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社外取締役の教科書 【第12回】「会社役員賠償責任保険(D&O保険)/責任限定契約」

社外取締役の教科書 【第12回】 「会社役員賠償責任保険(D&O保険)/責任限定契約」   クレド法律事務所 駒澤大学法科大学院非常勤講師 弁護士 栗田 祐太郎   1 会社役員賠償責任保険とは何か 前回まで3回にわたり、社外取締役を含めた会社役員は、企業活動に関連して損害賠償責任を負う場合があることを説明した。 そうなると、特に大企業であればあるほど、企業不祥事等により会社役員の法的責任が問われる場合、その賠償責任は巨額化する恐れがある。 例えば、一連の東芝不正会計事件において、会社が歴代3社長を含む旧経営陣5人に対して損害賠償を求めて訴訟提起した金額は総額3億円である(これでさえ、低額に過ぎるとの批判もある)。 万一の場合にこのような賠償責任が直接に降りかかってくるリスクがあるということは、社外の有能な人材が社外取締役に就任することを躊躇させることにもつながりかねない。 そこで、会社役員が損害賠償責任を負う場合に備え、会社役員賠償責任保険(いわゆるD&O[Directors' and Officers' Liability Insurance]保険)が各保険会社から販売されている。   2 D&O保険の基本的な仕組み 大手損保会社各社がD&O保険を販売しているが、保険商品は金融庁が内容等を審査し、認可して初めて販売が可能となるため、各社で基本的な仕組みは共通している。 その要点をまとめれば、次のとおりである。 【D&O保険の基本構造】 これについては、【第5回】・【第6回】で取り上げた経済産業省による研究会報告書である「コーポレート・ガバナンスの実践~企業価値向上に向けたインセンティブと改革~」に付された下図がわかりやすいため、こちらを参照願いたい。 〈現在の我が国D&O保険の基本的な設計(イメージ)〉 (※) 経済産業省「別紙2 会社役員賠償責任保険(D&O保険)の実務上の検討ポイント」2頁 また、大手損保会社各社では、ウェブサイトにて一般向けの案内資料を公開しており、これらも参考になる。 【保険契約の内容のまとめ】 (※1) 「会社が役員に対して損害賠償請求をなした場合」は、この特約の適用外であることは注意すべきである。 (※2) 支払限度額が5億円程度のプランの場合、年間の保険料は約200万円前後とのことである。 (※3) 「特約部分の保険料についても会社が全額負担すること」を容認する指針を政府が取りまとめ中であると報道されている(2015年7月4日付け日本経済新聞)。 このようにして、株主や従業員等といった第三者からの損害賠償請求があった場合などに保険が適用されるときには、①判決や和解により決定され、役員が支払義務を負うことになった「損害賠償金」のほか、②「争訟費用」として、訴訟を委任した弁護士費用等も支払われることになる。 なお、以下の場合には保険金が支払われないことには注意を要する。   3 加入の動向と注意点 経済産業省によるアンケート調査(平成27年3月)によれば、国内の上場企業253社のうち、約9割に当たる225社がD&O保険に加入しているとの結果が公表されている。 〈D&O保険の加入状況〉 (※) 経済産業省「日本と海外の役員報酬の実態及び制度等に関する調査報告書」124頁 そして、国内損保会社における平成27年度の契約件数は、前年比15%以上の伸びが予想されるとのことである(2015年7月4日付け日本経済新聞)。 これは、平成26年会社法改正により、社外取締役の設置が義務付けられる場合が拡大されたことや、役員が本格的な損害賠償責任を問われるケースが年々増加傾向にあることが背景にあると思われる。 特に、近年、マスコミ報道されるような大規模な企業不祥事については、会社からの依頼で弁護士等による第三者委員会が設置され、不祥事の経緯や原因、関係した役員ら会社関係者の法的責任が厳しく指摘されるという事例が増えている。 このような場合、第三者委員会の公表結果をもとに、インターネット等を通じて株主等が連帯して被害者団体を結成し、会社に対する株主代表訴訟を提起して損害賠償を求める事態へと発展する場合は多い。 このような実情があるかぎり、今後も万一の場合に備えたD&O保険への加入はますます増加していくであろう。   4 責任限定契約とは何か 以上のように保険を利用しての役員の賠償責任の軽減化に加え、会社と役員との間で契約を締結することで、役員が会社に対して負う賠償責任(第三者責任は制限できない)を一定限度に制限することもできる。 これが、「責任限定契約」と呼ばれる制度である。 これは、業務執行取締役等以外の取締役(例えば、社外取締役)について、その者の会社に対する損害賠償責任について、最大で、 のいずれか高い金額まで、責任の範囲を限定する契約を締結するものである。 これにより社外取締役等の損害賠償責任の負担に上限を設けることができるため、より社外取締役の就任について候補者から承諾を得られやすくなるという実益がある。 また、上記に加えて、取締役の会社に対する損害賠償責任は、①総株主の同意により、責任の全部又は一部を免除することや、②株主総会の特別決議によって、前述の最低責任限度額を控除した残額を限度として、免除することもでき(ただし、取締役が職務を行うにつき善意かつ無重過失の場合に限られる)、加えて、③一定の条件を満たすことを前提に、取締役会決議により、責任の一部を免除することもできる。 (了)

#No. 146(掲載号)
#栗田 祐太郎
2015/11/26

税理士ができる『中小企業の資金調達』支援実務 【第8回】「具体的な資金調達支援の流れ(その5)」~社長の融資面談には同行しない~

税理士ができる 『中小企業の資金調達』支援実務 【第8回】 「具体的な資金調達支援の流れ(その5)」 ~社長の融資面談には同行しない~   公認会計士・中小企業診断士・税理士 西田 恭隆   社長が金融機関窓口へ融資を正式に申し込んでから、1週間前後で融資交渉面談となる。日本政策金融公庫に申し込んだ場合は、管轄する支店で行われ、信用保証協会の保証付き融資を申し込んだ場合は、申し込んだ金融機関または信用保証協会で面談となる。   1 社長が答えられない質問は税理士が引き受ける 【第2回】で説明したことの繰り返しになるけれども、税理士は社長の交渉面談に同行すべきではない。金融機関は当事者である社長の話を聞きたいと思っているし、税理士が交渉に参加しても有利にはならない。かえってその妨げになるおそれがある。 「同行しないのであれば、支援することは何もない」と思われるかもしれない。しかし、間接的な支援は可能である。すなわち、社長が自信をもって交渉面談にのぞめるよう助言し、金融機関から計数にかかる質問があった場合、回答案を考えるという支援を行う。 事業計画書や資金繰り表を読み込み、想定問答をいくら考えたとしても、社長には不安が残る。想定外の質問はあるだろうし、特に、計数の質問に上手く回答できるか、自信を持てない社長は多い。社長の不安を解消するため、税理士は以下のように助言すると良い。 「質問に即答する必要はなく、いざとなったら税理士に振れば良い」と考えることができるので、社長の不安は大きく和らぐ。 いいかげんな即答をするよりも、後から正確な回答をした方が誠実である。また、社長の多くは計数に詳しくないことを金融機関側も理解している。難しい質問があったとしても、税理士対応を前提としている場合がほとんどである。税理士に振って問題ない。   2 計数に関する質問は税理士が、計数以外の質問は社長が答える では、税理士対応が必要になる質問とは、具体的にはどんなものか。筆者の経験上、決算数値に関するものが多い。会社特有の勘定科目の内容や、勘定科目の内訳は何かという質問である。総勘定元帳を提出したり、申告書の記載個所を回答したりする。 回答方法は、税理士が金融機関に直接回答するのではなく、まず社長に回答を伝え、社長から金融機関に回答してもらう。【第2回】で解説した通り、税理士の立ち位置はあくまで仲介者である。可能な限り、社長と金融機関の間で直接やり取りしてもらう。 念のため説明しておくと、上記の対応は、あくまで計数にかかる質問の場合である。会社の事業内容や経歴など、計数以外の質問には、社長自身が回答しなければならない。「税理士に確認します」では、社長の信用が大きく損なわれる。何でも税理士任せにしないよう、適宜、社長に伝える。   3 面談後の融資までの流れ 社長が融資交渉面談を終えたら、税理士としての支援はほぼ完了である。あとは融資結果を待つだけとなる。 取引関係のない金融機関に初めて融資を申し込んだ場合、面談後、金融機関や信用保証協会の担当者が来社してくる場合がある。会社に実体があることを確認する趣旨である。現地調査と呼ばれる。面談交渉時のような質問を再度受けることはない。税理士の出番はほとんどない。 面談交渉後、1週間前後で金融機関から融資可否の連絡がある。良い返事を得られた場合、社長は再度、日本政策金融公庫の支店または信用金庫等に赴く。会社と金融機関の間で金銭消費貸借契約が締結される。その数日後、会社の指定口座にお金が振り込まれる。 *   *   * 以上、融資面談時の支援について解説した。税理士は交渉に直接参加せず、助言や回答案を考えることによって間接的に社長を支える。 *   *   * 税理士が行う資金調達支援について、【第4回】から【第8回】にわたり解説した。社長から融資の相談を受けた時の対応、申込書類の作成支援、融資交渉面談の支援について一通り述べた。支援全体の流れをつかめたかと思う。 次回からは、金融機関に提出する書類の作成ポイントについて解説していく。書類とは、決算書、合計残高試算表、事業計画書、資金繰り表である。 (了)

#No. 146(掲載号)
#西田 恭隆
2015/11/26

現代金融用語の基礎知識 【第24回】「トヨタ自動車のAA型種類株式」

現代金融用語の基礎知識 【第24回】 「トヨタ自動車のAA型種類株式」   事業創造大学院大学 准教授 鈴木 広樹   1 トヨタ自動車のAA型種類株式とは トヨタ自動車のAA型種類株式とは、トヨタ自動車が発行している、以下のような特徴を持つ種類株式のことである。 (注) 今年7月に発行された第1回AA型種類株式の発行価格は、発行価格決定日における普通株式の株価の129.99%とされた。 なお、「AA型」とは、こうした特徴を表現した英語の略かと思われるかもしれないが、実はそうではなく、トヨタ自動車の前身である豊田自動織機製作所自動車部が昭和11年に開発・製作したトヨタ初の生産型乗用車の車名である。   2 トヨタ自動車の狙いは こうしたAA型種類株式の特徴を見ただけでトヨタ自動車の狙いを理解することができる人はそれほど多くないだろう。②や⑥は投資家に受けそうであるが、①や⑦は敬遠されそうである。 トヨタ自動車は、平成27年4月28日に開示した「第1回AA型種類株式の発行、AA型種類株式の新設に係る定款一部変更および第1回AA型種類株式発行に応じた自己株式取得に関するお知らせ」の中の「AA型種類株式の発行の目的および理由」において、次のように述べている。トヨタ自動車の狙いは、株式を中長期保有してくれる株主の確保である。 トヨタ自動車の狙いがわかれば、AA型種類株式のそれぞれの特徴の意味が理解できるだろう。中長期保有してもらいたいため、譲渡制限を付しているが(⑦)、その代わりに②や⑥のような5年以上保有した場合の特典を付している(ただし、当然、分配可能額の範囲内で)。また、保有している間、当然、株主として経営に関わってもらいたいため、議決権を付している(④)。 なお、①は、普通株式の希薄化を抑えるためである(注)。増資を行うと、投資家がそれによる希薄化を嫌い、株価が下がることがある。それを避けるため、希薄化を抑える措置をとっているのである。また、同じ目的のため、第1回AA型種類株式の発行の決定と同時に、同株式の発行数と同数の自己株式の取得も決定している(普通株式を取得)。 (注) 希薄化とは、発行済株式総数の増加によって1株当たり当期純利益などが減少すること。 このトヨタ自動車のAA型種類株式は、短期利益追求志向の海外機関投資家などからは評判が良くないようである。しかし、株式を中長期保有してくれる株主を確保しようというトヨタ自動車の姿勢は批判できないし、それを実現するために設計されたこのAA型種類株式に対しても、説得力のある批判を行うのは難しいだろう。   (了)

#No. 146(掲載号)
#鈴木 広樹
2015/11/26

連載『消費税の軽減税率を検証する』(税理士/金井恵美子 著)を期間限定で無料公開します!

連載『消費税の軽減税率を検証する』を 期間限定(~12/4)で無料公開します! ※公開期間は終了しました。 来月の税制改正大綱とりまとめへ向け、消費税軽減税率の制度設計について政府内で模索が続いていますが、このたび本年6月から10月にかけ本誌プロフェッションジャーナルで掲載された金井恵美子税理士による連載『消費税の軽減税率を検証する』を、12月4日(金)まで期間限定で無料公開いたします。 ※公開期間は終了しました。 実務家の目線から、この制度について鋭い検証を行った人気連載です。この機会にぜひご覧下さい。 なお、その他の無料公開記事については[こちら]をご覧下さい。

#Profession Journal 編集部
2015/11/25

《速報解説》 金融庁、「平成26年度有価証券報告書レビューの重点テーマ審査及び情報等活用審査の実施結果について」を公表~減損処理等で新規の指摘事項も~

《速報解説》 金融庁、「平成26年度有価証券報告書レビューの重点テーマ審査及び 情報等活用審査の実施結果について」を公表 ~減損処理等で新規の指摘事項も~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成27年11月20日、金融庁は「平成26年度有価証券報告書レビューの重点テーマ審査及び情報等活用審査の実施結果について」を公表した。 有価証券報告書の作成に当たっては、これらに記載されている事項に特に注意する必要があると考えられる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 実施結果の主な内容 「重点テーマ審査」として、次の項目を取り上げている。 「情報等活用審査」として、適時開示や報道、提供された情報等を勘案し、審査対象会社を抽出している。 1 レビュー結果の概要 「別紙」において、以下のように、有価証券報告書の記載が適切でないと考えられる事例を紹介している。 従来から指摘されている事項のほか、アンダーラインについては、新規に指摘された事項である。 2 レビューの実施方法 財務局等からの質問内容には、以下のような観点も反映しているとのことである。 有価証券報告書などの作成に際しては、以下の観点にも注意が必要であると考えられる。 (了)

#No. 144(掲載号)
#阿部 光成
2015/11/24

プロフェッションジャーナル No.145が公開されました!~今週のお薦め記事~

2015年11月19日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.145を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2015/11/19

日本の企業税制 【第25回】「『法人税改革』早期完了への道筋」

日本の企業税制 【第25回】 「『法人税改革』早期完了への道筋」   一般社団法人日本経済団体連合会 常務理事 阿部 泰久     1 はじめに 平成28年度税制改正をめぐっては、消費税の軽減税率導入が最大の焦点ではあるが、以前述べたとおり、法人税改革についても重要な課題となっている。 もともと、平成27年度改正において、法人実効税率を平成27年度に32.11%、平成28年度では31.33%まで引き下げることを決めた上で、「28年度改正においても、課税ベースの拡大等により財源を確保して、28 年度における税率引下げ幅のさらなる上乗せを図る。さらに、その後の年度の税制改正においても、法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指して、改革を継続する。」とされていた。 また、本年6月に閣議決定された骨太の方針及び日本再興戦略改訂版では、「現在進めている成長志向の法人税改革をできるだけ早期に完了する」ことが明記されており、平成28年度税制改正においても、法人税改革が課題となっている。   2 財源問題を解決する3つの方策 「28 年度における税率引下げ幅のさらなる上乗せを図る」としても、課税ベース拡大によって、法人税の中からある程度の財源をそろえなければ、実効税率を引き下げることはできない。 問題は「その財源をどこに見出すか」であるが、大きく言って3つしかない。 第1は政策税制(租税特別措置)の見直し、第2は減価償却制度の見直し、第3は法人事業税の外形標準課税のさらなる拡大である。 いずれも、平成29年度税制改正では検討されるはずのことではあったが、平成28年度税制改正に前倒しできるものがはたしてどれだけあるのか。 (1) 政策税制(租税特別措置)の見直し 政策税制(租税特別措置)の見直しは、常に議論となるものではあるが、大部分の租税特別措置には期限が付されており、期限前の縮減・廃止はあり得ない。期限の付されていないものは、租税特別措置法に定められてはいるが、実際には法人税の基本的制度と考えてよいものであり、見直しの対象とすること自体が困難である。 平成27年度末で期限を迎える法人税関係の租税特別措置をすべて合わせても実効税率を有意に下げるほどの財源にはならない。額的に大きなものは、生産性向上設備投資促進税制の縮減を当初予定通りに行うかであり、約1,000億円の財源となる。 【生産性向上設備投資促進税制の縮減】 (2) 減価償却制度の見直し もともと平成29年度改正では、減価償却制度の定額法一本化が大きな課題となる予定であった。しかし、アベノミクスの第2ステージの第1の矢であるGDP600兆円の実現のためには設備投資の持続的な増大が不可欠であり、まさに「官民対話」において民間設備投資の拡大が議論されているところである。 とりわけ機械・装置については、投資コストの回収は企業の競争力に大きな影響を与え、現行定率法の廃止は新規設備投資を抑制する恐れを否定できない。また、船舶・航空機・車両においては、リース定率法の否定は関係産業の存続を脅かすことにもなる。 そこで、見直しの対象となり得るのは建物附属設備及び構築物でしかなく、定額法強制で約1,000億円の財源となる。 【減価償却制度の見直し】 (3) 外形標準課税のさらなる拡大 外形標準課税については、平成27年度税制改正により段階的に拡大される途上にあるが、赤字企業が負担増となることはもちろん、黒字企業でも収益が低ければ負担増となる場合が多い。平成28年度までの拡大の結果を踏まえ、その影響を十分に精査した上でなければ、外形標準課税のさらなる拡充を検討することはできない。 また、資本金1億円以下の法人への適用対象の拡大は、赤字法人が7割を占める中小法人に対する深刻な影響を考えれば、選択肢とはなり得ない。   3 平成28年度にどこまで引き下げられるのか 以上のような状況から、平成28年度税制改正において財源として可能性があるのは合わせて2,000億円程度である。この制約を前提としながら、経団連では財務省主税局、総務省自治税務局との折衝を続けているが、この範囲で確実にできることは、国税の法人税率を23.9%から23.5%まで引き下げ、実効税率で30.88%とすることまでである。 もちろん、財源を拠出する範囲でしか税率が下げられないわけではない。足下では法人税収入は順調に伸びており、平成27年度においても当初見込み10兆9,900億円から少なくとも4,000億円程度は上振れするものと思われる。あえて言えば、平成27年度税制改正における先行減税は、税収の「自然増」を見込んでいたものである。 「官民対話」の中で、経団連は民間設備投資の拡大や、政府からの要請を受け3度目となる賃金引上げのための環境整備として、平成28年度税制改正におけるさらなる法人実効税率の引下げを求めているところである。   4 平成29年度では確実に20%台を いずれにせよ、本当の山場は平成29年度税制改正である。 しかし、平成29年度において、生産性向上設備投資促進税制の完全廃止や、研究開発税制の抜本的見直しをはじめとする政策税制の大規模な整理、さらには減価償却制度のさらなる見直しを行うとしても、実効税率では29%台の後半が視野に入ることにしかならない。また、研究開発税制の縮減や減価償却方法の見直しは、日本企業の競争力を損なうことにもなりかねない。 少なくとも28%程度にまで法人実効税率を引き下げようとするならば、法人事業税の外形標準課税のさらなる拡大を検討しなければならないが、これを検討課題に上げるには、「日本経済の好循環」が本当のものとなっていなければならない。 そのためにも、成長戦略としての法人税改革は、平成29年度までを見通しながらの議論が不可欠である。 【法人税改革の全体像(イメージ)】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (※) (P)=未定 (出典) 経団連資料より (了)  

#No. 145(掲載号)
#阿部 泰久
2015/11/19

平成28年施行の金融所得一体課税と3月決算法人の実務上の留意点 【第1回】「改正趣旨と公社債等の利子・譲渡損益に対する課税方式の見直し」

平成28年施行の金融所得一体課税と 3月決算法人の実務上の留意点 【第1回】 「改正趣旨と公社債等の利子・譲渡損益に対する課税方式の見直し」   税理士 芦川 洋祐     Ⅰ 改正趣旨の再確認 我が国は、少子高齢化とそれに伴う人口減少の影響により「貯蓄を行う年齢層」に比べて「貯蓄を取り崩す年齢層」の割合が増加する傾向にあり、今後、投資に回る資金が減少することが予測されている。 また、我が国は、先進国の中でも家計金融資産に占める株式や株式投資信託の割合が特に低く、このことが我が国経済の活力を維持するための弊害となると考えられている。 〈家計の資産構成〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (出典) 「資金循環の日米欧比較」(日本銀行調査統計局、2015年9月30日)p2 そこで、我が国における株式や株式投資信託への積極的な投資を促進するために、平成25年度税制改正において、下記の趣旨を念頭に「金融所得課税の一体化」が決定され、平成28年1月1日から施行されることとなった。   Ⅱ 公社債等の利子・譲渡損益に対する課税方式の見直し 1 課税方式の均衡化 現行の所得税法では、株式等の譲渡益が課税対象となる一方で、公社債の譲渡益は非課税となる等、金融商品の性質によって課税対象や課税方法が異なっている。上記Ⅰの改正趣旨に鑑み、金融商品から生じる所得を一体化して課税することとされた。 2 損益通算の範囲の拡大 特定公社債及び公募公社債投資信託から生じる利子所得及び譲渡損益については、上場株式及び公募株式投資信託から生じる配当所得及び譲渡損益と損益通算できることとされた。 一方、非上場株式及び私募株式投資信託から生じる譲渡損益については、上場株式及び公募株式投資信託から生じる配当所得及び譲渡損益との損益通算ができないこととされた。 3 割引債の課税方式の変更 割引債の償還及び譲渡により生じる所得については特定公社債又は一般公社債の譲渡所得等に区分され、20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税として課税することとされた。 4 改正内容のイメージ 1~3までの改正内容をまとめると、下図のようになる。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (※1) 所得税15%+住民税5%。この他に復興所得税が課されるため、実質的な税負担は20.315%となる。 (※2) 「特定公社債」とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債、平成27年12月31日以前発行の公社債(同族会社発行社債を除く)等の一定の公社債をいう。 (※3) 「一般公社債」とは、特定公社債以外の公社債をいう。 (※4) 源泉徴収が行われているものについては、申告不要を選択することができる。 (※5) 平成28年1月1日以後に譲渡した上場株式等に係る譲渡損益と一般株式等に係る譲渡損益は、原則として損益通算できないこととされた。 (了)

#No. 145(掲載号)
#芦川 洋祐
2015/11/19

こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第39回】「退職者へ追加で支払う給料から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理」

こんなときどうする? 復興特別所得税の実務Q&A 【第39回】 (最終回) 「退職者へ追加で支払う給料から源泉徴収する 所得税及び復興特別所得税の処理」   税理士・社会保険労務士 上前 剛   当社は、末日締め翌月末日払いで給料計算をしています。9月分の給料を平成27年10月31日に支払いました。先日、元社員Aより、9月分の残業代2万円を追加で支払うよう連絡がありました。元社員Aは、平成27年9月30日に当社を退職し、平成27年11月1日よりB社に社員として就職しています。 元社員Aの9月分の残業代を確認したところ、当社の計算誤りに気づいたため、11月20日に支払うことにしました。なお、元社員Aは、昨年の年末調整の際、「給与所得者の扶養控除等申告書」を当社へ提出しており、毎月の給料から所得税及び復興特別所得税を甲欄で源泉徴収しています。 退職者へ追加で支払う給料から所得税及び復興特別所得税を甲欄で源泉徴収してよいかご教示ください。   「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した者が年の中途で退職した場合には、「給与所得者の扶養控除等申告書」は、退職によりその効力を失う。ただし、退職後その年中に退職者に給料等の追加払いをする場合に、退職者が他の給与等の支払者を経由して「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していなければ、「給与所得者の扶養控除等申告書」が退職後も引き続き効力を有するものとして、所得税及び復興特別所得税の計算をしても差し支えない(所基通194・195-6 )。 今回のケースにおいては、元社員Aが当社に提出した「給与所得者の扶養控除等申告書」は、退職日の9月30日でその効力を失っている。また、元社員Aは、11月1日よりB社に社員として就職していることから、給料を追加で支払う11月20日時点においては、既にB社に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しているものと推測される。 したがって、当社は、11月20日に追加で支払う給料から所得税及び復興特別所得税を甲欄ではなく、乙欄で源泉徴収する。 (連載了)

#No. 145(掲載号)
#上前 剛
2015/11/19

商業・サービス業・農林水産業活性化税制の適用・申告のポイント 【第4回】「税額控除の事例と申告書別表6(20)の書き方」

商業・サービス業・農林水産業活性化税制の 適用・申告のポイント 【第4回】 (最終回) 「税額控除の事例と申告書別表6(20)の書き方」   税理士法人オランジェ 代表社員 税理士 石田 寿行   前回は商業・サービス業・農林水産業活性化税制の「特別償却」を選択した場合に作成する付表(7)〈特定中小企業者等が取得した経営改善設備の特別償却の償却限度額の計算に関する付表〉について、具体例をもとにその記載方法を解説した。 最終回となる今回は、本税制の「税額控除」を選択した場合に作成する別表6(20)〈特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書〉について、次に掲載した実際の記載例を見ながら、記入方法について確認していく(※)。なお前回と同様、事例の前提条件については、主に【第2回】の添付書類の記載内容をもとにしている。 (※) 平成27年度税制改正に伴い、平成27年4月1日以後に終了する事業年度(連結事業年度)分法人税申告書一覧表(平成26年10月1日以後に開始した事業年度(連結事業年度)用)からは、本税制に係る申告書別表番号が改正前の6(19)から6(20)へ変更されている。  ▷記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 [法人税額の特別控除額の計算]の枠内 [設備の概要] 設備の概要には、その設備が、経営改善設備に該当することの詳細を記載する。 この場合、この欄の記載に代えて次のように、できるだけ「特別償却の償却限度額の計算に関する付表」の所要欄を記載し添付する。  ▷記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (連載了)

#No. 145(掲載号)
#石田 寿行
2015/11/19
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