《速報解説》 平成26年度税制改正に伴う 「消費税法基本通達等の一部改正」について アースタックス税理士法人 税理士 島添 浩 はじめに 6月9日に国税庁ホームページにおいて「消費税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」が公表された。 今回の改正は、平成26年度税制改正に伴うものであり、その内容は、輸出物品販売場における輸出免税の対象物品の見直しと簡易課税制度のみなし仕入率の見直しに係る改正となっている(詳細はこちらの拙稿を参照)。 なお、これらの改正については、未だ適用されておらず、適用開始時期も異なることから、各規定における基本通達の適用時期については注意が必要である。 (1) 輸出物品販売場制度の改正に係る通達改正 ① 改正の概要 今回の改正により、外国人旅行者に対する輸出物品販売場における輸出免税において、一定の要件を満たした場合には、従来対象外となっていた消耗品についても輸出免税の対象とされた。 また、その旅行者に対して、同一店舗で1日に販売する従来の免税対象物品(消耗品以外の物品)の額が100万円を超える場合には、輸出物品販売場を経営する事業者が保存しなければならない書類に、その旅行者の旅券等の写しを追加することとした。 今回の通達改正では、輸出免税の対象物品が従来の生活用物品とは別に消耗品についても適用されることとなったことから、その運用方法として以下の通達が創設あるいは改正がなされた。 これらの規定以外にも、購入記録票の旅券等への貼付方法(8-1-7)や明細書等の貼付方法(8-1-7の2)、購入記録票等の作成方法(8-1-7の3)などの手続的な内容が規定されている。 ② 適用開始時期 輸出物品販売場における輸出免税の規定は、平成26年10月1日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用されることから、この法令解釈通達による8-1-1、8-1-2、8-1-2の2、8-1-3の2、8-1-7、8-1-7の2、8-1-7の3、8-1-8、8-2-1の取扱いは、平成26年10月1日から適用することとなるので、注意しなければならない。 (2) 簡易課税制度の改正に係る改正通達の適用時期 ① 改正の概要 今回の税制改正において、簡易課税制度の業種区分について見直しが行われたが、具体的には、「金融業」及び「保険業」の業務に係るものを現行の第四種事業(60%)ではなく、第五種事業(50%)として計算することとした。 また、新たに「第六種事業」を創設し、そのみなし仕入率を40%とした上で、「不動産業」の業務に係るものを現行の第五種事業(50%)ではなく、第六種事業として計算することとなった。 今回の通達改正は、業種区分につき第六種事業を創設したことに伴う規定の読み替えに関するものがほとんどであり、通達内容の変更を示すものはないが、業種区分の変更に伴い、以下の内容が改正された。 ② 適用開始時期 簡易課税制度の改正は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間について適用することから、この法令解釈通達による13-2-1、13-2-4、13-2-8の3、13-2-10、13-3-1、13-3-2、13-4-1、13-4-2の取扱いについても、平成27年4月1日以後に開始する課税期間について適用することとなる。 ただし、簡易課税制度の場合において、平成26年9月30日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した事業者は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間であっても、当該届出書に記載した「適用開始課税期間」の初日から2年を経過する日までの間に開始する課税期間については改正前のみなし仕入率が適用されることから、今回の通達の改正ではなく、従前の例によることとなる。 (了)
《速報解説》 改正行政不服審査法及び関連整備法の公布について 税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 1 はじめに 改正行政不服審査法は、去る6月6日、参議院本会議で可決され、成立した。1962(昭和37)年の制定以来初めてとなる改正法は、2年以内の施行が附則によって定められている。 本稿では、6月13日に公布された行政不服審査法及び行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「改正不服審査法関連整備法」という)から、特に、国税に対する不服申立てに関連する規定を中心に解説することを目的とする。 なお、平成26年度税制改正大綱に掲げられた「納税環境整備」の中の「国税・地方税不服申立制度の見直し」に掲げられた項目は、本改正法の施行によって、すべてが実現することとなった。 2 改正行政不服審査法 まず、同法の目的である第1条第1項の内容が改正されているので確認したい。 【改正後】 【改正前】 ポイントは、筆者が下線を付した「簡易迅速かつ公正な手続の下で」という部分にある。 改正法の中では、この目的を達成するための規定が盛り込まれている。また、「不服申立て」「異議申立て」「審査請求」という文言をすべて「審査請求」に統一している。 これまで、 と定められてきた審査請求期間は、 として、1ヶ月間、延長されている(第18条)。 公正な手続という点では、処分当事者以外の職員が審査にあたる「審理員」(第9条)、行政不服審査会への諮問(第43条)などの新しい制度が導入されている。 3 国税通則法の改正 行政不服審査法の改正の影響は大きく関連整備法は342条に及ぶ大部のものとなっているが、その第7章に「財務省関係」として、第92条から104条までが租税法関連の改正となっている。もちろん中心は、国税通則法の改正(第99条)であり、官報5ページにわたって、改正点が定められている。 これまでの「異議申立て」が「再調査の請求」に改められことによって大幅に条文が改められていることに加え、不服申立てができる期間(国税通則法第77条1項)の定めが、現行の から に変更された。 加えて、「簡易迅速かつ公正な手続の下で」という改正法の目的に合わせる形で、以下の諸規定が追加された。 (1)は処分行政庁における、(2)及び(5)は国税不服審判所における、それぞれ迅速な手続を進める趣旨のものであり、(3)、(4)及び(6)は、不服審判手続における公正性を高めることを目的とした規定といえよう。 4 終わりに 平成23年度税制改正から始まった国税通則法の大幅な改正は、更正の請求期間の延長、適正な税務調査手続の法制化、国税不服審判所の改革という一連の流れの中、今回の行政不服審査法の改正とそれに伴う国税通則法の改正により、一段落を迎えることとなった。 改正行政不服審査法が目指す「簡易迅速かつ公正な手続」の実現にためには、まだ残された課題もあるが、「公布後2年以内」とされる施行時期がいつになるのか、注視したい。 (了)
2014年6月19日(木)AM10:30、Profession Journal No.74 が公開されました。 Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開してまいります。
日本の企業税制 【第8回】 「法人税減税財源としての『自然増収』の考え方」 一般社団法人日本経済団体連合会 常務理事 阿部 泰久 1 はじめに 6月13日の経済財政諮問会議における「経済財政運営と改革の基本方針2014(いわゆる骨太方針)」の素案審議に先立って開かれた、安倍総理、菅官房長官、麻生財務大臣、甘利経済担当大臣、野田自民党税調会長の5者会談で、法人税改革について ことが合意され、平成27年度からの法人実効税率引下げが、政府方針として確定した。 しかし、その財源については、 とあるだけで、これから年末の「平成27年度税制改正大綱」取りまとめまで、厳しい議論が続くことになる。 その焦点は、法人税の自然増収を財源としてどう考えるのかである。 2 与党税調の動き 政府の骨太方針取りまとめに先行して、6月5日、自民党・公明党の税制協議会は「法人税改革に当たっての基本認識と論点」を公表した。 この中では財源について、「国・地方を通じ、恒久的な財源、制度的に担保された安定財源を確保する必要がある」、「法人課税において、徹底した課税ベースの拡大や応益課税の強化を行い、税率を引き下げるための財源を確保する必要がある」、「法人税改革は、2020年度のPB黒字化目標との整合性を確保するため、恒久減税には恒久財源を確保するとの方針で臨む」など、従来の与党税制改正大綱と同様の記述が繰り返されている。 しかし、6月3日の自民党税制調査会正副顧問幹事会に示された原案では、「恒久的な財源を確保し、税収中立の中で実現していく」、「将来の不確実な税収増や恒久的に続くかどうか定かでない単年度の税収の上振れを財源とすることは厳に慎むべき」、「足下の財収蔵や将来の不確かな税収増に頼ることなく、恒久減税には恒久財源を確保するとの方針で臨む」と明記されていたが、これらの表現はすべて消えている。 この改変は、官邸の意向に沿ったものと伝えられている。だとすれば、官邸サイドでは、「税収の上振れ」や「将来の税収増」を、法人実効税率引下げの財源にカウントしていると理解してよいのだろうか。 3 政府(官邸)の考え 6月13日の経済財政諮問会議後の甘利大臣の会見では、総理の言葉として、 と伝えた上で、 であると解説している。 これを素直に見れば、法人実効税率引下げの財源は、アベノミクスの成果としての構造的な増収と、恒久税源との組み合わせと考えられているようである。 経済財政諮問会議では、民間議員の主張として、法人税率引下げと法人税収増の両立(いわゆる税率・税収パラドックス)が繰り返し主張され、5月15日の民間議員ペーパーでは、以下の考え方が提示されていた。 これに対しては、麻生財務大臣から強い反論がなされたが、安倍総理を含む議論の大勢は、民間議員の主張を支持するものであり、今回の「骨太方針」に直結することとなった。 4 想定可能な税収増とは それでは、今後数年間で、どのくらいの法人税収(地方法人2税を含む)の伸びが、アベノミクスの成果としての構造的な増収として期待できるのであろうか。 「骨太方針」では、「経済好循環の環を更に拡大し、再生の10 年(2013~2022 年度)の平均で名目3%程度、実質2%程度の成長の姿につなげていく」としており、そのほかの政府の経済見通し等では、GDP名目3%程度の成長が前提とされている。 法人税収は長期的には、名目成長率×1.1(税収弾性値)として考えられてきたが、足元の平成26年度の法人税収(国税のみ)は、補正後の見通し10.1兆円に対し、11.8兆円と大幅な伸びとなっている。これは、企業収益の急激な回復とともに、繰越欠損金を解消して、本格的な納税に転じた企業が増えているためであり、この傾向は平成27年度においても変わらない。 経団連では、前提を基本的に政府経済見通し等と同じか、それより控えめな数値を用いてシミュレーションを行ったが、法人実効税率を10%ポイント引き下げた場合でも、これによる減収は5年で回復可能である。 この数字は、平成27年度に一挙に法人実効税率を10%ポイント引き下げた場合であり、例えば毎年2%ポイント、5年間連続で引き下げる場合では、毎年度の税率引下げによる減収を、ほぼ自然増収だけでカバーできる。 【経団連シミュレーションの概要】 (経団連「法人税改革の方向性について」p7) 5 おわりに もちろん、上記の想定はアベノミクスの効果が今後とも持続し、日本経済が成長軌道にあり続けることを前提としている。 しかし逆に見れば、経済成長を持続させるためには、企業収益が拡大し、設備投資、雇用・賃金、配当等が増加していくことが不可欠な前提である。 安倍総理は、「成長志向に重点を置いて、法人実効税率を数年で20%台に引き下げることを目指し、来年度から引き下げを開始する」ことを明言した。 アベノミクスによる成長の果実を活用し、法人実効税率引下げ・財政健全化・経済活性化の「三方一両得」をバランス良く実現することができるのか、法人税議論は最初のヤマを越えて、年末に向けて、いよいよ本格的な財源論に進んでいく。 (了)
《編集部レポート》 生産性向上設備投資促進税制“B類型”は 3年内に投資利益率要件から外れても罰則なし ~A類型とB類型の対象設備の種類に相違アリで要注意!~ Profession Journal 編集部 生産性向上設備投資促進税制(措法42の12の5)のうちの、いわゆる“B類型”の適用にあたっては、投資計画における投資利益率が年平均15%以上 (中小企業者等は5%以上)という投資利益率要件が設けられている。 本特例については、適用後3年にわたって「実施状況報告書」の提出が求められているが、ではその実施状況で投資利益率要件を下回った場合には、特例の適用関係はどうなるのであろうか。 〇確認書の交付後ならば罰則規定はナシ 投資利益率要件は、下記の算式で計算される。 ※1 会計上の減価償却費 ※2 設備の取得等をする年度の翌年度以降3年度の平均額 ※3 設備の取得等をする年度におけるその取得等をする設備の取得価額の合計額 本特例はこの数値について、その適用年度以降3年間(申請書の計画期間)の実績について「実施状況報告書」(書式参照)に明記し、設備の取得等を行った事業年度の翌事業年度終了後4ヶ月以内に、確認書の交付を受けた経済産業局に提出することが求められている。 では、この3年間に業績が低下するなど投資利益率要件を下回ってしまった場合の取扱いが気になるところだ。最悪の場合は、特例の適用が取り消される可能性も考えられる。 この点について経済産業省は、「本制度には、適用後に要件を満たさないことが判明しても本制度には罰則規定が設けられていないため、特例の取消しはない」と明言した。 つまり、設備投資前に提出が求められている「申請書」と「事前確認書」ベースで要件をクリアしていれば、その後の取消しの心配は不要なのである。投資利益率要件を求めるための数値は、あくまで想定の数値であるため、要はその数字が投資利益率と価格要件を満たせば特例を受けられることとなる。 ちなみに、「実施状況報告書」の提出を失念した場合だが、担当する経済産業局から提出の督促がある模様だ。 〇関与先には早めの周知を! 本制度の適用要件の特徴は、上記のとおり設備投資を行う以前に申請が求められている点。つまり、設備投資を行った後で申請を行っても、特例の適用は不可能となる。 そのため、本制度の詳細を知らなかった関与先が設備投資を行ってしまい、後日、本制度を受けられなかった場合には、「なぜ指導をしてくれなかったのか」とのクレームも予想される。 このような信用の失墜を防ぐためにも、黒字が予想される関与先には、設備投資の予定をヒアリングし、早期に本制度の活用を提案するようにしたい。 〇A類型では「構築物」は適用ナシ! さて、本制度は、上記のB類型とは別に先端設備を導入するための“A類型”が設けられている。特例措置は両者とも同様だが、適用対象となる設備の種類が微妙に異なっているため注意されたい。 その相違点だが、B類型にはある「構築物」が、A類型には盛り込まれていないのだ。 税理士からは「構築物の範囲は、門や塀、アスファルト等の舗装などが一般的だが、屋外の電源システムなど適用されてもよいものがあるのではないか」との指摘も聞かれる。 これに対して経済産業省は、「昨秋の本制度の策定時点では、先端設備として位置づけられる構築物が想定できなかった」といい、「例えば、屋外の電源システムなどの構築物はB類型で適用をお願いしたい」としている。 なお、国税庁によると7月に予定されている本制度を含む年度改正通達において、本特例制度にいう「生産等設備」の範囲については、措置法42条の12の2「国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却又は法人税額の特別控除」に関する通達42の12の2-1(生産等設備の範囲)と同様の解釈となるとしている。 (了)
生産性向上設備投資促進税制の実務 【第4回】 「確認申請書の(別紙)『基準への適合状況』 及び『根拠資料』〔記載例〕」 税理士法人オランジェ 代表社員 税理士 小幡 修大 前回は、生産性向上設備投資促進税制(措法42の12の5)のうち設備ユーザーが作成する「産業競争力強化法の生産性向上設備等のうち生産ラインやオペレーションの改善に資する設備投資計画の確認申請書」の具体的な記載例を紹介した。 この書類には[別紙]として確認申請書の根拠資料を求められており、今回はそれらの具体的な記載内容等を紹介する。なお、記載内容の前提となる設備投資の内容については、前回紹介した確認申請書に基づいているため、そちらをご覧いただきたい。 《記載例》 「別紙(基準への適合状況)」 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (根拠資料①) 「生産計画総括表」 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (根拠資料②) 「売上増加見込額算定表」 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (根拠資料③) 「売上原価減少見込額算定表」 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (了)
〔大法人のための〕 交際費課税の改正ポイント 【第1回】 「大法人の交際費等損金算入(平成26年度税制改正)に至る経緯」 税理士法人山田&パートナーズ 税理士 吉澤 大輔 はじめに 平成26年度税制改正において交際費課税制度が見直され、大法人の交際費支出の一部を損金に計上することができるようになった。 そこで本連載では、大法人の交際費課税制度に焦点を当て、解説をしていく。 1 平成26年度税制改正の内容 租税特別措置法61条の4第1項は、平成26年度税制改正で新たに追加された条項である。 同項の始まりを「法人が・・・」と規定していることから、中小法人に限定されず、大法人を含むことになる。 同項の規定により損金算入される交際費等の額は、「各事業年度において支出する交際費等の額のうち接待飲食費の額(※)の50%相当額」である。 (※) 1人あたり5,000円以下の接待飲食費で一定のものは、交際費等の範囲に含まれず全額損金算入されるため、ここでいう接待飲食費の額には含まれない。 なお、本連載において対象とする大法人の判定方法は、下図のとおりである。 【大法人の判定フローチャート】 2 平成26年度税制改正の趣旨 平成26年度税制改正で大法人の交際費等支出の一部を損金計上することにしたのは、飲食店等における消費の拡大及び企業ビジネス上交際費は必要な経費であるとの考えによるものである。 交際費の支出は、1990年代初頭の約6兆円から3兆円を割る水準にまで減少したことから、現在の飲食店等の需要にマイナスの影響を及ぼしていると考えられている。 そこで飲食店等の需要を喚起し、かつ、企業活動を活性化させるため、交際費課税の見直しを行うこととされた。 また消費の拡大を通じて経済を活性化させるのであれば、中小法人のみを対象とした従来の交際費課税制度では効果が限定されてしまうため、1社あたりの交際費支出が中小法人の約38倍にも及ぶ大法人をも含めた見直しを行うこととなった。 3 大法人の交際費等支出が全額損金不算入となっていた経緯 交際費等の損金不算入規定が創設されたのは、昭和29年である。 一定額を超える交際費等の支出を損金不算入とする当時の規定の対象法人は「資本金500万円以上の法人」であった。 交際費等の損金不算入の対象を一定規模の法人に限定していた背景の一つに、社用族の問題がある。 当時、「会社の経費として支出した場合、税負担を考慮すると実際の会社負担は半分以下である」といった考え方から交際費の支出がルーズになっており、社用にかこつけて社費で役得する人たち(社用族)の存在が大法人で確認されていた。 一方、小法人はその大部分が同族経営であることを考えると、社用族の存在があまり考えられないとの見方から、創設当初は交際費等の損金不算入規定の対象外とされていた。 その他、資本金500万円未満の法人を交際費等の損金不算入の対象とすると、会社数が多く、税務官庁の手数も少なくないことも、大法人に限定されていた背景の一つである。 その後昭和57年度税制改正において、法人が支出した交際費等は原則損金不算入とした上で、資本金5,000万円以下の法人については定額控除制度を存続させることにした。 資本金5,000万円以下の法人における定額控除制度の存続は、昭和54年度税制改正において、次の理由から定額控除制度を企業の規模別に格差を設けることとした経緯があり、このような事情は昭和57年当時においても特段の変化がなかったため、なされた措置である。 その後、各年度の税制改正において、交際費課税制度は中小法人に対する損金算入限度額の縮減と拡充を繰り返してきたが、今回の改正まで、大法人の損金算入が認められることはなかった。 ◆ ◆ ◆ 次回は、今回の改正により生じる、大法人ならではの実務上の論点についてまとめたい。 (了)
貸倒損失における税務上の取扱い 【第20回】 「判例分析⑥」 公認会計士 佐藤 信祐 第19回目においては貸倒損失についての法人税法上の根拠を解説した。 第20回目以降においては、日本興業銀行事件に係る第1審判決において、被告及び原告のいずれとも論拠として主張している法人税基本通達9-6-1(3)(4)、9-6-2、9-4-1に当てはめを行う形でそれぞれ検討を行うこととする。 本稿においては、まずは、法人税基本通達9-6-1(3)について検討を行うこととする。 ② 法人税基本通達9-6-1(3)の検討 法人税基本通達9-6-1(3)においては、法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額について、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入することが明らかにされている。 原告側の主張にもある通り、大蔵省及び農林水産省という行政機関たる「第三者」のあっせん・仲介によって行われた債権放棄であることから、まずは、法人税基本通達9-6-1(3)の検討を行うということはあり得る方向性である。 この点につき、第1審においては、 の2点が争われていた。 まず、債権放棄の効力が生じていたか否かについての被告側(麹町税務署長)の主張であるが、政府の住専処理策に対する「合意」は「基本的な枠組み」に対する「おおむね」の合意にすぎないものということを根拠としたうえで、各債権者の切捨額についての合意が成立したとはいえないとしている。この点に対する原告側(納税者)の反論は不明であるが、解除付債権放棄について、私法上の効力が生じていることを論拠としていると考えられる。債権放棄の効力が生じていたか否かという点については、法人税基本通達9-6-1(4)、9-4-1の議論と重なるため、法人税基本通達9-6-1(3)については重複を避けるために、判決文には明記されていないと考えられる。 また、債権放棄の負担が合理的な割合に基づいて行われていたかについては、被告側はプロラタ(比例按分)負担ではなく、少額債権者だけを優遇するものでもなく、母体行責任に基づいて、他の債権者よりも劣後する形で債権放棄を行っているため、法人税基本通達9-6-1(3)に規定する合理的な割合には該当しないとしている。これに対し、原告側は住専設立以来の経緯を反映しているということを論拠として、合理的な割合に該当するとしている。 このうち、債権放棄の効力が生じていたか否かという点については、第16回目で解説したように第一審判決ではその効力を認め、第17回目で解説したように控訴審判決ではそれを否定している。また、第18回目で解説したように上告審判決においては、法人税基本通達9-6-2で判断したと推定されるため、その点については触れられていなかった。 これに対し、後者については、原告側の主張はやや疑問を感じる点がある。そもそも法人税基本通達9-6-1(3)で規定する合理的な基準については、債権者平等主義の原則をどこまで修正することができるのかという点が問題となるべきであり、それを超えるものであれば、法人税基本通達9-4-1により判断すべきであると考えられるからである。なぜならば、法人税基本通達9-4-1、9-4-2の制定趣旨として、国税庁HPのタックスアンサー(No.5280 子会社等を整理・再建する場合の損失負担等に係る質疑応答事例等)においては、 としている。すなわち、母体行責任を理由として、法人税基本通達9-6-1(3)に掲げる合理的な基準に該当すると言ってしまえば、法人税基本通達9-4-1が適用される場面というものが「債権放棄」ではなく、追加の持ち出しである「債務の引受けその他の損失負担」のみとなってしまうことから、法人税基本通達9-4-1の文言に「債権放棄」を含めた理由がなくなってしまうからである。 しかしながら、日本興業銀行事件において、法人税基本通達9-6-2に該当するという判断に立つのであれば、全額回収不能であるという貸倒損失の判断において、母体行責任というものを加味するということになり、また、最高裁判決においてもその旨が明記されていることから、当然のことながら、法人税基本通達9-6-1(3)(4)における合理的な基準、回収不能の判断においても、母体行責任を考慮すべきであったと考えられ、ますます法人税基本通達9-4-1、9-4-2の位置付けが不明となってくる。 おそらくは、法人税基本通達9-4-1、9-4-2の文言に「債権放棄」を含めた理由については、法人税基本通達9-6-1(3)(4)で明確に判断することができないものについて、法人税基本通達9-4-1、9-4-2で救済するという程度の意味合いであったと推定される。また、中村慈美氏によると、法人税基本通達9-6-1(3)に規定する「合理的な基準」について、 としたうえで、 としており、法人税基本通達9-6-1(3)における「合理的な基準」の判断に同通達9-4-2の文言を根拠とするなど、同通達9-6-1(3)(4)と同通達9-4-1、9-4-2の線引きが極めて曖昧であることが分かる。さらに、私的整理ガイドライン、RCC企業再生スキーム、株式会社地域経済活性化支援機構、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構、特定認証紛争解決手続等の私的整理に関する手続きのすべてにおいて、同通達9-4-2を貸倒損失が損金の額に算入することができる根拠としており、同通達9-6-1(3)について触れられていないことを考えると、同通達9-6-1(3)がどの時点で利用される通達であるのかという点に疑問を感じるときもある。 しかしながら、第1審、上告審における裁判所の判断においても、法人税基本通達の文言がほとんど触れられていないことを考えると、法人税法の一解釈に過ぎない法人税基本通達のどの条項に該当するのかという点を議論することは、それほど意味をなさないのかもしれない。これに対し、控訴審における裁判所の判断においては、 としていることから、法人税基本通達9-6-1(3)の適用を否定し、同通達9-4-1に基づいて判断をしようとしたとも考えられる。 私見ではあるが、法人税基本通達9-6-1、9-4-1、9-4-2に規定されているように法的に債権が消滅した場合と、同通達9-6-2、9-6-3に規定されているように実質的に債権を回収することができない場合のいずれかにおいて貸倒損失又は支援損失の損金算入を認めるという程度の話であることから、法人税基本通達9-4-1との線引きは曖昧であるとしても、法人税基本通達9-6-1(3)に規定する「合理的な基準」の判断には、母体行責任という債権者側の事情をも加味するという結論でも問題ないと考えられる。しかしながら、本事件においては、母体行のみが解除条件付債権放棄を行っており、他の金融機関と足並みを揃えたわけではないことから、本件債権放棄の法的効力を認めるとすれば、結局のところ、法人税基本通達9-6-1(4)、9-4-1で判断するという整理になると考えられる。 次回においては、法人税基本通達9-6-1(4)について検討を行うこととする。 (了)
租税争訟レポート 【第18回】 「勝馬投票券の払戻金に係る所得を雑所得と判断した事例(控訴審判決)」 税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 【事案の概要】 被告人の元会社員は、3年間で28億7,000万円分の馬券を購入し、30億円余りの的中配当を得たが、競馬の払戻金を一切申告せず、約5億7,000万円を脱税したとして、所得税法違反の罪で大阪地検に告発され、起訴された。 第1審の大阪地方裁判所は、被告人の勝ち馬投票券の払戻しによる所得は雑所得であると認定し、外れ馬券の購入費用等を必要経費として認めて、所得税額を約5,200万円と認定し、執行猶予付きの判決を言い渡した(本連載【第10回】を参照)。 これを不服とする検察が、控訴したものである。 【検察の控訴趣意書に対する裁判所の判断】 1 「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に該当すること 検察は「馬券払戻金による所得は一時所得であり、被告人の本件馬券購入行為の特性を考慮しても、『営利を目的とする継続的行為から生じた所得』とは到底いえず、一時所得というべきである」と主張した。 これに対して、控訴審判決は「本件馬券購入行為は、条件に合致する馬券を、機械的に選択して網羅的に大量購入することを反復継続し、数年間にわたり、1日に数百万あるいは数千万円単位で、基準を充足する馬券を購入し続けるというものであり、3年間で、28億円以上の馬券を購入し、30億円以上の払戻金を得るという、極めて大きな規模なものであると同時に、それが客観的に明らかであることに鑑みると、その全体を一連の行為としてとらえるべきであり、その払戻金による所得は、『営利を目的とする継続的行為から生じた所得』に当たり、一時所得ではなく雑所得であると解するのが相当である」と結論づけた。 2 競馬の賭博性や馬券購入行為の性質等について 続いて検察は、「競馬の本質は賭博であり、競走結果としての勝敗は偶然の事情により決せられるもので、しかも、各競走は相互に法則性や関連性を持たず、競走ごとに独立して完結するから、馬券購入行為は所得発生の基礎として独立した行為であり、それがいくら繰り返されても独立した勝敗の集積に過ぎず、継続的行為とは評価できない」ため、「払戻金による所得が一時的、偶発的な所得である」から一時所得であると主張した。 この点についても控訴審判決は、競馬が賭博であることを認めたうえで、「賭博であり、払戻金の獲得が偶然に左右されること(所得の発生に偶然の要素があること)や射倖性から『営利を目的とする継続的行為から生じた所得』という要件に該当することが直ちに否定されるものではなく、馬券の大量購入を反覆継続した被告人の行為について営利目的や継続性を否定することはできない」として退けた。 3 一般的な馬券購入行為との区別について さらに、検察は、原判決の判断によった場合、「被告人以外の場合であっても、払戻金を得た者の馬券購入行為が、『営利を目的とする継続的行為』に当たると認められる場合には、雑所得になると解釈すべきことになる」ことを理由に、馬券の払戻金について、一時所得の場合と雑所得の場合の区分が困難となるという批判を含む主張をした。 これに対し控訴審判決は、「馬券の払戻金について画一的に一時所得と解することは、一般の競馬愛好家による一時的、臨時的な収入については妥当である」としながらも、馬券購入をめぐる環境に変化が生じている中では、この解釈は、「むしろ実態に即さず、所得税法の文言にも適合しない」としたうえで、さらに、「購入や払戻しの履歴が記録化され、態様や規模が客観的に明らかになる馬券購入行為については、その払戻金に課税しようとする場合、『営利を目的とする継続的行為から生じた所得』に当たるか、(それ)以外の一時の所得に当たるのかを明確に判断できるから、異なる所得区分になることを認める解釈によって生じる弊害も考えにくい」と判示し、馬券購入行為の態様や規模の相違によって所得区分が異なることを容認する考えを示した。 4 担税力について 検察は、原判決への反論として、「原判決の背景には被告人の担税力への配慮があると思われるが、担税力は所得発生の時点で捉えるべきで、本件では各払戻金の獲得時点で被告人に担税力があるのに、被告人は、納税のため本来留保すべき金員で馬券の購入を続けただけ」であるから、「被告人の資力を勘案して、本件馬券購入行為について雑所得と解するとすれば、本末転倒であり、正直者が馬鹿を見る結果となって、租税の公平性の観点から著しく不当である」と主張したが、控訴審判決は、「原判決は、税額が現時点での自己の支払能力を超えるほど多額になることが予想されるからといって、申告義務を免れないことを判示しており、納税時の担税力に配慮して雑所得説を採用したとは考えられない」と述べると同時に、「被告人は納税資金を本来留保しておくべきであったという主張も、1回の競走ごとの払戻金を一時所得と把捉することが前提となっているから、原判決への批判とはならない」として退け、検察の批判は失当であると結論づけた。 5 所得計算上控除すべき金額 被告人の本件馬券購入行為から生じた所得は雑所得に当たるから、所得計算上、必要経費が控除されることになる。 被告人の本件馬券購入行為の態様に照らすと、当たり馬券だけではなく外れ馬券を含めた全馬券の購入費用と競馬予想ソフトや競馬情報配信サービスの利用料が、所得計算の基礎となった払戻金を得るために『直接に要した費用』に当たり、必要経費として控除されると解するのが相当である。 したがって、当審と理由づけは異なるものの、原判決が、外れ馬券を含む全馬券の購入費用と上記ソフト及びサービス利用料が必要経費に含まれるとしたのは正当である。 【解説】 控訴審判決は、「当審とは理由付けは異なる」としながらも、全体として第1審判決を妥当なものとして、検察の控訴を却下した。それ以上に特筆すべきは、判決文は第1審より以上に、課税庁・検察に対する厳しい批判を含んだものとなっていることである。 検察は上告受理申立てを行っているが、紙の馬券を1枚1枚手で販売していた時代に発遣された通達がとうに時代遅れになっていることは、第1審、控訴審における判決から明らかであり、本件第1審判決後も、同じような課税処分を繰り返している課税当局の姿勢に対して、批判するマスコミ報道も多い。 1 公訴事実に対する厳しい指摘 控訴審判決は、「付言すると」と前置きしたうえで、外れ馬券を必要経費として認めない検察の公訴事実を厳しく批判している(下線は筆者による)。 2 相次ぐ同様の訴訟 マスコミ報道によると、本件以外にも、勝ち馬投票の払戻金をめぐっては、約78億円の払戻金を受けた北海道の公務員が、馬券の購入費計約73億円分を差し引いた約5億7,000万円を競馬の所得として申告したところ、札幌国税局から4億円以上の申告漏れを指摘されたため、これを不服として東京地裁に提訴しているということである。 また、馬券の購入によって2年間で約1,200万円の利益を得た横浜市の男性は、「競馬が仕事」だとして事業所得として申告したが、東京国税局は「一時所得」として約500万円を追徴課税。この男性は2月に横浜地裁に提訴したという報道もあった。 本控訴審判決が確定することになれば、少なくとも、馬券購入行為の態様や規模から、『営利を目的とする継続的な行為から生じた所得(=雑所得)』であることが認められれば、外れ馬券の購入金額や競馬ソフトなどの利用料も必要経費として認められることとなり、担税力を無視した課税を避けることは可能であるが、果たしてどの程度の馬券購入を続ければ、「営利目的」と認定されるのかという問題が、次に生じることは避けがたい。 上記2つの事例においても、前者は、本件大阪高裁判決よりも多額の馬券を購入しているから雑所得と認定されるにしろ、後者では認められないといったことにもなりかねず、控訴審判決は、「異なる所得区分になることを認める解釈によって生じる弊害も考えにくい」としているが、課税実務が混乱することは十分に考えられるのではないか。 むしろ、勝ち馬投票券の払戻しにより生じた利益は雑所得であるとしたうえで、高額の払戻金からは所得税を源泉徴収した方が、税制としてはすっきりしたものとなるはずである。 ただし、こうした改正は、売上不振が伝えられる競馬をはじめとする公営ギャンブルの主催者の根強い反対もあって、実現しそうにはない。 3 雑所得という所得区分にしたくない課税庁の思惑 検察の主張にはないことだが、実際問題として、勝ち馬投票券の払戻金が雑所得として課税され、外れ馬券が必要経費として認められることになると、競馬で損失を出した多くの競馬ファンのうち、他に雑所得を有する納税者は、損益通算をして、納税額を少なくすることが可能となる。 多くのサラリーマンは給与所得者であり所得区分が異なるので、馬券の損失による雑所得の赤字はなかったものとして損益通算はできないが、年金受給者であれば、公的年金等と馬券の損失は同じ雑所得に区分されるため、現行税制では、損益通算が可能となる。 課税庁が一時所得にこだわる真意がこのあたりにあるのではないかというのは、穿ちすぎた考えだろうか。 (了)
〔しっかり身に付けたい!〕 はじめての相続税申告業務 【第24回】 「小規模宅地特例の要件のうち特に注意すべき事項」 税理士法人ネクスト 公認会計士・税理士 根岸 二良 前回に引き続き、小規模宅地特例(「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(租税特別措置法69条の4))について、特に適用要件における検討を行う。 なお前回と同様に、企業オーナーや個人事業主以外の、一般の方の相続税申告業務という観点から、本稿では「特定居住用宅地等及」び「貸付事業用宅地等」に限定して検討を行う。 1 小規模宅地特例の適用対象となる土地等【特定居住用宅地等、貸付事業用宅地等共通】 (1) 相続・遺贈により取得したもの 小規模宅地特例の適用対象となる土地等は、個人が相続・遺贈により取得したものに限定されている(租税特別措置法69条の4第1項)。 したがって、相続税の課税対象となる宅地であっても、贈与で取得したものは、小規模宅地特例の適用はないこととなる(*1)。 (2) 土地所有権・底地権・借地権も含まれる また、小規模宅地特例の適用対象となる土地等には、土地(所有権・底地権)だけでなく、借地権も含まれる(租税特別措置法69条の4第1項:宅地等は土地又は土地の上に存する権利として定義されている)。 (3) 宅地等の範囲 小規模宅地特例の適用対象となる土地等は、建物又は構築物の敷地の用に供されているものに限定される(租税特別措置法69条の4第1項)。 したがって、他人へ貸し付けられている駐車場の土地で、地面が舗装されず土のままであるようなものは、他人へ賃貸借されていても「建物又は構築物の敷地の用に供されているもの」に該当しないため、小規模宅地特例の適用はないことになる。 ただし、コンクリートやアスファルトで舗装されている駐車場(賃貸借されているもの)は、構築物の敷地の用に供されているため、小規模宅地特例が適用される可能性がある。 自宅建物の敷地である土地に付随する私道については、自宅敷地の維持・効用を果たすために必要不可欠であると判断される場合には、小規模宅地特例の適用対象となる(国税庁:質疑応答事例「小規模宅地等の特例の対象となる私道」)。 2 特定居住用宅地等(租税特別措置法69条の4第3項第2号)の適用要件 特定居住用宅地等とは、以下のものをいう。 なお、上記(*3)についての詳細は、下記の拙稿をご覧いただきたい。 3 貸付事業用宅地等(租税特別措置法69条の4第3項第4号)の適用要件 貸付事業用宅地等とは、以下のものをいう。 貸付事業用宅地等は、賃貸借の対象である宅地等が対象であるため、使用貸借の対象である宅地等は含まれない(ただし、土地は使用貸借であっても、その土地の上にある建物の所有者が生計一親族であり、かつ、その建物を賃貸借している場合には、被相続人の生計一親族の貸付事業用に該当する可能性がある)。 (了)