期間13年間の特例措置)の適用を受ける場合に必要となる添付書類は何か。 【A2】 住宅借入金等特別控除の適用を受けるときに通常必要となる登記事項証明書や請負契約書(売買契約書)の写し、借入金の年末残高等証明書の他、次の書類を添付する必要がある。 -解説- 控除期間13年の特例は、消費税率10%引上げに伴う反動減対策の上乗せ措置であり、令和2年12月31日までに居住の用に供していることが要件とされていた(措法41⑬)。 しかし、新型コロナウイルス感染症の影響等に対応するため、令和2年4月に制定された新型コロナ税特法の規定により、新型コロナウイルス感染症の影響等を受けている場合には、契約が一定の期日までに締結されており、かつ家屋を令和3年12月31日までに居住の用に供したときには控除期間13年の特例の適用を受けることができることとされた(新型コロナ税特法6①)。 新型コロナ税特法の上記措置は、新型コロナウイルス感染症の影響等を受けている場合に限定され、かつ一定の期日までに契約が行われていることが要件とされていることから、これらの要件を満たしていることを明らかにする書類を添付することが求められている。 なお、【Q1】の「③新型コロナ税特法第6条の2第1項(令和3年度税制改正)に基づく制度」の場合には、新型コロナウイルス感染症の影響等を受けていることは要件となっていないことから、【A2】の〈追加で添付が必要となる書類〉の添付は不要である。     〈申告期限の延長①〉 【Q3】 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、期限内に確定申告書を提出できなかった場合、申告期限を延長することはできるか。また、その場合には、どのような手続が必要か。 【A3】 新型コロナウイルス感染症の影響等により、期限までに申告・納付等をすることができないと認められるやむを得ない理由がある場合には、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由がやんだ日から2ヶ月以内の範囲で個別指定による期限延長が認められる。 -解説- 令和2年分の確定申告期限は、令和3年4月15日まで一括して延長されていた。しかし、本稿執筆時点(令和4年1月17日)では、令和3年分の確定申告について、同様の措置は設けられていない。 令和3年分の確定申告において、新型コロナウイルス感染症の影響等により、期限までに申告・納税等ができないと認められるやむを得ない理由がある場合には、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由がやんだ日から2ヶ月以内の範囲で個別指定による期限延長が認められる(通則法11、通則令3③④)。 なお、延長される期限は、理由がやんだ日から2ヶ月以内であり、申請書を提出してから2ヶ月以内ではないことに注意されたい。 また、個別指定による期限延長の申請について、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」等の記載をする簡易な方法は、令和3年4月16日以降は認められていない。したがって、必ず申請書(「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を作成し、所轄税務署長へ提出することとなる。 新型コロナウイルス感染症に関連する「やむを得ない理由」としては、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ(以下「新型コロナFAQ」という)」の問5に例示があるので参考にされたい。     〈申告期限の延長②〉 【Q4】 新型コロナウイルス感染症の影響等により、個別指定による期限延長の申請を行う場合、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」に記載が必要な事項は何か。 【A4】 「災害による申告、納付等の期限延長申請書」には、以下について記載する。 -解説- 国税庁から公表されている「新型コロナFAQ」の問14には、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の記載方法として、次の例が示されている。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (出典) 国税庁ホームページ「申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の個別指定による期限延長手続の具体的な方法」を一部著者加工。 なお、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」は、郵送による提出の他、e-Taxを利用して申請することも可能である。     〈納税の猶予〉 【Q5】 新型コロナウイルス感染症の影響で資金繰りが厳しい状況にあり、所得税及び復興特別所得税を期限までに納めることは困難である。納付を猶予する制度はあるか。 【A5】 所轄税務署長へ申請することにより、最大1年間納税が猶予(1年間据置き又は分割納付)される。 -解説- 納税の猶予制度には、「換価の猶予」と「納税の猶予」の2つがある(徴収法151の2、通則法46)(※)。 (※) 新型コロナ税特法の規定による「納税の猶予の特例」は、令和3年2月1日の申請期限をもって適用期限が到来している(新型コロナ税特法3)。 各制度の要件をまとめると次のとおりである。 新型コロナウイルス感染症の影響等により資金繰りが困難である場合には、納税者から特段の申出がない限り納税は1年間猶予される(国税庁「納税の猶予制度FAQ」問15)。また、これらの制度を利用した場合、延滞税は免除又は軽減される(※)。 (※) 換価の猶予:軽減、納税の猶予:軽減又は免除。  いずれも、軽減の場合は0.9%(令和4年)の割合。 上記の他、納税の猶予制度の詳細については、国税庁から公表されている「納税の猶予制度FAQ」を参考にされたい。 (連載了)   

#No. 453(掲載号)
#篠藤 敦子
2022/01/20

給与計算の質問箱 【第25回】「年末調整のやり直し」

給与計算の質問箱 【第25回】 「年末調整のやり直し」   税理士・特定社会保険労務士 上前 剛   Q 当社の給与計算の締め日は末日、支給日は翌月10日です。2021年11月分給与を2021年12月10日に支給する際に年末調整をしました。 2021年12月31日までに年末調整書類(給与所得者の扶養控除等申告書、給与所得者の保険料控除申告書、給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書)に記載した内容に変更が生じた場合、どうすればよいかご教示ください。 A 所得税法では12月31日の現況で控除対象扶養親族などの判定を行うことになっている。しかし、年末調整してから12月31日までの間に年末調整書類に記載した内容に変更が生じることがある。この場合、2022年1月31日までは会社が年末調整のやり直しを行うか、若しくは、本人が確定申告を行う。また、2022年2月1日からは本人が確定申告を行う(不足税額がある場合は年末調整のやり直しを行うことがある)。 年末調整のやり直しが必要となる具体例は、次のとおりである。 * * 解 説 * * 1 給与所得者の扶養控除等申告書 給与所得者の扶養控除等申告書に係る具体例は次のとおり。   2 給与所得者の保険料控除申告書 給与所得者の保険料控除申告書に係る具体例は次のとおり。   3 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書に係る具体例は次のとおり。   4 その他 その他の具体例は次のとおり。 *  *  * 年末調整のやり直し後、会社は2022年1月10日又は2月10日支給の給料で還付税額・不足税額の精算を行う。又は、本人へ会社の小口現金から還付税額を還付、本人から現金で不足税額を徴収する。 また、会社は次回源泉所得税を納税する際に還付税額・不足税額を納付書に記載する。 (了)

#No. 453(掲載号)
#上前 剛
2022/01/20

相続税の実務問答 【第67回】「相続開始年中の贈与財産を特定贈与財産としたが取得した居住用財産に居住しなかった場合」

相続税の実務問答 【第67回】 「相続開始年中の贈与財産を特定贈与財産としたが 取得した居住用財産に居住しなかった場合」   税理士 梶野 研二   [答] 相続の開始した年中に被相続人から贈与により取得した財産を特定贈与財産として相続税の申告書を提出した場合には、その財産は相続税の課税価格の計算の基礎には算入されず、贈与税の課税対象となります。 その贈与が、贈与税の配偶者控除の特例の適用要件を満たす場合には、贈与税の申告において同特例を適用することにより納付すべき贈与税額は算出されませんが、取得した居住用不動産を贈与があった年の翌年3月15日までに居住の用に供しなかった場合など同特例の適用要件を満たさない場合には、同特例を適用することができません。 したがって、あなたがご主人から贈与を受けた1,000万円の金銭で取得したマンションに今年の3月15日までに居住しない場合には、贈与税の配偶者控除の特例を適用することはできませんので、同特例を適用することなく贈与税の計算をすることとなり、納付すべき贈与税額が算出されることとなります。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 特定贈与財産に対する相続税・贈与税の課税 前回説明しましたように、被相続人の配偶者が被相続人からその相続開始前3年以内に贈与を受けた財産であっても、その財産が「特定贈与財産」である場合には、その価額は相続税の課税価格には加算せずに、贈与税の課税価格に算入することとなります(相法19①かっこ書き、21の2④)。 その贈与が相続の開始の年の前年以前に行われた場合で、贈与があった日の属する年分の贈与税につき相続税法第21条の6第1項に規定する贈与税の配偶者控除の特例規定の適用を受けているときには、同項の規定により控除された金額に相当する部分が特定贈与財産となります(相法19②一)。 一方、被相続人の相続の開始の年に婚姻期間が20年以上である配偶者に対して贈与が行われた場合で、その配偶者が被相続人からの贈与についてこれまでにこの特例の適用を受けたことがないときには、同項の規定の適用があるものとしたときに同項の規定により控除されることとなる金額に相当する部分が、相続税の申告書に所定の記載をし、一定の書類を添付した場合に限り「特定贈与財産」となり(相法19②二、相令4②)、その金額は相続税の課税価格には加算されず、贈与税の課税価格に算入されることとなります。   2 相続開始の年に受けた特定贈与財産に係る贈与税の申告 上記1で説明したように被相続人の相続開始の年に被相続人から贈与を受けた特定贈与財産については、その価額を相続税の課税価格には加算せずに、贈与税の課税価格に算入することとなります。 この場合、被相続人からの特定贈与財産の贈与が贈与税の配偶者控除の特例の適用要件を満たす場合には、同特例を適用することができますが、同特例の適用要件を満たさない場合には、一般の贈与税の申告をすることとなります。 〇贈与税の配偶者控除の特例の適用要件(相法21の6①)   3 ご質問の場合 あなたがご主人とご結婚されてから昨年1月に1,000万円の金銭の贈与を受けるまでの期間は20年以上であり、かつ、ご主人からの贈与についてこれまでに贈与税の配偶者控除の特例規定の適用を受けたことがないとのことです。 このため、同特例の適用があるものとした場合に贈与税の課税価格の計算上、控除されることとなる金額に相当する金額1,000万円は、相続税の申告書にその価額を贈与税の課税価格に算入する旨その他一定の事項を記載するとともに、戸籍の附票の写しや贈与を受けた者が取得した居住用不動産に関する登記事項証明書など、贈与を受けた者が当該居住用不動産を取得したことを証する書類を添付することによって、特定贈与財産として相続税の課税価格への加算は不要となり、専ら贈与税の課税対象となりました。 この贈与が、贈与税の配偶者控除の特例の適用要件を満たすのであれば、同特例を適用した贈与税の申告書を提出することにより、贈与税額は算出されません。 しかしながら、あなたの場合には、贈与を受けた金銭で居住用不動産を取得したものの、贈与があった日の翌年、つまり今年の3月15日までにその居住用不動産に居住していませんので、贈与税の配偶者控除の特例の適用要件を満たしていません。 したがって、贈与税の申告において同特例の規定を適用することはできませんから、1,000万円(この他に昨年中に贈与を受けた財産があれば、その金額との合計額)から贈与税の基礎控除額110万円を控除した額に対して贈与税が課されることとなります。 (了)

#No. 453(掲載号)
#梶野 研二
2022/01/20

〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第20回】「老人ホームへ入居等した後に被相続人の居住の用に供していた家屋に新たに居住する者がいる場合の特定居住用宅地等の特例の適否」

〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第20回】 「老人ホームへ入居等した後に被相続人の居住の用に供していた家屋に新たに居住する者がいる場合の特定居住用宅地等の特例の適否」   税理士 柴田 健次   [Q] 被相続人である甲は、A宅地及び家屋を所有し自己の居住の用に供していましたが、相続開始の5年前に有料老人ホームに入居しました。老人ホームへの入居前は、A宅地及び家屋にて長男家族と同居していましたが、入居後の利用状況及びA宅地及び家屋の取得者が次のそれぞれの場合において、特定居住用宅地等に係る小規模宅地等の特例の対象にならないものはありますか。 甲の相続人は、長男である乙、二男である丙、長女である丁の3名です。乙も丙も会社員であり、持家はありませんが、それぞれ自己の収入に基づき生活をしており、甲との間に生活費等の援助はありません。丁は離婚して子供もおり、甲から生活費等の援助を受けていますので、生計を一にしていた親族に該当します。 なお、甲は有料老人ホームへの入居前は、要介護又は要支援認定を受けていませんでしたが、相続開始の直前において要介護3の認定を受けていました。 [A] 上記の①及び③のケースについては、特定居住用宅地等に係る小規模宅地等の特例(以下単に「特例」という)を受けることができませんが、②のケースについては、他の要件を満たせば特例の適用を受けることができます。 ◆ ◆ ◆[解説]◆ ◆ ◆ 1 特定居住用宅地等の範囲 特定居住用宅地等は、相続開始の直前において被相続⼈⼜は当該被相続⼈と⽣計を⼀にしていた当該被相続⼈の親族(以下「被相続人等」という)の居住の⽤に供されていた宅地等に該当することが必要となりますが、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等であっても、下記の要件を満たす場合には、その被相続人が居住の用に供されなくなる直前まで被相続人の居住の用に供されていた宅地等については、被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することとされています(措法69の4①、措令40の2②③、措規23の2②)。   2 本問への当てはめ 〔①の場合〕 丙は生計別親族であり、被相続人等以外の者の居住の用に供されているため、上記1(3)の要件を満たしません。また、丙は生計別親族であり生計を一にしていた者の居住用宅地等にも該当しないため、特例を適用することができません。 〔②の場合〕 丁は生計一親族であり、「被相続人等」の居住の用に該当し、入居等をした後の用途制限には該当しませんので、被相続人の居住の用に供されていた宅地等として取り扱います。また、生計一親族の居住の用に供されている宅地等にも該当することになります。したがって、他の要件を満たせば、特例の適用を受けることができます。 〔③の場合〕 老人ホーム等の入居後に、事業の用に供されていた宅地等に該当するため、上記1(3)の要件を満たしません。また、乙は生計別親族であり生計を一にしていた者の居住用宅地等にも該当しないため、特例を適用することができません。   ★実務上のポイント★ 老人ホームへの入居前の相続税の試算段階で、自宅について特定居住用宅地等に係る小規模宅地等の特例の適用ができる見込みであったとしても、老人ホーム等の特有の要件により、特例を受けられないこともありますので、事前にアドバイスしておくことが重要となります。ただし、単純に老人ホーム等に入居をしていても特例を受けられるといったアドバイスだけでは不十分になりますので、注意が必要です。   (了)

#No. 453(掲載号)
#柴田 健次
2022/01/20

〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第34回】「役員借入金の税務とその解消」

〈ポイント解説〉 役員報酬の税務 【第34回】 「役員借入金の税務とその解消」   税理士 中尾 隼大   ○●○● 解 説 ●○●○ (1) 役員借入金と相続財産の関係 役員借入金は、当該役員にとっては法人に対する債権であり、相続財産を構成することに疑義はない。そして、その評価額は当該財産の取得の時における時価とされ(相法22)、すなわち客観的交換価値によって評価しなければならない。 財産評価基本通達では役員借入金の評価の詳細を定めており、貸付金債権等の元本の価額と既経過利息相当額の合計額によって評価するとされている(財基通204)。なお、手形交換所等の取引停止処分や会社更生法による更生手続開始の決定があった場合等、役員借入金が存在する法人が法的整理の状態等となっている場合には、当該法人の役員借入金は相続財産に含まないとも示されている(財基通205)。 すなわち、法人が仮に債務超過であったとしても、上記の事情がなければ借入金総額の額面に利息額を加味した額をもって相続財産とされることとなる。   (2) 金融機関の評価 役員借入金が存在することで貸借対照表上において自己資本比率が悪化することとなるのは避けられない。この点が金融機関の定量的分析による信用格付に悪影響を与える可能性がある。もっとも、一般的に役員借入金は有利子負債とはされないため、そのような影響は役員貸付金よりは軽微かもしれない。 この点、貸借対照表上、役員借入金をワンイヤールールに則って流動負債の部及び固定負債の部に正しく計上することで、流動比率を向上させることは可能であるため、留意したい。 役員借入金は、金銭消費貸借契約書が存在せず、「法人の資金繰りが悪化したことを受け、役員が法人口座に金銭を振り込んだ」ことを、事実上の借入金として会計処理で表現したに過ぎないケースが多いと思われる。金銭消費貸借契約書が存在しないからこそ、役員借入金の一般的なメリットとして「いつ返済してもOK、利息も支払わなくてOK」と説かれているのだ。 したがって、明確に1年以内に返済する予定がないのであれば、役員借入金を全て固定負債の部に計上することも一案といえる。   (3) 生前に考えられる対処 役員借入金が存在することが、法人税法や所得税法の領域において直接問題となることは考えにくいため、中小企業は役員借入金の解消を後回しにしがちである。しかし上記のような問題があるため、中小企業にとってその解消はやはり課題といえる。 役員借入金の解消方法として、一般に以下の諸方法が説かれている。 ①は単純に、法人の日々の資金繰りから返済資金を捻出する方法である。役員借入金が発生する法人の発生要因に鑑みれば、資金繰りの改善が必須といえる。 ②は【第31回】で少し触れた方法である。方法論としては存在するが、役員貸付金と役員借入金が同時に存在するケースは少ないと思われる。 ③はキャッシュの移動がなく、単純な方法といえるが留意点もある。債務免除を受けた法人は債務免除益が発生するため(法法22②)、実行予定の事業年度における業績や繰越欠損金の存在等に留意する必要がある。また、中小企業においては、株主が取締役を兼ねるケースがほとんどだと思われるが、当該債務免除によって株式価値が増加するのならば、その他の株主側においてみなし贈与の論点が存在する。これは、債務免除を行った役員以外の法人の株主にとっては、債務免除によって法人の株式の価額が増加することとなり、その増加部分を、債務免除を行った役員から債務免除により取得したものとみなされるというものである(相法9、相基通9-2(3))。 ④は債権者が金銭債権を債務者である法人に現物出資する方法であり、一般に「DES(デット・エクイティ・スワップ)」と呼ばれる。借入金が資本金となることから、負債としての返済義務が消滅し、自己資本比率も高まるというメリットがある。なお、「疑似DES」と呼ばれる、債権者が金銭を出資し、債務者が当該金銭によって債務の弁済を行う、金銭出資と弁済を組み合わせ、DESを行うのと同様の結果を導く方法も存在する。 しかし、資本金や資本金等の額の増加により均等割額が増加したり外形標準課税の対象となったり、各種中小企業を対象とした優遇税制の対象外となりうるというデメリットがある他、DESを行った場合、100%グループ内における適格現物出資の場合を除き、現物出資の対象である金銭債権は時価で被現物出資法人に移転するため、被現物出資法人側で債務消滅益が発生する可能性がある点、留意しなければならない(※)。 (※) 佐藤信祐『組織再編における税制適格要件の実務Q&A 第5版』(中央経済社、2019年)243頁。 *  *  * 中小企業における役員借入金は、役員にとって、悪化した資金繰り等に対する責任の取り方の1つなのかもしれないが、以上のような問題が具現化しないためにも、役員借入金の解消についてまで検討しておくべきである。 (了)

#No. 453(掲載号)
#中尾 隼大
2022/01/20
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