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〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第5回】「遺言に記載がない特例対象宅地等がある場合の小規模宅地等の特例の留意点」

〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第5回】 「遺言に記載がない特例対象宅地等がある場合の小規模宅地等の特例の留意点」   税理士 柴田 健次   [Q] 被相続人である甲は、相続発生の7年前に自宅の土地家屋は長男乙に、預貯金は乙と二男丙に2分の1ずつ相続させる旨の遺言書を作成しました。遺言書を作成した年の翌年に、甲は賃貸用マンション1室を購入し、貸付事業の用に供しましたが、遺言書は、新たに作成しませんでした。遺言書には、賃貸用マンションを誰に相続させるかは、記載がありませんので、相続人である乙及び丙で遺産分割協議が必要となりますが、相続税の申告期限までに分割協議は整いませんでした。 小規模宅地等の特例対象宅地等は、自宅の土地(320㎡)とマンション敷地(20㎡)が該当しますが、相続税の申告書第11表の計算については、自宅敷地(320㎡)について8割減額をして計算を行っています。しかしながら、小規模宅地等の特例の同意について丙の同意は得られなかったため、相続税の申告書第11・11の2表の付表1の小規模宅地等の特例の適用にあたっての同意の欄には、乙のみの記載があります。この場合には、小規模宅地等の特例は、認められないのでしょうか。 また、分割見込書を提出しておけば、後日、マンション敷地部分については、小規模宅地等の特例の適用は可能となるのでしょうか。 [A] 小規模宅地等の特例(以下、単に「特例という」)について、特例対象宅地等を取得した相続人全員の同意がない場合には、特例の適用はできません。したがって、自宅敷地については、特例の適用ができません。 マンション敷地部分については、相続税の申告期限までに相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出し、相続税の申告期限から3年以内に分割がまとまった場合には、遺産分割確定の日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求をすることにより、特例の適用を受けることができます。 ◆ ◆ ◆[解説]◆ ◆ ◆ 1 特例の同意の要件 相続税の計算にあたっては、同一の被相続人の相続人等に係る相続税の課税価格の合計額は、一致させる必要があるため、相続人が1人である場合などを除き、特例対象宅地等を取得した相続人等の全員の同意が必要とされています(措令40の2⑤)。実務的には、下記の「相続税の申告書第11・11の2表の付表1(小規模宅地等についての課税価格の計算明細書)」の「特例の適用にあたっての同意」の欄に、特例対象宅地等を取得した全ての相続人等の名前を記載することになります。 未分割財産については、各共同相続人又は包括受遺者が民法の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従ってその財産を取得したものとしてその課税価格を計算する(相法55)こととされており、乙及び丙は、未分割財産である賃貸用マンションを法定相続分で取得したことになります。 したがって、乙も丙も特例対象宅地等を取得したことになりますが、特例の適用にあたっては、丙の同意が得られていないため、同意の要件を満たさず、特例の適用を受けることはできません。   2 未分割財産と更正の請求の特則 相続税の申告期限までに分割されていない特例対象宅地等については、原則として特例の適用はできないこととされています。ただし、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出し、特例対象宅地等が申告期限から3年以内に分割された場合には、遺産分割が確定した日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求をすることができます。 なお、3年以内に分割がまとまらなかった場合においても、相続税の申告期限から3年を経過する日までの間に分割されていなかったことについて相続等に関する訴えがされているなど一定のやむを得ない事情がある場合において、申告期限後3年を経過する日の翌日から2ヶ月を経過する日までに「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出し、その申請につき、所轄税務署長の承認を受けた場合には、判決の確定日など一定の日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求をすることができます(措法69の4④⑤、措令40の2㉓、措規23の2⑧六、相法32①、相令4の2)。   3 実務上の対応 遺言があっても、本問のように遺言書に記載がない特例対象宅地等については同意を得ることが困難である場合もありますが、特例の合意は要件の1つとなっていますので、同意が得られない場合には、特例の適用ができないことについて、納税者に十分に説明をする必要があります。 また、相続人同士で揉めてしまった場合には、相続人が別々の税理士に依頼することもあり、その場合には、通常、相続人同士で相続税の申告内容の確認ができないため、特例の同意が得られているかが問題となります。別々に申告をする場合には、特例の合意書等を作成し、特例の適用を受ける所在地、適用面積等を記載し、特例対象宅地等を取得した人全員の署名をしておくといいでしょう。 なお、本問の場合のように、同意が得られない場合には、自宅敷地については、特例の適用を受けることができなくなりますので、その場合の実務上の対応として、平成28年7月22日の東京地裁判決(TAINSコード:Z266-12889)の原告の主張の要旨の中に、下記のような方法があります。ただし、法的な論拠があるわけではなく、個別事案として、所轄税務署に相談しながら進めることになります。   ★実務上のポイント★ 未分割の特例対象宅地等の相続案件は、今後も増えてくると予測されますが、選択の同意の要件について、納税者に早めに説明を行い、要件充足の準備をすることが重要となります。特に揉めている場合には、調整に時間を要するため、注意が必要となります。   (了)

#No. 438(掲載号)
#柴田 健次
2021/09/30

〈事例から学ぶ〉不正を防ぐ社内体制の作り方 【第10回】「パンデミック下のIT統制を考える」~社内情報の漏えい防止とアクセス権限管理~

〈事例から学ぶ〉 不正を防ぐ社内体制の作り方 【第10回】 「パンデミック下のIT統制を考える」 ~社内情報の漏えい防止とアクセス権限管理~ 米国公認会計士・公認内部監査人 打田 昌行   はじめに 長引くパンデミックの影響から、筆者の周囲には、地方の実家に戻って自然を満喫し、テレワークを続けるといった人も出始めています。こうした生活様式、働き方の変貌を見るにつけ、ITの利便性を実感しますが、他方で相応のリスクも見え隠れしています。 筆者が以前に勤務した事業所では、個人のパソコンがマルウェアに感染したことを原因として、ウイルスが社内システム全体に拡散しました。復旧にこぎつけるまで、メール機能は麻痺し、仕事に関わるデータを取り出すこともできず、業務に多大な悪影響と損害をもたらしました。もしあの時、海外の取引先への多額の送金や支払期限が重なっていたとしたらと想像すると、いまだに震え上がるような思いがします。 こうした事態や直面するパンデミックを踏まえ、ITに強く依存する、私たちの業務の場に潜む代表的なリスクを見直しておく必要があると思います。 〈内部統制の視点から見るIT統制上の重要なリスク〉   《1》 オンライン会議による社内情報の漏えいを防ぐ 今、私たちがテレワークで頻繁に行うオンラインによる会議は、国内外で物理的な移動をすることなく、ローコストで効率的な場を提供しています。社内研修といえば、一箇所にたくさんの研修者が物理的に集まって実施するという、これまでの常識をすっかり覆してしまいました。会議の相手が海外にいても時差さえ考慮すれば実施できるので、本当に便利なツールです。 しかし、このツールも企業秘密の漏えいリスクと無関係ではありません。会議に用いるプラットフォームのなかには、すでに情報漏えいのリスクがあるという指摘を受けたものもあり、無償で利用できるからといって安易に社内で活用をすることは避けなければなりません。数多く提供されるプラットフォームや、サービスを提供する会社に関する慎重な精査を怠らないことが大切です。   《2》 情報へのアクセスを限定して管理する 新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るうなか、従業員が健康上のリスクを冒してまで、直接に人と対面し情報交換をすることは、なるべく避けたいものです。そのため業務上の情報は、PDF化、静止画像、動画撮影などを利用してメールで送信したり、特定のサーバーに蓄積して、関係者の間で共有されることが多くなっていると考えられます。 こうした場合には、サーバーへのアクセス権限を限定し、アクセス権限の付与に関わる申請と承認の仕組みを作り、アクセスの頻度やログを継続して管理する体制を整備することが、平素よりもまして重要になります。誰でも容易に関連情報にアクセスすることを許せば、情報が操作されるだけでなく、漏えいに繋がるおそれがあります。情報が社外に持ち出され、競合他社に持ち込まれるといったリスクをあらかじめ想定した仕組み作りをすべきです。   《3》 アクセス権限表を更新して不一致を防止する 職制に基づき、社内情報へのアクセス権限をまとめたものが「アクセス権限表」と呼ばれるもので、情報へのアクセスを限定するためには欠かすことはできません。アクセス権限表を作成して、業務を円滑に進めるために必要な情報にのみアクセスできる仕組みを構築します。ただし大切なポイントとして、人事異動や組織の改編に応じた権限表の更新を怠らないようにします。例えば、既に人事異動した従業員が、いつまでも旧所属のアクセス権限を持ち続けることは、けっして好ましいことではありません。 またあらゆる情報にアクセスできるスーパーユーザーは、IT部門に属する特定の責任者や担当者など、業務上例外的に認められるものであり、たとえ権限を付与したとしても、必ずアクセスログをとり、アクセス履歴に関する管理を継続して行うようにしましょう。   《4》 退職者のIDやパスワードを棚卸しする システムに関わる監査や内部統制の監査現場では、退職者のIDやパスワードをはじめとする情報が、タイムリーにシステムから削除されているかどうかを必ず確認します。いわば情報の棚卸しです。実際の確認現場を見ると、既に従業員が退職しているにもかかわらず、IDをはじめとする個人情報がシステム中にいつまでも残されていることがしばしば見受けられます。甚だしい場合、消去すべき退職者のIDが使いまわしをされていたりすることさえ起きています。 こうした状況を放置しておくことは、次に示す不正を予防するどころか、かえって助長することになりかねません。一見何気ない注意事項のように感じますが、こうした情報の管理は、パンデミックに限らず、常日頃から注意を払っておくべき大切なことがらです。   《5》 サーバーをソフトとハード両面で管理する 在宅勤務の浸透に伴い、攻撃型のウイルスメールによる被害が増大していることは、マスコミの頻繁な報道によって明らかです。このためファイアウォールを立て、社内情報の心臓部ともいわれるサーバーを厳重に保全しておくことは当然の対応となります。 サーバー管理を第三者であるクラウドサービスに依存することもありますが、自社で管理する場合は、昨今頻発する自然災害リスクに備え、物理的に管理することも忘れてはなりません。災害リスクの少ない都市や地域にサーバーを設置する、戦争やテロのリスクを避け、北半球と南半球のそれぞれにサーバーを設置して管理するといったロケーションを考慮した対策を展開する企業をしばしば見かけます。 また自社のオフィスの一角でサーバーを管理する場合は、サーバールームを堅固な作りで保全し、温度管理に配慮して施錠を施します。サーバールームへの入退出は、業務に関係する特定の者だけに限定することが大切です。さらに入退出の記録をログで管理できれば、よりよい対応と考えられます。   《6》 テレワークに潜む罠に備える 政府主導によりテレワークを推進することが求められるなか、仕事は会社でするものという従来の常識が覆されました。緊急事態のなか、自宅でのパソコンの取扱いには、企業による一定の方針作りや注意喚起が必要です。セキュリティの脆弱な自宅のパソコンがマルウェアに狙われ、犯罪の脅威にさらされています。盗み取った情報を人質に、金銭を求める脅迫事件が頻発していることは、皆さんもよくご存じのことと思います。 対策については、連載【第6回】を是非、参照していただきたいと思います。 〈新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー犯罪が疑われる事案の報告件数〉 (※) 警察庁「令和2年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」より抜粋。 (了)

#No. 438(掲載号)
#打田 昌行
2021/09/30

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第57回】「株主優待引当金」

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第57回】 「株主優待引当金」   RSM清和監査法人 公認会計士 西田 友洋   【はじめに】 日本では、基準日に株式を保有している株主に対して株主優待券等を付与する株主優待制度を採用している企業が多い。 そして、株主優待について、引当金の要件を満たす場合、引当金を計上する事例がある。具体的には、2021年3月31日から6月30日決算で有価証券報告書に「引当金の計上基準」として株主優待引当金を記載している会社は、143社ある。 今回は、この株主優待引当金を解説する。 ※各ステップをクリックすると、それぞれのページに移動します。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 株主優待により発生する費用が以下の引当金の4要件を満たすかどうかを検討する必要がある。 《引当金の4要件》 株主優待により、株主が商品との交換、サービスの提供、値引き等を行うことができる場合、将来に費用が発生するため、上記①の要件を満たす。 次に、これは、当期以前に株主優待を付与したという事象により発生するため、②の要件も満たす。 そして、③及び④の要件である発生の可能性が高く、金額を合理的に見積もることができる場合、株主優待引当金を計上する。株主優待を行っている会社では、どれくらい株主優待を株主に渡し、どれだけ使用されているかを管理していることが多いと考えられるため、③及び④の要件を満たすことが多いと考えられる。 なお、実務上は、全ての企業が株主優待引当金を計上しているわけではない。これは、株主優待引当金を必ず計上するという実務慣行になっていないこと、及び、財務諸表に与える影響を考慮して、計上していないことが考えられる。 ① 株主優待引当金の算定 株主優待引当金は、株主優待の付与の方法及び内容により算定方法が異なることが考えられる。実務上は、各社の実態に応じて、適切に見積り計算を行う必要がある。 一例として、以下のような方法が考えられる。 ② 会計処理 会計処理は、以下のとおりである。 *  *  * 以上、2つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (了)

#No. 438(掲載号)
#西田 友洋
2021/09/30

《速報解説》 会計士協会、公認会計士法の改正を受け、指定社員の通知を書面に代えて電磁的方法で行えるようになったことに対応し「指定社員制度に関するQ&A」を改正

《速報解説》 会計士協会、公認会計士法の改正により指定社員の通知を書面に代えて電磁的方法で行えるようになったことを受け、「指定社員制度に関するQ&A」を改正   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年8月19日付けで(ホームページ掲載日は2021年9月24日)、日本公認会計士協会は、法規・制度委員会研究報告第2号「指定社員制度に関するQ&A」(法規委員会研究報告第12号「指定社員制度に関するQ&A」の改正)を公表した。 これは、2021年9月1日に施行された改正公認会計士法において、無限責任監査法人は、被監査会社等の承諾を得た場合に、被監査会社等への指定社員の通知を書面に代えて電磁的方法で行うことが可能となったことに対応するものである。そのほか、陳腐化した内容について、更新及び削除が行われている。 なお、法規委員会と公認会計士制度委員会が統合し、法規・制度委員会となっていることから、法規・制度委員会研究報告第2号として公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 「Q11 指定社員の通知を書面に代えて電磁的方法で行うために必要となる、被監査会社等からの承諾について教えてください。」を追加し、次のことなどを記載している。 (了)

#No. 437(掲載号)
#阿部 光成
2021/09/28

《速報解説》 会計士協会が「監査及びレビュー等の契約書の作成例」の改正を公表~改正公認会計士法において監査報告書の電磁的方法による発行が可能となったことに対応~

《速報解説》 会計士協会が「監査及びレビュー等の契約書の作成例」の改正を公表 ~改正公認会計士法において監査報告書の電磁的方法による発行が可能となったことに対応~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021年8月19日付けで(ホームページ掲載日は2021年9月24日)、日本公認会計士協会は、法規・制度委員会研究報告第1号「監査及びレビュー等の契約書の作成例」の改正を公表した。 これは、2021年9月1日に施行された改正公認会計士法において、監査報告書を電磁的方法で発行することなどが可能となったことに対応するものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 監査報告書等の電磁的方法による発行に関する対応 「Ⅲ 監査及び四半期レビュー契約書の作成例」「2.契約書の記載内容」「(5)報告書等」において、2021年の公認会計士法の改正により、被監査会社の承諾を得た場合に、監査報告書等の発行を電磁的方法で行うことが可能となった(「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」8条による改正後の公認会計士法25条3項及び34条の12第3項)と説明書きを修正し、次のことを記載している。 2 無限責任監査法人の指定社員の通知に関する対応 無限責任監査法人の指定社員の通知に関して、改正公認会計士法では、被監査会社の承諾を得た場合に電磁的方法によることを可能とする旨の記載が盛り込まれた。 そこで、「Ⅲ 監査及び四半期レビュー契約書の作成例」「2.契約書の記載内容」「(8)業務執行社員又は指定社員若しくは指定有限責任社員の通知」の説明書きを修正し、次のことを記載している。 (了)

#No. 437(掲載号)
#阿部 光成
2021/09/28

《速報解説》 時価基準の適用指針の公表を受けて、財務諸表等規則等の一部を改正する内閣府令が公布・施行される~「金融商品に関する注記」に新たな規定を創設~

《速報解説》 時価基準の適用指針の公表を受けて、 財務諸表等規則等の一部を改正する内閣府令が公布・施行される ~「金融商品に関する注記」に新たな規定を創設~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2021(令和3)年9月24日、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第61号)が公布された。これにより、2021年7月7日から意見募集されていた内閣府令(案)が確定することになる。内閣府令(案)に寄せられた意見に対する金融庁の考え方も公表されている。 これは、「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(2021年6月17日、改正企業会計基準適用指針第31号)の公表を受けたものであり、投資信託の時価の算定と貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価について規定するものである。 また、「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」(2021年1月28日、改正企業会計基準第5号)について、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」1条3項及び「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」1条3項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準とする改正も行う。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 「金融商品に関する注記」(財務諸表等規則8条の6の2第3項~第5項)に、次の規定を設ける。 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」、「中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」、「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」などや、関連する「「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)」なども改正する。   Ⅲ 適用時期等 *  *  * 上記のほか、比較情報に関する取扱い、金融商品の時価の算定方法を変更した場合の取扱いなどが規定されているので、実際の適用に際しては注意が必要である。 (了)

#No. 437(掲載号)
#阿部 光成
2021/09/28

《速報解説》 令和3年度税制改正を受けて、グループ通算制度に係る法人税法施行規則別表等を改正する省令が公表される~既存の別表の見直しとともに新規追加も~

 《速報解説》 令和3年度税制改正を受けて、 グループ通算制度に係る法人税法施行規則別表等を改正する省令が公表される ~既存の別表の見直しとともに新規追加も~   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト 足立 好幸   「法人税法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令(財務省令第66号)」が令和3年9月17日に公布され、同日から施行されている。 この改正省令では、令和3年度の税制改正を受けて、グループ通算制度に係る法人税法施行規則別表・地方法人税法施行規則別表関係(法人税法施行規則等の一部を改正する省令(令和2年財務省令第56号))の改正が行われており、既に公布されていた別表の見直しとともに、いくつかの別表が新規に追加されている。 新規に追加された別表など主なものは次のとおりとなる。 上記のうち、注目すべきものは、通算法人が試験研究費の税額控除の規定を適用する場合の別表である。 《①》 通算法人の試験研究費の税額控除については、単体納税制度と同様の計算の仕組みで、通算グループ全体で税額控除限度額(税額控除可能額)を計算して、その税額控除可能額を各通算法人の調整前法人税額の比(控除分配割合)で配分して、各通算法人の税額控除限度額(税額控除可能分配額)を計算するが、その計算をするために、以下の別表が用意されている。 《②》 上記①の別表において、他の通算法人に係る計算要素を使用する必要があるが、その集計をするために、以下の別表が用意されている。 《③》 上記①の別表では、通算法人が試験研究費の税額控除を適用した場合の修更正の遮断措置に対応するため、「この申告が修正申告である場合」の記載区分が用意されている。また、それ以外にも修更正の遮断措置に対応するための以下の別表が用意されている。 《④》 試験研究費の税額控除に関する「大企業に対する租税特別措置の適用除外措置」については、通算グループ全体の合計額で要件の判定(継続雇用者給与等支給額に係る要件、国内設備投資額に係る要件、所得金額に係る要件)を行うことになるが、そのために以下の別表が用意されている。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 437(掲載号)
#足立 好幸
2021/09/27

《速報解説》 証券取引等監視委員会が「開示検査事例集(令和3年度版)」を公表~昨年話題となった「架空循環取引」事例を取り上げ、背景や原因についても紹介~

 《速報解説》 証券取引等監視委員会が「開示検査事例集(令和3年度版)」を公表 ~昨年話題となった「架空循環取引」事例を取り上げ、背景や原因についても紹介~   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   証券取引等監視委員会事務局は、このほど、「開示検査事例集(以下「事例集」と略称する)」を公表した。 令和3年度版の「開示検査事例集」では、新たに、令和2年7月から本年6月までの間に開示検査を終了し、開示規制違反について課徴金納付命令勧告を行った事例についても、概要が紹介されている。また、令和元年から掲載が始まり、令和2年8月版で大幅に拡充された「監視委コラム」については、昨年同様、最近の開示検査を通じてクローズアップされた開示制度や会計基準のほか、不正会計の実態等について解説されている。 本稿では、公表された事例集のうち、最近の開示検査の動向を知るうえで参考になると思われる、ⅠからⅢまでを中心にその内容をご紹介したい。とりわけ、「Ⅲ 最新の課徴金納付命令勧告事例」については、最近1年間に開示検査を終了した最新の事例について、開示規制違反の内容、その背景・原因やその是正策の概要がまとめられている(「証券取引等監視委員会からのメッセージ」より引用)ため、本稿の解説もこの事例を中心としたい。   Ⅰ 最近の開示検査の取組み 本項目に関しては、令和2年8月版の記述が、ほぼそのまま使われている。 事例集「Ⅰ 最近の開示検査の取組み」の冒頭で、証券取引等監視委員会(以下「監視委」と略称する)は、以下のように述べている。 そのうえで、監視委の取組みついて、以下の3項目を挙げている。 なお、この3項目については、平成30年公表の事例集以来その内容を踏襲している。   Ⅱ 最近の開示検査の実績とその内容 令和2事務年度(令和2年7月~令和3年6月)に、監視委が行った開示検査は23件で、前年実績(33件)を10件下回っている。そのうち、開示検査終了件数は16件(前事務年度実績は14件)であり、課徴金納付命令勧告が9件(前事務年度実績は8件)となっている。 1 課徴金納付命令勧告事案の概要 2 開示規制違反の背景・原因 監視委は、課徴金納付命令勧告を行った事案において認められた開示規制違反に至った背景・原因として、次のように例示している。   Ⅲ 最新の課徴金納付命令勧告事例 事例集に記載された「最新の課徴金納付命令勧告事例」のうち、開示書類の虚偽記載による課徴金納付命令勧告事例9件については、下表のとおりである。なお、事例集では、会社名は公表されていないため、本表では、監視委の報道資料をもとに会社名を記している。 【課徴金納付命令勧告事例】 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (注) 赤字は、本誌連載「会計不正調査報告書を読む」で取り上げた事例。 2020年で最も話題となったといっても過言ではない、ネットワンシステムズ株式会社の架空循環取引については、【事例4】として取り上げられている。その中で、監視委が認定した「背景・原因」は次のとおりである。 なお、本件では、監視委が課徴金納付命令勧告事案としては初めて、「架空循環取引」という用語が使用されている(これまでは、単なる「循環取引」又は「資金循環取引」という表現が使われてきた)。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 437(掲載号)
#米澤 勝
2021/09/22

プロフェッションジャーナル No.437が公開されました!~今週のお薦め記事~

2021年9月22日(水)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.437を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2021/09/22

組織再編成・資本等取引の税務に関する留意事項 【第2回】「持分会社の組織再編成」

組織再編成・資本等取引の税務に関する留意事項 【第2回】 「持分会社の組織再編成」   公認会計士 佐藤 信祐   1 支配関係及び完全支配関係 持分会社を前提とすると、支配関係とは、一の者が法人の出資の総額の100分の50を超える金額の出資を直接若しくは間接に保有する関係(以下、「当事者間の支配関係」という)又は一の者との間に当事者間の支配関係がある法人相互の関係をいい(法法2十二の七の五、法令4の2①)、完全支配関係とは、一の者が法人の出資の全部を直接若しくは間接に保有する関係(以下、「当事者間の完全支配関係」という)又は一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係をいう(法法2十二の七の六、法令4の2②)。 このように、持分会社には株式という概念がないことから、出資金の額により支配関係及び完全支配関係の判定を行うという特徴がある。そして、持分会社では、定款にそれぞれの社員の出資金の額を記載する必要があることから(会社法576①六)、原則として、定款に記載されている出資金の額により支配関係及び完全支配関係を判定することになる。 ただし、定款に記載されている社員が単なる名義人である場合にも同様に判定してしまうと、税制の適用が恣意的に行われる恐れがあることから(※1)、名義人と実際の権利者が異なる場合には、実際の権利者により支配関係及び完全支配関係の判定を行うことになる(法基通1-3の2-1)。 (※1) 佐藤友一郎『法人税基本通達逐条解説(九訂版)』44頁(税務研究会出版局、令和元年)。   2 按分型要件 分割型分割を行った場合において、按分型要件を満たすためには、分割対価資産が分割法人の発行済株式又は出資の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式又は出資の数又は金額の割合に応じて交付されることが必要になる(法法2十二の十一柱書)。 そして、会社法622条1項では、「損益分配の割合について定款の定めがないときは、その割合は、各社員の出資の価額に応じて定める」と定められていることから、定款の定めにより、出資金の額に応じずに損益分配割合を定めることができる。すなわち、持分会社を分割法人とする分割型分割を行った場合において、出資金の額に応じない損益分配割合を定めているときは、分割対価資産も出資金の額に応じないで分配されることになる。 しかしながら、法人税法上、出資金の額に応じないで分割対価資産を交付した場合には、按分型要件に抵触するものとされている。そのため、持分会社を分割法人とする分割型分割は、按分型要件に抵触しやすいということが言える(※2)。 (※2) 会社法上、合同会社を分割法人とする分割を行うことはできるが、合名会社又は合資会社を分割法人とする分割を行うことはできない(会社法2二十九、三十)。さらに、会社法上、分割に伴って剰余金の配当を行うことができる分割法人は株式会社に限定されているが(会社法758八、760七、763①十二、765①八)、分割法人が合同会社である場合において、同様の効果をもたらすためには、分割の日に分割法人が取得した分割承継法人株式を剰余金の配当として株主等に分配する必要がある。このような場合であっても、法人税法上、分割対価資産のすべてが分割の日において分割法人の株主等に交付されている事実は変わらないため、分割型分割として取り扱うことができる。   3 事業規模要件 (1) 基本的な取扱い 吸収合併を行った場合において、事業規模要件を満たすためには、被合併法人の被合併事業とそれに関連する合併法人の合併事業のそれぞれの売上金額、それぞれの従業者の数、被合併法人と合併法人のそれぞれの資本金の額若しくは出資金の額若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないことが必要になる(法令4の3④二)。 そして、合名会社及び合資会社では、資本金の額が登記事項とされていないものの、合同会社では、資本金の額が登記事項とされている(会社法914五)。それでは、合名会社及び合資会社に資本金の額がないのかと言えば、会社計算規則30条において持分会社の資本金の額について定められていることから、合名会社及び合資会社にも資本金の額は存在するのである。 歴史的な経緯を見てみると、平成17年改正前商法においては、合名会社及び合資会社には資本金の額という概念はなかった。持分会社において資本金の額が定められている理由は、合同会社の財源規制上の控除額として資本金の額を利用する必要があったからである(※3)。これに対し、合名会社及び合資会社には無限責任社員がいることから、資本金の額を定める必要性は乏しいものの、合名会社及び合資会社と合同会社を一括して規制したことから、資本金の額についても定められている。 (※3) 相澤哲『立案担当者による新・会社法の解説(別冊商事法務295号)』164頁(商事法務、平成18年)。 (2) 被合併法人及び合併法人のいずれも持分会社である場合 そのため、被合併法人及び合併法人のいずれも持分会社である場合には、出資金の額だけでなく、資本金の額という概念もあることから、いずれにより事業規模要件を判定するのかという点が問題となる。この点については、「被合併法人と合併法人(括弧内省略)のそれぞれの資本金の額若しくは出資金の額」と規定されていることから、資本金の額で事業規模要件を判定することもできるし、出資金の額で事業規模要件を判定することもできると解さざるを得ない。その結果、出資金の額では事業規模要件を満たさなくても、資本金の額では事業規模要件を満たす事案も想定される。 (3) 被合併法人が持分会社であり、合併法人が株式会社である場合 これに対し、事業規模要件の判定上、被合併法人が持分会社であり、合併法人が株式会社である場合には、資本金の額により事業規模要件を判定するのか、出資金の額により事業規模要件を判定するのかという点が問題になる。 この点については、①売上金額、②従業者の数、③資本金の額、④出資金の額若しくは⑤これらに準ずるものと規定されずに、①売上金額、②従業者の数、③資本金の額若しくは出資金の額若しくは④これらに準ずるものと規定されていることから、持分会社である被合併法人の資本金の額若しくは出資金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較すべきであると考えられる。この場合には、法人税法施行令8条に定められている資本金等の額に係る規定において、①資本金の額若しくは出資金の額、②前事業年度までの資本金の額若しくは出資金の額以外の増減額、③当事業年度の資本金の額若しくは出資金の額以外の増減額を合計した金額とされており、資本金の額と出資金の額を同様に取り扱っていることから、持分会社である被合併法人の出資金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較することができると解すべきであると考えられる。 もちろん、持分会社である被合併法人にも資本金の額という概念があることから、持分会社である被合併法人の資本金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較することもできると解さざるを得ない。そのため、被合併法人が持分会社であり、合併法人が株式会社である場合には、①持分会社である被合併法人の出資金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較することもできるし、②持分会社である被合併法人の資本金の額と株式会社である合併法人の資本金の額を比較することもできると考えられる。   4 特定役員引継要件 例えば、吸収合併を行った場合において、特定役員引継要件を満たすためには、合併前の被合併法人の特定役員のいずれかと合併法人の特定役員のいずれかとが当該合併後に合併法人の特定役員になることが見込まれていることが必要になる(法令4の3④二)。 そして、特定役員とは、社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役、常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいう。しかしながら、持分会社には取締役という概念がなく、原則として、社員が持分会社の業務を執行することになる(会社法590)。そして、定款により業務を執行する社員を定めることも認められている(同法590、591)。さらに、業務を執行する社員は、原則として、持分会社を代表することになる(同法599①本文)。ただし、持分会社を代表する社員その他持分会社を代表する者を定めた場合は、その定められた者が持分会社を代表することになる(同法599①但書)。 このように、代表取締役に準ずる者で法人の経営に従事している者に代表権を有する業務を執行する社員が含まれると解することに問題はないと思われる。さらに、社員が法人である場合には、業務を執行する社員の職務を行うべき者を選任する必要がある(同法598①)。このように、法人である社員が代表権を有する場合には、選任された職務執行者が当該法人に代わって職務を執行することから、当該職務執行者の行為も代表権者の行為であると認められる。そのため、代表社員である法人社員の職務執行者も、原則として、代表取締役に準ずる者で法人の経営に従事している者として特定役員に含まれることが多いと思われる。   5 株式継続保有要件 例えば、吸収合併を行った場合において、株式継続保有要件を満たすためには、合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式又は出資(議決権のないものを除く)のうち支配株主に交付されるものの全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていることが必要になる(法令4の3④五)。 株式継続保有要件の判定上、以下に掲げる株式については、議決権のないものに含まれないこととされている(法規3の3②)。 これらは、所有者のステータスによって議決権が一時的に行使できないものは議決権のないものに含まれないという考え方によって整理されている(※4)。そして、上記(2)に掲げられている属人的定めのある株式と同様に、明文規定はないものの、持分会社に対する出資のうち所有者のステータスによって議決権が行使できないものがあったとしても、議決権のないものに含めるべきではないと考えられる。 (※4) 佐々木浩ほか『平成18年度改正税法のすべて』292頁(平成18年、大蔵財務協会)。   (了)

#No. 437(掲載号)
#佐藤 信祐
2021/09/22
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