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《速報解説》 会計士協会、「監査及びレビュー等の契約書の作成について」を改正~監査上の主要な検討事項(KAM)の早期適用等に対応~

《速報解説》 会計士協会、「監査及びレビュー等の契約書の作成について」を改正 ~監査上の主要な検討事項(KAM)の早期適用等に対応~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年3月29日(ホームページ掲載日は4月1日)、日本公認会計士協会は、「監査及びレビュー等の契約書の作成について」(法規委員会研究報告第16号)の改正を公表した。 これは、「監査基準の改訂に関する意見書」(2018年7月5日)に関連して2019 年2月28日付けで公表された監査基準委員会報告書の新設及び改正並びに2018 年7月24日付で公表された倫理規則の改正に対応するものである。 なお、2013年10月1日から2019年3月31日までに締結した監査契約に基づき、2019年10月1日以後に目的物の引渡しを行う監査については、経過措置により「8%」の消費税率が適用されるとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 1 監査上の主要な検討事項の記載 「監査上の主要な検討事項」を任意適用(早期適用)する場合は、監査契約書に、例えば次のような文言を記載する(「3.監査及び四半期レビュー契約書の作成例」の様式1~3を参照)。 2 財務諸表に対する意見の形成と監査報告 適正表示の枠組みに関する監査人の責任の表現に関して、「関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する」と改正されている。 また、監査契約書に記載する監査人の責任に関して、表示及び注記事項の検討が追加されている(監基報700第36項(2)⑤)。 3 守秘義務 受嘱者の一般的な守秘義務と、これが解除される正当な理由について合意するに関して、「法令又は我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準により必要となる場合」が追加されている。 これには、受嘱者が監査報告書において、監査上の主要な検討事項を報告する場合等も含まれると考えられるが、委嘱者との間で認識の齟齬が生じることがないよう、想定される具体的な状況を委嘱者に対して説明し、その理解を得ておくことが望ましいとのことである。 4 監査約款 監査約款では、受嘱者の責任や監査の性質及び限界について大きく改正されている。 (了)

#No. 312(掲載号)
#阿部 光成
2019/04/04

《速報解説》 企業内会計士等に向けた「倫理規則」「違法行為への対応に関する指針」等の改正が公表される~誤解を生じさせる情報への関与を回避するよう求める~

《速報解説》 企業内会計士等に向けた「倫理規則」「違法行為への対応に関する指針」等の改正が公表される ~誤解を生じさせる情報への関与を回避するよう求める~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年3月20日(ホームページ掲載日は3月29日)、日本公認会計士協会は、次のものを公表した。 これにより、2018年12月26日から意見募集していた公開草案が確定することになる。公開草案に対しては、「会計参与」の取扱いに関するコメントが寄せられている。 倫理規則の改正は、日本公認会計士協会の定期総会の承認が必要なので、今般公表する「倫理規則」は定期総会に議案提案する予定の改正規定案であり、2019年7月22日開催の定期総会の承認後に確定となる。 また、「違法行為への対応に関する指針」及び「職業倫理に関する解釈指針」の改正は、「倫理規則」の改正が定期総会で承認されることを前提としている。 今回の改正は、「企業等所属の会員」に対する規定を対象としていることに注意が必要である。「企業等所属の会員」とは、従業員、共同経営者、取締役等の役員、自営業者、ボランティア等様々な形で、企業等の組織のために働く場合又は企業等の組織の指示の下で働く場合の当該会員をいう(「倫理規則」注解24第1項)。 「会計事務所等所属の会員」を対象とする改正については、2018年4月27日に公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 「倫理規則」の主な改正点 1 情報の作成及び提供 企業等所属の会員が作成や提供に関与する情報には、財務情報及び非財務情報が含まれる。また、所属する組織外に公表する情報や組織内での内部利用を目的とする情報が含まれる(「倫理規則」注解27第3項)。 企業等所属の会員は、情報の作成及び提供に関与する場合、基本原則を遵守しなければならず、情報の作成及び提供に当たっては、例えば、次のような行動が求められている(「倫理規則」36条1項)。 2 情報の作成及び提供への関与 企業等所属の会員は、関与している情報が誤解を生じさせるものである場合又は誤解を生じさせるものであるとの疑いを持ち、かつ、疑う理由がある場合、当該事項に対処するために適切な対応を行わなければならない(「倫理規則」36条6項)。 適切な対応には、例えば、企業等所属の会員の上司、所属する組織内の適切な階層の経営者又は監査役等と協議することなどがある(「倫理規則」注解27第9項)。 いかなる対応を行っても、企業等所属の会員が依然として情報が誤解を生じさせると考える理由がある場合、情報への関与を回避しなければならない(「倫理規則」36条8項)。 倫理規則36条8項に関し、企業等所属の会員は、情報への関与を回避するために、所属する組織を辞職することを検討する場合もあり得る(「倫理規則」注解27第10項)。 3 不適切な裁量の例 倫理規則36条3項における職業的専門家としての判断に際して企業等所属の会員の裁量を伴う場合に関して、不適切な裁量の例として、次のものが挙げられている(「倫理規則」注解27第6項)。 4 基本原則に違反するプレッシャー 企業等所属の会員は、他者からのプレッシャーにより基本原則に違反してはならない(「倫理規則」37条1項、付録5)。 また、他者に対してプレッシャーを与えることにより他者が基本原則に違反することが明らかな場合又はそのように考える理由がある場合には、会員は、そのようなプレッシャーを他者に与えてはならない(「倫理規則」37条1項、付録5)。 基本原則への違反をもたらすプレッシャーが除去されていないと企業等所属の会員が判断する場合、会員は、基本原則への違反をもたらす専門業務の実施を行わないか、又は継続してはならない(「倫理規則」37条2項)。 企業等所属の会員は、プレッシャーが基本原則への違反をもたらし得ると判断する場合、企業等所属の会員が、プレッシャーを与えている個人又は組織とこれ以上関与しないように、担当業務の変更又は人事異動などを要請することなどが考えられる(「倫理規則」注解28第4項)。   Ⅲ 「違法行為への対応に関する指針」の主な改正点 1 構成 2016年7月の国際会計士倫理基準審議会(International Ethics Standards Board for Accountants:IESBA)の倫理規程(Code of Ethics for Professional Accountants)により、職業会計士は、違法行為又はその疑いに対して見て見ぬふりをせず、公共の利益に資する行動をすることが期待されている。 IESBA倫理規程を踏まえて検討を行った結果、会計事務所等所属の会員に対する規定を先行して導入し、会計事務所等所属の会員に対する規定は、2018年7月に導入済みである。 今回の改正の対象は企業等所属の会員に対する規定である。 「違法行為への対応に関する指針」では、第1部において「会計事務所等所属の会員における違法行為への対応」について規定し、第2部において「企業等所属の会員における違法行為への対応」について規定するとともに、第2部を次の構成としている。 2 違法行為 違法行為は、故意もしくは過失又は作為もしくは不作為を問わず、所属する組織、その経営者、監査役等、従業員等又は所属する組織の指示の下で働く委託先業者等のその他の者によって行われる、法令違反となる行為である(第2部第2項)。 企業等所属の会員が行う職業的専門家としてのすべての業務が対象となる(第2部第1項)。 第2部は、違法行為又はその疑いに関する情報に気付いた場合に適用されるものであり、それらを発見することを要求するものではない(第2部第1項)。 3 上級職の会員 上級の職にある企業等所属の会員は、取締役、監査役等並びに人的、財務的、技術的、物的及び無形の経営資源の取得及び配分並びに経営資源に対する支配に関して重要な影響力を行使し決定できる職位にある会員である(第2部第13項)。 会員は、所属する組織における役割、地位及び影響力に鑑み、所属する組織のその他の会員に比し、違法行為又はその疑いに対して公共の利益のために適切な行動をとることを、より期待されている(第2部第13項)。 4 上級職以外の会員 上級の職以外の企業等所属の会員は、専門業務を実施する過程で違法行為又はその疑いに関する情報に気付いた場合、行為の内容及び当該行為が発生した、又は発生し得る状況など、当該事項を理解することに努めなければならない(第2部第28項)。 会員には、専門的な知識を有し、職業的専門家としての判断及び専門的能力を行使することが求められているが、所属する組織の中でその役割を果たすために要求される水準以上の法令に関する理解を有することまでは求められていない(第2部第29項)。   Ⅳ 「職業倫理に関する解釈指針」の主な改正点 「違法行為への対応に関する指針」第2部を適用するに当たってのQ&Aを追加している(Q34)。   Ⅴ 適用時期等 2020年4月1日から施行する。 ただし、会員の判断において早期適用することを妨げるものではない。 (了)

#No. 312(掲載号)
#阿部 光成
2019/04/02

《速報解説》 国税庁等、改元及び10連休に係る対応を公表~「平成31年6月1日」等、平成表記の日付による書類も有効として取り扱う(e‐Taxも同様)~

《速報解説》 国税庁等、改元及び10連休に係る対応を公表 ~「平成31年6月1日」等、平成表記の日付による書類も有効として取り扱う(e‐Taxも同様)~   Profession Journal編集部   〇改元への対応を公表 昨日(平成31年4月1日)正午前、菅官房長官の記者発表により、「平成」に続く新元号を「令和(れいわ)」とすることが公表され、同日の官報特別号外第9号にて「元号を改める政令」が公布、天皇の退位等に関する皇室典範特例法の施行の日(平成31年4月30日)の翌日、すなわち5月1日から施行することとされた。 これに伴い本日(4月2日)、国税庁はホームページ上で「新元号に関するお知らせ」を公表、新元号への移行に伴い国税庁ホームページや申告書等の各種様式を順次更新するとした上で、納税者から提出された書類については、例えば「平成31年6月1日」と平成表記の日付で提出されたものであっても有効なものとして取り扱うことを明らかにした(国税不服審判所も同様に、平成表記の日付で提出された審査請求書を有効なものとして取り扱うとしている)。 またe‐Taxのホームページでは、e‐Taxへ送信する申告・申請データにおいて、利用している民間の税務会計ソフトの改元対応が完了していない等の理由により「平成」を用いて作成した場合でも、当面の間、正常にデータ送信することが可能であることを公表している。 (※) 国税庁が提供するe‐Taxソフト等は本年5月7日の更新をもって改元対応を行うことを予定しており、同日以後は新元号を入力して申告・申請データを作成・送信することができるとのこと。   〇10連休中の申告・納付等手続は 天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律が昨年12月14日に公布・施行され即位の日及び即位礼正殿の儀が行われる日が休日となることから、本年は4月27日(土)から5月6日(月)までの期間が休祝日となり、この期間、税務署は閉庁となる(10連休中のe‐Taxの利用可能期間については[こちら]を参照)。 このため、この10連休中(4/27~5/6)に到来する申告・納付等期限については、法令により、日曜日、国民の祝日、その他一般の休日等の日の翌日が期限となることから、10連休明けの5月7日(火)となる(本年4月支払分の給与等にかかる源泉所得税の納付期限は原則どおり5月10(金))。 ただし、10連休中に納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないこととなる場合など、一定の行為や事実をもって期限が定まるもの等は、その時が期限となるため、国税庁は、10連休中に期限が到来する場合は4月26日(金)までに申告等必要な手続を行うよう注意喚起を行っている。 (了)

#No. 312(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2019/04/02

《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(平成30年7月~9月)」~注目事例の紹介~

 《速報解説》 国税不服審判所 「公表裁決事例(平成30年7月~9月)」 ~注目事例の紹介~   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   国税不服審判所は、平成31年3月26日、「平成30年7月から9月分までの裁決事例の追加等」を公表した。今回追加された裁決は表のとおり、全9件で、相続税法が3件、法人税法が2件、国税通則法が2件、所得税法と登録免許税法が各1件となっている。9件の公表裁決のうち、国税不服審判所によって課税処分等の全部又は一部が取り消された裁決が7件、棄却された裁決が2件となっている。 【表:公表裁決事例平成30年7月~9月分の一覧】 ※本稿で取り上げた裁決 本稿では、公表された9件の裁決事例のうち、国税通則法関係の2件及び法人税法の1件について、その判断のポイントを中心に紹介したい。いつものお断りであるが、論点を整理するため、複数の争点がある裁決については、その一部を割愛させていただいていることを、あらかじめお断りしておきたい。   1 第三者が作成した内容虚偽の確定申告書の作成行為について、請求人の行為と同視することはできないとした事例・・・① 本件は、平成28年中に賃貸用の不動産を取得した会社員である審査請求人が、不動産の販売を代理した法人であるG社の従業員により作成された平成27年分の所得税等の確定申告書等を提出したところ、原処分庁が、請求人が平成27年中に当該不動産を取得したかのように装った確定申告書等を当該従業員らに作成させ、それらを提出したとして、所得税等の重加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が、確定申告書等はG社の従業員らが独断で作成したものであり、請求人に仮装行為はないなどとして、重加算税の賦課決定処分の全部の取消しを求めた事案である。 (1) 争点 G社の従業員が作成した本件申告書等について、請求人が押印したうえで、原処分庁に提出したことは、国税通則法第68条第1項の賦課要件を満たすか否か。 (2) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、まず、通則法68条1項に規定する「隠ぺい仮装行為」を納税者以外の者が行った場合について、次のように判断を示した。 そのうえで、認定した事実関係に基づき、請求人は、 ことから、G社の従業員が虚偽の内容の申告書等を作成した行為を追認したと認められないことはもとより、申告書等に事実と異なる内容が記載されていることを認識していたとか、それを予想することができたと認めることもできないと判断した。 そして、国税不服審判所は当該判断に基づき、G社の従業員が申告書等を作成した行為は、請求人の行為と同視することはできないため、通則法68条1項の賦課要件を満たさないとして、原処分の一部を取り消す裁決を行った。   2 当初から所得を過少に申告することを意図していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課要件を満たさないとした事例・・・② 本件は、共同審査請求人E及びGが、3棟の建物の敷地の用に供されていた請求人ら共有の土地を更地にして譲渡したことによる譲渡所得について、居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例を適用して所得税等の確定申告をしたのに対し、原処分庁が、2棟の建物は請求人らが居住の用に供していなかったからその敷地部分については当該特例を適用できず、また、請求人Eが虚偽答弁をしたなどとして所得税等の更正処分及び重加算税の賦課決定処分等をしたところ、請求人らが、3棟の建物は併せて一構えの家屋で全てが請求人らの居住の用に供していた家屋に該当するから敷地の全てに当該特例を適用でき、また、請求人Eが虚偽答弁をした事実はないとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。 (1) 争点 争点は、本件土地のうち本件特例を適用できる範囲は、全てか一部か(争点1)と、請求人らの行為は、通則法第68条第1項及び第2項の各賦課要件をそれぞれ満たすか否か(争点2)の2つであるが、本稿では、重加算税の賦課要件を満たすか否かという(争点2)について、国税不服審判所の判断を検討する。 (2) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、まず、国税通則法68条1項及び2項の重加算税賦課要件について、次のように解釈を示した。 そのうえで、争点に対する主張において、「原処分庁と請求人らの間において、請求人らの行為には、いわゆる積極的な隠蔽又は仮装の行為がない点については争いがない」ことを認め、請求人らが、当初から所得を過少に申告すること、又は法定申告期限までに申告しないことを意図していたか否かについて認定した事実として、 を挙げて、請求人Eが、「母屋及び各別棟は併せて一構えの家屋ではないから特例の適用要件を満たさない」ということを当初から認識しながら過少に申告をしたとまでは認めることはできないと判断した。 そのうえで、国税不服審判所は、請求人Eについて、通則法68条1項に規定する重加算税の賦課要件を満たさず、請求人Gについても、請求人Eと格別に判断すべき事情は認められないことから、同条2項の賦課要件を満たすとは認められないとし、過少申告加算税相当額を超える部分は違法であるとして、賦課決定処分の一部取消しを認める裁決を行った。   3 設備の賃借及び転貸はいずれも法人税法上のリース取引に該当し、売買があったものとして処理することが相当とした事例・・・⑤ 本件は、不動産管理業を営む法人である審査請求人が、リース契約に基づき支払ったリース料を損金の額に算入して法人税等の確定申告をしたところ、原処分庁が、当該リース契約に基づく取引は売買として取り扱われるリース取引に該当するため、当該リース契約に係る資産は減価償却資産であり、上記リース料のうち当該資産の償却限度額を超える部分の金額は損金の額に算入されないなどとして、法人税等の更正処分などを行ったことに対し、請求人が、当該リース契約に基づく取引は売買として取り扱われるリース取引に該当しないとして、これらの処分の全部の取消しを求めた事案である。 (1) 争点 本事案の争点は、原処分庁がした法人税各更正処分の理由付記に不備があるか否か(争点1)及び本件リース取引が法人税法第64条の2第3項に規定するリース取引に該当するか否か(争点2)であるが、国税不服審判所は、(争点2)において審査請求には理由があると判断したため、(争点1)については判断を示していない。よって、本稿でも(争点2)について、その判断を検討したい。 (2) 国税不服審判所の判断 国税不服審判所は、請求人がN社と締結したリース契約は法人税法第64条の2第3項に規定するリース取引に該当すると判断して請求人の主張を斥けたうえで、請求人がM社との間で締結した転リース契約もまた、同項に規定するリース取引であることから、いずれもリース資産を売買により譲渡したものとして、各事業年度の所得の金額を計算することとなるという、原処分庁による更正処分とも異なる判断をした。 そのうえで、法人税基本通達2-4-2(売買があったものとされたリース取引)を引用する形で、賃貸人が受取リース料を収益の額に計上している場合において、法人税法第64条の2第1項の規定によりリース資産の売買があったものとされたときは、賃貸人は、そのリース取引に係る収益の額及び費用の額の計算につき、同法第63条第1項(長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度)を適用することができる旨、リース取引が行われた日の属する事業年度後の事業年度において、そのリース取引について売買があったものとして処理すべきことが明らかになった場合には、その明らかになった日の属する事業年度前の各事業年度についてのそのリース取引に係る収益の額及び費用の額は、原則として延払基準の方法により計算した収益の額及び費用の額とする旨の定めを相当と認めた。 国税不服審判所は、この規定を請求人に当てはめて、請求人の各事業年度についての本件転リース取引に係る収益(本件転リース契約に基づくM社からのリース料)の額及び費用(本件リース契約に基づくN社へのリース料)の額は、上記通達規定の定めにより、延払基準の方法により計算した収益の額及び費用の額とし、本件各事業年度の課税所得を計算することとなるとして、法人税各更正処分はいずれも違法であるから、その全部を取り消すべきであると結論づけた。 なお、原処分庁は、原処分に係る調査において、転リース契約書の提出を求めたにもかかわらず、請求人がこれを提出しなかったことから、転リース契約書は原処分時に存在せず、転リース契約は締結されていない旨主張したが、審判所は、請求人が、原処分に係る調査の前から、転リース取引に係るリース料について転リース契約書の記載内容と一致する会計処理をしていたことから、原処分庁の主張は採用することができないという判断を示した。 (了)

#No. 312(掲載号)
#米澤 勝
2019/04/01

《速報解説》 日本建設業連合会より「建設業における『収益認識に関する会計基準』の研究報告」が公表される~業界として一定方向へ会計処理できるよう解釈・注意点等を取りまとめ~

《速報解説》 日本建設業連合会より「建設業における『収益認識に関する会計基準』の研究報告」が公表される ~業界として一定方向へ会計処理できるよう解釈・注意点等を取りまとめ~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年3月28日(ホームページ掲載日は3月29日)、日本建設業連合会 会計・税制委員会 会計部会の収益認識基準ワーキンググループは、「建設業における『収益認識に関する会計基準』の研究報告」を公表した。 これは、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)は、抽象的な表現が多く、解釈に幅が出る可能性があることから、建設業界として一定程度は同じ方向の会計処理ができるようにするために取りまとめたものである。PDF版とエクセル版がある。 研究報告の取りまとめに際しては、ワーキンググループ各社の会計監査を担当している公認会計士の協力・助言を得ているが、実際の収益認識会計基準の対応については、担当の監査法人と十分に協議してほしいとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 研究報告は、①会計基準等の概要を記載した上で、②建設業へ当てはめた場合の解釈と③各社で今後注意・検討すべき事項を記載する構成となっている。 以下では主に②建設業へ当てはめた場合の解釈と③各社で今後注意・検討すべき事項について記載する。 1 定義 建設業では、「契約」は工事請負契約であり、「顧客」は施主、注文者、発注者となる。 そのほか、次のことが記載されている。 完成工事未収入金のうち発注者に請求済みのものは「債権」に該当し、未請求のものは「契約資産」に該当すると解釈できる。 海外においては出来高払い(施主による出来高の確認、承認を経て請求する)が一般的であり、収益認識会計基準(=IFRS第15号を出発点としたもの)は主に海外における出来高払いの実務慣行の下での「債権」と「契約資産」の区分が定義されていると考えられる。 しかしながら、日本の建設業の取引慣行においては、出来高払いのほかに、施主の出来高の確認、承認を伴わない請求(支払)(いわゆる前払金、中間金などの「出来高に関わらず、契約で定められた支払条件(支払期日、着工時、上棟時等の条件による)」に基づく請求)が一般的であり、これらの請求が「対価に対する無条件の権利(=対価に対する法的な請求権)」に該当するかどうかは慎重に検討する。 上記の原則的な解釈に従えば、個々の完成工事未収入について、発注者への請求の有無、支払条件等に基づいて、「契約資産」と「債権」に区分する必要があり、その判定のためのデータ把握(請求状況や契約上の支払期日)や判定手続に関する実務負担が多大になると考えられる。 2 契約の識別 「顧客が対価を支払う意思の評価にあたっては、顧客又は同種の顧客グループの過去の慣行を含むすべての事実及び状況を考慮する必要がある」が、現状の実務においても顧客の信用調査等を行い、顧客から対価を回収できると判断したうえで受注していることから、今後も、対価の回収可能性の判断に関する実務は、現状と大きく変わらないものと考えられる。 工期自体がごく短い場合は、「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号)95項に従って、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識することになると考えられる。 各社において、工事完成基準の適用の条件となる「期間がごく短い」工事契約については、社内規程、JSOX文書、マニュアル等で定義する必要があると考えられる。 3 履行義務の識別 建設業では、竣工後の定期点検があるが、収益認識適用指針34項にある合意された仕様に従っている保証の一環である場合には、履行義務には該当しないと考えられる。 設計施工案件の場合、設計業務に監理を含むときは施工と一体の履行義務、設計業務が設計図書を納めて完了するようなときは、施工とは別個の履行義務として扱うことが考えられる。 マンション工事等におけるアフターサービスについては、製品保証の範囲に含まれ、単一の履行義務である場合が多いと考えられるが、個々の状況に応じて個別に判断する必要がある。 4 一定の期間にわたり充足される履行義務 通常の(一般的な)工事契約であれば収益認識会計基準38項(2)又は(3)に該当すると思われ、原則として工事進行基準の適用が可能と考える。 また、工事契約1件ごとに判定の証跡を残す必要はないが、求められた際には通常の工事契約が会計基準に照らして一定の期間にわたり充足される履行義務であると判断した根拠を示す必要があるため、一般的な工事契約と異なる項目がある場合などの判断基準は整備しておく必要があると考えられる。 2020年4月1日施行予定の民法634条や最高裁昭和56年2月17日判決についても触れている。 5 一時点で充足される履行義務 施工を伴わない設計業務のみの受託や開発事業における確認申請業務の受託は、設計図書の納入、確認申請手続の完了をもって履行義務の充足と考えられるため、一時点で充足される履行義務と考えられる。 設計監理業務は収益認識会計基準38項(1)に照らして、監理の進捗に応じて顧客が「施工者が顧客の仕様通りに施工しているかの監理」という便益を享受していると考え、一定期間にわたり充足される履行義務と判断する。 建設業の付帯事業である、設計業務、不動産事業、コンサルティング業務などについては、各社の実情に合わせて一時点で充足される履行義務として収益を認識するのか、一定期間にわたり収益を認識するのか、各業務の定義を明確にした上で、実務上の負担と金額的重要性も勘案し、収益認識方法について会計監査人と協議する必要がある。 6 履行義務の充足に係る進捗度 請負工事における収益認識は、通常は工事進行基準によるが、進捗度を合理的に見積れない場合は、原価回収基準となる。 工事完成基準は、原則として、認められない。 進捗度の測定方法については、インプット法が一般的である。 収益認識適用指針設例9にある現地に引き渡されたエレベーター(建物には未設置)のような現地に納入されただけで発注者が支配を獲得し、かつ、調達原価が合計予想原価の総額に比して重要である場合は、極めて稀であると考えられる。 7 変動対価 スライド条項(全体スライド・単品スライド・インフレスライド)は、工事契約(契約約款を含む)に請負金額を変更する旨の条項がある場合に、変動対価に該当する。 原則として、遅延損害金は変動対価として収益の減として認識する。 契約上想定されていない損害賠償金等は、契約実態に応じて、変動対価として収益の減として認識するか、費用又は損失として認識するかということも含めて、慎重に検討する必要がある。 8 契約における重要な金融要素 収益(未収入金)計上後1年超の支払期限を含む工事契約については、当該工事契約が該当するかどうかを契約時点で判断し(収益認識会計基準58項)、もし該当する場合には工事進行基準で収益認識する段階から対価の金額に含まれる金利相当額を調整する必要がある。 重要性の判定基準については、各社の各(四半)期末の収益推移に対して、契約時点で算出される個別工事の金融要素の多寡について検討するものと考えられる(契約時点での金利水準、個々の工事の工事価格の多寡、契約時点で想定される金融要素の多寡等を総合的に考慮するものと考えられる)。 システム対応、消費税との関係、金融商品関係注記との関係についても触れている。 9 履行義務への取引価格の配分 一般的な請負工事は、重要な統合サービス(収益認識会計基準34項(2)、収益認識適用指針6項(1))を提供すると考えられるため、契約で約束した財及びサービスのすべてを区分して識別できず、単一の履行義務として処理するものと考えられる。 発注者との契約が分割されている場合、また、例えば、解体と新築とを別々に入札行為で提出し、後に契約した場合など、履行義務を複数認識する必要がある場合も想定され、その場合には独立販売価格に基づく取引価格・値引き・変動対価の配分に注意する。 10 有償支給取引 一般的な建設工事では、元請であるゼネコンが専門工事を専門工事業者へ外注するにあたり、使用する資材等を支給する場合などが考えられており、現行の処理でも支給材分の収益を認識していないと考えられることから、従来の会計処理に変更はない。 11 顧客による検収 建設工事において収益認識適用指針80項により、検収により財又はサービスの支配が移転したと判断する場合、契約において合意された仕様に従っているかどうかは、竣工検査等の顧客による判断が求められることから、基本的には「検収が形式的なもの」になるとは考えにくい。 このため、従来どおり、顧客の検収を経て収益を認識することが必要と考えられる。 12 本人と代理人の区分 コストオン工事における元請会社(ゼネコン)の役割と責任を踏まえて、本人と代理人の区分について詳細に検討している。 (了)

#No. 312(掲載号)
#阿部 光成
2019/04/01

《速報解説》 平成31年度税制改正に係る「所得税法等の一部を改正する法律」が3月29日付官報:特別号外第5号にて公布~施行日は原則4月1日、経営承継円滑化法の改正省令等関連法も同日施行~

《速報解説》 平成31年度税制改正に係る 「所得税法等の一部を改正する法律」が 3月29日付官報:特別号外第5号にて公布 ~施行日は原則4月1日、経営承継円滑化法の改正省令等関連法も同日施行~   Profession Journal編集部   平成31年度税制改正関連法が3月27日の参議院本会議で可決・成立し、3月29日(金)の官報特別号外第5号にて「所得税法等の一部を改正する法律」が公布された(法律第6号)。施行日は原則平成31年4月1日(法附則第1条)。地方税関係の改正法である「地方税法等の一部を改正する法律」も官報同号にて公布されている(法律第2号)。さらに本年は、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税の創設を規定した「特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律」(及び関係政省令)、平成30年度改正大綱において平成31年度改正での創設が記載されていた森林環境税及び森林環境譲与税を規定した「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」(及び関係政省令)も公布されている。 また関係する法令として、個人版事業承継税制の創設に伴い規定の整備を行った「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」や、既報のとおり中小企業経営強化税制の対象となる設備の適正化を目的にパブコメに付されていた「中小企業等経営強化法施行規則の一部を改正する省令」及び「中小企業等経営強化法施行規則第八条第二項第一号の表及び第二号の規定に基づき主として電気の販売を行うために取得等をする設備を定める告示」も公布・施行された。 なお、今年度改正で創設される中小企業者等が一定の防災・減殺設備を取得した場合の特別償却(特定事業継続力強化設備等の特別償却)の認定手続等を定めた「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律」は本稿公開日現在、国会での審議が続いており、本制度の施行時期についてはこれら関連法の動向を注視したい。 *  *  * 以下では主な法律、政令、省令等の官報該当ページへのリンクを紹介する。 なお本誌では例年同様、主要な改正事項については、毎週木曜日公開号において、専門家による解説記事を順次掲載するとともに、各府省庁・主な団体等より公表された平成31年度税制改正関連の情報については「平成31年度税制改正に関する《資料リンク集》」及び「新着情報」を随時更新していくので、そちらを併せて参照いただきたい。 また、税制改正大綱を受けた主な改正情報については、すでに本誌掲載済みの「平成31年度税制改正大綱」に関する《速報解説》 をご覧いただきたい。 官報:平成31年3月29日付(特別号外第5号)で公布された主な税制改正関連法令 法令のあらまし ◆所得税法等の一部を改正する法律 附則:施行期日・経過措置など 所得税法の一部改正(第1条関係) 所得税法施行令の一部を改正する政令 所得税法施行規則等の一部を改正する省令 法人税法の一部改正(第2条関係) 法人税法施行令等の一部を改正する政令 法人税法施行規則の一部を改正する省令 地方法人税法施行令の一部を改正する政令 相続税法の一部改正(第3条関係) 相続税法施行令の一部を改正する政令 相続税法施行規則等の一部を改正する省令 地価税法の一部改正(第4条関係) 登録免許税法の一部改正(第5条関係) 登録免許税法施行規則の一部を改正する省令 消費税法の一部改正(第6条関係) 消費税法施行令の一部を改正する政令 消費税法施行規則の一部を改正する省令 揮発油税法の一部改正(第7条関係) 地方揮発油税法の一部改正(第8条関係) 地方揮発油税法施行令等の一部を改正する政令 印紙税法の一部改正(第9条関係) 国税通則法の一部改正(第10条関係) 国税通則法施行令の一部を改正する政令 国税通則法施行規則の一部を改正する省令 租税特別措置法の一部改正(第11条関係) ・所得税関係 ・法人税関係 ・相続税関係 ・登録免許税関係 ・酒税関係 ・たばこ税関係 ・揮発油税・地方揮発油税関係 ・石油石炭税関係 ・自動車重量税関係 ・印紙税関係 ・利子税等関係 租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(附則) ・所得税関係 ・法人税関係 ・相続税関係 ・登録免許税関係 ・消費税等関係 ・租税特別措置法施行令の一部を改正する政令の一部改正 ※平成27年 租税特別措置法施行規則等の一部を改正する省令(附則) ・所得税関係 ・法人税関係 ・相続税関係 ・租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令の一部改正 ※平成20年 ・租税特別措置法施行規則等の一部を改正する省令の一部改正 ※平成26年 外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律の一部改正(第12条関係) 外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律施行令の一部を改正する政令 外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律施行規則の一部を改正する省令 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の一部改正(第13条関係) 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律施行令等の一部を改正する政令 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令の一部を改正する省令 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律に基づく租税条約に基づく認定に関する省令の一部を改正する省令 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の一部改正(第14条関係) 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部改正(第15条関係) 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律施行令の一部を改正する政令 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正(第16条関係) 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う財務省関係政令の整備に関する政令等の一部を改正する政令 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律施行令の一部を改正する政令 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律施行規則の一部を改正する省令 沖縄の復帰に伴う国税関係法令の適用の特別措置等に関する政令の一部を改正する政令 沖縄の復帰に伴う国税関係法令の適用の特別措置等に関する省令の一部を改正する省令 自動車重量税法施行規則の一部を改正する省令 国税徴収法施行規則の一部を改正する省令 税理士法施行規則の一部を改正する省令 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行規則等の一部を改正する省令 相続税の物納財産収納後の手続等に関する省令の一部を改正する省令 国税質問検査章規則の一部を改正する省令 国税関係法令に係る行政手続等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令 地方税法等の一部を改正する法律  ( 附 則 ) 地方税法施行令等の一部を改正する政令 地方税法施行規則及び自動車重量譲与税法施行規則の一部を改正する省令 地方税法施行規則等の一部を改正する省令 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律施行規則 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律施行令 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律施行規則 ▷その他の主な関係法令・告示 経済産業省関係産業競争力強化法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令 経済産業省関係産業競争力強化法施行規則の一部を改正する省令 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の一部を改正する省令 中小企業等経営強化法施行規則の一部を改正する省令 中小企業等経営強化法施行規則第八条第二項第一号の表及び第二号の規定に基づき主として電気の販売を行うために取得等をする設備を定める告示   (了)

#No. 312(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2019/04/01

《速報解説》 会計協、「農業協同組合等の会計に関する研究報告」を公表~会計監査人監査への移行に伴い貸倒引当金や減損会計等、会計に関する論点を明確化~

《速報解説》 会計協、「農業協同組合等の会計に関する研究報告」を公表 ~会計監査人監査への移行に伴い貸倒引当金や減損会計等、会計に関する論点を明確化~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年3月19日(ホームページ掲載日は3月28日)、日本公認会計士協会は、「農業協同組合等の会計に関する研究報告」(非営利法人委員会研究報告第40号)を公表した。 これは、「農業協同組合法等の一部を改正する等の法律」の成立により、農業協同組合等が作成する計算書類及びその附属明細書について、全国農業協同組合中央会による監査から、会計監査人による監査へ移行することとなったことを受け、会計に関する論点をより明確に周知するためのものである。 なお、次の研究資料については役割が終了したと判断されることから、2019年3月19日付けで廃止されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 次の事項について記載している。 以下では主な内容について解説する。 1 組合の開示書類及び損益計算書 会計監査人設置組合において、会計監査の対象となるのは計算書類等だけであり、業務報告書及び説明書類については、会計監査の対象ではない。 会計監査人設置組合の作成書類、JAにおける計算書類等と単体業務報告書の記載事項などに関する一覧表が作成されている。 JAの損益計算書様式で最も特徴的なのは、事業損益の区分のうち事業総利益又は事業総損失について、JAの事業実態に即して、信用事業、共済事業及び購買事業等、各事業の総損益に区分表示することが求められていることであるとしている(農協法施行規則108条12項)。 そのため、貸倒引当金繰入額は、信用事業、共済事業及び購買事業のそれぞれについて、該当する金額を計上することとなるとのことである(農協法施行規則115条)。 2 貸倒引当金 信用事業を行う組合は、銀行や信用金庫等の他の金融機関と同様、貸出金等の債権について、「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)等を踏まえた系統金融検査マニュアル等を参考に自己査定(組合自らが債務者の財務内容等による債務者区分及び担保・保証等による分類等を行うことをいう)を行った上で、貸倒引当金の計上等を行っていると記載している。 貸倒引当金の計上に関連する諸規定について詳細に記載されている。 3 固定資産に係る減損会計 JAにおける固定資産の減損会計の適用に当たっては、特に、JA特有の状況を勘案した資産のグルーピングを行う必要について述べている。 JA特有の状況として、共同利用施設等(カントリーエレベーター、ライスセンター、選果場等)を保有している点が挙げられており、これらの施設の中には、組合員の利用を目的とし、例え利用料等を徴収していたとしても、利用料等による投資額の全額回収を意図していない施設が多く存在しているとのことである。 4 相互援助積立金 相互援助積立金は、各県域におけるJA系統の相互援助の取決めに基づいて、信連(農業協同組合連合会のうち信用農業協同組合連合会)が計上する負債科目である。 相互援助積立金等の全体図及び仕訳例が示されている。 5 自己資本比率 JAバンクシステムを構成する農林中金又は信連は、再編強化法及びJAバンク基本方針に基づき、個々のJAの経営状況及び組織体制におけるモニタリング及び指導を行うため、自己資本比率、事業利益、不祥事等に基づく基準を定めているとのことである。 監査上は、JAの事業環境を考慮し、リスク評価を適切に行うことに留意するとのことである。 6 関連当事者 農協法及び農協法施行規則では、役員及び子会社等との取引の開示について規定が定められているものの、関連当事者の概念は定められておらず、関連当事者としての開示は要請されていない。 一方、監査実施に当たっては、適用される財務報告の枠組みにおいて関連当事者に関する事項が定められているかどうかにかかわらず、監査基準委員会報告書550 「関連当事者」 「関連当事者」 の要求事項に従った対応が必要となるため、監査人は、関連当事者との関係及び関連当事者との取引を十分に理解することが求められているとのことである。 (了)

#No. 312(掲載号)
#阿部 光成
2019/03/28

《速報解説》 外貨建有価証券等の取扱いを整理した「公益法人会計基準に関する実務指針」の改正が確定~2018年4月1日以後開始する事業年度に係る監査から適用~

《速報解説》 外貨建有価証券等の取扱いを整理した 「公益法人会計基準に関する実務指針」の改正が確定 ~2018年4月1日以後開始する事業年度に係る監査から適用~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年3月19日(ホームページ掲載日は2019年3月28日)、日本公認会計士協会は、「公益法人会計基準に関する実務指針」(非営利法人委員会実務指針第38号)の改正を公表した。これにより、2019年1月18日から意見募集していた公開草案が確定することになる。 これは、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号、2018年2月16日)及び内閣府公益認定等委員会から公表された「公益法人の会計に関する諸課題の検討結果について」(2018年6月15日)などに基づいて、公益社団・財団法人における会計上の取扱いについて所要の見直しを行うものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 一般正味財産を財源として保有する有価証券の評価損益の取扱い 一般正味財産を財源として保有する有価証券について評価損益を計上する場合の正味財産増減計算書の表示区分及び科目について、時価法を適用する場合の評価損は「経常増減の部」の評価損益等として、また、時価や実質価額の著しい下落に伴う減損処理による評価損は「経常外増減の部」の投資有価証券減損損失として処理する(Q39)。 2 外貨建有価証券 一般正味財産を財源として保有する外貨建有価証券の決算時の会計処理について、次のように整理している(Q41)。 3 税効果会計を適用する場合の財務諸表の表示方法 繰延税金資産については、その他固定資産の区分に表示し、繰延税金負債については、固定負債の区分に表示する。なお、繰延税金資産と繰延税金負債がある場合には、相殺して表示する(Q56)。   Ⅲ 適用時期等 2018年4月1日以後開始する事業年度から適用する。 (了)

#No. 312(掲載号)
#阿部 光成
2019/03/28

《速報解説》 社会福祉法人の会計監査義務付けに係る会計基準等改正に応じ「社会福祉法人会計基準に関する実務上のQ&A」が改正される

《速報解説》 社会福祉法人の会計監査義務付けに係る会計基準等改正に応じ 「社会福祉法人会計基準に関する実務上のQ&A」が改正される   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年3月27日、日本公認会計士協会は、「社会福祉法人会計基準に関する実務上のQ&A」(非営利法人委員会研究資料第5号)の改正を公表した。 これは、「社会福祉法人会計基準」(平成23年7月27日)が厚生労働省から公表されたことを受けQ&Aとして公表したが、その後、一定規模の社会福祉法人に対して公認会計士又は監査法人による会計監査が義務付けられるなどの法改正を受けて、社会福祉法人が準拠すべき会計基準等も改正されたことから、改正後の社会福祉法人会計基準にも対応しつつ、新たなQ&Aを追加するなどを行ったものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 「Q&A」では、次の事項について記載している。 以下では主な改正内容について解説する。 1 金融商品の時価会計 投資有価証券に計上された満期保有目的の債券について償却原価法を適用する場合の会計処理及び注記について、設例をもって説明している(Q5)。 2 リース会計及び退職給付会計 リース会計及び退職給付会計とも、数値による会計処理に関して説明を増やす一方、会計基準への移行前のファイナンス・リース取引及び退職給付会計の導入に伴う会計基準変更時差異の取扱いについて削除している。 3 固定資産の減損会計 計算書類に対する注記(Q21)などの説明や、数値による設例(Q22)を改正している。 4 税効果会計 税効果会計に関する数値による設例(Q26)を改正する一方、税効果会計の適用初年度における過年度の一時差異等の取扱いについて削除している。 5 関連当事者間取引 関連当事者の範囲において、支配法人、被支配法人などを記載し、また、開示範囲について記載している(Q29、30)。 6 その他 賞与引当金や退職給付引当金以外にも引当金を計上しなければならない場合について記載しており、役員に対し在任期間中の職務執行の対価として退職慰労金を支給することが定められている場合が例示されている(Q34)。 (了)

#No. 312(掲載号)
#阿部 光成
2019/03/28

プロフェッションジャーナル No.312が公開されました!~今週のお薦め記事~

2019年3月28日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.312を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2019/03/28
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